これはすごい!
BCJの客演でもおなじみの名唱イムラーがハンス・ガルの未出版の歌曲を歌う!
SACDハイブリッド盤。オーストリア=スコットランドの作曲家ハンス・ガルは、1890年、ウィーンに近いブルン・アム・ゲビルゲの東欧系ユダヤ人の家に生まれました。ブラームスと親しかった音楽学者でもあるオイゼビウス・マンディチェフスキに対位法と形式を学び、1920年代、2作目のオペラ『神聖なアヒル』をはじめとする作品で作曲家として成功を収めました。1929年にマインツの音楽学校の校長に就任したものの、1933年、ナチスの台頭にともない解任。ウィーンに戻り、1938年、ナチス・ドイツによるオーストリア併合の後、イギリスに移住しました。1945年、ドナルド・トーヴィに招かれたエディンバラで大学の講師の職に就き、指揮者、ピアニスト、音楽学者としても活動し、1987年にエディンバラで没しました。
歌劇、4つの交響曲を含む管弦楽曲と協奏曲、大規模なカンタータ、室内楽曲、ピアノ曲、声楽曲を作り、約140の作品が出版されています。
ガルの作曲したソロ歌曲は、67の作品が現存するといわれます。その多くは、「見習いの年」と彼が呼んだ、マンディチェフスキの下で私的に学んだ2年につづく1910年ごろから1916年の間の作品です。ガルは、その後も折にふれて歌曲を作りながらも出版せず、1929年、要請を重ねてきたシムロック出版から、1917年から1921年にかけて作曲した5曲を『5つの歌』として出版しました。BISレーベルのこのアルバムには、この『5つの歌』と、1910年から1921年に作曲された未出版の26曲が収録されています。テクストは、ヘルマン・ヘッセ、カール・ブッセ、ハインリヒ・ハイネ、エドゥアルト・メーリケ、マックス・ダウテンダイ、ヴァルター・フォン・デア・フォーゲルヴァイデ、フリードリヒ・アドラー、オットー・ユーリウス・ビーアバウム、リヒャルト・デーメル、クリスティアン・モルゲンシュテルン、ラビンドラナート・タゴール、C.H.フォン・ホーフマンスヴァルダウの詩と、ハンス・ベートゲがドイツ語に訳した中国の詩。テーマとスタイルの多様な詩が、彼の作品のインスピレーションとなっています。シューベルト、シューマン、ブラームス、ヴォルフ、あるいはマーラー、リヒャルト・シュトラウスといった作曲家たちの歌曲の伝統に沿った旋律と和声。ピアノ・パートの書法については、シューマンやブラームスたち、さらにはグリーグの曲から学んだと思われる跡のあることも指摘されています。
ドイツのバス・バリトン歌手、クリスティアン・イムラーは、テルツ少年合唱団のボーイ・アルトのソリストとしてコンサートとオペラを経験、ロンドンのギルドホール音楽学校でルドルフ・ピエルネに学びました。パリの国際ナディア=リディア・ブーランジェ国際コンペティションで優勝してキャリアをスタートさせ、アーノンクール、ルネ・ヤーコプス、鈴木雅明、ウィリアム・クリスティをはじめとする指揮者の下で歌い、グラミー賞にもノミネートされたディスクを含む、50を超す数のアルバムを録音しています。共演のピアニストは、ミュンヘンの音楽演劇大学で教授として28年間、歌曲解釈を教えたヘルムート・ドイチュ。『隠れた宝物』のタイトルに示されるとおりのアルバムです。(輸入元情報)
【収録情報】
ガル:
● レディ・ローザ(1910)
● 夜(1911)
● 夜の船室にて その1(1912)
● 夜の船室にて その2(1912)
● 夜の船室にて その3(1912)
● 星の対話(1911)
● このことを考えてみよ、おお魂よ(1911)
● 5月の月(1912)
● 愛の歌(1913)
● 朝の祈り(1913)
● 黄昏時(1913)
● 信じてくれ(1913)
● 愛に倦んで(1911)
● まったく新しい悪党の歌(1915)
● 森の喜び(1915)
● 雲の木(1917)
● 11月の日
● なんという静けさ(1917)
● 夜の嵐(1918)
● 花の歌(1921)
● 羊飼いの歌(1921)
● 夕べの歌(1921)
● 邪悪な日(1914)
● 訊くな!(1914)
● 撤回した言葉(1914)
● 夜の会話(1914)
● 5つの歌 Op.33(1917-21)(はかない/牧場の小川/小鳥の憂鬱/3人の王女/川の夕べ)
クリスティアン・イムラー(バス・バリトン)
ヘルムート・ドイチュ(ピアノ)
録音時期:2016年4月
録音場所:ケルン、ドイツ放送室内楽ホール
録音方式:ステレオ(DSD/セッション)
制作:サイモン・フォックス=ガル
録音:クリストフ・リーゼベルク
SACD Hybrid
CD STEREO/ SACD STEREO/ SACD 5.0 SURROUND
装丁:BIS ecopak