Tuesday, October 2nd 2007

 待望の1stアルバム『monobright one』リリース企画!
  monobright突撃インタビュー! 2/2

―インタビュー続き―

-それと対照的で、シンプルかつ軽快であり、歌詞も抽象的な感じの楽曲、先ほど出口さんがおススメしてくれました、『デイドリームネイション』を今現在のメンバーで最初に演奏し、それをきっかけに意気投合したということなんですよね?

桃野「『デイドリームネイション』はインディーズ盤がリリースされたころくらいからあった本当に古い曲で。ほんと、この曲が、僕がmonobrightをやるにあたって決め手になった曲というか…。わりと僕の曲って、“Aメロ→サビ”か、“ずっとAメロ”かみたいな。で、この曲は“ずっとAメロ”みたいな曲なんですが、この曲をみんなに聴かせて合わせて演奏したときに、すごいしっくり来たというか。なんか面白かったんですよね。実はこのデイドリームネイション』は違うメンバーでも何度か演ったことがあるんですけどね。物凄い年上の人たちとかと演ったり。いわゆるベテランの人たちと演ってみたりしたんですけど、しっくり来なかったんですよね。どの編成で演っても“なんか違うなぁ、違うなぁ”って感じだったんですよ。でも何故かこのメンバーでやったらしっくりきたんですよね。だから本当にきっかけの曲になっているんですよね」

-この楽曲を機に、monobrightのオリジナリティ溢れる楽曲があふれ出していったという感じ?

桃野「そうですね。そっから、あれやったりこれやったりで。僕の好きなようにやって…。だから逆に言うと、こういう曲はもう創れないんじゃないっすかね。初期衝動的な楽曲だったりするんで。いいっすよね…。好きっすね…(笑)」

-その自由度が広がったからこそ、桃野さんの妄想的な歌詞の世界観とかがより一層膨らんでいったんですか?例えば、ライブのMCでがなりたてる下ネタの頻度も増えていったとか…(笑) 。

桃野「ははははは。そうですね。やっぱり妄想から来るものはでっかくて。妄想と体験したものが合体したものをまた妄想しているというか。人間ってスケベなことはいつも考えているはずですからね。それを出さないと嘘だと思っていますし。もう、なんちゅうか、綺麗ごとが苦手なんですよね、俺が。まあ、言葉で綺麗なことを言える人って本当は羨ましいんですけど。自分には性が合わないというか、違うんですよね。だから、ライブで言えば下ネタとか。男のだらしなーい感じとか。そういうのを前面に打ち出して行こうと思っているわけで」

-こういう桃野さんの妄想をみなさんは共有出来るというか共感出来るというか、出来ているんでしょうか?

桃野「あんまし知らないんじゃないかなぁ」
松下「うん。デモの段階では歌詞を貰わないというか。僕らは曲を聴いて、言葉がメロに乗っかった時点で自然に入ってくるもんであって。別に歌詞を聴こうとしなくても、はっきりと言葉で聴き取れないものであったとしても、結構入ってくるものってリズムに言葉が乗っかって届いてくるものじゃないですか。やっぱ、なんかそれだけで僕らもそこから妄想しているっていうか。“あ、こういうことなんだな”とか。勝手に思っていて。別に歌詞に対して“これってどういう意味なの?”って追求しないというか。追求したりもしなくて。敢えてそこで止めておいて、僕は自然に入ってくる言葉で自然に妄想して自然にギターを弾くっていう。逆に“これってどういうことだったの?” “悲しい歌詞なんだ。じゃあ悲しく弾くね!”という感じじゃないんですよね。それやっちゃうと面白くなくなるじゃないですか。まあ、そんなことに自覚的になったのも最近気づいたことなんですけど(笑)。でもそういうことを自然に今までやっていて良かったなぁとは思うんですけどね。だから敢えて歌詞に関しては何も追求もしないっていう感じですかね」

-その感覚がメンバーにあるからこそmonobrightというバンドのバランスが上手く取れているんですね。

桃野「はい。みんなお任せな感じですから)」

-桃野さんがライブで下ネタを言うことも。

松下「そうですね(笑)」

桃野「ていうかね。MCに関してはもう思いつきでそのままばーっと喋っちゃうのでね。他のメンバーが喋る隙がないというかね。でもね、引かれるときは思いっきり引かれるんですよ、下ネタとかのMCで、お客さんに。だから、それは、あの…、引くのは…、あの…、勘弁して欲しいです」
全員「(笑)」

-今のライブのスタイルっていうのは結成当時に既にある程度確立していたものなんですか?

