Tuesday, June 27th 2006

ゆーきゃん「sang」リリース記念特別対談企画
  「ゆーきゃん×岸田繁(くるり)」対談」
岸田繁

―インタビュー続き―



-引き続きファンの方からの質問を行かせていただきます。
「ゆ-きゃんさんが岸田さんに岸田さんがゆ-きゃんさんに生まれ変わったとしたらどんな曲を歌いたいですか?具体的にお相手のこの曲ってな感じでもいいです! (NICK)」。
ということですが、これは難しいですかね?



岸田「それは、一日だけボディが入れ替わるとかでもいいですかね?」



-それ、面白いですね!では質問を変更して、岸田さんはゆーきゃんさんに、ゆーきゃんさんは岸田さんに入れ替わることが出来る。しかし、いまから24時間限定!という条件付きで。では、岸田さんがゆーきゃんさんに入れ替わったら何をしますか?



岸田「そうですね。僕はまず、散髪屋に行って頭を丸坊主にしてやりますね」
ゆーきゃん 「僕も真っ先にそう思いました」
全員「(爆笑)」
岸田「それでライブのステージに上がって、それで俺の知らんコードとかをゆーきゃんは知っているから、これを機会にフリーのインプロビゼーションとかをやって。で、失敗とかして。罪悪感を感じたりしてね(笑)」
ゆーきゃん 「(笑)。僕はなんやろな…。くるりのペンタトニック・スタジオに行って、置いてあるギターを全て弾きまくるとか?(笑)」
岸田「あー、なるほどね。別にいつでも弾かせてあげるよ(笑)」



-何度かペンタトニック・スタジオには足を運んだことがあるんですか?



ゆーきゃん 「一度だけなんですが。たくさんギターが置いてあって。凄いなぁと。だから、もし入れ替われるのならば、スタジオにあるギターを、ケースに入っているギターも全て取り出して、取り敢えず並べて鑑賞してから弾く…」
岸田「『ギター・マガジン』みたいなこと?あの、自分のギターを扇形に並べて自慢するような?(笑)」
ゆーきゃん「そうです(笑)。あ、あの岸田さんってダブル・ネック・ギター(主に6弦ギターと12弦ギターを合体させた物。公の場で初めて使ったのは、かのレッド・ツッペリンのジミー・ペイジと言われている)って持ってないですよね?」
岸田「無いよ。ていうか、それこそこの前まで『ギター・マガジン』で何ヶ月間か連載のページを頂いてて。そこで、変なヴィンテージ・ギターを演奏するっていう企画があって。そん時に、ダブル・ネック弾いたんだけど、良かったよ。『天国の階段』(レッド・ツッペリン)を弾いたんやけど。ジミー・ペイジの真似をしてね。“ふーん”みたいな(笑)。でもすぐ飽きちゃって、ツイン・リバーブ(ギター・アンプの名前)に繋いで、リバーブをどーんと上げてね。音歪ませんで、クリアな音で。で、一方のネックの弦をオープンチューニングにして弾いて共鳴させてって。新たな奏法を思いついたりして面白かったけど高くて買えへんかった」

ゆーきゃん「でも岸田くんがダブル・ネック持ったら面白いですよね?」
岸田「いやぁ、あれは肩凝りにはきついっすね。重たいし、バランス悪いし。唄う人は無理やわ」



-チープトリックのリック・ニールセンが使っていた「5ネックギター」とかもありますよね。



岸田「それと、スティーブ・ヴァイのとかもね(笑)。ていうか僕、ギター・マニアでは無いんですが、結構ギターに関しては食い散らかすというか浮気性なもんで。大概の種類は抑えているんですよ。なんかギター自慢してもしょうがいないんですが、一番高いギターは、テレキャスターのオールドのビンテージ物で。凄く気に入っているんですけど、結局、くるりを結成して初めてのライブで使った、佐藤くんのお父さんから借りたストラトのギターに落ち着いてしまうんですよ(笑)。で、たまに佐藤くんのお父さんにライブ終わってから会場で会うと、“今日もストラト、ええ音してたなぁ!”って(笑)。で、“いえいえ、すんません。そのうちお返ししますんで”って言うんやけど、“ええって!ええって!使こうたって!そのうち、なんや、『なんとか記念館』とかに飾っとってくれればええんやから!”って(笑)。ていうかね、そのお父さんはね、佐藤くんがおじさんになったらそうなるだろうっていうぐらいそっくりのお父さんでね。そのまんまなんですよ(笑)」



 

ゆーきゃん


-せっかく佐藤さんの話が出てきたので、本日は残念ながら同席出来なかった佐藤さんの人柄などを、ゆーきゃんさんの視点から語ってもらえますか?



ゆーきゃん「佐藤くんは、面倒見がいいですよね。『みやこ音楽祭』の川崎クラブチッタのライブが終わった後に打ち上げがあって。その後“カラオケに行こう!”ていう話しになって。僕、全然カラオケ唄えないんですけどとりあえず付いていって。その時に佐藤くんがみんなの面倒をずっと見ていたんですよ。そしてその翌日、ノイズ・マッカートニーのレーベル・ナイトがあって。その後に高円寺でお客さんを交えて打ち上げをやったんですよ。で、僕らは京都から来てたんでその日の内に帰らなければいけなくて、夜の2時ごろに帰ったんですが。その後に、お客さんが酔いつぶれて大変なことになったらしいんです。その介抱を佐藤くんがしていたという話を聞いて…」
岸田「ていうか、それは、そのお客さんが女の子っていうのもあったし(笑)、彼はカラオケと酒が大好きやからね(笑)。人を喜ばすというよりかは、“結局お前が唄いたいんやんけ!”っていうぐらい独り占めしますから。ま、俺も好きなんですけど、あいつはほんまにカラオケ好きですね。尾崎豊の『卒業』とか唄われると長いし嫌じゃないですか。それでも彼は平気で唄いますからね。高い声で(笑)」
ゆーきゃん「そういえば、佐藤くんが唄う『東京』を聴きましたよ、僕(笑)」



-それはかなり貴重なんじゃないですか?



