歌劇『異国の女』全曲 カバリエ、サルディネロ、ザンポン、他 グァダーニョ指揮(1969)
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西荻椿山 | 東京都 | 不明 | 2013年03月11日
本曲を検索しても3種しか出てこず閑散としています。聴いてみるとすぐに耳につく息の長い旋律がないのです。これが不人気の理由でしょう。高音はあっても華麗なブラヴーラのない「清教徒」といった趣きです。しかし、その名技的なアリアは聴いておもしろくても、劇的真実や進行を阻害しているといえないでしょうか。人物の心情が言葉と音によって素直に伝わってくるのは「夢遊病の女」や「清教徒」ではなく本作品です。これは埋もれた傑作だと思います。全曲沈鬱な雰囲気が支配しています。何しろSは常にベールで美しい(?)顔を隠しているというのです。最後に隠す必要はなくなりますが、幸せになったといえるのか。その傍らでTもMsも愛はかないません。ライヴでモノラルですが、音は良好で、観客やプロンプターの声が耳について困るほどです。その観客もSが歌いはじめると息を思わずひそめています。本盤のカバリエは彼女の全録音を聴いたわけではないが最上の出来だと思います。透明な高音が細くどこまでも伸びていき尋常でない美しさです。それでいてキイイーとなるところが皆無なのです。ベルカントとは何かを知りたくば本盤をお聴きになるといいと思います。何らメロディーがない声の連続だとしても法悦なのです。Ms、T、Brは詳細不詳ですが、立派に歌っています。下手なSで「夢遊病の女」や「清教徒」を聴くよりよっぽど素敵なひとときが過ごせると保証いたします。なお、ブックレットに歌詞は載っていません。1人の方が、このレビューに「共感」しています。
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