橋本徹の『音楽のある風景〜アルゼンチン』対談 Page.5
Friday, April 30th 2010
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■ ベレン・イレー
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山本:この曲「Agua Del Río」は、バックはカルロス・アギーレのピアノですよね。
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吉本:ベレン・イレーはカルロス・アギーレに見出されたシンガーだね。とても表情豊かな、澄んだ歌声が印象的で。
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橋本:カルロス・アギーレの客演するときのふっきれたような、特に女性アーティストに対する感じもまた魅力的だよね。
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河野:僕もアルゼンチンでカルロス・アギーレのコンサートを観たんですけど、ソロ・ピアノで演奏しているときはストイックにピアノに向かい、カルテットと共演しているときは音と音の交感を楽しんでいる感じでぜんぜん違うんですよね。
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■ キケ・シネシ
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吉本:キケ・シネシのギターはほんとうに味わい深いね。彼みたいなアーティストを聴くにつけ、アルゼンチンのミュージシャンは奥が深いと思うよ。
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河野:カルロス・アギーレのファーストの1曲目「Los Tre Deseos De Siempre」のあの揺らめくようにたなびくギターの音色は最高ですよ。あの雰囲気はキケ・シネシがいないと成り立たないですね。
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一同:そうなんですよ。
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稲葉:キケ・シネシはすごい存在ですね。イギリスのドゥルッティ・コラムのギターの響きにも通じるところがあるんですよね。
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橋本:「Amores De La Vendimia」のイントロのギターとピアノが揺れる感じや、途中からノラ・サルモリアの歌が入ってくるさりげなさもとてもよくて、クチ・レギサモンに捧げたアルバム『Cuchichiando』の中でも僕にとっては奇跡的な存在なんだよね。
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稲葉:曲をやりきったところで歌が入るというのが、余裕があるというかなんともいいんですよ。この2人も音楽的に共鳴していて、ハーモニーも洗練されていて、この息の合い方はすごいですね。
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■ シルヴィア・イリオンド
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吉本:それにしても、キケ・シネシとシルヴィア・イリオンドのアルバムからの曲の選び方がまさに橋本徹だよね。イントロの音の響き方とか。
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山本:いい出だしですね。この曲「Serenata Del 900」はクチ・レギサモンの作ったフォルクローレのスタンダードで、結婚式や好きな人に贈るために歌う曲で“900年のセレナーデ”という意味なんですよ。
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橋本:ほんとうにいい曲名だね。それにしても優しい調べだよね。この曲を聴くとシルヴィア・イリオンドのイメージも変わると思うんだよね。サンチァゴ・ヴァスケスの「Caraguata」からムビラでつながるところもとても気に入っていて。
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山本:彼女はエグベルト・ジスモンチと共同プロデュースでECMからも作品をリリースしていますね。
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■ アレハンドロ・フラノフ
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橋本:彼の2007年のアルバム『Khali』は、ほんとうに当時何度も聴いていて大好きだったな。
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稲葉:この『Khali』では、アルパというハープやシタールなど中東やインド、さらにアフリカの楽器を多用していますね。
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橋本:少しオリエンタルな感じがするのもそのせいなんだろうね。もちろんムビラのメディテイティヴな音色もほんとうに素晴らしくて。
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山本:浮遊感のある女声コーラスの佇まいもいいですよね。アレハンドロ・フラノフは“音の妖精”とも呼ばれています。
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稲葉:現代的なアプローチが自然に加わるところも彼らしいですし、今回のコンピの2曲目の「Melodía」のピアノと同一人物と思えないくらい、多彩なサウンドが素晴らしいですね。
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吉本:「Melodía」のピアノの残響はほんとうに特別の響きで、聴いているだけで深い眠りに誘われるように癒されるね。まるで夢の中で響くようで、まさに今回のコンピを象徴するメランコリックな音楽だと思うよ。
- 美しき音楽のある風景
〜素晴らしきメランコリーのアルゼンチン〜 - 橋本徹(サバービア)監修レーベル「アプレミディ・レコーズ」が提案する ライフスタイリングCDの決定版にしてヒットシリーズ『音楽のある風景』の 特別編となる、アルゼンチンの素晴らしくもメランコリックな音源を収録した 美しい1枚!

橋本徹 (SUBURBIA)
編集者/選曲家/DJ/プロデューサー。サバービア・ファクトリー主宰。渋谷・公園通りの「カフェ・アプレミディ」「アプレミディ・グラン・クリュ」「アプレミディ・セレソン」店主。『フリー・ソウル』『メロウ・ビーツ』『アプレミディ』『ジャズ・シュプリーム』シリーズなど、選曲を手がけたコンピCDは200枚を越える。NTTドコモ/au/ソフトバンクで携帯サイト「Apres-midi Mobile」、USENで音楽放送チャンネル「usen for Cafe Apres-midi」を監修・制作。著書に「Suburbia Suite」「公園通りみぎひだり」「公園通りの午後」「公園通りに吹く風は」「公園通りの春夏秋冬」などがある。





