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ロン・ウッド初の自伝『俺と仲間』

ROLLING STONES STORE

Tuesday, June 16th 2009

ロン・ウッド自伝「俺と仲間」





俺と仲間のエピソード


 1975年、”グレイト・ギタリスト・ハント”と称された、ミック・テイラー脱退の穴を埋めるべくして行なわれた、ローリング・ストーンズの2ndギタリスト・オーディション。スティーヴ・マリオット、ジェフ・ベック、エリック・クラプトン、ハーヴィ・マンデル、ロリー・ギャラガー、ピーター・フランプトンといった錚々たる顔ぶれが候補に挙がるものの、最終的にその座を射止めたのは、キース・リチャーズと同じ周波数を持つキツツキヘアの男、ご存知、ロナルド・デヴィッド・ウッドこと、ロン・ウッド。愛称ロニー、または、ウッディ。

 当初は、75年4月のアメリカ・ツアーのサポート・ギタリストとして加入。正式にバンドのメンバーになったのは、フェイセズ解散後の76年2月から。さらに事実上(契約書上)の正式メンバーになったのは、1993年からであり、それまでは給料制の契約であったそう。

 ”ストーンズ・ブランド”にぶら下がらずとも、人なつっこく陽気な人柄のロニーの周りには様々なミュージシャンが集まってきた。ストーンズ、フェイセズのメンバーはもとより、ボブ・ディラン、ザ・バンド、エリック・クラプトン、ジョージ・ハリスン、スティーヴ・ウィンウッド、デヴィッド・ボウイ、ジェフ・ベック、ボビー・ウォマック、ボ・ディドリー、U2、レッド・ホット・チリペッパーズ、ガンズ・アンド・ローゼズ・・・神業のようなギターを弾くわけではないし、ましてや突出したカリスマ性を持っているわけでもないが、ロニーは常に賑やかなセッションやパーティの輪の中で嬉しそうにギターを弾いている。そんな印象が強い。 

 1974年に発表された最初のソロ・アルバム『I've Got My Own Album To Do』は、そんなロニーの愛すべきキャラクターを的確に捉えた1枚と言え、邦題も「俺と仲間」と、まさにドンピシャのタイトルだ。現に、ロニーの自宅地下室でベーシック・トラックが録られたこのアルバムには、盟友ロッド・スチュワート、イアン・マクレガン、以前から親交の深いキース・リチャード、ミック・ジャガー、ミック・テイラー、デヴィッド・ボウイ(お酒を持ってただ遊びに来ていただけという説もある。)といった気心の知れた”仲間”たち、さらにリズム隊には、スライ&ザ・ファミリー・ストーン『Fresh』でファンク史上最高のドラミングを聴かせているアンディー・ニューマークと、ダニー・ハサウェイの名演『Live』で歌心溢れるグルーヴィーなベースを弾いていたウィリー・ウィークスという、当代きっての名セッション・マンを招き、リラックスしたセッションを展開している。ミックのコーラスが映える「I Can Feel the Fire」(この曲のお礼にロンが手伝ったのが「It's Only Rock'n Roll」)、ジョージ・ハリスンとの共作「Far East Man」(ジョージの『Dark Horse』にも収録)、キースがリード・ヴォーカルをとるロックンロール「Sure the One You Need」、ロッドが歌う「If You Gotta Make a Fool of Somebody」、アンディ&ウィリーの名人芸インスト「Crotch Music」など、ロニー独特の黒くルーズなグルーヴがバラエティ豊かに詰め込まれている痛快作だということは、あらためて説明するまでもないだろう。


 そんな「俺と仲間」な空気をそのまま詰め込み、ロニーの半生を綴った初の自伝「ロン・ウッド自伝 / 俺と仲間」(原題「Ronnie」)がこの度、五十嵐正氏の邦訳による日本語版として登場。ウォッシュ・ボードで初めてのライヴ・ステージを踏んだ少年時代。ジェフ・ベック・グループの一員として活動した60年代。ロッド・スチュワートらと世界中を暴れ回り、ストーンズと並ぶ最高のロックンロール・バンドと称された70年代フェイセズ時代。そして、75年のストーンズ加入後から現在へとつながるロニーのロックンロール・ストーリーの全軌跡を、様々な登場人物・関係者へのレミニセンスを交えておくる、全ロック・ファン、ストーンズ・ファン必読の1冊となっている。






