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「ベルリン・フィル・ラウンジ」第101号:ハーディング、シューマンと人生を語る(後半) ベルリン・フィル・ラウンジへ戻る

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2014年9月19日 (金)

ベルリン・フィル&HMV提携サイト
 ベルリン・フィル関係ニュース

ラトルのシューマン&ブラームス・ツィクルス
 9月18日より26日まで、サー・サイモン・ラトルとベルリン・フィルが、シューマン&ブラームスの交響曲全曲を2回にわたってツィクルス上演します。これは、2008年のブラームス、2013年のシューマンの全曲演奏会以来初めてのもので、ベルリン・ムジークフェストとの共同制作です。今年のベルリン・ムジークフェストは、シューマンとブラームスをテーマとしており、今回の演奏会は、その枠でのものとなります。
 まず両作曲家の交響曲第1番が上演され、続いて第2番、第3番と続き、4回目の演奏会でふたつの第4番が演奏される、という形式。第1ツィクルスで第1番、第2番、第2ツィクルスで第3、4番がデジタル・コンサートホールで中継されます。
 シューマンの交響曲全曲は、10月のニューヨーク・ツアーでも上演される予定です。
 詳細は、下記の「今後のDCH中継」の項をご覧ください。

3人の新入団員が9月1日より着任
 9月1日に、新しいベルリン・フィルの団員3名が、オーケストラでの活動をスタートします。第1コンサートマスターのノア・ベンディックス=バルグリー、第2トランペットのフローリアン・ピルヒャー、コントラバスのミヒャエル・カルクですが、ベンディックス=バルグリーは、昨年退団したガイ・ブラウンシュタインの後任に当たります。
 ベンディックス=バルグリーは、30歳。2011年よりピッツバーグ響のコンサートマスターを務め、ソリストとしても活躍しています。インディアナ大学、ミュンヘン音楽大学で学び、これまでに、エリザベート王妃コンクール等に入賞しています。ベルリン・フィルでの最初のコンサートは、10月16日のアンドリス・ネルソンス指揮の演奏会です。
 フローリアン・ピルヒャーは、オーストリア出身の18歳。12歳でブラスバンドに所属。グラーツとウィーンで学び、20歳に満たない年齢でベルリン・フィルのオーディションに合格しました。一方ミヒャエル・カルクは、ドイツ・アンベルク出身。1992年生まれで、ニュルンベルクの音楽院に学び、2014年にメンデルスゾーン音楽大学コンクールに優勝しています(写真 c Nikolaj Lund, privat, www.fmbhw.de/Urban Ruths)。

 最新のDCHアーカイブ映像

ラトル指揮によるシーズン開幕演奏会。ストラヴィンスキー《火の鳥》全曲ほか
2014年8月30日

【演奏曲目】
ラフマニノフ:交響的舞曲
ストラヴィンスキー:《火の鳥》

ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団
指揮:サー・サイモン・ラトル

 「ロマン派最後の作曲家」とクラシック音楽の革命児。2012年11月、サー・サイモン・ラトル指揮ベルリン・フィルが、ラフマニノフの合唱交響曲《鐘》とストラヴィンスキーの《春の祭典》を取り上げたコンサートは、大きな評判を呼びました。この2人のロシア人作曲家の生涯は、非常に対照的です。1917年、ラフマニノフはロシアの10月革命の前にアメリカに亡命し、そこでピアノのヴィルトゥオーゾとして第2のキャリアを歩み始めます。生涯の最後になって、彼はこう告白しました。「全世界は私に対して開かれていた。だが、祖国のロシアだけは、扉を閉ざしていた」と。
 ラフマニノフより9歳若いストラヴィンスキーは、26歳だった1909年、ロシア・バレエ団より依頼を受け、グリーグやショパンのピアノ作品のオーケストレーションを任されます。その1年後、バレエ音楽《火の鳥》がパリのオペラ座で初演され、大成功を収めたのでした。彼はホームシックとは無縁の、コスモポリタンとしての道を歩んだと言えるでしょう。2014/15シーズンのオープニングに、サイモン・ラトル指揮ベルリン・フィルは、再びこの2人の作曲家に焦点を当てています。

シーズン開幕演奏会をDCHで観る

カラヤン・シリーズ第9弾:ドビュッシー、ラヴェルのフランス・プログラム
2014年月9月5日

【演奏曲目】
ドビュッシー:《牧神の午後への前奏曲》
《海》
ラヴェル:《ダフニスとクロエ》第2組曲

ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団
ピアノ:アレクシス・ワイセンベルク
指揮:ヘルベルト・フォン・カラヤン


