2007年6月19日 (火)

町田昌弘、対談企画「here,there,everyone!」第3弾!最終回!
  「町田昌弘×中村一義(100s)」
町田昌弘、真剣モード!
町田昌弘、真剣モード!

―インタビュー続き―


-町田さんの前作である『キャスバル』にもゲスト参加した中村さんにとって、今作の『here,there』に至った彼の成長というか変化を感じ取った部分はありますか?


中村「そうですねぇ…。『キャスバル』は音を扱わなければいけなかった作品だと思うんだよね。みんなで音を鳴らしてさ。で、今回の作品は…身も蓋も無い発言になっちゃうかもしれないけど…音を鳴らさなくても他の表現方法があったかもしれないって思うくらい、町田昌弘の“個”が在るんだよね。で、その“個”を出すには音楽が必要になってしまったというくらい“個”が溢れかえっているアルバムなんだよ。結果的に『キャスバル』は音で遊ぶというか、音ありきというか、音の“Fun(ファン)”の部分が出ているアルバムだったから」
町田「そうなんだよね。だから今作は『町田昌弘』とうい名義で出そうという決意に繋がっているんだと思う」
中村「うん。アルバムを通して聴いて、“あ、これは『町田昌弘』名義でよかったんだ”って俺も思えたし。ていうかさ、覚えてる?『キャスバル』のときも、“『町田昌弘』名義のほうがいいんじゃないの?”って言ったの(笑)」
町田「そうだよね(笑)」
中村「それはなんでかというと、早く自分に会って欲しかったんだよね。だからそう言ってたんだよ」
町田「いやぁ〜。『キャスバル』創っていたときって凄く自分に臆病だったというかね。自分に会わなきゃ会わなきゃって…思いつつも…っていう作業をずっとしていたのかなぁって思うよね」
中村「でもこんないい形で自分と会うことが出来たんだからね。願ったり叶ったりでしょう(笑)」
町田「かなり苦労したけどね(笑)」



-先ほど“100sの現場に『here,there』 のことは持ち込まない”って町田さんは言っていましたが、中村さんの目から見て、町田さんが『here,there』を創っているときの苦悩などを多少なりとも100sの現場で垣間見ることは無かったんですか?



中村「いやいや。本人が見せていないつもりでも、話していないつもりでも、見えてましたよ。これほどわかりやすい、見えやすい男はいませんからね(笑)」


-それは町田さんからすると“見られてるんだろう なぁ…”っていう感じだったんですか?


中村「そんなのわかってるよね?」
町田「いやぁもう、こと100sメンバーには見られているっていうよりも、もう見透かされてるっていうのはわかっているから逆に気にしないって感じですよ。あからさまにはしないけど」
中村「逆にあからさまに隠してたら100sが成り立たないっていうかね。それだけ100sはリアリティに満ちているっていうか」




-改めて、ここで自分自身でこのアルバムをさらに振り返ってみてもらえますか?