ロン・ウッド自伝[俺と仲間]


 両親、兄弟、妻と子供、そしてストーンズも含めたたくさんのミュージシャン連中。スヌーカーや競馬、事件や逮捕を通じて親しくなった、数多くの友人・知人。文章のみならず、自ら筆をふるった絵画作品とで綴るこのロン・ウッド自伝は、ストーンズ加入秘話などロック史舞台裏話満載、『俺と仲間』の大エピソード集。



目次 -Contents- 

第1章 おまえの親父のヨット
第18章 足かせ手かせ
第2章 始まり
第19章 誤った指導
第3章 シーン
第20章 ひっつける
第4章 年季奉公
第21章 曇り空
第5章 チューチ
第22章 溶接
第6章 フェイセズ
第23章 プライド
第7章 ロンドンでの生活
  第24章 早撃ちの名手たち
第8章 レインボウ
  第25章 転換
第9章 すべてキャンセルしろ
  第26章 ブレーキ
第10章 平台型トラック
  第27章 ブーム
第11章 ジョゼフィーン
  第28章 アイルランド
第12章 LAでの歳月
  第29章 ヴードゥーからバビロンへ
第13章 喪失
  第30章 良いことも悪いことも
第14章 貢献
  第31章 リハブ
第15章 バーバリアン
  第32章 ドゥルリー・レイン
第16章 仮病を使う
  第33章 バン
第17章 予感
  第34章 この少年はどこに?
 



キースが言った、「おまえがバンドに入るんだ」。
俺は答えたさ、「ああ、わかっているよ」。


ロン・ウッド自伝[俺と仲間]
 なんとも頼もしい2人のやりとりに心酔する、”ストーンズ加入秘話”のチャプター「すべてキャンセルしろ」には、全てのストーンズ・フリークが知りたかった、”ミック・テイラーのジレンマ”から”グレイト・ギタリスト・ハント”にまで及ぶ経緯とその真相が詳細に書き綴られている。ロニーを挟みながら、ミック・テイラーがミック・ジャガーに脱退を直訴した74年後半のある晩、すでにロニーは、キースと自宅地下にあるスタジオでプライベート・セッションや曲作りをするまでの濃密な関係を築いていた。テイラーの正式な脱退が決まった75年、最初に電話をかけてきたのはミック・ジャガーだった。「俺たちを助けてくれるかい?」ロニーはL.A.からドイツはミュンヘンのスタジオへ飛んだ。そこには、スティーヴ・マリオット、ジェフ・ベック、エリック・クラプトン、ウェイン・パーキンズ、ハーヴィー・マンデル・・・凄腕のギタリスト達が、オーディションを兼ねた『Black&Blue』のレコーディング・セッションに臨んでいた。ギタリストとしての腕前だけでなく、ローリング・ストーンズというバンドにフィットするためのあらゆる能力やセンスを問われていたことに、ロニーは気付いていた。一緒に生活ができるか?ユーモアのセンスが理解できるか?ロニーはクラプトンに言った「君は俺よりうまいギタリストだけど、ストーンズとの人生を生き抜くことは絶対にできない」と。フェイセズとストーンズとの間を行き交っていたロニーは、オーディションの場で、自作曲「Hey Negrita」を演奏し、強烈なアピールを行なった。また、この”掛け持ち”が明らかとなったロニーは、疑心暗鬼になっているフェイセズのメンバーから半ば孤立状態にあったことも激白し、その心の内を吐露している。ミック、キース両首脳が顔を揃えた、75年4月のミュンヘン滞在時の会議で、最終候補のクラプトン、ベックを抑えて、ロニーは晴れて「ローリング・ストーンズのロン・ウッド」となった。

 夢にまで見たローリング・ストーンズへの加入。フェイセズの仲間へ後ろめたさを感じつつも、千載一遇の大チャンスをモノにしようとするロニーの必死さがじわじわと伝わってくる。まさに本書のハイライトのひとつとも云える箇所ではないだろうか。ストーンズのメンバー以上に、200曲に及ぶ全レパートリーを熟知し、ツアー・リハーサルでは、ミックやキースに「そうじゃなくって、こうだ」と指摘することもしばしばだったということや、ステージで誰かが間違った音を出すと、ミックが「なんだそれは?」。するとキースがわめく「俺じゃねえぞ。ウッディだ」など、ロニーならではのユーモアも含みながら綴られる”ストーンズ加入秘話”は、加入するべくして加入したロニーの人間としての柔軟さや順応力の高さ、そして、可愛がられる術を知る憎めない末っ子気質(?)をあますところなく伝えている。





