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『トウキョウソナタ』 黒沢清監督インタビュー

Friday, September 12th 2008

トウキョウソナタ



最新作『トウキョウソナタ』が9月27日(土)より公開中の、黒沢清監督に今作についてのお話しを伺った。
次々と取材が控えている中、こちらの質問にゆったりとした口調で、真摯にお答え頂いた言葉の数々に、ぜひ触れて頂きたい。

今作は、2008年 カンヌ国際映画祭 「ある視点部門」 審査員賞受賞・・・などでも注目されている作品であるが、
ただただ1つだけ言うならば、本当に素晴らしい作品である。

主演に香川照之氏、小泉今日子氏を迎えた経緯や今作で初めて、
子供を本格的に描いた・・・ということなどについては、オフィシャルHPをご覧下さい。

それでは、第3回に続く、第1回は・・・。 


INTERVIEW and TEXT and PHOT: 長澤玲美


   
今回は、作って初めての試写がカンヌだった・・・って
いうんで、これは緊張しましたね(笑)。



---  黒沢監督の最新作『トウキョウソナタ』を拝見させて頂き、本当に素晴らしい作品でしたので、ぜひ直接お話しをさせて頂きたいと思い、本日のインタビューの機会を頂きました。いろいろとお伺いできればと思っておりますので、よろしくお願いします。


黒沢  ありがとうございます。よろしくお願いします。


---  カンヌ国際映画祭「ある視点」部門 審査員賞受賞、オシアンズ・シネファン アジア・アラブ映画祭 大賞受賞、そして、トロント国際映画祭・マスターズ(巨匠)部門出品決定!・・・とのことですが、おめでとうございます。この華々しい結果に対して・・・。


黒沢  (笑)。華々しいって言われると、恐縮してしまいますけど・・・おかげさまでというか、海外・・・特にカンヌに出品出来たので、1回、そういう大きな映画祭に出品出来ますと、そこをきっかけにして、じゃあ「うちにも来てくれ」「こっちにも来てくれ」ってわりと、いろんな映画祭が繋がっていくものなんですね。


ただ、僕は以前にも何度か、海外の映画祭には出品してるんですが、今回初めてだったのは、"間なし"だったということです・・・つまり、普通ですと、映画を作って、このように日本で取材なんかを受けたりして、場合によっては、日本で映画が公開されている。海外の映画祭に行く頃にはだいたい、なんとなくお客さんの反応とかがわかっていたりするので、"おまけ"のような感じだったんですね、映画祭というのは。


ですが、今回は、作って初めての試写がカンヌだった・・・っていうんで、これは緊張しましたね(笑)。


---  緊張されましたか?


黒沢  ええ(笑)。日本でも、初めて観てもらう時は緊張するんですけど、カンヌが一番最初の試写だったっていうのは、とってもしんどかったですね。作った側にとったら、ある意味、一番ハードだと思うんですよね、カンヌって。


---  監督の作品は、海外でも多く評価されていますが・・・。


CURE キュア』 ロッテルダム国際映画祭 (97)
ニンゲン合格』 ベルリン国際映画祭フォーラム部門正式出品 (99)
大いなる幻影』 ベネチア国際映画祭正式招待作品 (99)
カリスマ』 カンヌ国際映画祭監督週間正式出品 (00)
回路』 カンヌ国際映画祭国際批評家連盟賞受賞 (01)
アカルイミライ』 カンヌ国際映画祭コンペティション正式出品 (03)
ドッペルゲンガー』 プサン国際映画祭オープニング正式出品 (03)
LOFT ロフト』 プサン国際映画祭正式出品 (06)
』 ベネチア国際映画祭特別招待作品 (06)


黒沢  はい、日本では、あんまり評価されないんですよね・・・(笑)。


---  (笑)・・・日本と海外の反応の違いで、一番大きなところは、どういったところなのでしょうか?


