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ベルリオーズ(1803-1869)

CD 【中古:盤質A】 ベルリオーズ:『幻想交響曲』、ドビュッシー:『海』 ミュンシュ&パリ管弦楽団(1967 ステレオ)

【中古:盤質A】 ベルリオーズ:『幻想交響曲』、ドビュッシー:『海』 ミュンシュ&パリ管弦楽団(1967 ステレオ)

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  • ★★★★☆ 

    Pianist  |  東京都  |  不明  |  2009年12月24日

    聴き手が期待するものを十分与えてくれる一枚。あの当時のパリ管の発足当時の勢い・期待がどういうもので、ミュンシュが亡くなる直前にもかかわらず突如若返ったかのようなものすごい気迫で聴衆を圧倒したに違いないと思われる演奏の記録。それを今実際に聴くことができるのだから、最近の発掘の徹底さにはただただ感謝あるのみ。ただし実演は文句なく凄かったろうと思われるが、こうして繰り返し聴くことのできるCDとなると「その場では生きたであろう」即興性やアゴーギグの極端な動きが耳につき出し、やがては鼻につく…ようになるのも事実。最近の凄演・爆演好みの聴き手にはたまらないだろうが、これも今となっては記録としての価値が勝るディスクではないだろうか?「幻想」がEMI盤より優れている…のは事実だが、力で押し切られ、犠牲になっている音符があるのはやはり気になるし、「海」もデリカシーを重視した演奏ではないので、文句なくダイナミックでシンフォニックではあるが、「海」という作品を万人に紹介する時に、最初にノミネートできる演奏ではない。ミュンシュはラヴェルの方が肌に合うタイプだったのかも。無い物ねだりだが、このコンビの実演によるブラームス一番があれば、さぞかし熱い演奏になった事だろう。改組前の、第一楽章の欠けたDVDはあるのだが。興奮度・スリル感は確かに満点、しかし総合感銘度は普通。ミュンシュのファンとして素直にこのCDの登場には感謝。

    14人の方が、このレビューに「共感」しています。

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  • ★★☆☆☆ 

    春奈  |  東京都  |  不明  |  2010年01月21日

    前評判はなかなかだったが、個人的にはイマイチ感動しなかった。確かに演奏は燃えているし気迫もあり激しい演奏だった。ではなぜ思ったほど感動しなかったのかと言えば、音質にその原因があるように思う。音質自体は明確で鮮明だが、録音のせいかマスタリングか知らないが、どこか全体的にドライな音質であり、残響も少ない。楽器の音の美しさや微妙なニュアンスにも欠けるように思う。例えば、第4楽章のティンパニの音もポコポコいった感じの音であり、どうも違和感があった。またその反面、金管の強奏がキツく響く。また第5楽章の最後の審判を知らせる鐘の音も、まるでオモチャのような音質であり、いささか興ざめする。アンサンブルの乱れ以上に気になる。スタジオ盤と基本的に同じ楽器を使っていると思うが、この違いは何故だ?第2楽章の弦の美しさや華やかさもかなり後退している印象を受けるし、これでは演奏の真価は伝えてないのではないか?期待が大きかっただけに、自分的にかなりがっかりしている。演奏が面白いだけに残念だった。

    11人の方が、このレビューに「共感」しています。

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  • ★★☆☆☆ 

    star  |  茨城県  |  不明  |  2010年01月24日

    春奈さんのレビューとほぼ同じ感想です(私ではこんなに的確に書けなかったと思うけど)。生で聞けたら感動したかも知れないが、このCDでは、激しいというより、騒がしい演奏としか思えなかったです。

    9人の方が、このレビューに「共感」しています。

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  • ★★☆☆☆ 

    山形の髭熊  |  山形県  |  不明  |  2009年12月26日

    演奏の記録としての価値ある録音としては、評価できます。管弦楽団の旗揚げ公演として、ミュンシュ氏の意気込み情熱が並々ならぬものであることは、演奏から十分に感じられますが、アンサンブルの乱れ(この時代のフランスのオーケストラに良くあった)が気になります。EMI盤 のほうが音響と録音ともに優れており、不満が残りました。同レーベルのパリ音楽院管弦楽団の来日公演(NHK録音)に比較してホールトーンも乾いた音で東京文化会館の音響に改めて驚きました。日本の放送局の方が録音技術が優れているように思います。この演奏の本番に入ればものすごく興奮したかもしれません。第五楽章の鐘の音色額浮上の問題では、マルティノン指揮フランス国立放送管弦楽の第二楽章にコルネットを取り入れた初稿の版を好みます。ミュンシュ氏の演奏はライブ録音よりセッション録音に優れたものが多いようです。

