DJ 3000 来日記念インタビュー掲載

2006年7月27日 (木)

『Migration』 発売&来日記念 DJ 3000 インタビュー


4月末に初となるアルバム『Migration』を日本先行でリリースしたDJ 3000

デトロイトテクノの自律集団Underground Resistanceの急襲DJとして、自身で運営するレーベル<Motech>のオーナーとしても活躍する才人。

そのDJ 3000が7月末から8月いっぱいまで来日。全国をツアーし定評あるDJプレイを披露してくれます。

アルバニア移民の子、白人であり、Hamtramck育ちというURのなかでも他にないルーツを持つ彼に、アルバム『Migration』完成にともないうかがった話をお届けします。


DJ 3000
…Submerge Official Resident DJとしてMix CD『Somewhere in Detroit Mix』で2003年デビュー。同年、自身のレーベル<Motech>を立ち上げ、現在までに8タイトルをドロップ。さらに04年からはSubmerge Official Residentの称号に加え、URオフィシャルDJ となり『Electric Soul』『True Colors』『Perseverance』と毎年コンスタントにMix CDをリリースし、「Detroit's Electronic Music Festival-Movement」でもプレイ。その後各国を飛び回り、ここ日本でもそのスキルを存分に発揮している。



『Migration』発売記念 HMVインストアイベント

7/28(金) HMV渋谷店 18時〜
8/4(金) HMV札幌ステラプレイス店 18時〜
8/18(金) HMV三宮店 17時〜
8/25(金) HMV京都河原町VIVRE店 18時〜


Interview with DJ 3000


あなたにとって初めてのアルバムとなった『Migration』はシングルの寄せ集めではない芸術性の高い作品になっていると思いましたが、アルバムの構成などでなにか意識されたことはありますか?

DJ 3000(以下3000):聴くだけじゃなくDJがプレイできる曲の入ったアルバムを作りたかったんだ。アルバムを作っている時は音楽を聴いてくれる一般消費者でDJをやらない人達、それにジャンルやアーティストのことをよく知らない人達のことを考えていたよ。僕のプロダクションや好きな音楽スタイルとは違ったサイドを見せたかったんだ。だからヒップホップやダウンテンポの曲をアルバムに入れたんだ。このアルバムのそれぞれの曲は、作るのにふさわしい気分になっている時やインスピレーションを感じた時に作ったんだ。このアルバムは僕自身や僕の性格を映し出しているもので、リスナーは僕の一部を手にするわけだ。

今作は、デトロイトテクノに新たな息吹を与える作品だと感じました。伝統的なデトロイトサウンドにあなたならではのサウンドが加わっていると思います。『Migration』というタイトルもそうですが、アルバニア移民の子、白人であり、Hamtramck育ちのあなたがデトロイトでテクノを表現するということは、今現在あなたにとってどういうことだと考えていますか?

3000:デトロイトは音楽にとってすばらしい場所で、アーティストや新しいサウンドを常に生み出している。僕だってデトロイトはストレートな4/4テクノミュージックだけじゃないってことを世界に発信しようとしてる一人だ。DweleJay DeeURKDJのようなアーティストもいるし、たくさんのジャズミュージシャンや、すごい勢いでスターになっている新人Jimmy Edgarのようなソウルのアーティストもいる。だからここにはたくさんのサウンドがあるし、それはすばらしいことだ。僕のサウンドは全ての音楽ジャンルに影響を受けているし、僕の家族のルーツや他の多くの国の影響も受けている。そういった僕の音楽を取り込みたかったし、このアルバムはまるで僕が作ろうとしているサウンドの旅のようなものだし、まだほんの始まりでしかないんだ。僕にとってデトロイトは特別だ。サウンドやスタイルもさまざまで、どんなジャンルであろうととにかく聞こえるもの感じるものは何でもデトロイトから生まれたものなんだ。だから僕はここを愛しているし、プロデュースしようというところまで影響されたんだ。



*Dj 3000/Migration
1 Migration(intro)
2 Reflection
3 Sangita
4 Passage To Malesia
5 Long Street
6 Shqipe
7 Stand Alone
8 Scorpion
9 Pipas Poem
10 Electric Soul feat. Diametric
11 Clear Channel
12 Ancestors
13 Tension Theory
14 Tales Of Tarabuka
15 Luk Smajlaj
16 Drume
17 The Arrival(outro) feat. Diametric
18 Kobe City - Hidden and Bonus Track for Japanese Edition

