--- レッズ時代の超重要曲「バラとワイン」が3曲目に収録されています。10年程前にもセルフ・カヴァー・アルバム『Re:works』で取り上げていましたが、あの当時とはまた違ったスタンスでカヴァーに臨んだ感じなのでしょうか?
ユカイ レッド・ウォーリアーズの主な楽曲に関して言うと、その後再結成なんかはするけど、本当にレッド・ウォーリアーズと呼べるのは、デビューから3年ぐらいだと思うんだよね。ソロになってからも、レッズ時代の楽曲たちをずっと俺はライヴで歌っていってね。楽曲ってやっぱり成長していくじゃない?だから、ある意味でダイアモンド☆ユカイの「バラとワイン」にもなってるんだよね。レッド・ウォーリアーズの「バラとワイン」でもあるけど。
『Re:works』の時は、レッド・ウォーリアーズの現在のメンバーで作った空気感の「バラとワイン」だったんだけど・・・まぁ、こんなこと当たり前だけど、俺は、世界で一番「バラとワイン」を演奏してる人間だと思うんだよね。だから、今の自分の思う「バラとワイン」・・・その当時の良かった部分と、今、自分が転がってきてつかんだ「バラとワイン」、それをこのアルバムには絶対残したいと思ったんだよね。正直、『Re:works』は、当時ピンと来なかったんだよね(笑)。自分でやってて。
今回の「バラとワイン」でギターを弾いてるヨッちゃん(野村義男)が、本当にレッド・ウォーリアーズを好きだったらしいんだよね。ヨッちゃんのギターが、その当時のレッド・ウォーリアーズで出してたいいフレーズだったりを再現してくれてね。ダイアモンド☆ユカイの今であり、成長した「バラとワイン」がこれだなって。これは、死ぬまで残しておける作品になれたかな、みたいなね。
--- ギターは野村さんだったんですねぇ。
ユカイ ヨッちゃんは他でも何曲か弾いてくれてるんだけど、この曲では本当にいいギターを弾いてくれてるね。
--- シャケさんではなく、あえて野村さんっていうのもまた・・・
ユカイ そうだね。ほら、シャケとは『Re:works』でやってるわけじゃない?・・・やっぱり、ダイアモンド☆ユカイの「バラとワイン」を作りたかったんだよ。
--- 「バラとワイン」からの流れがまた絶妙で、吉田拓郎さんの「外は白い雪の夜」へと流れ込むと・・・僕個人的には、とてもハマった曲順だったのですが。
ユカイ あぁ、本当?(笑)「外は白い雪の夜」もね、ソロの時に、元々はシングル(「愛しのセイラ」のカップリング)にする曲じゃなかったんだけど、出来が良かったんで、有線とかですごくヒットしちゃって。その年、拓郎さんがこの曲で紅白に出てるからね(笑)。
--- そうだったんですか?
ユカイ アレンジも、ちょっと俺のアレンジに似て・・・みたいな(笑)。まぁ、それはさておいて、俺にとってもここまでハマる楽曲をこういう風に歌えたっていうのは嬉しいし、ダイアモンド☆ユカイの歴史にとって「外は白い雪の夜」っていうのは欠かせないんだよね。
--- バンド時代ですと、こういった日本のフォーク/ニュー・ロック期の楽曲は取り上げにくかった部分もあったかと思います。
ユカイ まぁ、レッド・ウォーリアーズに関して言えば、音楽性の幅自体は狭かったから。洋楽が自分たちの根底にあって、そういったフォークだったり、歌謡曲だったりを否定するところから入っていたからね。だけど、ソロになって、もっと幅広く、色々な曲を歌うってなってね。
ただ、カヴァーっていうものには、ものすごくこだわりがあって、要するに、“コピー”はしたくないんだよね。やっぱり、自分のアレンジで、自分のものにするっていうね。ロッド・スチュワートなんかもさ、色々なカヴァーをするけど、全部自分の色に染めてるじゃん?それは、当たり前だと思うんだけど、最近は、カヴァーとかいっても・・・ただそのまんまカラオケで、歌い手だけ変えちゃったみたいなね(笑)。そういうものだったら、自分の中ではやらない方がいいなっていうのはあって。
--- こういった“悲しい女の性”みたいな歌詞の世界は、ユカイさんのヴォーカルにピッタリだなぁと感じたのですが。
ユカイ この曲は多分、デュエットにもできるような男と女の言葉だからね。女の言葉が、自分でもこんなにピンとくるとは思わなかったんだよね。
この曲は本当に残しておきたかったなぁって。ただ、やっぱり前に作ったときのアレンジが、あまりにも素晴らしくてね。でも、前と同じようにやっても意味がないんで。まぁ、メンバーも違うし。だから、すごい苦労したかな、この曲は。ただやってるようだけど、実は、色々試行錯誤したんだよね。
--- アレンジに割く時間が相当かかったのでしょうね?