俺はクリーンになっていたが、怖かった。


 ストーンズきってのパーティ・アニマルと呼ばれるだけあり、ロニーのアルコールの摂取量は度を越えていた。フェイセズは、ライヴ・ステージに初めてバー・カウンターを置いたバンドとしても名高く、各地での乱痴気騒ぎは伝説となっているが・・・それも随分若い頃の話。ストーンズ加入から四半世紀が経とうとしていた2000年、重度のアルコール依存症を患い続ける55歳のロニーに、妻ジョー、ミック、そして多くの友人たちがしびれを切らし、憤りを感じていた。パニックになったジョーの相談を受けたミックが、ロニーに言った。「お前が大好きなんだ。おまえには助けが必要だ」。2002年、バンドはちょうど、結成40周年を記念した”フォーティ・リックス・ツアー”の準備にとりかかっていた。ロニーは、アルコールで破壊された己の身体と思考能力を再び・・・いや、初めてクリーンなものにしようと決意し、アリゾナのリハビリ施設に入所した。「自分の人生をある種の遠近画法で心に描くように求められたのは、そこでのことだ」と本人は振り返る。1ヶ月ほどのプログラムを無事終了させ、アルコール依存症を克服したロニーを待っていた新たな恐怖。ストーンズの一員になってから初めて”しらふ”でツアーに出るという不安だった。その不安を払拭したのが、ジョーの存在であり、ミックの「俺たちが支えるからな」という励ましだったという。1年半にも及ぶ長期のツアー期間中、飲み仲間を失ったショックに暮れるキースの部屋に行ったのはほんの数回だそうで・・・とにかくも、「本当に目を開かせてくれた。あわてずに”今”に集中するんだ」と、ショウ直前に酒で気分を落ち着かせることもなくなったと赤裸々に綴っている。演奏そのものをピュアに楽しむロニーのクリーンな姿は、「ザ・ローリング・ストーンズ シャイン・ア・ライト」でも勿論確認することができる。

ロン・ウッド自伝[俺と仲間]
 ・・・ところが、またしても・・・こちらは、訳者・五十嵐正氏のあとがきにも詳しく記してあるが、2008年7月に、断酒しているはずのロニーがロンドン市内で飲んでいる姿を目撃され、さらには、バーで出会ったという18歳のロシア人ウェイトレス、エカテリナ・イヴァノヴァとのゴシップまでが、タブロイド紙を賑わした。妻子とバンド・メンバーに促され、再度禁酒のリハビリ施設に入ることとなった。治療後は、家族のもとに帰らず、そのロシアっ娘と一緒に暮らすことを選び、現在ジョーとは離婚訴訟で争っているのだそう。さらに、2009年に入ってから、ロニーは再び酒に手を出し、泥酔している様子を何度もパパラッチされているという。バンドからも「酒をやめるか、解雇されるリスクを取るか」という最終警告を受けているそうで、いよいよ崖っぷちに立たされた感のある、無敵の困ったちゃん。情報筋によるとたしか、フェイセズの再結成、そして、自身のソロ・ニュー・アルバムの発表が控えているのではなかっただろうか?本能の赴くままに突っ走る向こう見ずなロニーも大好きだけど、やはり作品やステージではクリーンなロニーが観たいというのが、当然のファン心理。おい、頼むよ、ロニー!


 このほか、兄アート・ウッドに買ってもらった初めてのレコードのこと、フェイセズ前夜にストーンズがブライアン・ジョーンズの後任としてロニーを挙げていたこと、フェイセズでのやんちゃな日々、リッチモンドの邸宅”ザ・ウィック”で行なわれた『俺と仲間』のジャム、JBやB.B.キングを教えてくれたジミ・ヘンドリクスとのセッション、ボブ・ディランに認められたかったこと、マディ・ウォーターズをはじめとするブルース・レジェンズとの出会い、ニュー・バーバリアンズ・ツアーの苦戦、キースがスティーヴン・スティルスを毛嫌いしていること、キースがロニーを本気で殺そうとした出来事・・・等々、ロック・ファンであれば誰もが気が気でなかった史実の真相が、貴重なプライベート・フォト(ボブ・マーリーとのショットはかなりレア!)と共にじっくりと明かされている。また、自ら筆をふるった絵画作品も多数掲載。朴訥としたタッチでファンの多いロニーのアート・アーカイヴとしても楽しむことができる1冊だろう。6/20発売!