桃野「そうですね。でもどんどん派手になって来てますけどね、なんかしんないけど(笑)。まあ、ほんと、それぞれみんなに、ああしろこうしろ言っているわけではないんで。自然とライブを演ってそれを後でビデオで観てとか。ライブ中にその場で感じたことだったりとかをみんなで演って重ねて来ているっていう感じで。なのでどんどん派手さが膨張していると思います」

-今後もっともっとヒートアップして行くんですかね?

桃野「でもどれだけヒートアップしていっても、脱ぐことはないですね」

松下「誰も聞いてないよ、そんなこと(笑)」
全員「(笑)」
桃野「いやぁ。自信がないんで、ええ。自信が(笑)。某バンドのヴォーカリストのあの人のようにやれればいいんですけどやっぱり自信がない…」

-もし自信があったら?

桃野「そりゃぁもう、やってますよ(笑)」

 

銀杏BOYZ / 光

-先ほど “某バンド”と言っていましたが、 “某バンド”とはまさに銀杏BOYZで。そのヴォーカリストとは、峯田さんのことであるのですが、あの銀杏BOYZのような性的欲求を音楽のフォーマットで表現していく独自の手法というものに対して、桃野さんは憧れていたりとか?

桃野「もうあそこまで素直に表現することって出来ないと思うんですよね。だからほんとああいうことは選ばれた人がやっていると思うんですよ。で、まあ、ほんと、憧れはありまして。ほんと、凄いと思ってます。でも、“自分には何が出来るんだろう?”って考えたときにあれは出来ないわけであって。だから自分のやれる表現を自然にやっているだけというか。そういうことなんですよね。必ずしも自分の思い通りに行かないのが音楽の面白さというか。そういう部分はありますね」

-ちょっと暴論になってしまうんですけど、“思い通りに行っている”のがメインストリームで鳴らされているロックであると仮定してみると、monobrightの、その、“思い通りに行かない”という加減が、魅力的であり革新的であるのかなと。

桃野「確かに本当に思い通りに行かないし、それが楽しいし。僕はまあ、そういうもんだろうなぁと思いながらやっていますからね」

-そのような気持ちが音楽への創作意欲を掻き立てるというか。

桃野「そうですね。本当に納得が行くような形でやれることは無いというか、音楽にはキリがないというか…。そんな思いのもと、勝手にイライラしたりしたりしている自分のあらゆる様(ザマ)を見て欲しいというか。そういう意味では、ものすごく人っぽい、人間っぽいことをやりたいと。そういうことを思っていますけどね。それと、単純に僕らが出来ないだけなのかもしれないんですが、完璧に行けてしまう人が多いっていうか。成功があってそのままビーっと行ってしまって。実はそれだけで完璧だとは思っていなかった人でも、行ってしまった後にそれ以上を望まなくなってしまうというか、“思い通りに行っている”と感じてしまうというか。そういう手法や思考というのは、特にポップではいらないというか。ポップなものをやる上ではあまり理解が出来ないというか。やはりポップというものはほんとオモチャ箱をいじくりまわしてもっともっとといろいろやってていいんだと。そのほうがいいと思うんですけど」

-そのポップという言葉を使わせていただくと。実は『頭の中のSOS』をシングルで聴いたときはある程度キャッチャーさはあるけどポップとは思えなくて。とても異質でいびつなロックであると思ったんですよね。でも、アルバムを通して聴くと、この曲が物凄くポップに聴こえてきて。かなり意外ではあったんですがそう考えると、『頭の中のSOS』という曲は、もともともとポップの要素を、オモチャ箱の要素をふんだんに持ち合わせていたんだということですね?

