SACD

エルガー:チェロ協奏曲、カタロニア民謡:鳥の歌、ブルッフ:コル・ニドライ 新倉瞳、飯森範親&山形交響楽団

エルガー(1857-1934)

基本情報

ジャンル
:
カタログNo
:
MECO1032
組み枚数
:
1
:
日本
フォーマット
:
SACD
その他
:
ハイブリッド

商品説明

エルガー:チェロ協奏曲
新倉 瞳、飯森範親&山形交響楽団


5年の沈黙を経て、今ここに、チェロの女神が降臨する
新たなる一章。新生、新倉 瞳が放つ慟哭の結晶

幼少期を過ごしたドイツ、アメリカでは森中を駆け回る、素直で元気な子供だった。自分から求めるより、目の前に既に何か用意されている。以前の大手レコード会社からのCDデビュー話も、いつしか演奏家としてのレールまでもひいてもらった。全てのことから半ば逃げ出したと言っても過言ではない留学先のスイスでは、多く葛藤と向き合い、脱出し、素の自分を取り戻すことができた、と新倉 瞳は語ります。
 そして今ここに、自身初のコンチェルト・アルバムを携え、新の「自分」を開示し、満を持して問います。チェロ・コンチェルトの金字塔「エルガー:チェロ協奏曲」、新倉の情念を表出する「コル・ニドライ」、チェロ名曲の代名詞とも言える「鳥の歌」・・・。このアルバムは、フル・オーケストラをバックに新生、新倉 瞳が放つ慟哭の結晶です。(ソニー・ミュージックダイレクト)

【収録情報】
● エルガー:チェロ協奏曲ホ短調 op.85
● ブルッフ:コル・ニドライ op.47
● 鳥の歌(カタロニア民謡)


 新倉 瞳(チェロ)
 山形交響楽団
 飯森範親(指揮)

 録音時期:2015年5月8-10日
 録音場所:山形テルサ テルサホール
 録音方式:ステレオ(DSD/セッション)
 SACD Hybrid

 企画制作:ソニー・ミュージックダイレクト
 発売:ミューズエンターテインメント


【アルバムに寄せて】
音楽を聴くと、笑顔が止まらず踊り出し、歌い出し、時に涙を流し、父の仕事の転勤先のアメリカやドイツでは森の中を駆け回る・・・私はそんな素直で元気な子供でした。両親から愛され師や友人にも恵まれ、精神的に豊かな日常でした。ピアニストの母の影響でピアノを弾くことから私の音楽人生は始まりましたが、テニス、バレエ、水泳、それ以外にも たくさん与えて貰いました。

そんな子供が初めて自分で選んだものがチェロでした。そして中学生の時、先輩の演奏を聴き衝撃を受け、初めて自分で「弾きたい!」と思った曲が、今回のアルバムのメインとなったエルガーのチェロ協奏曲でした。一日中楽譜とにらめっこし、納得するまで練習を重ね、自分の感情を塗りたくることが出来た一曲、私にとって特別な曲です。さらに、カザルスが平和の祈りを込め編曲し世に送り出した鳥の歌に感動し、「私はチェリストになって平和を歌うんだ」、と漠然とでしたが心に誓いました。

その後、高校生になり大手レコード会社からのCDデビューの話が舞い込み、大学生の頃には様々なステージの機会を得、その与えられた全てを引き受けてきました。もちろん経験させて頂いたこと全てが、今の私を形成しており感謝の想いでいっぱいですが、徐々に何か中途半端で期待に応えられていないような罪悪感を抱き始めるとともに、自分が何を目指しているのか分からなくなり、もう一度原点に戻ろうと日本を飛び出しました。
スイスでも、もちろん試練の連続で隠れてたくさん泣きました。しかしそこでは、常に自分との闘いだったので、清々しい気持ちでした。そして徐々に自分がしたいこと、自分に求められていること、自分に出来ること、これらのバランスがうまくとれるようになってきました。

今回、音での会話を楽しむことのできた山形交響楽団さん、「私」を引き出して下さった飯森マエストロ、そして素のままに音楽を楽しめるようになった私で、エルガーを録音出来て本当に幸せでした。また、コル・ニドライも、スイスで出逢ったクレズマー音楽の影響 でイディッシュ語の歌を歌うようにもなり曲への理解が深くなった今、録音出来て良かったです。長年の友人で心の葛藤を昔から知るハーピストの朝永侑子氏もゲストで参加してくれました。最後に、鳥の歌。この曲は私の人生の幹であると改めて強く感じ、今回のアルバムにも収録しました。これからも課題は無限ですが、自分にしか出来ないことを探し続けて行きます。

2015年秋 新倉 瞳(ソニー・ミュージックダイレクト)

【新倉 瞳は進化する−】
5年ぶりのアルバムとなる本CDのサンプルを聴いた第一印象である。エルガーの協奏曲を中心に、ブルッフと「鳥の歌」というアルバム構成は、まさにこれまでの彼女の歩みと未来を想像させる芸術である。