※ローリング・ストーンズ作品に関しましては、こちらをご参照ください。



第1期ジェフ・ベック・グループ作品



Truth
Jeff Beck 『Truth』('68)

 ヤードバーズを脱退したジェフ・ベックを中心に、ロニー、ミック・ウォーラー、そして、ショットガン・エクスプレスというバンドを抜けたばかりのところをベックが誘ったロデリック・デヴィッド・スチュワート(ロッド)という英吉利の若者4人が目論んだロックによる米国侵略絵巻の第1弾。レッド・ツェッペリンも模倣したというブルース・ハードロックの雛形的サウンドは、巧みで個性の強いベックのギターが全ての中心にあるが、ロッドのしゃがれ声、若き日のスタンリー・クラークを魅了したロニーの太いボトムがあってこそのものとも言えそうだ。




Beck-ola
Jeff Beck 『Beck-ola』('69)

 マグリット画のジャケもインパクト大な第1期ジェフ・ベック・グループの最終作。ドラムがトニー・ニューマンに代わり、前作から参加していたニッキー・ホプキンスも正式メンバーとして迎えられた。前作以上にハードに、歪みまくりで弾き倒すベックのギター・プレイは、この時点で”神業”の域。ロッドの喉もさらにソウル・シャウターのそれに近づき、本作はヒットを記録するが・・・一切の妥協を許さないベックは、自身の構想と現実とのあまりの開きにぷっつん。念願だったウッドストック・フェス出演直前のギグで、グループを解散する宣言をしてしまった・・・




フェイセズ/ロッド・スチュワート作品他



First Step
Faces 『First Step』('70)

 スティーヴ・マリオット脱退後のスモール・フェイセズに、ロッド・スチュワート(この時点ですでにMercuryでのソロ活動を並行している)とロン・ウッドが加わった、新生“フェイセズ”としての70年1stアルバム。曲が書けるソングライター2人の加入により、個性を生かしたヴァラエティ豊かなサウンドが開花。さらに、底なしの酒飲み2人がもたらした功績は、間違いなくルーズでワイルドなロックンロール・マナー。また、「Wicked Messenger」での幕開けも、熱心なディラン信者の2人のアイデアだろう。ちなみに、”Small”を外したバンド名は、リリース直後に決まったもので、アメリカの初回プレスLPには、”Small Faces”のままジャケットにクレジットされている。




Long Player
Faces 『Long Player』('71)

 71年発表の2ndアルバム。ケニー・ジョーンズのドタバタ・ドラムに身悶えする「Bad 'N' Ruin」から返品・交換不可のフェイセズ節全開。70年に行なわれたフィルモア・イーストにおける実況録音を変則的に収録。ポール・マッカートニーの「Maybe I'm Amazed」では、ロニーとロッドが、バーごとに入れ替わり見事な共唱を聴かせる。また、観客を巻き込むライヴの熱気をそのまま伝えた「Feel So Good」でのロニーの繊細なギター・プレイは見事としか言いようがない。「Sweet Lady Mary」は、フェイセズ史上最高に美しいバラード。




Nod Is As Good As A Wink To A Blind Horse
Faces 『Nod Is As Good As A Wink To A Blind Horse』('71)

 邦題『馬の耳に念仏』。71年発表の3作目。フェイセズの残した、ルーズにレイドバックしたR&Rサウンドの最高沸騰点。そのフォロワー的バンドが、ストーンズ以上に目標とするのも十分頷ける、”永遠の二番手”ならではの哀愁とズル剥けぶりが堪らない。そのカッコよさはジャケを見れば一目瞭然!