黒沢  えーっとですね、びっくりするくらい、日本と海外での反応っていうのは、違わないですね。似ています。言葉にすると違ってくることもあるんですけど、それは言い回しが違うだけであって、本当に感じたり、観ながら考えたりしていることは、結構似ていますよ。


僕らだって、アメリカ映画はもちろんですけど、それ以外のヨーロッパ映画でもアジア映画でも、いろんな映画を観て、いろいろ感じますよね?でもそれは、国が違うから・・・という問題ではない。ですから、映画ってやっぱり、怖いくらい"世界共通した表現"なんだなって思います。


 

でも結局、"東京じゃなければいけない理由"っていうのは、見つかりはしませんでした。




---  今作の製作会社であるフォルテシモは、ウォン・カーウァイジム・ジャームッシュ作品などの製作会社であり、邦画を手掛けるのは初めてとのことですが、何かあちらからの要望で、強くあったものなどはありましたか?


黒沢  えーっとね、あちらからの要望で強くあったのは、「題名に"トウキョウ"っていうのを付けて欲しい」っていう(笑)、それだけでしたね。「もうちょっと何か言ってくるかな」って思ったんですけど、そこはこちらを信頼してくれていたのか、あとは本当に何もなかったので、作ったものに満足してもらえたようです。


---  (タイトルに)"トウキョウ"と付けるのは・・・。   


黒沢  抵抗がありましたね(笑)。・・・というのは、これまで僕、映画何本も撮ってますけど、実はほとんど、東京で撮ってるんです。


---  そうですよね、拝見させて頂いています。


黒沢  ありがとうございます(笑)。でね、何で東京で撮ってるかって言うと、理由はただ1つ、「どこでもいいから」なんです。どこでもいいんで、どこでもいいなら、東京が一番近いし、よく知っているっていう。これが、「北海道で撮る」って言ったら、「何で北海道なんだ?」っていう理由が必要なんですけど(笑)。


ですから、今回、題名に"トウキョウ"って付けられちゃうと、"東京じゃなければいけない理由"がいるんじゃないかっていう気がして、「東京じゃなきゃいけない理由って、何かあるのかしら?」ってことを、ずいぶん考えながら撮ってしまいましたね。「どこでもいいんだけどなあ・・・」って思いながら(笑)。


でも結局、"東京じゃなければいけない理由"っていうのは、見つかりはしませんでした。ただ、見つからなかったんですけど、「一生懸命、東京で撮ることを考えたんだよ」っていう証のようにですね(笑)、今までは1回もやったことがなかったんですけど、東京の風景のカットを3回くらい入れました、物語と関係なく。  


---  あえて、東京のカットを?


黒沢  はい、あえて。「ここは東京なんですけど、どうでしょう?」っていう(笑)。「どうでしょう」って、こっちもよくわかんないんですけど・・・すごく目立ってるわけではないんですが、入れてあります。


---  そのあえて入れたという、東京の風景のカットというのがどこに入っているかというのも、今作の見どころの1つですね。


黒沢  そうですね。東京・・・注意してみれば、どこも東京なんですけど・・・まあ露骨にね、東京タワーとかそういうものを撮ってないんでわかりにくいんですけど、ぽこんって撮ってある風景だけの絵が、ドラマとは関係ないところで入っているので、ぜひそこも観て頂きたいですね。


---  物語と関係ないカットというわけではないんですが、恵比寿の"タコ公園"でも撮影されましたか?


黒沢  あ、"タコ公園"?恵比寿の裏の公園でも、撮影しましたよ。


---  井之脇海くん演じる、健二が家出した友達と逃げている時に立ち寄ったあの公園なんですが・・・。


黒沢  ああ、そういえば、あの公園、"タコ公園"って書いてあったなあ・・・。


---  ああ、やっぱり、あそこだったんですね!ピンク色・・・と言っても少し、生々しいピンク色のタコのすべり台があったので、もしかしたら・・・って(笑)。


黒沢  そうです、そうです。あの公園、ご存知でしたか?(笑)。


---  はい(笑)。近くに、NADiff a/p/a/r/tという施設が新しく出来て、そこに行った時にちょうど、あの公園を通ったんです。


黒沢  恵比寿の明治通りから1本入った川沿いですけど・・・変なところですよね?恵比寿はちょくちょく行くんですけど、あそこは全然知らなくて。「こんなところがあるのか?」って、おもしろがって撮ったんですけどね。






叫 『叫』

Jホラー史上最恐!連続殺人事件発生、容疑者は刑事。「俺、何やった・・・?」"全ての謎"が解き明かされた時、究極の恐怖があなたを襲う。劇場公開時にはカットされた「もうひとつのエンディング」を収録!