<Motech>から発表してきた楽曲4曲を基本とし、フロアトラックからノンビートの叙情性ある楽曲までを収録。単なる寄せ集めのトラックス集ではなく、芸術的センスを存分に発揮した、アルバムとして聞くに相応しいアーティスティックな仕上がり。





また、アルバニア移民の子であり、Hamtramck育ちのあなたはURの哲学をどう理解していますか?
3000:URの哲学はシンプルだよ。自立と歴史、家族、そういったものは僕にとってとても価値のあるものなんだ。僕らはお互いの家族に深い歴史があるし、僕らの音楽やコミュニティの中にその歴史を生かしていくことの重要性を理解しているからチームとして一緒にやっているわけなんだ。

アルバニア人であるご両親から受けた音楽的影響はありますか?それは今作『Migration』にも反映されていますか?

3000:そうだね。このアルバムを作るにあたってかなり家族から影響を受けたよ。アルバニアのリズムとサウンドとスピリットがアルバム全体に広がっている。パーカッションからボイスや音響効果まで全てに渡って、この音楽の中には現代的な音楽の影響の裏側に何世代もの歴史を聴くことができるはずだ。『Migartion』は何世代も続いた僕の文化の歴史、サウンド、混乱、文化の代表のようなものだ。

盛んなDJ活動で知られるあなたですが、DJでのオーディエンスとの接し方、Mix CDでのリスナーへのアプローチと比べ、このアルバムではリスナーとどうコミュニケートしたいと考えていまか?

3000:DJと音楽を作ることは別々のものだけど、結局はストーリーを語って、聴衆を音楽の旅へと連れて行くわけだから、そういう意味ではDJでもCDのミックスでも自分のアルバム作りでも同じだと思ってるよ。



*DJ 3000 Discography


左から:2005年のMix CD 『Perseverance』/2004年の『True Colors』/2003年の『Electric Soul』/2002年の『Somewhere In Detroit』


*UR関連作


左から:DJ 3000も参加しているUR軍団総出のアルバム 『Interstellar Fugitives Pt.2 (Destruction Of Order)』/98年の1作目『Interstellar Fugitives』/急襲DJとして活躍するDj Dex A.k.a. NomadicoのMix CD 『Invisible Show Case Vol.1: Part One』/Galaxy 2 Galaxy、Los Hermanos、Electrofunkの伝説のライヴを収めたDVD 『Submerge Live In Japan』/『Submerge Live In Japan』 CD版



ダンスミュージックとして影響を受けた作品を教えてください。

3000:Nucleus、Captain RockEgyptian Loverは僕が影響を受けた初期のダンスミュージックだ。僕は子供の頃Bボーイで、ブレイカーの間でこのアーティスト達はとても人気があったし、初めて聴いたときにすごく好きになった。今でも僕のセットではこのアーティストのレコードを入れてDJしているよ。

古い音楽と新しい音楽、どちらに興味がありますか?

3000:古いものも新しいものも両方好きだよ。でも影響を受けたのはジャズやR&Bやソウルや初期のエレクトロといった古い音楽だ。もちろん新しい音楽も好きで、そういった新しい音楽というのも結局は古いジャンルに影響を受けている。だから新しいアーティストがそういった音楽にスピンをかけて、自分のスタイルやサウンドで新しく新鮮に聴かせることができたらいいと思うよ。新しいアーティストとしてはJimmy EdgarJamie LiddelNu-Spirit Helsinki、古いアーティストではJohn ColtraneMarvin GayeやSoul Sonic Force、Nucleus、Captain Rockが好きだね。もうおわかりのように、古いアーティストも新しいアーティストも同じように好きなんだ。

<Motech>も含め今後の予定を教えて下さい。

3000:秋にMotechから更にリリースする予定だし、新しいアーティストもリリースするよ。新人アーティストが2人いるんだけど、ジャンルはテクノ、エレクトロ、そしてダウンテンポだ。楽しみにしていてほしいね。

日本のリスナーになにかメッセージがあればお願いします。

3000:いつもサポートしてくれてありがとう。これからも僕の新しい音楽を注意して見ていてほしいな。次のアルバムもすぐ出るからね。それから、Tokem*も楽しみにしていてくれ。

どうもありがとうございました。

*Tokem…UR041 "Perceprtion"として活躍するChuck Gibsonによるコンセプト・アルバム(この秋リリース予定!)。DJ 3000のほか、Mike Banks、Gerald Mitchell、DJ SkurgeらURのメンバーに加えA Guy Called Gerald、Fablice Ligも参加。『トークンという名の少年が、様々な人たちと出会いながら、抵抗者としてのアイデンティティーを獲得し、音楽統制を企てるという組織と戦う』といったストーリーへのサウンドトラック。