  



Ooh La La
Faces 『Ooh La La』('73)

 73年発表、グループ最高のセールスを記録した作品。アナログ時代、ジャケットの顔の目とアゴの部分が動くという仕掛けも話題に。ロニーが、酒と煙草で焼けただれたような声で歌うタイトル曲が本作のハイライト。「もし私がもっと若く、力強かったら」と、過ぎ去った日々に想いを馳せる哀愁の調べ。ソロで活躍していたロッドのお陰もあってか、アメリカでのライヴも盛況だったフェイセズは、本作発表後にロニー・レーンが脱退、元フリーの山内テツなどを迎えてライヴを行うが、ソロ・キャリア華々しいロッドが、グループとしての活動に必然性を見出せなくなったことを理由に活動休止。75年に遂にフェイセズは解散した。

 



Coast to Coast: Overture and Beginners -Live
Rod Stewart & Faces
『Coast to Coast: Overture and Beginners』('74)【廃盤】


 「オレたちは、スタジオでは実力の半分も出せなかった」というロッドの言葉どおり、彼らの音はライヴ・ステージでこそ大きな破壊力を持っていた。バンド初の実況中継盤は、73年のアメリカ公演の模様を収め、ロッドのソロ・ナンバーとフェイセズのナンバーを収録した意匠となった。各楽器の音を、PAミキサーを通さずに、ステージ上のアンプ、またはマイクからダイレクトに拾った生々しいまでの音とグルーヴが詰め込まれている。ベースは、テツ山内。




Mahoney's Last Stand
Ron Wood / Ronnie Lane
『Mahoney's Last Stand』('76) 【廃盤】


 『Long Player』から『馬の耳に念仏』までのレコーディング期のセッション音源から集められた1枚で、同名映画のサウンドトラック盤として76年に正式リリースされた。ロニーのスライド・ギターを大々的にフィーチャーしたインスト・ナンバーが中心となり、バックにもイアン・スチュアート(p)、ボビー・キーズ(ts)、ジム・プライス(tb)、ブラインドフェイスのリックグレッチ(b)、ジェフ・ベック・グループからの盟友ミック・ウォーラー(ds)ら豪華な顔ぶれが並び、英国スワンプ・テイストたっぷりのレイドバック・サウンドを聴かせる。




An Old Raincoat Won't Ever Let You Down
Rod Stewart
『An Old Raincoat Won't Ever Let You Down』('69)


 69年、ロッドの記念すべき1stソロ・アルバム。それまで所属していたジェフ・ベック・グループ的なハード・ロック風味と、後に参加するフェイセズ的ルーズ感覚、そして、英国トラディショナルの香りが同居する意欲的な作品。ロニーはギター&ベースで全面参加し、イアン・マクレガンもキーボードで、さらには、ジェフ・ベック・グループからの盟友ミック・ウォーラーもドラムを叩いている。




Gasoline Alley
Rod Stewart 『Gasoline Alley』('70)

 フェイセスのメンバー全員が参加したロッドのソロ2ndアルバム。タイトル曲をはじめ、ディランの「Only A Hobo」、「Country Comforts」といったフォーク/トラッド・ベースの楽曲で聴けるロッドの味わい深い歌声が染み入る。フェイセズのライヴのオープニングを何度となく飾った「It's All Over Now」も収録。




Every Picture Tells A Story
Rod Stewart 『Every Picture Tells A Story』('71)

 ロッドの名を一気に世界に知らしめた71年の出生作で、名作の誉れ高きアルバム。本作収録の「Maggie May」は、シングル・カットされ、アルバムともども英米にてナンバーワンとなった。オリジナルは変形ジャケットだった。




Never A Dull Moment
Rod Stewart 『Never A Dull Moment』('72)

 ロッドが前作に続いて大ヒットを記録した72年の4作目。サウンド的にも前作の路線を継承、「Maggie May」の続編とも言うべき「You Wear It Well」、ジミ・ヘンドリクスのカバー「Angel」等、脂の乗り切った歌唱を聴かせる。




Smiler
Rod Stewart
『Smiler』('74)


 英国では3作連続の第1位を記録したMercury期最後となる74年の5thアルバム。恒例となったサム・クック、エルトン・ジョン、ボブ・ディラン等のカヴァーに加え、ポール・マッカートニーがロッドのために書き下ろした「Mine For Me」も収録。




Unplugged...And Seated
Rod Stewart 『Unplugged...And Seated』('93)

 アンプラグドならではの独特のアレンジで、ロッドの名曲の数々が蘇える。さらにロニーの出演という華も添えられ、最高のパフォーマンスが堪能できる。93年発表のオリジナル収録楽曲に加え、「Gasoline Alley」、「Forever Young」の2曲を追加収録。付属のDVDは今回が初の映像化!