   



アカルイミライ 『アカルイミライ』

映画初主演のオダギリジョーと、浅野忠信、藤竜也の3人のコラボレーションによる作品。生きる目的もない主人公・雄二が唯一心を許せる存在の守。ある日、守が飼っていたクラゲを託された雄二は・・・。

   



地獄の警備員 『地獄の警備員』

バブル期のとある総合商社を舞台に、理由なき殺戮をくりかえす警備員を描いた本格ホラー・ムービー。黒沢監督の"恐怖"の原点とも言うべき傑作!主演は、久野真紀子&松重豊。


   



回路 『回路』

大学生川島亮介のパソコンの画面に浮かんだ「幽霊に会いたいですか」のメッセージ。その時から亮介の周辺で奇妙な事件が起き始め、一人また一人と人間が消えていく。


   



Cure: キュア 『Cure: キュア』

被害者の胸に文字が刻まれるという猟奇殺人事件の謎に迫る一人の刑事の姿を描いた、役所広司&萩原聖人共演で贈るサイコ・サスペンス。


   




ドッペルゲンガー 『ドッペルゲンガー』

自由奔放な分身に恐れながらも、次第に協力関係を結んでゆく、堅物男の奇妙な体験をシュールかつユーモラスに描く。役所広司が一人二役に挑戦した異色作。


   



降霊 Kourei 『降霊 Kourei』

音響技師である夫の器材ケースから、誘拐されたはずの女の子を発見する。思いもよらぬ出来事に夫は狼狽するが、霊能者の妻はこの事件を利用し、自分をあざけってきた世間を見返してやろうと、ある計画を企てる・・・。

   

神田川淫乱戦争 『神田川淫乱戦争』

黒沢監督の記念すべき35mmデビュー作!ピンク映画として製作された低予算映画ながらも、"ゴダール的手法"の延長線上にある遊び心に溢れた演出などから、カルト的な人気を誇る作品。 

   



楳図かずお 恐怖劇場: 蟲たちの家 / 絶食 『蟲たちの家 / 絶食』

ホラーコミックの先駆者・楳図かずおと、日本を代表する映画界の鬼才がタッグを組むホラームービーの第1弾。黒沢清監督による『蟲たちの家』と、本作が監督デビューとなる伊藤匡史監督による『絶食』を収録。

   



Loft: ロフト 『Loft: ロフト』

スランプに陥り、郊外の一軒家に引っ越してきた女流作家は、沼から引き上げた千年前のミイラを無断で運び込んでいた男を目撃する。それ見て以来、女は得体の知れない恐怖に襲われるようになり・・・。

   



893(ヤクザ)タクシー 『893(ヤクザ)タクシー』

銀竜商会の詐欺に引っかかり、1億円の手形を握られた田中タクシー。その社長の幼なじみである猪鹿組の親分は、不渡りになる前に手形を買い戻そうと思案する。


   



大いなる幻影 Barren Illusion 『大いなる幻影 Barren Illusion』

恋人同士のハルとミチは、出会った頃のときめきは失っていたが、落ち着いた幸せを手に入れていた。しかし、そんな彼らに世間の不安定な情勢が重く圧し掛かってくる・・・。

   



黒沢清の映画術 『黒沢清の映画術』

伝説の8ミリ学生自主映画製作集団「パロディアス・ユニティ」から最新作『LOFT』まで、映像のカリスマが自らの秘密をすべて明かす決定的自伝。


   



映像のカリスマ: 増補改訂版 『映像のカリスマ』

増補改訂版。1973年から1992年までの評論、対談、脚本を収録した黒沢清の初著作。増補として、「アカルイミライ」、「大いなる幻影」、幻の企画のシノプシス他、初公開となる文章を収録。