monobright 桃野
桃野「はい、その通りです。アルバムの中でもやっぱりこの曲はポップですね。それと、このアルバムって最後のほうに行くにつれて、物凄くしみったれた展開になるじゃないですか。だからそれを一掃するというか。もう、何もお構い無しに、“はーい、僕らポップですー!”って宣言しているような(笑)。僕自身もそうですし、曲の中の僕もそうですしね。そういう、お構い無しに元気づけてくれるという、そういう立ち位置なんですよね、この曲は。だからこそアルバムの最後のほうに収録してよかったなという曲ですね。はい」

-そしてアルバムの最終楽曲のメロウな『music number』という曲が、『頭の中のSOS』と同時期に作られたということで。だからこそなのか。この2曲は表裏一体というか…。

桃野「そうですね。ずっといるもんだと思っていた女の子がいなくなって、“どうしようどうしよう”って思っていたときに、真っ先に創ったのが『頭の中のSOS』で。で、この曲は、パニックになったまま、そのままの状態で出来た曲で。その後に出来たのが、『music number』だったんです。だから、パニックな様子を落ち着いてみると『music number』になるというか。だからニコイチ(二個で一個)と言えばニコイチなんですよね。まあ、どっちにも言えることなんですが、本当に当時感じた寂しい気持ちを吐き出したということで。もう、音楽にすがっているというか。だからこそ全てを音楽で吐き出しているというか」

-『music number』というこの曲がアルバムの最後を締めくくっているということを改めて俯瞰してみると、monobrightというバンドはとてもピュアな心をもっているバンドなのかなとも思ったんですが。

桃野「もう、そうですね。特に恋愛に関しては、ピュア、ピュア、ピュアボーイな4人組ですから(笑)。あと、“妄想”とかインドアとかね。いまいち上手く言葉で表現が出来ずに伝わりにくいと思うんですけれど。やっぱりね。恋路に関してはね、えっと…、ピュア、ピュア…」
松下もう何回言ってんだって(笑)」
桃野「いやぁ。ていうか、だから、音楽と一緒っすよ。このピュアさは!音楽と恋愛はほんと一緒っすよ、純粋な感情が。やっぱ恋愛って純粋なんじゃないですかね。時間が経つとだんだん濁ってくるんですかね?なんかわからないんですけど…」


-じゃあ、せっかくなのでメンバーのみなさんで恋愛観を語ってみましょうか?

桃野「語ってみますか?」
松下「そうしますか?どうですか?」
出口「え…。恋愛…。あまり考えたことなかったですね」

桃野「いや、考えたことなかったとか言いながら、出口は、私生活の98%は恋愛のことを考えていると思いますけどね」
全員「(笑)」
桃野「絶対そうだって。言わないだけで。そういうのさ、絶対さ、照れだって」
出口「まあ、そういうのは堂々と話すべきもんじゃないと思っていますから」
桃野「まあ、僕はめっちゃ堂々と言ってますけどね(笑)」

-みなさん学校の同級生仲間なんですよね?ならば、昔からプライベートでも一緒に遊んでいたりしてたんですよね?そういうときは恋愛の話とかはしなかったんですか?

