交響曲第13番『バビ・ヤール』 リッカルド・ムーティ&シカゴ交響楽団、アレクセイ・チホミロフ
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フォアグラ | 愛知県 | 不明 | 2022年09月28日
「バビ・ヤール」はキーウ近郊の地名でユダヤ人虐殺が起きた場所だ。ただしこの交響曲で虐殺を扱うのは第1楽章だけ。それでもショスタコーヴィチの音楽表現は強烈だ。ロシア国民ははたしてこの曲を聴いたことがあるのだろうか。家のドアを壊され乱入される音を流氷の音と信じようとする恐怖、これを今ウクライナの人々だけでなくロシア国民も感じているのではないだろうか。第2楽章以下でもショスタコーヴィチの怒りは凄まじい。彼の警鐘は60年経った現代にそのまま生きているのは情けない限りだ。バス独唱と男声合唱、さらに合唱はほぼユニゾンという構成は下手をするとシュプレヒコールみたいになってしまうがムーティはじっくりとじっくりと聴き手を追い詰めていきさすがとしか言いようがない。真綿で首を絞められるような。シカゴ響もコーラスもチホミロフも最高の出来。録音時にこんなことになるとはムーティも想像していなかっただろうが今だから聴いてほしい名演だ。0人の方が、このレビューに「共感」しています。
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Tan2 | 神奈川県 | 不明 | 2021年07月09日
ムーティは意外なことにけっこうロシア音楽をよく演奏してきました。デビュー直後の1970年代にはフィルハーモニア管とチャイコフスキーの交響曲全集、1980〜1992年のフィラデルフィア管の音楽監督時代にはスクリャービンの交響曲全集やプロコフィエフなども録音しています。 そんなムーティも、ショスタコーヴィチは1992年の交響曲第5番の録音があるのみで、あまり興味がない、あるいは苦手なのかなと思っていました。ところがシカゴ響の音楽監督になってから、2012年に「ミケランジェロ組曲」を、そして2018年にこの交響曲第13番を録音しています。いずれも声楽が入ること、特に「ミケランジェロ組曲」はロシア語訳になっているとはいえ祖国の偉大な芸術家ミケランジェロの生誕500年を記念して作曲されたことに敬意を表しての演奏だったのでしょう。 ムーティのショスタコーヴィチは、いわゆるソ連系のエキセントリックな爆演とは対局の、余裕ある豊かな響きの演奏です。金管楽器の咆哮も余裕のある破綻のない響きであり「さすがシカゴ響」という感じです。 ただ、そういった「西側風」演奏の中では、美音にこだわりすぎてハイティンクの緊張感や迫真性を越えるところまでは行っていない気がします。0人の方が、このレビューに「共感」しています。
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