 1978年2月収録のこの映像は、ドビュッシーとラヴェルというフランスもののレパートリーを取り上げています。カラヤンの洗練された音響に対する美意識は、フランス音楽とは近い距離にありました。彼はこの3曲を度々取り上げ、《海》は計4回、《牧神》は計3回、《ダフニス》は計2回録音しています。カラヤンは同年の12月に《ペレアスとメリザンド》も録音していますが、ドビュッシーへの取り組みが熟してきた時期の映像と呼べるかもしれません。
 映像作品としては、実験的な側面は影を潜め、むしろオーソドックスな方向に近づいています。

ドビュッシー&ラヴェルのプログラムをDCHで聴く
エトヴェシュ、70歳記念演奏会は、ヴァイオリン協奏曲《ド・レ・ミ》
2014年月9月13日

【演奏曲目】
リーム:「イン・シュリフトII」
エトヴェシュ:ヴァイオリン協奏曲第2番「ド・レ・ミ」
ブラームス:ピアノ四重奏曲第1番(シェーンベルク編)

ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団
ヴァイオリン:パトリシア・コパチンスカヤ
指揮:ペーテル・エトヴェシュ

 2014年1月2日、ハンガリー人作曲家、指揮者のペーテル・エトヴェシュは70歳の誕生日を迎えました。この機会に際し、ベルリン・フィルはエトヴェシュに記念公演を捧げます。エトヴェシュは弱冠14歳の時にブダペスト音楽院でコダーイに作曲を学び、その後ケルンで指揮科のディプロマを修了。ブーレーズが創設したアンサンブル・アンテルコンタンポランで長年音楽監督を務めるなど、指揮と作曲の両方に比重を置いた活動をしてきたことは周知の通りです。
今回のプログラムには、自作のヴァイオリン協奏曲第2番《ド・レ・ミ》が並びます。ヴァイオリン協奏曲の伝統に沿ったこの作品では、独奏とオーケストラとの間で前例のない活発なやり取りが交わされるでしょう(ソリストはパトリシア・コパチンスカヤ)。ヴォルフガング・リームの《イン・シュリフトII》は2013年10月のフィルハーモニー50周年公演にお披露目された作品で、奏者が客席の周りにグループを作り、まさに空間と一体となった響きが生まれます。
 メインのブラームスのピアノ四重奏曲第1番は、シェーンベルクの編曲によるオーケストラ版。彼は12音音楽の前提条件と書き記した「発展的変奏」をこの作品の中に見い出しました。1861年11月16日に室内楽曲として初演されたときは、チャールダッシュ、無窮動のエピソード、トリオ・セレナーデなど、さまざまな要素を持つ「ジプシー風ロンド」のフィナーレがもっとも大きな喝采を受けたのでした。

エトヴェシュ70歳記念演奏会をDCHで聴く
第1回レイト・ナイトは、コパチンスカヤの室内楽
2014年月9月13日

【演奏曲目】
ウストヴォリスカヤ:ヴァイオリンとピアノのための二重奏曲
中世と初期ルネッサンスのヴァイオリンとガンバのための音楽

ヴァイオリン:パトリシア・コパチンスカヤ
ガンバ:ローレンス・ドレフュス
ピアノ:マルクス・ヒンターホイザー

 2014/15シーズン最初のレイト・ナイトでは、エトヴェシュ指揮ベルリン・フィルの公演でソリストを務めたばかりのヴァイオリニスト、パトリシア・コパチンスカヤが再び登場します。イギリス人のヴィオラ・ダ・カンバ奏者、ローレンス・ドレフュスと共にお送りするのが、中世と初期レネッサンスのヴァイオリンとガンバのための作品集。ビチニウムと呼ばれるこれらの親密な2声部の作品と並べて、ロシア人作曲家のガリーナ・ウストヴォリスカヤが1950年代から60年代にかけて書いたヴァイオリンソナタを演奏することで、強烈なコントラストを生み出しています。ウストヴォリスカヤはレニングラード音楽院でショスタコーヴィチに師事した作曲家としても知られています。ピアノのマルクス・ヒンターホイザーは、現在ウィーン芸術週間の芸術監督を務め、2016年からはザルツブルク音楽祭のインテンダントの就任が決まっている、異色の経歴を持つ音楽家です。