岸田「いやいや。あの人くるりの曲、平気で唄いますからね。俺より上手いんですよ(笑)。実は「ワルツを踊れ」がリリースされた後に、映画「天然コケッコー」の主題歌「言葉はさんかく こころは四角」をリリースするんですが、そのカップリングの曲で佐藤くんがリードボーカルを務めている楽曲を収録する予定なんですよ。その曲が滅茶苦茶テンション高くて…。最初僕がぼそっとした感じで唄ってたんですけど、なんかまとまりが付かなくて。プロデューサーが、“(佐藤)征史、お前がオクターブ上げて唄え”って言い出して。それで“はいOK!”ってなってね」


岸田×ゆーきゃん
 



-それではファンの方からの最後の質問を。
「お互いに、相手の洋服をコーディネートするとしたらどんな格好をさせますか、してほしいですか?(Apollo Choco)」

岸田「なるほど。これは面白いですねぇ…。ゆーきゃんは、コスプレが好きなんですよ。何かイベントがあると毎回色んなコスプレをするんでね。冗談で。OLの格好していたりとか…。だから、たいがいの格好はしているんでねぇ…。この人がしなそうな格好かぁ…。ん…(と言いながら、となりのゆーきゃんをじっと見つめる)…。あれだ、“全身、ナンバー・ナイン”とか“全身、アンダーカバー”とか。一回そういう格好をしてもらって、横で“ぷぷぷ”って笑っていたいっていうのはありますね(笑)
ゆーきゃん「俺、間違いなく友達に嫌われますよね(笑)」
岸田「そうそう。そういうところも含めて一度見てみたいな」
ゆーきゃん「僕はなんだろうな…。岸田くん…。素浪人ですかねぇ。素浪人。映画とかに出てくる…」
岸田「あー。なるほどね。やってみたい…(笑)」
全員「(爆笑)」
ゆーきゃん「では取り敢えず映画村で」
岸田「映画村でね。そうそう、僕時代劇が好きでねぇ。一度出てみたいんですよねぇ。役者やらないですけどね。出てみたいんです。“おう、お主、何やつだ?”ってやってみたい(笑)。では、ゆーきゃんは、“全身、ナンバー・ナイン”の格好をしてね。あの、よくいるスタイリストさんみたいに財布のところからえらい長いチェーンみたいのをぶらぶらさせているような格好して。それで僕は素浪人の格好で(笑)」



-(笑)。話が尽きないところ申し訳ございませんが、そろそろとういことで。最後に、岸田さんの方から、ゆーきゃんさんのアルバム『sang』への推薦コメントを頂きたいと思います!



岸田「えっと…ですね…。この間ですね。その、東京FMのラジオ番組『DISCORD』に出たときですね。リスナーの方から、“音楽が嫌いになりそうになるときがある”というようなコメントを頂いたんですよ。で、ちょっと、“はっ?”っと思ったんですよね。“なんでこの人はこんなこと言ってるのかな?”って思ったんです。でもね。おそらく、街の中にノイズが溢れすぎていて、聴きたくないモノまで聴かされてしまうから、しょうがないのかなって。自分が楽しみたいときぐらいは無音で楽しみたいって思うのかなぁって。実際、僕、東京にいると音楽聴かなくなるんですよね。特に今、プロモーション活動中ですから。渋谷行ったり、六本木行ったりするじゃないですか。そういう街にいるといっぱい音を浴びるから、一人になって時間が空いたときくらいは音楽聴かへんでもいいかってなるんですよね…。そういう人にこそこの、ゆーきゃんのアルバムを聴いて欲しい。それが『sang』というアルバムなんですよね。このアルバムには、“音楽ってなんなのか?”っていう答えのひとつがあると思うし…」
ゆーきゃん「…いやぁ、ありがとうございます…。あのやっぱり僕の作品は、この『sang』は、音楽でしかない、音楽以外の何モノでもないものに仕上がってるんです。音楽と思わなくても自然に音楽になっているという自信はありますので…。岸田くんが言ってくれたことはとても嬉しいです…。是非聴いてください!」


Photo by Tetsuro Sato


Axe Riverboy / Tu Tu To Tango


ゆーきゃん / sang

21世紀の京都ポップス

 常にエキサイティングな音楽、アーティストを輩出し続ける関西アンダーグラウンドの震源地、京都で現在(いま)注目を集めているのがシンガーソングライター、ゆーきゃんである。彼の最大の魅力はその歌声。初めて音を聴いた時、彼の繊細で、ささやくような歌声を聴いて"ゆーきゃん=女性"と勝手に思い込んでしまったほど。
  この天性の歌声と絶妙な調和がとられた"his best friends"のジャジーでAORチックなサウンドがまた秀逸で、ジャケット写真のような淡く光るネオンに包まれた真夜中の街の情景が浮かび上がってきそうな、21世紀の京都ポップス。なるほど、ゆーきゃんが奏でる音楽に岸田くんが心奪われるのも思わず納得していしまう作品『Sang』

 

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