『カルメル会修道女の対話』全曲 チェルニャコフ演出、ナガノ&バイエルン国立歌劇場、グリットン、イソコスキ、他(2010 ステレオ)
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村井 翔 | 愛知県 | 不明 | 2011年08月08日
ハンブルクでの上演もレーンホフ演出にしては珍しくコンセプトにブレがなく、見応えあるものだったが、こちらは指揮・演出の水準がさらに高い。演出は舞台を現代に移し、十字架すら登場しないという宗教色を排したものだが、社会から弾圧されるカルトな小集団の物語として普遍化できることを鮮やかに証明してみせた。したがってエンディングもギロチン処刑ではなく、ブランシュも死ぬために戻ってくるわけではないのだが、実に感動的かつ悲劇的な幕切れになっていて、演出家のアイデアの勝利を強く印象づける。ケント・ナガノの指揮はロマン派の音楽ではロマンティックなふくらみの乏しさを不満に感じることが多いが、ここでは彼の得意とするブルックナーの交響曲のように禁欲的でシャープな音楽が作られていて、見事にハマリ。歌手陣は(フランス語圏以外での上演ではやはり難しい課題である)フランス語発音には課題を残すものの、主役スーザン・グリットンの憑かれたような熱演以下、特に演技の巧さは大いに評価すべきだろう。2人の方が、このレビューに「共感」しています。
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