第1回レイト・ナイト・コンサートをDCHで聴く

 これからのDCH中継

シューマン&ブラームス交響曲第1番をDCHで観る シューマン&ブラームス交響曲第2番をDCHで観る シューマン&ブラームス交響曲第3番をDCHで観る シューマン&ブラームス交響曲第4番をDCHで観る ラトルのシューマン&ブラームス・ツィクルス

【中継日時・演奏曲目】
2014年9月19日日本時間午前3時
シューマン:交響曲第1番
ブラームス:交響曲第1番

2014年9月20日日本時間午前3時
シューマン:交響曲第2番
ブラームス:交響曲第2番

2014年9月26日日本時間午前3時
シューマン:交響曲第3番
ブラームス:交響曲第3番

2014年9月27日午前3時
シューマン:交響曲第4番
ブラームス:交響曲第4番

ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団
指揮:サー・サイモン・ラトル

 1853年10月、ヨハネス・ブラームスがデュッセルドルフのローベルト・シューマンのもとを訪ねたとき、シューマンは当時20歳だった若き作曲家への期待を「新音楽時報」誌の中でこう述べています。
 「今後、彼の魔法がますます深く徹底して、合唱やオーケストラの中にある量の力を駆使することができるようになった暁には、精神の世界の神秘の、なお一層ふしぎな光景をみせてもらえるようになるだろう。願わくば、最高の守護神が彼をそこまで強化するように」(吉田秀和訳)。
 ブラームスは、それに対してやや控えめに、「あなたの好意がどれほど私を励ましてくれたか、私の作品がすぐにその証しとなってくれたらよいのですが」と手紙の中で記しました。

 今回から4回に分けて、シューマンとブラームスの交響曲ツィクルスを行います。この2人の作曲家にはジャンル上の共通点が多く見られますが(2人とも、3つのピアノソナタ、3つの弦楽四重奏曲、3つのピアノトリオ、3つのヴァイオリンソナタ、4つの交響曲を書いています)、同時に演奏することで、多くの発見を見い出せるのではないでしょうか。
 当ツィクルスは、毎回の演奏会で両作曲家の同じ番号の交響曲を取り上げる、という趣向。ラトルはベルリン・フィルは、昨年のシューマン・ツィクルスの演奏をCD/BDとして発売したばかりですが、それとの比較も楽しいのではないでしょうか。

シューマン&ブラームス交響曲第1番をDCHで観る
シューマン&ブラームス交響曲第2番をDCHで観る
シューマン&ブラームス交響曲第3番をDCHで観る
シューマン&ブラームス交響曲第4番をDCHで観る

 アーティスト・インタビュー

ダニエル・ハーディング(後半)
「2006年から数年間、私は、自分のやっていることを問い直さざるを得ませんでした」
2013年12月15日
聞き手:マシュー・ハンター(ベルリン・フィル、ヴィオラ奏者)

【演奏曲目】
シューマン:ゲーテの『ファウスト』からの情景

ソプラノ:ドロテア・レッシュマン
バリトン:クリスティアン・ゲルハーヘル
バス:ルカ・ピサローニ
指揮:ダニエル・ハーディング

 ダニエル・ハーディングのインタビューの後半をお届けします。話題は、演奏会のプログラムであるシューマン「ファウストからの情景」から、ハーディング自身の成長・成熟に移ってゆきます。その際彼は、2006年からの数年が、本人にとって辛い時期であったことを告白しています。これには、彼自身の言葉にもあるとおり、プライベートでの変化が関係していますが、彼が当時、欧州のジャーナリストから集中的に批判され、また一部のオーケストラと関係が悪化したことも指していると思われます。
 彼は、2011年頃から音楽家として、ひと皮向けた印象があり、演奏も一層充実していますが、ベルリン・フィルでも、昨年秋のマーラー「第10番」とこのシューマンの演奏会が、大成功となりました。インタビュアーのマシュー・ハンター(ヴィオラ奏者)も、その「成熟したハーディング」に大いに期待する、という語調を示しています。

マシュー・ハンター 「(注:前半から話題となっている「ファウストからの情景」について。ファウストが死ぬ時の合唱の歌詞について。前半を参照)ドイツ語のEs ist vollbrachtというのは、“或ることが終わった”という意味ですよね」