    9人の方が、このレビューに「共感」しています。

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  • ★★★★★ 

    つよしくん  |  東京都  |  不明  |  2009年12月24日

    驚天動地の超名演の登場だ。ミュンシュの数ある名演の中でも間違いなく頂点に君臨するものと高く評価したい。まず海であるが、これはパリ管弦楽団と組んだ録音が遺されていないだけに、その意味でも貴重な録音と言える。ボストン交響楽団と組んだいささか大味な演奏とは別人のように緻密な表現を行っている。もちろん重厚さにも不足はなく、第1部の終結部などあまりのド迫力にミュンシュのうなり声が聴こえてくるではないか。第3部の冒頭では、嵐を予感させるような不気味な雰囲気が漂うなど、はじめて聴くような新鮮さを感じさせるし、終結部の猛烈なアッチェレランドの凄まじさ。実に感動的な名演と言えるだろう。そして、幻想交響曲。私は、ミュンシュ&パリ管弦楽団のスタジオ録音こそ同曲最高の名演と評価してきたが、本盤はそれを凌駕する。ということは、幻想交響曲の演奏史上最高の名演ということになる。第1楽章の冒頭は、スタジオ録音盤以上にゆったりとしたテンポで濃厚な表現を見せる。しかし、主部に入ると、テンポはめまぐるしく変化する。アッチェレランド、ゲネラルパウゼなどを効果的に駆使して、これ以上を望めないようなドラマティックな名演を繰り広げている。第2楽章も濃厚な表現であるが、終結部の猛烈なアッチェレランドは相変わらず凄まじい。第3楽章は、やや早めのテンポで緊迫感のある演奏を心がけている点が、あまりの遅いテンポによってもたれてしまいがちな他の演奏とはそもそも次元が異なる。ここぞという時の迫力にもいささかの不足はない。第4楽章の冒頭はゆったりとしたテンポで、断頭台に向かう死刑囚の内面を見透かすような不気味さを強調するかと思えば、主部に入ってからのダイナミックレンジの幅の広さ。終結部に向けてのアッチェレランドの凄まじさは、過去のどの演奏をも凌ぐド迫力だ。終楽章は、めまぐるしくテンポが変化する曲想であるが、ミュンシュはそれを殊更に大仰に強調することによって不気味さをより一層強調しているが、これは大正解。終結部に向けての猛烈なアッチェレランドはもはや狂気と裏腹であり、演奏終了後の聴衆の熱狂も当然だと思われる。パリ管弦楽団は管楽器も弦楽器も実に巧く、録音も60年代のライブ録音とは思えないくらい鮮明だ。このような歴史的な超名演を製品化したアルトゥスレーベルに対して、心から敬意と感謝の念を表したい。

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  • ★★★★★ 

    まっちゃん  |  千葉県  |  不明  |  2010年01月03日

    噂に違わぬ迫力の大名演で、本当に興奮しました。大感激です。 この演奏会はパリ管のHPで当日の画像の一部を見たことがあります。映像が全部残っているのであれば、是非ともDVD化を望みます。 また同HPによれば、ミュンシュの短い在任期間中に定期演奏会ではブラームスの1番、V協。シューマンの4番、その他「バッカスとアリアーヌ」「ペレアスとメザリンド」「ダフニスとクロエ」等が演奏されのですが、これらの録音も残っていないのでしょうか? 引き続いてCD化されたら嬉しいです。特にブラームスの1番を!!

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  • ★★★★★ 

    ニッパー君  |  茨城県  |  不明  |  2011年07月14日

    神と悪魔が手を組んだ饗宴…ことによると事実かもしれません。本盤を聴いた後では,名演の誉れ高い同コンビの『幻想』セッション盤もありふれた演奏に聞こえてしまいます。音質も40年以上も前に収録されたものとは思えないほど生々しいもの。文句なしの名盤だと思います。

