チャイコフスキー(1840-1893)

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CD 輸入盤

チャイコフスキー:『悲愴』、シェーンベルク:『浄夜』  ヤンソンス指揮バイエルン放送響

チャイコフスキー(1840-1893)

基本情報

ジャンル
:
カタログNo
:
CB93537
組み枚数
:
1
レーベル
:
:
Europe
フォーマット
:
CD
その他
:
ライブ盤,輸入盤

商品説明

『悲愴』はヤンソンス得意の演目で、オスロ・フィルとの旧録音も若さをぶつけた熱演として好評だったものですが、それから18年、いまや心技とも格段の成長をとげ、機能的にはるかに優る新しい手兵バイエルンを率いて進境著しい演奏を聴かせてくれます。
 第1楽章は感情におぼれることなく、焦燥感を前面に押し出したアプローチが特徴。第1主題の緊迫感はもちろんのこと、第2主題のレガートにもある種の強さが常にあり、なにか否応なく前へ前へと押されてしまうかのような暗い潮流を感じさせます。
 激しい展開部では、切れ味鋭いヤンソンスの統率とバイエルンの強靭なブラスとの掛け合いが聴きもの。金管軍団の重量攻撃は凄まじいものですが、そんな修羅場のさなかにも弦楽セクションを細かく操縦して(12:05〜)グッと手綱を引き締めてみせるあたりが、現在のヤンソンスの見事なところ。クライマックスでのティンパニも実に効果的です。
 続く小休止をはさんだ主題回帰(14:21〜)のしなやかさ、カンタービレの美しさもさすがで、トップから末端まで、まさに一糸乱れずの形容がふさわしい弦楽セクションの呼吸の統一感には脱帽です。
 この弦楽セクションの絶妙なコントロールぶりは、第2楽章でもはっきりと示されます。強い流動感を基調としつつ刻々と変化を遂げていく表情の多彩なこと、その推移の自然なことには驚くばかりで、バイエルン放響の高度な合奏を駆使したヤンソンスの鋭敏なリズム処理には魅了されっぱなしです。短調に転ずる中間部(2:30〜)ではティンパニを強めに打たせて暗い潮流を想起させる演出も絶妙。この楽章は、旧録音とのレヴェルの差を痛感させる部分とも言えるでしょう。
 第3楽章の機敏な運動性と細部の見通しの良さも秀逸。細かい楽器の動きを明瞭に示しつつ、全体としては勇壮なマーチとしての雰囲気がきちんと再現されており、7:40秒付近から次第にテンポを上げてコーダに突入するあたりは壮快このうえありません。
 終楽章は、これまで述べてきた特徴が集約された名演と言えるでしょう。ヤンソンスの旋律表現は充分に情感がこもり、熱を帯びているのですが、それが精妙きわまりないリズムの天分に支えられているために自己耽溺に陥ることなく、引き締まったフォルムを崩さないということがはっきり分かります。
 実は今回の演奏、オスロ・フィルとの旧盤と比べて全体で2分近く遅くなっているのですが、実際に聴いてみると、テンポ設定とリズム感覚の鋭敏さ、そして練り上げられた合奏の精度ゆえに不思議にも速く思え、しかも細部情報の豊富さでは比較にならないほどの差があります。それがヤンソンス自身の円熟なのか、オスロではやろうとしてできなかったことなのか、いずれにせよ、マリス・ヤンソンスという指揮者について鋭く再考を迫る演奏であることは間違いありません。
 併録の『浄夜』も、声部の出し入れの雄弁さと緻密な弦楽の美しさが印象に残るたいへん優れた演奏です。

チャイコフスキー:交響曲第6番 ロ短調『悲愴』op.74[45:13]
 1 Adagio – Allegro non troppo[18:26]
 2 Allegro con grazia[07:52]
 3 Allegro molto vivace[08:46]
 4 Finale. Adagio lamentoso – Andante[10:09]
シェーンベルク:『浄夜』op.4[28:46]
 Grave
 Molto ralientando
 A tempo
 Adagio
 Adagio (molto tranquillo)
 バイエルン放送交響楽団
 マリス・ヤンソンス(指揮)

 2004年6月23〜25日、ミュンヘン、ガスタイク
 プロデューサー:ヴィルヘルム・マイスター
 エンジニア:クレメンス・カンプ
 エンジニア:エリーザベト・パンツァー
 エンジニア:クリスティアーネ・ゲアホイザー
 エンジニア:ヴィルヘルム・マイスター

【参考データ】
オスロ・フィル盤『悲愴』
T 17:52 U 07:25 V 08:18 W 09:40 計 43:15
バイエルン放響盤『悲愴』
T 18:26 U 07:52 V 08:46 W 10:09 計 45:13

収録曲   

チャイコフスキー:交響曲第6番 ロ短調 op.74 『悲愴』</b><br> 2004年6月23〜25日、ミュンヘン、ガスタイク

  • 01. Adagio – Allegro non troppo[18:26]
  • 02. Allegro con grazia[07:52]
  • 03. Allegro molto vivace[08:46]
  • 04. Finale. Adagio lamentoso – Andante[10:09]

シェーンベルク:『浄夜』 op.4</b><br> 2004年6月23〜25日、ミュンヘン、ガスタイク

  • 05. Grave
  • 06. Molto ralientando
  • 07. A tempo
  • 08. Adagio
  • 09. Adagio (molto tranquillo)

総合評価

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ヤンソンスとはベルリンフィル・ヨーロッパ...

投稿日:2008/01/01 (火)

ヤンソンスとはベルリンフィル・ヨーロッパコンサート・シリーズで知り合ったのですが、様々な巨匠が去った今、次の時代を担う重要な存在として浮かび上がってきたという印象です。日本での人気は今ひとつですが、次の時代を担うべく一層の活躍を期待しています。

KS さん | 兵庫 | 不明

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大きな起伏を感じさせつつがっちりと構築さ...

投稿日:2004/11/09 (火)

大きな起伏を感じさせつつがっちりと構築されている名演だと思います。かなり濃いメリハリを付けながらも横の流れが自然なのはさすがです。ゲルギエフと聴き比べると経験の差がはっきりうかがえます。実力に比して日本での人気はもう一つのヤンソンスですがこうしたアルバムと来日公演で評価が高まることを期待してます。

フロイド さん | 神奈川県 | 不明

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LPOとのくるみ割りと同様、引き締まったア...

投稿日:2004/11/06 (土)

LPOとのくるみ割りと同様、引き締まったアンサンブルとティンパニの効果が生きている。録音も演奏も開放的なゲルギエフ盤とは好対照で、凝縮感が強い。3楽章までは自分の好みでゲルギエフを採りたいが、終楽章はこちらが断然よい。全曲通してスコアの研究に余念がないことを実感させる充実の演奏。

らぴーと さん | 東京都 | 不明

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チャイコフスキー(1840-1893)

1840年:ロシアのウラル地方ヴォトキンスクで鉱山技師の次男として誕生。 1859年:法務省に勤務。 1861年:アントン・ルービンシュタインが設立した音楽教室(1962年にペテルブルク音楽院となる)に入学。 1863年:法務省を退職。 1866年:交響曲第1番『冬の日の幻想』初演。初のオペラ「地方長官」を完成。 1875年:ピア

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