ダニエル・ハーディング 「ここでは、新約聖書で言う“すべては成し遂げられた”という意味で使われています」

ハンター 「ゲーテの場合は、Es ist vorbeiですが、これは単に終わったという意味ですね」

ハーディング 「シューマンの変更に比べると、本当に世俗的な言い方です。そこが興味深いところです」

ハンター 「当時は、『ファウスト』が流行していたと言えます。ベルリオーズの《ファウストのごう罰》、リストのファウスト交響曲…」

ハーディング 「グノーのオペラね(笑)」

ハンター 「シューマンは、ファウストに自分を投影していたと思いますか」

ハーディング 「昨日リハーサルで、思いもしなかったことを聞かれました。最後の台詞“すべての女性的なものが我々を天上に連れて行く”には、ファウストやグレートヒェンが空を舞い、天に昇ってゆくイメージがあります。ところがシューマンの音楽は、最後どんどん下にさがってゆく。それは彼の“女性的なもの”に対する考えの表れでしょうか、と聞かれたのです。私は、ここをそういう風に解釈したことがなかったので、ハッとしました。しかしあの場所で音楽が上にあがるのではなく、下にさがってゆくことには、理由があると思います。
 私は、誰でもファウストのなかに自分自身を見出すと思います。新聞の星占いを読むと、誰でもどこか当たっているような気がしますが(笑)、ここでは、普遍的な人間性が問題になっているのです。一般に我々は、過去の人々の考えや行動を、現在の視点から好き勝手に解釈しがちです。そんなことは、赤の他人には、分かりっこないでしょう。しかし、シューマンがファウストのなかにまったく自分自身を見出さなかった、ということも、考えにくいと思います」

ハンター「私は、2010年にハーディングさんとベルクの叙情組曲を一緒に演奏しました。そして2014年の9月に、マーラーの第10番で共演しています。とても素晴しい演奏会でしたが、今週のリハーサルも本当に楽しんでいます。そこで思ったのですが、あなたは芸術家としてとて、本当に変わりましたね」

ハーディング 「良くなったといいんですけれど(苦笑)」

ハンター 「もちろんです(笑)。でも、どうしてそんなに変わったんですか?年齢だけが理由だとは思えませんが」

ハーディング 「時間の問題だとは、言えるかも知れません。時間は、それ自体として基準ではない。モーツァルトの人生を考えると、成熟は年齢の問題ではないと思います。ドイツ語で言うAltersweisheit(年齢から来る賢明さ)は、30代半ばでもありうるでしょう。若い時はやりたい放題をして、ひどい過ちをします。自分に自信がありすぎて、他の人全員が間違っていると考えがちです。しかし、いつしかハタと気が付きます。ひょっとしたら、たまには他人の意見を聞いた方がいいだろう、と(笑)。
 私には2006年にひとつの転機がありました。この数年間で、もっとも重要な年だったと思います。プライベートで大きな変動が起きたのです。その時は様々な努力を強いられ、結果としては一応うまくまとまりましたが、それでも当時は非常に辛くて、悩ましかった。当然、仕事にも影響が出てきました。それまで当たり前だと思っていたものが、突然変わったのです。仕事相手、習慣、あるいは成功までもが…。そうして私は、自分のやっていることを問い直さざるを得ませんでした。
しかし私は、そうした状況でやらなければならないことをしました。最初のうちは、世界の皆が自分の敵だと感じ、むやみやたらに怒っていたのですが、しばらくして“これが再びよくなるためには、どうしたらいいのだろう”と思うようになりました。私は、新たな道を見つけるために、まず壁にぶち当たらなければならないタイプです。若い指揮者として経験し、学んだことにとても感謝していますが、そのほとんどは恥ずかしいことばかりでした。そしていつしか、悪い習慣のたがが外れてしまった。ですから、“過ちから学ぼう”、“やり直そう”と思えたことは、本当に良かったと思います。
今、私はずっと落ち着きました。8歳の息子の方が、ずっとワイルドです。少し前のことですが、私はタイガー・ウッズかロジャー・フェデラーかの試合を観ました。彼らは驚異的な肉体コントロールと集中力があります。タイガー・ウッズは、フェアウェイで400ヤードもボールを飛ばすわけです。お客さんは大喝采。すると彼の隣の老人がだめだ、という風に首を振って、彼の姿勢を直すんです!フェデラーの場合も同じです。重要なのは、彼らにはいつもチェックしてくれる人がいる、ということ。もちろん、口を出したがる人はいくらでもいます。でも必要なのは、本当に信頼できる人です。歌手の場合は、普通先生に付き続けるので、大丈夫でしょう。でも指揮者の場合は違います。
 私は“良くならなければ”と考えました。そして自分が考えていることを、より効率的に実現できる方法を身につけなければ、と思った。自分の未来について相談にのってくれる人が欲しかったのです。そして指揮者の先生をしている友人に相談役を頼みました。“私を毎年2、3週間チェックしてくれませんか”と」

