-今回の「here,there」のレコーディングは、久しぶりに100s以外で一緒にレコーディングしたんですか?
町田「いや。最近も他で一緒にやってもらっているから、そんなことないですね。僕がプロデュースするアーティストとかの時は基本的にトムですからね、ドラムは。それと、この『here,there』のアルバムに参加しているベースのヒロ(山口寛雄、100sのベーシスト)もね(笑)。いやぁねぇ、この2人のリズム隊は強力すぎて…。なんかこう、替えがきかないというか。ほんとにいないと困るんですよ、非常に。だから今回の『here,there』も、本当にありがたいかぎりでねぇ…。この玉田豊夢という男の技量、スキル。やはりたまらんな、と。楽だな、と思ってしまったわけです(笑)。」
玉田「…(苦笑)。ていうか、最近のまっちぃはさ、大人になってきたよね?さすがに(笑)」
町田「さすがにって!(笑)」
玉田「昔は相当“暴れん坊”だったけど、最近いい感じに落ち着いてきたよね」
町田「ほんと?ていうかその“暴れん坊”っていうのはどういう意味で“暴れん坊”なのよ?」
玉田「性格とかもそうだし、100sのメンバーにしょっちゅうちょっかい出してたじゃん?でも最近そういうのも無くなってきてるし(笑)。なんか、それ見て“あれ?なんか歳とって来たのかな?”って思うようになった(笑)」
町田「違うって!みんなをかまう気力が無くなってきてるだけだって(笑)」
玉田「いやいや。そういうのがね、いい感じに劣化してきてるんだよね(笑)。いいんじゃないかなってね」
-それを感じはじめたのはいつぐらいからなの?
玉田「30過ぎてからかなぁ?(笑)ギタープレイ的にも本人が言っていたんですけど、昔はギターをプレイしていて“前に!前に!”って感じが気持ちよさそうだったのが、だんだんとドラムより後ろに行くようになって、それが気持ち良くなってきたって言いはじめて…」
町田「そうそう。最近ギタープレイに対して凄く顕著なんだけど、意識しないと前に行けなくなってきているんだよね(笑)。でも今はね、昔だったら我慢しないと行けなかったタメのギターとかに自然に行ってしまうようになってる。でもやっぱり、僕は基本的に“ギターは前であれ”という風に思っているから。リズムよりもちょっと走っているくらいのギターのほうがかっこいいと思っているから。そういうつもりでやっているんだけど、最近自分が遅くなっちゃったから(笑)。“あれ?ここが一番気持ちいい場所だったっけ?”みたいな(笑)。“これはやばい、歳だ!”みたいな(笑)。ていうかね、俺からすると、逆にトムが最近“暴れん坊”になっている気がするね」
玉田「そうだね。僕は逆に、30前後でちょっと大人な感じに行こうと思った時期があったんだけど、“こりゃいかんいかん”みたいな(笑)。老けたらまずいなと思いはじめて、めちゃ太いスティックとかに持ち替えたりしてね(笑)」
町田「なんか強力なフィルを打ち出す回数が多くなった気がする」
玉田「それはあるかも。前はちょっと中途半端というか。意識していなかったところも叩いていたりしたんだけど、最近は自分の中で明確になっているものを出そうとするのが多いからね。意識的に強くみたいな」
-ということはお互い30歳を過ぎてから“暴れん坊”の度合いが上手くすり替わってバランスが取れてきた感じなんだね。
町田「そうそう(笑)。なんかね、昔はね、5-6年前はね、トムがびしっとタイトで大人なドラムを叩いていたからこそ俺が“暴れん坊”ギターを弾けていたという。それで成り立っていたっていうのがあった。そう考えると今あの当時のままのギターでトムとやっていたら合わなかったかもね」
-でもそれは話し合いのもとそうなったわけではなく、自然にそうなったんですよね?
町田「うん。そう。でも俺はトムといっぱい話ししたいんだけどね」
玉田「(笑)」
町田「俺は話ししたいけど話す機会がない(笑)。でも一緒にプレイしていればね、話す必要もないんだけどね。話さなくてもね。音出してればね、わかるもんだからね。でもね、俺は、もっと、トムと話が、したい…(笑)」