町田「そうですね…。相手に向けて言える音楽が出来たなっていう作品なんですよね、この『here,there』は。歌詞の中にも、“君”って入れるにしても、自分が見えていなければ出てこないし出しちゃいけない部分だと思うし。それが自分が見えてない人から出てきてるとすごく嘘っぽく聴こえるんだよね。“自分のことわかってねぇくせに、それじゃ相手にも伝わんねぇだろ”っていうね。だから、今回、歌詞を書いていて、“君”っていう言葉が自分から出てきたときに、“うわぁ!俺、君って書いた!”って。で、なるほどって思った。本当に他者に向けられた自分の思いを見せることが出来たんだなって」
中村「今の時点での“君”だよね」
町田「うん。“君”に向けられる音を作れたのはでかいなぁって。あと、カズにお願いしたように、小谷美紗子に『言う 愛』という曲で、“…言う 愛”って唄って欲しかったんだよね。彼女が唄うことの意味が俺の作品の中で重要であって。それは他のゲスト参加アーティスト全ての人にも言えるんだけどね…。それと、アルバムタイトルの話になっちゃうんだけど、楽曲が全て出来上がったときに、“さあ、アルバムタイトルなににしよう”ってなって…」
中村「タイトル、いいよね。『here,there』って」
町田「ていうかね、ぶっちゃけタイトルなんてなんでもいいと思ってたんだよ。ここまで音を創って表現出来てれば、タイトルなんてどうでもいいやって思ってたんだけど、やっぱり、なんかね、“ここ”と“そこ”なんだって。“ここ”と“そこ”の関係性ね」
中村「“僕”と“君”っていうね」
町田「そうそう」
中村「だって世の中なんて“僕”と“君”で出来上がっているようなもんだからね。イコール、“世界”なんじゃないのかな」
町田「そう。それとね、“ひとり『OZ』”みたいな感覚でもあったかなぁほんと。作り続けていく過程で、1枚1枚服を脱がしていく感じだったね。もう自分自身に向かって、“お前、寒いからって服着てんじゃねぇぞ!”みたいな(笑)」
中村「いやいや、寒けりゃ着るだろう(笑)」
町田「いやいや(笑)。“てめぇ、正体見せろよ!”ってな感じだったんだよ。そうやってどんどん剥ぎ取って行ったら自分の“核”がすげぇちっちゃかったんだよね。それで“俺、ちっちぇ!”って思った」
中村「大丈夫だって。剥いたらなんにも中身がない人だっているんだから(笑)。居ただけでも良かったんだって(笑)。それを確認できただけでもめっけもんだよ」
町田「でもねぇ。ほんとちっちゃかったからね。で、そっからは“どんな服を着せて行こうか?”って作業で。自分の“核”にフィットしたものをね。勝手に着せられるわけでもなく、飾られるわけでもなく、自分に合ったものを、色っていうか、どんどん足して行く作業だったんだよね…。例えて言うなら、そのちっちゃな自分の“核”というか“個”を真っ赤に塗りつぶした後に、“やっぱり赤じゃねぇや”って思ったらまた全部消して、青を塗って、で、また、“青でもねぇ”って思ったらまた消して塗ってっていうのをどんどん繰り返して行って…。それを振り返ると、『OZ』の制作活動に似てたなって思った」
中村「その“やっぱり赤じゃねぇや”って思ったときに、他の色に全て塗り替えるスキルっていうのがまっちぃの中で伸びた証拠だと思うよ。“自分の正体が何者か?”を知るのに、普通はどこまでやっていいのかわからないじゃない? “どこまで見ればいいのか?”ってさ。そう考えると、今回まっちぃはそこまで辿り着いちゃったんだよ。だから、凄いレベルで釣り合ってるんだって、自分の中身が(笑)。その“塗り返す”というスキルと、“俺、ちっちぇ!”っていうのを認めているっていうところがね」



 

町田昌弘を語る!
町田昌弘を語る!


-そういったところも含めて、中村さんから見て、初めて知り合った頃の町田さんと今の町田さんを見比べて見て変わったところってありますか?




町田「ちなみにトム(玉田豊夢)は、“やんちゃさがなくなってきた”って言ってた。“大人になってきた”って」


-そうです。逆に町田さんから見た玉田さんが、“俺トムが最近、暴れん坊になっている気がする”と言ってましたよね?



中村「え!トムくんが?暴れん坊?(笑)乱暴?(笑)」
町田「ドラムプレイが、だからね(笑)」

中村「あれだ。スネアで喋る機会が多くなってきたってことだ(笑)」
全員「(爆笑)」
町田「それもそうだなぁ…(笑)。ていうかそれだけじゃなくて、一時期は大人なドラムを目指してたけど、最近敢えてアグレッシブな叩き方をするようにしているってこと。本人も認めてたからね」


-えっと、対談第1弾から抜粋します。「30前後でちょっと大人な感じに行こうと思った時期があったんだけど、“こりゃいかんいかん”みたいな(笑)。老けたらまずいなと思いはじめて、めちゃ太いスティックとかに持ち替えたりしてね(玉田豊夢)」ということです。