ユカイ そうだね。録音自体は、パッと録ったんだけど、その後、「あーでもない、こーでもない」ってイジりまくってね。
他の事できたら
他のことやってたよ!っていうさ(笑)
山があろうが谷があろうが
コレしかできないんだから
これからも歌い続ける以外には何もできないんだってね
--- ジョン・レノンに捧げた「John」は、ユカイさんの代名詞的な曲だと思うのですが、2000年ぐらいに、実際にジョン・レノン・ミュージアムの前でこの曲を弾き語りで歌われていましたよね?
ユカイ あれ?・・・やったかなぁ?ジョン・レノン・ミュージアムが出来たばかりぐらいの時期に行ったんだよね、呼ばれて。・・・うん、やったかも知れないねぇ(笑)。
これは、最初「ノスタルジー」ってタイトルの曲だったんだよね。「ジョン」って歌ってるけど、実は、みんなにとっての「ノスタルジー」じゃないかなっていうかさ。だからさ、歌ってて、いつでも懐かしい感じがするんだよね。
--- 甘酸っぱいですよね。少し切なくて・・・
ユカイ そうだね。好きな曲のひとつだね。ギターが、アコギでさ、こだわってやらせてもらって。お気に入りの12弦ギターが、“隠し味”で入れてあるんだよ。
--- たしか、一昨年のZepp Tokyoのレッズ再結成ライヴでも、ジョン・レノンの「Imagine」を少し弾き語りしてから、この「John」へ入る流れでしたよね?
ユカイ ・・・そうだっけ?(笑)
--- そうです、そうです(笑)。では、ジョン・レノンや、ビートルズの事については、後ほどまた、詳しくお伺いします。お次は、90年のソロ・シングル「Dirty Heroes」。ソロ活動を開始してから、来年で20周年を迎えるわけなのですが・・・
ユカイ そうかぁ・・・ソロ20周年になるんだ・・・早いねぇ(笑)。
--- 今現在、多方面でのご活躍もされつつ、総括的にこの20年というのは、ユカイさんにとってどのような20年であったのでしょうか?
ユカイ う〜ん・・・山あり谷ありだよね、本当に。こういう商売始めてさ、ある人に言われたんだよね。「君は何でこういう商売を始めたんだ?」って。「芸能人とか、ロック・シンガーとか、全部含めて、確率的にこういう商売が成功する確率は、どの商売よりも低いんだ」と。「成功したいんだったら、もっと別の商売を選んだ方が良かったんじゃないか?」って言われてさ(笑)。
--- それは、ソロ活動を始めた時期に言われたんですか?
ユカイ 最近(笑)。
--- えっ、最近ですか!?(笑)
ユカイ ある役者に言われたんだよね(笑)。「君は何でやってんのか?」って。60歳ぐらいの役者の人だから、自分の娘とか、もう成人しててさ。「子供には絶対こういう商売をやらせたくなかったんだ」って言ってたんだよね。
で、「何でやってんのかな?」って考えてみたら、コレしかできなかったんだよね。成功するとかしないとかも・・・勿論、成功を目指して生きてるけどさ。だけど、「コレしかできなかったんだな」っていうね。
--- 後から、思い返してみると・・・
ユカイ そうなんだよね。これが、20年間の答えなんだなぁっていうさ。コレしかできないんだよ。
--- それは、まさに「ロイヤル・ストレート・フラッシュ R&R」ですよね。
ユカイ まさしく。他の事できたら、他のことやってたよ!っていうさ(笑)。だから、山があろうが谷があろうが、コレしかできないんだから、もうどうすることもできないんだと。これからも歌い続ける以外には何もできないんだってね。
--- この20年間、音楽的な幅はとても広がったのではないかと思うのですが。
ユカイ そうだね。まぁ、今回HMVさんの取材の中では、ロックに関する質問(事前にお渡ししたQ&A)が多かったんだけど、実際デビューしてからは、ある意味でロック以外の音楽をすごく聴いたから、ジャズも含めてね。それこそ今回、ダニー・ハサウェイなんかも入れさせてもらったんだけど、ソウルとかそういった系統の音楽の方に、すごく興味を持った時期もあるしね。だから、音楽面っていう部分では、ただの“ロック野郎”じゃないかもしれない、もうね。本当に、幅広く色々な音楽を好きになったかな。
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