ソロ/ニュー・バーバリアンズ作品



I've Got My Own Album To Do
Ron Wood 『I've Got My Own Album To Do』('74)

 ロニーのリッチモンド邸地下スタジオに何人ものミュージシャンを招いてベーシック・トラックが録音されたソロ1stアルバム、『俺と仲間』。本作制作前から、そのスタジオに頻繁に転がり込んでいたキースは、「ストーンズのメンバー以外のやつと長期間仕事をしたのはあれが初めてだったんだ。ていうのは、それまで俺にとってはストーンズがすべてだったからさ。自分の時間ってのがほとんどなかったし、誰か別のやつとやってみようなんて気になれなかったんだよ。でも、ロニーは気に入ったんだ。」と当時を振り返っている。その言葉どおり全11曲中8曲に参加し、「Sure The One You Need」ではリード・ヴォーカルもとっている。




Now Look
Ron Wood 『Now Look』('75)

 ストーンズの正式なツアー・サポート・メンバーとなった75年に発表したソロ2nd。前作で大車輪の活躍をみせたキースは今回3曲参加とやや控えめ。アンディー・ニューマーク、ウィリー・ウィークスらの参加もあるものの、ソウル・メイト、ボビー・ウォマックの共同プロデューサーとしての全面参加と楽曲提供(「If You Don't Want My Love」)がやはり目玉。ストーンズ本隊、ソロを含めた全作品の中でも最もソウルフル(さしづめニューソウル的なフィーリング)な1枚と言えるかもしれない。カントリー・ロック・バンド、スワンプウォーターのカヴァー「Breath On Me」は、92年の『Slide On This』でも再録されている。




Gimme Some Neck
Ron Wood 『Gimme Some Neck』('79)

 キースとの双頭バンド、ニュー・バーバリアンズ(名付け親は、ニール・ヤング)興行のきっかけともなった79年ソロ作。「Burried Alive」、「Come To Realise」、そして、ボブ・ディランが提供した「Seven Days」の3曲にキースは参加しているが、ギターを弾いているのは「Burried Alive」のみで、あとは控えめなバッキング・ヴォーカルでのクレジットとなっている。「Seven Days」は、最終的にエリック・クラプトンとロニーのどちらかに上げることをディランは考えていたらしいが、その話が本当だとしたら、ロニーは、”グレイト・ギタリスト・ハント”に続く大金星をクラプトンから挙げたことになる。

  



1234
Ron Wood 『1234』('81)

 アンディ・ジョーンズとの共同プロデュースとなった81年作。ボビー・ウォマック、アニタ・ポインター、ワディ・ワクテル(後にキースのX-ペンシヴ・ワイノウズに参加)ら多彩なゲストを迎えている。映画「Let's Spend The Night Together」のバンド・イントロダクションでのミックのMCでは、本作リリースにちなんでロニーを「1234!」と紹介している。タイトル曲や「Outlaws」といったシンプルなロックンロール・チューンでは、久々に手数の多いソリッドなベースも披露。ロニー画伯の絵は、今回裏ジャケに登場。

 



Live At The Ritz
Ron Wood / Bo Diddley 『Live At The Ritz』('87) 【廃盤】

 87年、ニューヨークの名門ライヴ・ハウス、リッツにおけるボ・ディドリーとのジョイント・ライヴ盤(発売当初は日本盤のみのリリース)。「Road Runner」、「Crackin' Up」、「Who Do You Love」といったボの代表曲に加え、ロニーも「Ooh La La」、「Outlaws」、ストーンズの「Honky Tonk Women」、さらには、ボトルネック・ギターによる必殺のインスト・メドレー(Around The Plynth〜That's All You Need〜Gasoline Alley〜Prodigal Son)をキメる。ボは、「Money To Ronnie」という12小節ブルーズの書き下ろしの新曲も演奏。このガンスリンガーズは、88年には、中野サンプラザなどで来日公演も行なっている。




