CARL CRAIG 「RECOMPOSED BY CARL CRAIG & MORITZ VON OSWALD」
デトロイト・テクノの異才、カール・クレイグとミニマル・ダブの巨人、モーリッツ・フォン・オズワルドによるクラシックの再構築。
クラシック録音史における、最大のアイコン的存在であるカラヤンの名盤をバラバラに分断し、原曲のグルーヴをそぎ落とした奇怪なビートに組み直す。
我々クラシック・ファンが崇め奉る偉大な過去の遺産を切り刻むという侵食行為そのものが、現代におけるクラシックの意味の再定義を強いる荒療治なのかも知れない。
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(DEUTSCHE GRAMMOPHON/UCCH1024)
STEVE REICH 「EARLY WORKS」
ライヒはテープレコーダー実験中の偶然の失敗から新たな音楽のアイデアを得る。
2台のテープレコーダーの再生速度の微妙な違いから生まれるモアレは、予想外の“第3”のフェイズを生み出したのだ。
テキストリーディングのテープを素材とした「カム・アウト」「イッツ・ゴナ・レイン」はこの原理をそのまま作品として提示した革新的作品。
同じアイデアを器楽に投射した「ピアノ・フェイズ」、そしてズレを音符の単位に整理した「クラッピング・ミュージック」ともども、ライヒ初期の方法論が分かりやすく提示されている。
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(NONESUCH/7559.79169)
佐藤聰明 「太陽讃歌」
1975年発表の幻の名盤「太陽讃歌」の初CD化。
2台の、アンプリファイされディレイを施されたピアノが織り成す怒涛のトレモロが、輝く倍音の宇宙を現出させ、光のシャワーが降り注ぐ。トライバルな音響が作り出す圧倒的な聴取体験は、我々の感覚を原始の太陽信仰の時代まで巻き戻す。
もはやそこにあるのは知性で聴き分ける“音楽”ではなく、太古のヒトが畏怖とともに崇めていた“音”そのものに他ならない。
ファーアウトの極北にひっそりと佇む名盤。
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(コジマ録音/ALCD11)
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