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  • ★★★★★ 

    あまでうす  |  神奈川県  |  不明  |  2012年11月20日

    シャルル・ミュンシュを音楽監督に迎えたアンドレ・マルロー肝いりのパリ管弦楽団の1967年11月14日のお披露目コンサートの実況録音を聴きました。所はシャンゼリゼ劇場、曲目はベルリオーズの「幻想交響曲」、ストラヴィンスキーの「レクイエム・カンティクルス」、そしてドビュッシーの交響詩「海」という素敵なプログラムで、普通なら「幻想」を最後にもってくるのでしょうが、「海」をトリに据えるというのが当夜のミュンシュの秘めた料簡であったことは、この2枚組の録音を聴くと実によくわかります。 1週間にも及ぶリハーサルでミュンシュによって徹底的に鍛えられたパリ管の「幻想」は、それまで同国を代表していたパリ音楽院管の、ろくに練習もせず、各人各様の個人技を展開していた放恣なアンサンブルに比べると雲泥の差で、欧米の超一流のオケをしのぐその冷徹なまでのアンサンブルには改めて驚かされます。 しかし曲の解釈と演奏自体は彼がかつてボストン交響楽団や63年にフランス国立管弦楽団とやった演奏と大きくは違わない。終楽章の「サバトの夜の夢」もいちおう青白く燃えてはいるのだが、なぜだか彼のライヴにしては狂乱の度が抑えられ、バーンスタインやモントゥーのむきだしの熱狂が恋しくなります。さすがのミュンシュとパリ管もデビュー演奏会ということで少し硬くなっていたようです。 ところが後半のストラヴィンスキーとドビュッシーは凄かった。それまで押さえていた熱と力と意志を満を持したように全開して、指揮者もオケも歌いに歌います。ドビュッシーの「海」もこの偉大な指揮者が何度も演奏し録音してきた名曲ですが、第3曲のトランペットの強奏を耳にしながらドビュッシーがインスピレーションを得たという葛飾北斎の「富嶽三十六景・神奈川沖裏」の映像が忽然と脳裏に出現したのには我ながら驚きました。 とかくドビュシーというと印象派の点描に似た曖昧模糊とした演奏が喜ばれるようですが、当夜の「海」は一切の文学的な霧のヴェールを取り去った純音楽的な名演で、「大爆発、驚天動地、未曾有、空前絶後、千載一遇」などという惹句はもちろん大仰に過ぎますが、短くも儚く散ったこの名コンビによる記念碑的な演奏であることは間違いありません。

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  • ★★★★★ 

    ushio  |  東京都  |  不明  |  2011年02月14日

    あれこれ難癖つける人は、芸術とは無縁な人。「幻想」のCDとしては最高の演奏だ。録音はやや乾燥気味。「海」も、燃え滾る灼熱の大洋である。

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  • ★★★☆☆ 

    masato  |  新潟県  |  不明  |  2010年01月06日

    この演奏会はただ一度の特別なもの。私がこのCDを聴くのも一度だけだと思います。凄い演奏ではありますが、繰り返し鑑賞する気には…。クリュイタンスの日本でのライヴ、マルケヴィチ&ラムルー管、これらを繰り返し聴いていきます。

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  • ★★★★★ 

    HTS  |  東京都  |  不明  |  2011年12月24日

    「ベルリオーズの幻想と言えばミュンシュ。ミュンシュと言えばベルリオーズの幻想」ここまでは異論のないところだ。 ところが、「ミュンシュのどの演奏のどの録音を採るか」となると議論が盛り上がる。 私は次の様に主張する。「そもそも人間が幻想を見るのは一過性。全く同じ幻想を二度と見る事は出来ない」「幻想を何度も見聴きしたければ、別の演奏録音を聴け」と。ミュンシュもその時その時の幻想を見て、指揮したものと考えたい。多くの幻想を体験できる我々は幸せである。

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  • ★★★★★ 

    カラジャン  |  山口県  |  不明  |  2010年04月12日

    「幻想」のミュンシュ盤はスタジオ録音盤も持っているが、これは別物。燃焼力が異常に高く激しく、雰囲気が尋常ではない。切れば血が吹き出そうな勢いで爆進してゆく様は圧倒的で、振幅の激しい驚異的な演奏である。ちぇっと、こんな演奏は、もう2度とは出てこないのではなかろうか。

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  • ★★★★★ 

    Yuniko  |  新潟県  |  不明  |  2010年02月23日

    この演奏聞くと何かに憑かれてしまい、仕事のミス連発。上司からは怒られ、得意先からは苦情が舞い込み、帰宅して飲んだくれ、またまたこのCDに手が伸び・・・・(最初に帰る)。とてつもない名演だけに、毎日毎日聞いていたいのだが、こうした理由から今のところ封印している。超名演には何か(悪魔?)が宿るという好例?まして指揮者が魔性の指揮者ミュンシュ、曲が海&幻想だもんね。 あ〜〜〜、それにしてもこの凄まじい名演、心ゆくまで聞きたいよぉ〜〜〜〜!!