Slide On This
Ron Wood 『Slide On This』('92) 【廃盤】

 『Steel Wheels』で息を吹き返したストーンズでの多忙な日々がそうさせたのだろうが、前作から実に11年のインターバルを置いて発表された92年ソロ作。ハービー・ハンコック・グループやスティーヴィー・サラスとのニッケルバッグで活躍していたバーナード・ファウラーを、メイン/サブ兼用のヴォーカリストとして招き、よりコンテンポラリーな地平で捉えたソウルフル・サウンドを作り上げた。パーラメント「Testify」のカヴァーでは、その起用がぴしゃりと的中。愛妻ジョーに捧げた「Josephine」、ジェリー・ウィリアムス作のロックンロール「Show Me」、『Now Look』所収の再録「Breath On Me」等々、ストーンズ本隊の好調ぶりがそのままソロ活動にも良い連鎖をもたらした充実作。じゃ、なぜ廃盤!?




Slide On Live
Ron Wood 『Slide On Live』('93) 【廃盤】

 来日公演も果たした『Slide On This』ツアーの模様を収めたライヴ・アルバム。新作曲もそこそこに、「Flying」、「Silicon Grown」、「Stay With Me」といったフェイセズ時代の名曲に加え、ストーンズ「Pretty Beat Up」(ロニー作曲。この時のツアーでは、「Black Limousine」、「It's Only Rock'n Roll」も演奏)、ソロ人気曲「I Can Feel The Fire」、「Am I Groovin' You」、「Seven Days」などを惜しげもなく披露。

 



Not For Beginners
Ron Wood 『Not For Beginners』('01)

 9年ぶりのソロ・アルバムは、98年に亡くなった母親に捧げて作った現時点での最新作。息子のジェシー・ウッド(g)や、娘のリア・ウッド(vo)もレコーディングに参加した、まさにロン・ウッド・ファミリーが手を取り合って作ったといえる1枚。また、「King of Kings」に、ボブ・ディラン、「Interfere」に、スコッティ・ムーア、「R. U. Behaving Yourself?」には、ウィリー・ウィークス、アンディー・ニューマークがそれぞれ参加している。




Anthology: The Essential Crossextion
Ron Wood 『Anthology: The Essential Crossextion』('06)

 ロニーのデビューから現在に至るまで残してきた音楽活動の全軌跡、バーズ(The Birds)、クリエイション、第1期ジェフ・ベック・グループ、フェイセズ、Mercury期のロッド・スチュワート作品、ローリング・ストーンズ、そしてソロ作品の中から選曲された全37曲を収録。ディスク1には、ソロ作品から20曲、ディスク2には、バンド作品を17曲収録。2005年当時に制作された新曲(未発表トラック)も2曲収録。そのうち、1曲のヴォーカルにはロッド・スチュワートも参加。




Live From Kilburn
First Barbarians 『Live From Kilburn』('07)

 『俺と仲間』アルバム・リリース・ツアーを捉えた貴重な記録。ファースト・バーバリアンズという名は、後のニュー・バーバリアンズにちなんで後付けされた、本盤のリリース・タイトル用のもので、当時はそう呼ばれていたわけではない。アンディ・ニューマーク&ウィリー・ウィークスの鉄壁のリズム隊をバックに意気揚々とブギーするロニー、キース、マック、そして、ロッド。マスターの痛みの関係で画質は粗悪だが、歴史的価値を考えて付属DVDのリリースに踏み切ったロニー自身のレコード会社、ウッデン・レコーズよ、あっぱれ!




Buried Alive: Live In Maryland
New Barbarians
『Buried Alive: Live In Maryland』('06)


 79年『Gimme Some Neck』のリリース・ツアー、そして、77年トロントで麻薬不法所持のために逮捕されたキースの執行猶予判決とともにチャリティ・コンサート開催を命じられたことに端を発したニュー・バーバリアンズ興行。その初公式音盤。79年5月5日の米メリーランド州ラーゴ公演を収録。2匹の野蛮人に、リズム隊にはスタンリー・クラークとミーターズの”ジガブー”ことジョゼフ・モデリステ、そして、旧知のボビー・キーズ。完璧なラインナップでギグは夜毎大盛況・・・とはいかなかった。スタンリーのスラッピング・ベース・スタイルとのアンフィット、興行プロモーションの不手際など、行く先々で混乱があったとロニーも自伝の中で語っている。ただ、ストーンズ本隊以上の粗さと酒臭さで迫る(音質もやや粗い!)おなじみの楽曲には、ロックンロールの本質と凶暴さがストレートに宿っていると、今でも評価は高い。