無伴奏ヴァイオリンのためのソナタとパルティータ 全曲 レオニダス・カヴァコス(2CD)
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うーつん | 東京都 | 不明 | 2022年02月23日
やや太めの音の線で丹念に語られた無伴奏と感じた。華美にならない丁寧な楷書体のような装飾音でまわりをふち取り、音の出だしから音が消えていくその刹那の瞬間まで弓づかいのコントロールが行き届いているのがすばらしい。 彼のキャリアからみればもっと技術的にいろいろ盛り込むことはできたと思うが、削るべきものを削り、余計な飾りや着こなしを脱ぎすてた、さながら禅僧の着こなしのような表現を選んだように感じる。(蛇足だが、パガニーニ国際コンクールでキャリアを勝ち取ったヴァイオリニストにバッハ無伴奏の名盤が多い気がするのは偶然なのだろうか…。) 聴いた感覚として、パルティータとソナタではカヴァコスの接し方が異なる気がした。どちらもヴァイオリンで歌うという感じではないと思う。パルティータはダイアローグ(対話)、ソナタは思索(またはモノローグ?)という感じだろうか。パルティータではなんとなく音楽の構成や表現が、対話して何かを探求していくような姿勢に感じる。一方ソナタでは思索かモノローグで登場人物は一人。ひたすら心の内奥に視線を向けているような気がする。どちらかと言えばソナタ3曲の方に彼の本領がより表現されたように感じた。 それほど多いとはいえないが私が聴いてきた「無伴奏」の中でも独特な孤高の姿を提示していると思う。お奨めします。1人の方が、このレビューに「共感」しています。
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