-玉田豊夢さんは基本的にヴォーカリストというものを重要視しながらドラムを叩くというスタイルであると思うのですが、“ヴォーカリスト、町田昌弘”のバックでドラムを叩いてみた感想は?
玉田「実はまっちぃをヴォーカリストとして意識したことは無いんですよね。ギタリストとして知り合って一緒にプレイしてきているから。まっちぃが唄ってるんだけど、他のシンガーソングライターとかヴォーカリストの人のバックでドラムを叩く感覚とは違うんですよね。独特というか特殊ですね」
町田「一緒にものづくりしている感があるしね。14年来の付き合いもあるしね。そして、ドラマーとしての玉田豊夢というよりも、人間としての玉田豊夢を必要としてしまうんですよね、僕は。やっぱり必要不可欠なんですよ。どんな状況でも、どんな作品でも、最初に音を出すのはトムなんですよね。そこが決まらないと先に進めない。その後に、じゃあベースどうしようかとか、鍵盤どうしようかとか…。もっと凄いこと言っちゃうと、トムのドラムによってメロディーラインが変わっちゃいますからね。うん。歌詞も変わってしまうときもあるし。“このドラムパターンをやって”って指定することが多いんですけど、それをね、俺の頭の中で鳴っていっるパターンを超える音を出すときもありますし。だから本当に信頼しているというか。ほんと、“俺のわがままを聞いてくれる”という感じかな、やっぱ(笑)。ていうかさ、改めてなんだけどさ、トムはこの『here,therer』というアルバムを聴いてみてさ、どうなんだい?」
玉田「いやいや、結構俺好きだよ。来たね」
町田「来た?」
玉田「うん。結構来た(笑)。あのTHE PRETTY SIDE MOVIEのころからね、こう色々と積み重ねてきてね。凄いと思うよ」
-THE PRETTY SIDE MOVIEというのは?
町田「THE PRETTY SIDE MOVIEは、24-5歳のころに2年ぐらいやっていたバンドで、THE BEACHESのTOMOTOMO clubがベースで、トムがドラムで、俺がギター&ボーカルをやっていたバンドなんです。はい。その頃からだよね?俺が曲を作ってギター&ボーカルをやってトムとバンドをやり始めたのは。それを経て、トムが、中村一義の2001年のサマー・フェス出演のメンバーに誘ってくれたという感じでね。でも今振り返るとそれからの伸び方、2人の伸び方は凄かったよね?改めて考えるとやっぱり100sって凄いよね。ほんと。今まで見えなかった世界も見えてきたし、自分がやれることもたくさん見えてきたし、足りなかったことも見えてきたしね」
-今でも演奏をしているときに、THE PRETTY SIDE MOVIEをやっていたときの感覚とか、初めて出会った14年前のこととかが蘇ってくることとかはあるんですか?
町田「そうですね。僕はトムと演奏しているときは常にそういう感覚があるんですよね。スネアが一発入っただけで“昔だったらそこでスネア入らなかったのに、ここで入るか!”みたいな(笑)。きっと俺のギターもそうだと思うんだよね」
玉田「そうだね。“昔のまっちぃだったらそうは弾いてないな”っていうのはある。音色にしてもグルーヴにしてもね」
-なるほど。先ほどからまっちぃから“トムくんはかけがえのない存在だ”“必要不可欠な存在だ”という言葉が沢山出てきているんですが、トムくんから見たまっちぃはどういう存在なんですか?
玉田「よいしょするの?ここで?」
全員「(大爆笑) 」
玉田「いやいや、やっぱおんなじですよ。やっぱかけがえの無い存在ですよ。ヒロもそうですし。やっぱでかい存在ですよ。単純に付き合いが長いっていうのもあるけど、でも、ね?こうやって、ね、“10何年も一緒にやんねぇだろう、普通?”ていうね(笑)。普通だったらこういう人には出会えないじゃない?だって、東京に出てきて一番初めに出会ったのが、まっちぃとヒロだからね。それがここまで繋がっているんだからね」
町田「トムが大分から東京に出てきて。同じ専門学校に入ってね。最初に生徒研修というか、“初めまして、仲良くなりましょう研修”みたいのがあって。そん時トムは一人も友達いなかったんだよね?」
玉田「そうそう(笑)。友達がいなくて。で、その研修の場所に行くバスの中で、一人ずつ自己紹介をしていって。そこで俺が、“玉田豊夢です。えっと、ジャズからロックまでなんでもやりますんで、一緒にセッションしましょう”って言ったら、バスの一番後ろに座っていたまっちぃが、“イエイ!”って言ってくれたんですよ(笑)」
全員「(大爆笑) 」
玉田「それで、部屋に行ってね。まっちいがあれだ、あの…」
町田「ファイル!あの、トムがね、自分の持っていたファイルに自分の好きなドラマーの切抜きを貼っていたのを見て俺が反応して。それで俺からトムに、“君、なんていう名前だっけ?玉田くんって言うんだっけ?”って話しかけて(笑)。“どのドラマーが一番好きなの?”みたいな(笑)。そこから始まった感じですね」