ハンター 「ウィーンで教えている人ですね」


ハーディング 「“ちょっと、バシッとしごいてくれませんか?”とね。すると彼は、“君がそうしたいのなら…”と(苦笑)。素晴しいです。私が“これでは駄目だ。うまく行かない”と思ったら、彼に相談して直せばいい。私自身がどうしてうまく行かないのか分からない場合、あるいは解決策が見つからない場合に、非常に助かる。でも、間違いを見つけるということは、とてもいいのです。というのは、それが分かれば、あとは良くなるだけなのだから」

ハンター 「あなたは広大なレパートリーを持っています。2月にはヒュー・ワトキンスのフルート協奏曲をロンドン響で演奏します。私は彼の室内楽が大好きで、彼の兄のポールが演奏するときはなおさらです」

ハーディング 「ヒューは私の同級生なんです。私も彼の作品が好きです。素晴しい作曲家であり、人間です。ポールも素晴しいチェリストです」

ハンター 「彼は今、エマーソン四重奏団で弾いています。しかしあなたのように若い人が、どうしてこんなに広い能力を持っているのでしょう」

ハーディング 「それは自分のやれる以上に仕事を受けてしまうからですよ(笑)」

ハンター 「あなたの率直な言葉、答えを見つける姿勢に感動しました。ウィーンでも舞台でも、あるいは昨日でも今日でも、答えを見つけるべく、努力されているのですね」

ハーディング 「答えを見つける、というのはファウストにぴったりですね。もし私がある日、本当にすべてに満足したら、死んでもいいです(注:ファウストは、真に幸せだと感じられる瞬間が訪れた時、メフィストに命を与えて死んでもいい、という契約を交わす)」

ハンター 「あなたは素晴しい芸術家です。ベルリン・フィルに来てくださって、嬉しく思います」

ハーディング 「ありがとう」

ハーディングのシューマン「ゲーテの『ファウスト』からの情景」をDCHで聴く

 ドイツ発最新音楽ニュース

本コーナーでは、ドイツおよび欧米の音楽シーンから、最新の情報をお届けします。

ルイージがデンマーク国立響の首席指揮者に
 デンマーク国立響の首席指揮者に、ファビオ・ルイージが就任することになった。着任は2017年から3年間だが、実務はそれよりも前に開始するという。
 同オケでは、先頃首席指揮者のラファエル・フリューベック・デ・ブルゴスが死去したばかりだった。ルイージは、現在チューリヒ・オペラの音楽総監督を務め、メトロポリタン・オペラのプリンシパル・コンダクターの地位にもある。2005年から13年まではウィーン響の首席指揮者、2007年から13年まではドレスデン国立歌劇場の音楽総監督の任にもあった。

エラス=カサドがマドリッド王立歌劇場の首席客演指揮者に
 スペインの指揮者パブロ・エラス=カサドが、マドリッド王立劇場の首席客演指揮者に、即刻就任する。音楽監督のアイヴァー・ボルトンと共に同劇場の主力指揮者となり、1シーズンに1プロダクションを担当するという。契約は、2018年まで。エラス=カサドは、ニューヨーク・セント・ルーカス管の首席指揮者も務めている。

ヴェルザー=メストが、ウィーン国立歌劇場の音楽総監督職を即時退任
 フランツ・ヴェルザー=メストが、ウィーン国立歌劇場の音楽総監督を即時退任する。これは彼自身の希望によるもので、理由は同劇場監督ドミニク・マイヤーとの意見の相違だという。
 背景は、ヴェルザー=メストがキャストや演出家のプランニングにあまり関与することができなかったことにある模様。マイヤーは驚きをもってこの報せを受け、「非常に残念だ」と語っている。関係者によると、ヴェルザー=メストはすでに先シーズンの終わりから不満を漏らしていたというが、オーストリアのメディアでは、突然の辞任という受け止め方をしている。
 ヴェルザー=メストは今シーズン34回の公演(《リゴレット》と《エレクトラ》の新演出を含む)を担当することになっており、マイヤーはその穴埋めに追われることになる。

次号の「ベルリン・フィル・ラウンジ」は、2014年10月10日(金)発行を予定しています。
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