ベートーヴェン(1770-1827)

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CD 輸入盤

交響曲第9番『合唱』 テンシュテット&LPO(1985年ステレオ)

ベートーヴェン(1770-1827)

基本情報

ジャンル
:
カタログNo
:
41312
組み枚数
:
1
レーベル
:
フォーマット
:
CD
その他
:
輸入盤

商品説明

2003年秋、BBCテンシュテット・シリーズ始動!
第1弾は、生命の火柱がほとばしる『第九』1985年ライヴ!

BBC LEGENDS がスタートして、テンシュテットが世を去って共に5年。本当に長かった。ファンには語り草、テンシュテットの『第九』を正規盤で聴ける日がやって来ました。
 スタジオ盤に『第九』がないことはもちろんですが、ここでは何といっても収録された1985年9月13日という日付が重要です。翌10月には、テンシュテットは喉頭がんの告知を受けてロンドン・フィルの首席指揮者を辞任してしまうので、これはまさにその直前のライヴということになります。

 演奏は、いかにもテンシュテットらしい見事なもので、第1楽章冒頭から音価を充分に保った表現が期待に違わぬスケールの大きさを感じさせます。しかし、この日の演奏の凄さを思い知らされるのはこの後、展開部以降でした。 特にチェロとコントラバスにより力強く提示された第一主題がフーガ風に展開される部分(6分30秒頃)からの音楽の高まりは目を見張るばかりです。様々な楽器に主題を受け渡しつつ起伏をつけ、次第に音力を増してやがて迎えるクライマックス(再現部)は、まさにライヴならではのテンシュテットの真骨頂。その巨大なスケールと高揚感に圧倒されます。轟きわたるティンパニはいうまでもなく、咆哮する金管に唸りをあげて刻む低弦が怒涛のごとく押し寄せる迫力は強烈そのもの。

 異様ともいえる高揚感はそのまま第2楽章にも引き継がれます。この楽章全体を象徴する冒頭の付点リズムは、テンシュテットの意外なほどの快速テンポに乗って抜群の切れ味と推進力。しかし、第二主題提示部を過ぎたあたりでは勢いに乗るあまりアンサンブルが破綻寸前になってしまい一瞬ヒヤリとさせます。

 第3楽章に入るとそれまでとは雰囲気が一変、ゆっくりとしたテンポをとるテンシュテットは深い祈りを捧げているかのよう。特に3小節目から弦楽器により静かに歌いだされる第一主題の清澄な響きと歌いまわしはこの演奏における最大の聴きどころ。ここでは深く静かに流れる優美なメロディを中断する木管やティンパニの一音一音さえもが意味深く聴こえます。その後の美しい変奏部分では、聴こえてくる豊かな楽想とは反対にどことなく孤独で悲しみを湛えた表情が印象的。楽章の終わり近くに出てくるファンファーレ風のパッセージも痛切です。

 アタッカで突入する第4楽章はチェロとコントラバスのレシタティーブが力強く歌わせ方も雄大。「歓喜のテーマ」は速めのテンポでいたずらに神経質にならず骨太な表現を貫きます。全合奏を経てバリトン・ソロに入っても基本的な表現は変わりませんが、この部分では楽譜にはないティンパニの音変えが散見され、テンシュテットの解釈として興味深いものがあります。
 一番良く分かるのはマーチに入る前の“vor gott”で、A(ラ)をF(ファ)に変更している部分です。マーチはテンポよくメリハリもあって聴き応え充分。ロンドン・フィル合唱団は女声陣を中心に充実した響きを聴かせ期待以上の出来栄えです。そして迎えるコーダではマエストーソに相応しい堂々とした歌を響かせ、最終プレスティッシモは急速テンポで畳み込みます。

 最後の和音が鳴り終わると同時に熱狂的な拍手喝采が巻き起こるあたりに、当時のテンシュテットの人気の高さが窺われますが、このコンサートから1ヵ月後、アメリカ演奏旅行中のテンシュテットは喉に違和感を訴え喉頭癌を発病。その後入退院を繰り返し、小康状態にある時はつかの間の復帰を果たしたものの、残念ながら「奇跡の復活」はなりませんでした。60歳を目前にし、巨匠指揮者としてこれから充実の時を迎えようとしていただけに、最晩年にあたる時期の音楽があまり聴けないのはクラシック・ファンにとって痛恨の極みというほかありません。

 1998年1月12日、テンシュテットは北ドイツのキールの自宅で静かに世を去ります。71歳の生涯でした。

 なお、テンシュテットの今後のリリース予定として、BBCからは、ベートーヴェン、ドヴォルザーク、ワーグナー、ヤナーチェクの名が挙げられています。また、時期は未定ながら、テスタメントからはマーラーのライヴ録音のリリースもアナウンスされているとのことです。


■ベートーヴェン:交響曲第9番 ニ短調 OP.125『合唱つき』

マリアンネ・へガンダー(S)
アルフレーダ・ホジソン(A)
ロバート・ティアー(T)
グウィン・ハウエル(Bs)

クラウス・テンシュテット(指)ロンドン・フィル& 同合唱団

録音:1985年9月13日、ロンドン(ステレオ)
演奏時間:16:01+10:58+16:51+23:39=67:29

収録曲   

ベートーヴェン:交響曲第9番二短調作品125『合唱』

  • 01. 第1楽章
  • 02. 第2楽章
  • 03. 第3楽章
  • 04. 第4楽章第1部
  • 05. 第4楽章第2部

総合評価

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 しみとおるような第3楽章がいいし、他の...

投稿日:2013/10/06 (日)

 しみとおるような第3楽章がいいし、他の楽章も、テンポといい、重厚さといい、加速といい、クレッシェンドといい、たぶんホールで聴いたら泣くと思います。当分聴きなおす気になれないインパクトがあります。録音バランスもとてもいい。

おっさん さん | 神奈川県 | 不明

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独唱、合唱は楽器の一部として捉えた演奏形...

投稿日:2012/06/20 (水)

独唱、合唱は楽器の一部として捉えた演奏形式(録音なのか)「大地の歌」 と同じ扱いなのか、楽器演奏が歌にどんどん絡んでいく感じ。 毎日通勤で聞いているうちにこの演奏に打ちのめされた。 第九はきらいで聞かずにいたがやっと聞けるようになったが、それでも 1、2楽章が長く感じるのは自分だけだろうか。シーケンスミュージック としてはくどいと思う。半分でも十分伝わる時代?(良く知られているので) ではないだろうか。「わかってないな」「楽譜どうりじゃないと」「物足りない」と言う声が聞こえてくるのですが、、、

マコシュテット さん | 神奈川県 | 不明

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はっきり言ってハチャメチャな9番です。CD...

投稿日:2011/04/26 (火)

はっきり言ってハチャメチャな9番です。CDで繰り返し聞くと一聞瞭然。 だが、しかし、たゆまぬ音楽性の追求、迫力から言ったらクレンペラーのライブを上回るかもしれないと感じました。 やはり、テンシュテットは異能な指揮者。こりゃ完全に躁状態の演奏ですね。 永遠に手放せない1枚です。

カズ さん | 神奈川県 | 不明

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ベートーヴェン(1770-1827)

1770年12月17日(16日?):父ヨハン、母マリアの次男としてドイツのボンに誕生。 1778年:7歳でケルンでの演奏会に出演。 1781(1782?)年:クリスティアン・ゴットロープ・ネーフェに師事。 1800年:交響曲第1番を宮廷劇場で指揮。 1804年:交響曲第3番『英雄』を発表。 1805年:交響曲第5番『運命』、交響曲

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