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  • ★★★★★ 

    遊悠音詩人  |  埼玉県  |  不明  |  2010年01月27日

    もし阿片中毒者の夢物語が小綺麗なだけで終わっていたら、それこそナンセンスである。《幻想交響曲》から狂気を剥奪したら、何と味気なくなるだろう。騒がしくて何が悪い。うるさ過ぎる位吠えまくった方が、リアリティがあると思わないか。ミュンシュの演奏は、「美は善よりも余計、悪と一致する」というオスカー・ワイルドの名言を引き合いに出すまでもなく、まさに悪魔的な美しさをもっている。マグマのようにフツフツと沸き出でる情念は、理性という名の落とし蓋を簡単に外してしまう。抑制の利かない非常事態に団員を追い込むミュンシュの指揮は、まさに阿片よろしく、底無しの興奮をもたらす。しかも、テンポの緩急自在なことといったら、崩壊寸前の状態でギリギリ綱渡りをするかのようなスリルがあり、「どうする!?どうなる!?」と聴き手を前のめりにさせてしまう。もはや魔術だ。ただ、音は乾き切っており、高音偏重の艶のない音質である。余韻が殆どなく、第5楽章の鐘も金属片を落とした時のような音だ。これには意見が分かれようが、EMI国内盤のヘタクソなリマスタリングよりは遥かに臨場感がある。1967年のライヴという状況を思えば案外高水準なのかも知れない。