松下「いやいや、同じクラスではなかったので。そこまでは」
桃野「付き合いは5-6年ほどあるんで色々と話はしてますけど、私生活の話を赤裸々には話していないですねぇ。そう考えると、あれですね。僕以外のみんながピュアかどうかってわからないってことになりますよね(笑)。でも、僕はやっぱりピュアかなぁ。まあ一概には言えないかなぁ。わかんなくなってきた…。ていうか、だって、白ポロ着てるんだからピュアでしょ?」
松下
いや、ピュアになりたいから白ポロ着てるんじゃないの?」
桃野「そっかなぁ…。悲しくなってきたなぁ…。ていうか、ここまで来たから言ってしまいますけど、童貞心を忘れたくないちゅーか(笑)。童貞の時のドキドキ感を忘れたくないっていうか。あの、心に波がある、心が揺れて揺れて、というあの感情を忘れたくないなぁっていうのはありますね。だからね、その童貞心を忘れたくないっていう気持ちからかな、そのイメージからかな。黒縁眼鏡で白ポロシャツっていうことになったちゅうのは…。っていうのは嘘ですけどね(笑)」
松下 「いいんじゃないの、そういうイメージでも(笑)」
出口 「(笑)。なんかこう、全然違ったものを見ているじゃないですか、メンバーそれぞれ。そして歳をとると嫌でも汚れるという風になるじゃないですか。知ってしまうじゃないですか色々と。でまあ、それに当たり前になってくるとそれもそれでいいかなってなってしまうし。そして別に何も感じなくなって。したらいつの間にか童貞のときというか、そういう時代の頃の見方と全然違ってきちゃうじゃないですか。まあ、その時の世界と今の世界は違うものなのかもしれないけれど、でもやっぱそういう気持ちって忘れたくないって言ったらあれですけど、あのころって、いちいち楽しんでいちいち悲しんでって…。それって頭であれこれ考えない、すごく人間らしい一部分だなぁと思ってて。それって誰にでもある、人間が持っている普遍的な部分じゃないですか。大人の人も持っているし、小中高の学生のみんなも持っているし。それって全員に共通していることだと思っていて。表面だけのあれこれだけじゃなくて、普遍的なところを突きたいというか。なんかこういう言い方すると戦略的に聞こえるかもしれませんが、自分たちもそういう気持ちを忘れないために音楽をやりたいし、忘れて欲しくないために、思い出させたいからこそ音楽をやりたいし。やっているんです。馬鹿らしい気持ちとか馬鹿らしい考えとかを引き連れて…」

-なるほど。そのような気持ちが込められた1stアルバム『monobright one』は本当に素晴らしいアルバムだと思うのですが、僕も含めて、いろんな人から賞賛されているかと思うのですが。実際、第三者から絶賛されている今の立場はどういう気持ちなんですかね?実際自分たちが思っていた自分たちの感覚とみんなの考えの違いを感じていますか?

桃野「今までこれほどまでに周りの人の意見を聞くことがなかったんで。嬉しいことやら、嬉しくないことやらを言われてきた上で、結局は自分次第だなって。そういうことなんだなっていうことは改めて認識しましたね。結局“自分らはどうなんだ?”っていうことを知るきっかけになりましたね。で、改めて“根っこの部分をしっかりしないと”という風になりました。まあ僕らはしっかりと根っこの部分を持っている上で、それでの周りの評価という形だからあまり気にしないんですけど…。いや、嘘です。やっぱりめっちゃ気になりますけど(笑)。なんか嫌な言葉を読んだり聞いたりすると凹みますけどね。やはり。でもそんなような言葉に左右されて音楽は作らないですし。ま、そういう意味では切り離してますけど。でもやっぱり凹むこと言われると凹みます…(笑)」

-現時点で、monobrightのことを凹ませるようなことを言う人は少数なんじゃないですか?

桃野「いや。褒められても、“ほんとか?”ってなりますからね」

-そこまで悲観的になって思いつめなくても…(笑)。それよりも強い言葉を最後に頂きたいです! “他の人に何を言われようが、俺らには根っこはあるぜ!”という力強い意思のもと、monobrightのみなさんに、“俺たちはコレだぜ!”的な言葉をどーんと最後にお願いいたします!

monobright
松下「そろそろというかもう終わりだよ、滝口(笑)。なんか言わない?」
瀧谷「そうですね。このアルバムを聴いてもらえればわかるんじゃないですかね。はい…。すみません…」
桃野「すみません…。ってなんで謝ってんだって」
全員「(笑)」
桃野「まあでもそういうことですよ。はい。その、みんなにどうだこうだと僕らから言うよりも、この1stアルバムを聴いてもらって感じてもらって、みんなから出てくるものが僕らなんで。これを聴いてもらって、好きだ嫌いだ言われてもこれが僕らなんで。とりあえず試聴でも買って頂いても何でもいいのでとにかく聴いてもらえればmonobrightがわかりますということです!よろしくお願いします!」


 

 |  1  |  2