中村「ほー。若返り?アンチエイジング?(笑)」
町田そうそう(笑)。ていうか俺の話だってば!」
中村「あーはいはい。まっちぃは変わってないんじゃないの?(笑)ていうか俺から見てるとどんどん“幼時返り”していると思うんだけど(笑)。“赤ちゃん返り”!」
全員「(爆笑)」
町田「なんだよ “赤ちゃん返り”って!」



-“赤ちゃん返り”とは、例えば、5歳くらいの子供が、弟や妹が生まれると、親がそっちに手がかかって、それに嫉妬するような感じで、自分も弟や妹のように赤ちゃんみたいに振る舞って親の気を自分に向けようとすることを“赤ちゃん返り”といいます。



町田「え!それが俺なの?」
全員「(大
爆笑)」
中村「いやいやそうじゃないって。その表現は例え話としてね(笑)。俺だって人のこと言えないところたくさんあるしさ(笑)。だからね〜。変わってないと思うんだよね〜。まっちぃは。昔と比べても…。ていうか俺ってさ、表面というか被っているものを排除して人を見ようとするから。人のコアしか見ないからさ、基本的に」
町田「それがねぇ。時として怖いんだよねぇ(笑)。でも100sの音楽を聴いている人はね、凄いものを受け止めていると思うよ、ほんと。それに自分だってね、100sのレコーディングやライブをやるようになって、凄いもんを得たもんね。相当の覚悟がないと出来ないっていう。だから、最近どこの現場に行ってもそうなんだよね。どんなレコーディングに行ってもね、昔に比べたら想像できないくらいに気を入れてぶわぁ〜と音を出す感じだからね。それが普通になっちゃってるから」
中村「いいことじゃん! だってさ、“100s以外の現場のまっちぃってテンション下がってるんだよねぇ”とか言われたら嫌でしょ?(笑)」
町田「そうなんだけどさ。100sやる前はもっとわがままだったんだよね。“わがまま”っていうか自分勝手に近かったというか。まあ、俺は“わがまま”っていう言葉をいい言葉だと思って使っているんだけど。でもそれよりも自分勝手だったね。“自分の音さえ出してりゃどうでもいいや”みたいな。でも、26歳から100sやって…。まあ本当は昔から、“自分のコアを見たいんだ”というのがあったんだけど、そういうのを見ようとするとなんか違うっていうような、なあなあでやって行こうという人間関係の中で過ごしていたっていうか、そういう世界にいたからさ。でも100sに入ってみたら、“あ!見ちゃっていいんだ!”みたいな。“そこまでやっていいんだ!”ってね」
中村「でも“これはやっちゃだめ!”みたいのもあったりしてね(笑)。“あれ?世の中と違う!”みたいなね(笑)」
町田「ほんとだよ(笑)。全然世の中と違うんだもん(笑)。それまではさ、“浮かないように、浮かないように”って過ごしていたからさ。だって、“俺のコアはこうなんだ”っていうのを見せると、浮いちゃうんだよね、大多数の社会の中では。で、浮くのって怖いじゃん?凄く孤立させられるわけだしね。だから、なるべく“浮かないように、浮かないように”って生活してきてた。でもそれって凄くフラストレーションが溜まるんだよね」
中村「いやぁ、そこはあんまり深く考えないほうがいいよ。落ちたとき大変だよ(笑)」
町田「でも、100sは6人みんながいびつだったっていう」
中村「みんな生々しいからね」