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  • ★★★★★ 

    宇野広報  |  奈良県  |  不明  |  2010年01月21日

    先に、当CDの印象について書きます.            書きたいことはいっぱいあるのですが、何から書いたらよいのでしょう?            【1】「幻想」は、とにかく想像を絶するものすごい演奏であることは確かです。 【2】録音も1967年当時のライブ録音としては、非常に優秀で、ハープや鐘の音もしっかり入っております。それに、このオーケストラがもっている色彩感が良く出ています。ちなみに、スタジオ録音のEMI盤では、「鐘の音」について、チューブベルを使用したのではないかなどと言われておりました(私は自分の装置での再生結果からこの説には否定的でした)が、今度のライブ録音を聴けば、紛れもなく「鐘の音」であり、チューブベルの音ではありません。 【3】第1楽章の後半から終結部に至る盛り上がりは、EMIの録音をはるかに超えており、本当に、聴く者は息も出来ないくらいです。(この部分を聴いて、不覚ながら涙が流れてきました。) 【4】第2楽章の緩急の自然さと自在さは、まるで足かせをはずした怪物のようです。つまり、これに比較するとEMIの録音は、まるで足かせをはめているような窮屈さがあります。(まさに、夢の中の舞踏会です。) 【5】第3楽章のホルンや管楽器のニュアンスが「フランス的」です。旧パリ音楽院管弦楽団がもっていた良い点が、ここでは聴けます。注目の最後の方のティンパニーの前のピチカート部分の直前には、彼の他のライブ録音と同様に、やはり、カットがあるようです。(3種のスタジオ録音にカットはありません!) 【6】第4楽章の冒頭のティンパニーのクレッシェンドと強打は、オーディオ的にはもう少しDレンジがほしい感じですが、心理的には十二分以上に衝撃的です。現在入手可能なEMI盤のサウンドをはるかに上回ります。また、この楽章の後半の盛り上がりも大変な状態で、もう、本当に気がおかしくなりそうです。 【7】そして、第5楽章。オーケストラの方も、ここまで来て、もうこの演奏の出来栄えに確信をもって、さらに、気分的にも余裕が出始めたところを、ミュンシュはさらに過激な緩急や表情付けで要求のレベルアップを行っていきます。この演奏のコーダ(終結部)盛り上がりを聴いたら声を上げて拍手をしたくなります。 【8】ドビュッシーの「海」も名演奏です。とくに、第3楽章がすごい。 【9】ドビュッシーの「海」では、楽章間に時間があり会場ノイズが聞こえますが、「幻想」は楽章間に時間がなく、ほとんど、アタッカのように聞こえます。はたして、実演ではどうであったのかと興味がわきます。            名指揮者でも、たとえば、ムラヴィンスキーの場合は、独裁的専制君主という感じで、指揮者に対して奏者は絶対服従という人間関係で、「俺のいったとおりにやれ、それ以外のことは何もするな」という感じの一種のクールさももった演奏形態です。 それに対して、ミュンシュの場合は、 「さあお前らやってみろ! もっとできるだろう! さあ、もっと!」 というような感じで、奏者を鼓舞して、どんどん過激なことをやらせてしまう。そういうタイプです。舞台演出家や映画監督にもそのような人がいます。 奏者の方は、指揮者の要求への呼応と技術的な破綻への危険との対立関係の中で、極度の緊張と集中を強いられて、しかも、常に、安全な方ではなくて、危険を冒すほうに駆り立てられてしまうという感じの演奏形態です。            私事でかつ長文ながら、このミュンシュの「幻想」交響曲のEMI盤の発売当時のことについての私の思い出を書かせていただきます。            日本でミュンシュ・パリ管弦楽団の「幻想」のLPが発売されたのは1968年になってからだったと思います。(録音は先に書いたとおり1967年10月) 私は、それに先立ち、AM と FM の放送で聴きました。前者は、NHK第1放送局の「朝の名曲」という番組でしたが、朝起きてきたときには、ほとんど終わりかけておりましたし、音のほうもあのラジオですから、演奏内容についてはわかりませんでした。 数週間して、FMのクラシックの番組(藁科雅美さんの司会でした)で、全曲を聴きました。放送が始まる前から、ドキドキするほど期待と緊張の中で、曲が始まりました。 使用されたのは VSM(仏HMV)の輸入盤で、これは、本当にすばらしい音でした。低音こそ量感と伸びはありませんでしたが、音の切れと伸びと色彩感は抜群でした。第1楽章の最初の遅い部分から、第1主題(女性の動機も含まれる)が出た後、加速していく部分の激しさとまるで万華鏡を見るような色彩的なサウンドの展開、この部分をきいただけで、もうすっかり興奮してしまいました。 それは、まるで、放射性物質が臨界点に達して青白い閃光を発するのを見たような瞬間でした。でも、それだけではすみません。 音楽が進んで、第4楽章の冒頭。この部分で、私の音楽体験の決定的とも言える衝撃の瞬間が待ち構えていたのです。この部分、ご承知の通り、ティンパニーが弱音からクレッシェンドして最強音で一撃を食らわします。その「衝撃の瞬間」とは、この部分の最後のところ、普通の演奏では長いクレッシェンドで音量は上限に達して、頭打ちとなり、そのまま、最後のいくつかの音が鳴らされるような感じになります。ところが、この日に聴いたものは違いました。ちょうど、普通の演奏では上限に達したと思われるところから、さらに、指数関数的な強烈なクレッシェンドと爆発が待ち構えていたのです。 この衝撃的な音に、本当にあっけにとらられて呆然としてしまいました。 この音は耳に焼き付いてしまって、それから、何日間も頭の中で鳴り続けていました。その後、国内盤のLPが発売されると別のFMの番組でも放送されましたが、最初に聞いたVSMの輸入盤とのあまりの音の違いに、がっかりを通り越して憤りを感じるほどでした。 つまり、音の切れが悪くて、鈍重で沈潜する、しかも高域の音はヒステリック。第4楽章の冒頭も頭打ちで音が伸びない。 約1年後の12月には、この国内盤のLPを購入しましたが、家の再生装置で聴いても、残念ながら、この印象は変わりませんでした。 当然ながら、何度も輸入盤を入手しようと考えました。 しかし、当時は、フランス・プレスの輸入盤LPは極めて数が少なく、たまに見つけても、VSM盤ではなくて、パテ(Pathe)レーベルの盤でした。 (同一の演奏が2つのレーベルで発売されるという変な国です。) しかも、値段も、通常の輸入盤なら2枚は買える 2800円〜3000円位していました。 当時高校生の私が、すでに、国内盤を持っているにもかかわらず、このような高価なLP盤を買うなどということは、できるはずもありませんでした。 結局「良い音は一度だけ」の教えどおりの結果となり、以後、CD の時代になっても、何度リマスター盤が現れても、最初に聴いたFM放送の音を再び聴くことはできませんでした。            今回の「発足記念演奏会」のものでは、ひょっとして最初にVSM盤を聴いたときのような体験ができるのではないかと期待しておりましたが、この点ではほぼそれが満たされたと思います。

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