協力:Underground Gallery



*DJ 3000 "Migration" Japan Tour

7/28(金) @Unit(代官山)
7/29(土) @Sound Scape(長野)
8/4(金) @Precious Hall(札幌)
8/6(日) @Club Beeline(富山)
8/10(木) @Sunsui(大阪)
8/11(金) @Club Oneness(熊本)
8/13(日) @Club Chicos(群馬)
8/18(金) @Pi:Z(神戸)
8/25(金) @Japonica(京都)
8/26(土) @Club 4.14(広島)

お問い合わせは各会場、もしくはUnderground Galleryまで。
⇒www.undergroundgallery.jp/




*デトロイトテクノの歴史を収録した至高の音楽ドキュメンタリー 『High Tech Soul』

*Va/High Tech Soul: The Creation Of Techno Music (DVD)
Gary Bredow監督作品。デトロイトテクノの歴史を収録した至高の音楽ドキュメンタリー。Juan Atkins、Derrick May、Kevin Saundersonら「テクノ」を生み出したデトロイトテクノのオリジネイターはじめ伝説のElectryfying Mojo、Jeff Mills、Richie Hawtinらテクノの歴史教科書に載っている大物たち総勢34名が登場する画期的な1作。デトロイトテクノ誕生の背景である80年代デトロイトの模様を知ることの出来る貴重な回顧録。
出演:
Juan Atkins / Derrick May / Kevin Saunderson / Electryfying Mojo / Underground Resistance / Eddie 'Flashin' Fowlks / Richie Hawtin / Jeff Mills / Carl Cox / John Acquaviva / Carl Craig / Stacey Pullen / Matthew Dear / Anthony 'Shake' Shakir / Keith Tucker / Mike Clark / Scan 7 / Kenny Larkin / Blake Baxter / Thomas Barnett / Delano Smith / Mike Archer Derrick Thompson / Alan Oldam / Laura Gavoor / Himawari / Stacey 'Hotwax' Hale / Claus Bachor / Niko Marks / Barbara Deyo / Dan Sordyl / Sam Valenti / Ron Murphy / George Baker / Kwame Kilpatrick
・日本版監修:野田努 日本語字幕:浅沼優子
・初回限定デジパック仕様
・封入特典:「History Of Detroit Techno」ブック (Written by 野田努)




*Moodymann ベスト盤登場

*Moodymann/Collection
デトロイト発、ブラックソウルミュージックの現代最高版、Moodymannのベストといえる1枚が登場。初期から現在までの楽曲のなかから選び抜かれた30曲をミックス仕様にて収録。矢継ぎ早なその展開が黒いソウルを浮かび上がらせます。アナログのみでの発表曲含め、レア化している楽曲も使用。ソウルフルなサウンドからディスコよりの楽曲、もっさりとしたビートにMoodymannらしい教会とハウスを混ぜ合わせたようなその世界観をこの1枚で存分に味わえます。





大特集:デトロイトサウンド
テクノの発祥地であり次々と新しい才能を輩出し続ける「エレクトロニック・ミュージックのメッカ」、デトロイト。Juan Atkinsに始まりDerrick May、UR、Jeff Mills、Moodymann、Theo Parrishら偉大な才能を輩出。全エレクトロニックミュージックファンがマストなデトロイトサウンドを大特集。



*デトロイト系アーティストインタビュー

Gerald Mitchell
DVD 『Submerge: Live In Japan』 発売記念。URの中核メンバーでありLos Hermanos、Galaxy 2 Galaxyバンドで来日したキーボーディストGerald Mitchellへのインタビューが実現。来日ライヴのことからLos Hermanos、テクノとジャズ、そして日本のことなど。


Titonton
<Compost>、<Sonar Kollektiv>、<Planet-E>、<2000Black>などのレーベルから作品をリリースし、デトロイトのダンスミュージックシーンにおいて最も注意すべき人物の1人であるTitontonことTitonton Duvante。彼のレーベル<Residual Recordings>のコンピレーションCDが<LOOP SOUNDS>より登場。発売を記念したインタビュー。


Dj Rolando
<NRK>からのMix CD『From There To Here & Now』発売記念インタビュー。Mix CDのことから現在の心境、そしてUR/Los Hermanosのことまで赤裸々に語ったインタビュー。




▼hmv.co.jp ダンス&ソウル アーティストインタビュー集

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