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ベートーヴェン(1770-1827)

CD ピアノ・ソナタ第29番『ハンマークラヴィーア』、エロイカ変奏曲 ピエール=ロラン・エマール(日本語解説付)

ピアノ・ソナタ第29番『ハンマークラヴィーア』、エロイカ変奏曲 ピエール=ロラン・エマール(日本語解説付)

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    てつ  |  東京都  |  不明  |  2021年07月09日

    「現代音楽のカリスマ」「圧倒的なテクニックと表現力」という賛辞が並ぶエマール。初のベートーヴェンのソナタはなんとハンマークラヴィーア。これはデヴュー戦に超大物と戦うボクサーのようだが、そもそもエマールというボクサーは井上なみのモンスターだから超大物を呆気なく手中に収めている。正直もう少し神経質な演奏をイメージしていたが、あまり小節毎の強弱には拘らず、大きな流れを作る。非常に堂々とした太字の書のような演奏である。美音とテクニックで旋律線と和声をしっかり聴かせてくれて、第一楽章の冒頭を聞けばエマールの意図がわかる。しっかり響かせながら。微妙な音量差で旋律線を表現する。それに加え一音一音が明晰なのだから、並みの作品では演奏自体がオーバースペックになってしまう。だからこそエマールはベートーヴェンのソナタ初録音としてこの難曲を選んだのではないだろうか。特に第三楽章などはuna cordaになると何かすごく遠くを見ているような、そんな感じすらする。エマールに見えているものは神なのか自然なのか、私如きには全くわからないが、永遠とか深淵とかいう言葉が頭をよぎる。第四楽章はどこをとっても、「まだ余力が残っている」感が満載。余裕があるから、焦らない、急がない、慌てないとどこかの標語みたいだ。余裕を見せながら最後に向かって高揚感も付け加えてくる。脱帽レヴェルである。この人の辞書に「難曲」という文字はなさそうだ。加えて、この曲の第二楽章のトリオがエロイカのオマージュであることから、カップリングにエロイカ変奏曲を持ってくるセンス。エロイカ変奏曲は名曲の割には意外に名盤が少なく、ギレリス以来の名演が登場した。ここでもエマールは余裕とスケールでこの曲を演奏しており、安心してお任せできる。さて、デヴュー戦が圧勝だったのでこの後もベートーヴェンのソナタに連続挑戦して欲しいというのがファン心理だが、どうもこのお方、圧勝したんだからもうベートーヴェンはいいだろ、とか言いそうである。伝説のデヴュー戦後即引退なんて辞めてください。お願いします。キングインターナショナルの方、エマールにそう伝えておいてください。

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