「愛の挨拶」を妻アリスに捧げた愛妻家エルガーが、晩年病いとの闘いと第一次世界大戦の心痛から書き上げた協奏曲は、情熱と憂い、高貴でありながら悲哀感を持つ作品であるが、新倉の愛情あふれる音色と作品に真摯に向き合う音楽性、そして20世紀初期の作品という時代性を的確に読み取り、オーケストラとの絶妙な呼応で昇華する演奏が、新倉の“今”を表現している。
 エルガーのチェロ協奏曲は、決して頻繁に演奏される作品ではないが、ジャクリーヌ・デュ・プレのように天才肌の演奏家に好まれる曲で、新倉の今回の取り組みもその片鱗を見て取れる。特に第1楽章冒頭の本作品を通しての大主題である独奏とその後の第一主題の陰影あるモチーフと、第3楽章のアリスへのオマージュである愛情溢れるモチーフの対比は、エルガーの現実と夢、現象と追憶を見事に体現した演奏であり、新倉の感性を余すところなく表出している。
 この姿勢はブルッフの「コル・ニドライ」でも見事に表れ、ユダヤ音楽が持つ悲哀と憂いに深い理解を示している。これは近年新倉が新たに傾倒しているクレズマー音楽との関わりが作品の共感に結びついているのだろう。クラシック音楽を多元的な視点で見ることが出来るのは、この曲については新倉の新境地ではないだろうか。
 最も驚嘆に接したのが「鳥の歌」である。チェリストにとって“神カザルス”に触れることの出来るこの曲は、新倉にとっても特別な曲であろう。2006年のデビューアルバムのタイトルにその名を冠し収録しているが、9年後の今回の録音は最も彼女の成長を感じ、進化を感じる演奏である。演奏家にとって技術とは鎧であり剣であるが、この曲はそれが通用しない。むしろ今回のアルバムにこの曲を選曲した、しかもオーケストラ版で収録した意味は、デビューから9年の歴史を語るに相応しい曲であり、想いを感じる演奏がそれを証明する。

実は、昨年筆者の「チェロとオーケストラのための“祷歌”」という作品の日本初演の独奏チェロを演奏して頂いた。その際に感心したのが彼女の作品を読む力と音そのものの表現力であった。これまで数々のクラシックの名曲や、前述のクレズマー音楽など様々なジャンルの音楽に取り組んできた新倉だが、現代の音楽にもとても興味があるらしく、演奏打ち合せからリハーサル、そして本番と大変有意義な時間を共有することが出来た。彼女の作品に対する視点は的確であり、オーケストラへの配慮と理解も素晴らしいものであった。この作品はタイトルにあるようにソリストをある種のシャーマニズムと化し、オーケストラと対峙するのだが、その意図を完全に具現化してくれた。そういう演奏家は作曲家にとって誠に貴重である。またその時の指揮者が、本盤と同じ飯森範親氏であり、新倉と飯森氏との共演もかなりの回を重ね、このアルバムでも非常に深い共感と理解で結ばれていると感じられる。

演奏家は、常にフラットであるべきだと思っている。所謂「ベートーヴェンの大家」「ショパンの大家」などいう看板は第三者が作為的に付加するものであって、演奏家にとって「大家」という権威は名演の前では必要ないのである。新倉にとって、バーゼル時代を経て、これからまさにあらゆる分野へフラットな視点を持ち、更なる挑戦と飛躍の扉が開かれるであろう。そこから自由な翼を持ってアカデミズムにもジャーナリズム“現在の音楽”にも羽ばたいて行って欲しいと願う。
 このアルバムは、そんな進化する新倉 瞳の新たなる1ページである。

2015年秋 作曲家 和田 薫(ソニー・ミュージックダイレクト)

内容詳細

新倉 瞳にとっての初めての協奏曲録音はエルガー。楽器を十分に鳴らし、瑞々しい感性で楽譜を読み直した、スケール感のある演奏。常に歌心が感じられる。「コル・ニドライ」や「鳥の歌」でも思いのこもったカンタービレが聴ける。飯森範親&山形交響楽団が好サポート。(治)(CDジャーナル データベースより)

収録曲   

  • 01. チェロ協奏曲 ホ短調 作品85 第1楽章 Adagio - Moderato
  • 02. チェロ協奏曲 ホ短調 作品85 第2楽章 Lento - Allegro molto
  • 03. チェロ協奏曲 ホ短調 作品85 第3楽章 Adagio
  • 04. チェロ協奏曲 ホ短調 作品85 第4楽章 Allegro - Moderato - Allegro, ma non troppo
  • 05. コル・ニドライ 作品47
  • 06. 鳥の歌

ユーザーレビュー

総合評価

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録音が素晴らしい。

投稿日:2019/04/16 (火)

録音が素晴らしい。

Tom Garrett さん | 静岡県 | 不明

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人物・団体紹介

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エルガー(1857-1934)

近代イギリスを代表する作曲家、サー・エドワード・ウィリアム・エルガーは、1857年6月2日、イギリス中西部ウスター近郊のブロードヒースで生まれました。経済的に恵まれなかったため正規の音楽教育を受けることができず、ほとんど独学で勉強したそうですが、ピアノ調律師で楽器商を営んでいた父親のウィリアムは、生業のかたわら聖ジョージ・ローマ・カトリック教会のオルガニストを務めていたそうですから、やはりその血の

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