濃密な会話。信頼の証
 
濃密な会話。信頼の証。




町田「そういえば、小野さん(小野眞一)とはじめて飲みに行ったときに、すごい衝撃だったからね。あそこまで自分をさらけ出して酔っ払う人をはじめてみたからね!」
中村「……(笑)」
町田「なに?いけないこと言った?って」
中村「そういういびつさもあるけどさ(笑)。また違ういびつさじゃんそれって(笑)」
町田「いやぁ、それが心地よかったんだって(笑)」
中村「なるほどね。あそこまで酔っ払える人がいれば俺も安心だ、っていう感じか(笑)」
町田「そうそう。でも、振り返れば100s結成前に、玉田豊夢と山口寛雄という2人に会っていたからね。あのいびつな2人と。けど、あの2人とがっつりバンドを組むのは100sが初めてだから、それも必然だったのかなって思うんだよね。浮きまくりの2人と。俺の中の、浮きまくっていたわがままさも100sに出会ってさらに覚醒されたものだし…ただの自分勝手ではないわがままを…うん…それが時を経て、100sをやり続けて、まさかこんなソロ・アルバムをリリースするなんてところに辿り着くなんてね」
中村「そして“こんなちっちゃな自分に気づくとは!”ということだよね」
町田「ほんと、ちっちゃかったなぁ…。でも重かったから。吹いても飛ばないちっちゃい自分がいたから」
中村「うん。俺たちから見るとさ、まっちぃはまっちぃだから。やんちゃさも含めて。で、そのまっちぃが、どういう風に動こうが、どういう風に決断しようが、ちっちゃかろうが大きかろうが、そういところを含めて、好きだからね、まっちぃを。これからも好きだし。言うなれば、俺らが見てたまっちぃいにまっちぃ自身がやっと会えたということで。ね?(笑)」
町田「ありがとうございます…」
中村だって、池ちゃん(池田貴史)ともいつも言ってるんだよ。あの勢いは絶対に真似出来ないって
。がーっと行くときのあの勢いは凄いって(笑)。“あ、まっちぃが行った!”って(笑)。大体そういう時は自覚症状が全くないんだろうけど」
町田「わからないよぉ。例えばどんなとき?」
中村「それは言えない(笑)」
町田「なんだよぉ…」
全員「(爆笑)」
町田「まあ、知りたいのは山々だけど教えてくれないのもわかってるからさ。それこそ自分で見つけていかないといけないって思っているから、別にいいさ…」
中村「それが楽しみでしょう?俺だってそうだもん」
町田「そうだよ。うん…。でもなぁ、逆に考えて、カズ自身が知らなくて俺が知っているカズのことはなんだろうなぁ…。言えるけどなぁ…。これは10年経ってから話をすることにしようかな(笑)」
中村「(笑)。そんな10年やそこら経った後に話したって変わってないって。これ以上の話はもういいでしょ?一応メンバーにも人権っていうのもあるんだから(笑)」
町田「まあ、そうだね(笑)」
中村「幕末の武士の高杉晋作がいいこと言ってるじゃん?“難は共有できるけど、冨とか名声は共有できない”ってさ。そういうことだって。俺たちが“音楽”やってる限りは“難”なんだからね。難しいことだらけだって。わからないこともあるし。でもその“難”を僕らが楽しめるのは、“戦”をやっているわけじゃなくて“音楽”をやっているからなんだよ。その“音楽”というところで俺たちは繋がっているんだからさ。それで十分なんじゃない?だからさ、もし、みんな“音楽”を辞めてしまったら…。そんな時が訪れたら色々と暴露話しをしてみようよ!」
町田「なるほどねぇ。それじゃ一生暴露話しをすることはないだろうね!」
中村「そういうこと!」
全員「(爆笑)」


Axe Riverboy / Tu Tu To Tango


町田昌弘 / Here, There

 100sのギタリスト、“まっちぃ”こと町田昌弘の、“キャスバル”名義によるソロ・プロジェクト以来の待望のソロ・アルバムの完成!
100sのメンバー、中村一義、池田貴史、小野眞一、山口寛雄、玉田豊夢をはじめとして、海北大輔(LOST IN TIME)、櫻井雄一(ART-SCHOOL)、宇野剛史(ART-SCHOOL)、小谷美紗子、TOMOTOMO club(THE BEACHES)、r.u.ko(THE BEACHES)という顔ぶれが、彼の熱き人望のもとに集い完成された7曲入り、軽快かつ濃厚な音楽愛溢れる作品です!

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