ローラ・ボベスコ・リサイタル・イン・ジャパン1980(2CD)
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スナフキン | 東京都 | 不明 | 2009年10月18日
1980年のコンサートの一聴衆からのメッセージ コンサートは数多く行きましたが、その内容は殆ど忘れてしまっている中、1980年、ボベスコの渋谷ジャンジャンでのコンサートははっきり覚えています。聴き手を威圧するタイプとは正反対の、なにか「あなただけの為に弾いているのですよ」といった、インテイメートな音楽に、なんとも幸福な気持ちになりました。 先月末、8年半の海外赴任から帰国しました。オーデイオセットはまだ船便の中、ヘッドフォーンで聴いているせいか、コンサートでは完璧と聴こえた技巧も、結構危なっかしいところがあったことがわかって苦笑しますが、それも音楽の流れを全く阻害しないのがなんともうれしい限り。 (大昔の話を持ち出して恐縮ですが)東京オリンピックの女子体操、チェコのチャフラフスカは尻もちついてもニコッと微笑んで絵になりました。それと同じ、少々の傷が全く気にならない演奏をこうして聴くと、音楽にとって一番大事なものは何なのか、ということを改めて考えさせられます。 ボベスコのCDは時々買いますが、スタジオ録音はどうもいけません。彼女特有の「歌」の部分が音源にはなかなか入りきらないのか、あるいはスタジオ録音では正確さを期する余り「歌」の部分が薄くなるのか。比較的満足するスタジオ録音は、ベートーベンの協奏曲位で、肝心のデユオは全滅。その中でこうしてボベスコの歌い回しを堪能できるコンサートの実況録音がCDとなったのは、大変うれしいです。 最後にひとつ。そういうわけで、コンサートに記憶は片っ端から曖昧になっているのですが、ボベスコが弾いたバッハのシャコンヌとショーソンの詩曲が忘れられません。両方とも、高いテンションを保ちつつ、一方でボベスコ特有のひとなつっこい歌を湛えた、まるで妖精が舞い降りてきたような名演でした。私はそれは1980年の渋谷のジャンジャンだと思っていたのですが、今回のCDの解説を読むに、そうではないようです。 シャコンヌと詩曲を弾いたコンサートがいつだったのか、ご存じの方、教えてください。(願うらくはどなたかが今回のように録音されていてCDになることを祈ります。)7人の方が、このレビューに「共感」しています。
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