【HMV インタビュー】B.I.G. JOE /page.2
Tuesday, February 23rd 2010
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- --- 5曲目「Put Ya Fist Up!!!」は、dj hondaさんのトラックなんですけれど。
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“やっばい”っすよね。
- --- 相当“やっばい”です。hondaさんとは昔からお知り合いなんですか?
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そうですね。札幌にhondaさんのお店がありまして、そこで働いているのがhondaさんの弟さんで。hondaさんは向こうにいることがほとんどだったんですけど、札幌でGANG STARRとかのイベントをやるときにはhondaさんも来てたりして。僕はhondaさんの店はよく行っていたんで、紹介されたことはあるんですけど、ここまでリンクしたことはなかったですね。hondaさんはかなり違うレベルでやってらっしゃったんで。僕らはそこまで達してなかったですし。今になってhondaさんのレベルまで達したとは言わないですけれど、割と音楽で対等に話が出来る。歳とか関係なく。オレがリスペクトしていて、hondaさんも僕らのことを認めてくれている。そういうレベルにやっと来て、今回お会いすることが出来て、前よりもかなり突き詰めたリンクアップが出来たと思います。それがあって、自然と曲制作を一緒にやろうということになるんですよね。音楽をやっている者はそこが会話なんで。曲の中で、僕も思いっきりソウルを込めたし、メッセージも込めたんで。hondaさんは無口な人なんですけど、録音後、hondaさんの親指があがった。
- --- それ相当ですよね!
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(笑)
僕も昔だったら、気負いとか、そういうのを感じながら、お話をしていたんですけど、今は僕も僕なりに自信があって、自分のやることをやらせてもらう。やるべきことをやった。 - --- これは本当にお恥ずかしい話なんですが、僕は元々HIP HOPを聴いてきた人間ではないので、dj hondaさんというと、あの有名なロゴの方が一人歩きしている印象があって、肝心な音を聴いた事がなかったんです。この「Put Ya Fist Up!!!」を聴いてこんなにかっこいい音を作る人だったのか!!!と思ったんですよ。
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そうなんですか。じゃあ是非ね、hondaさんの昔の曲とかも聴いてください。一貫したかっこよさがずっとあって。向こうでHIP HOPやってる人ならhondaさんのことは誰でも知っている。なかなか出来ないですよ、そう言う事は。
- --- 日本のHIP HOPの黎明期からずっと戦っている人ですもんね。
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それは凄まじいことだし、パイオニアですね。
- --- ちょっと話がそれましたけど、「Put Ya Fist Up!!!」のリリック。服役と引き換えにJOEさんが手に入れた強い何かを反映しているように思いますが、その服役から得た一番大きなものはJOEさんにとっては何だったんでしょうか?
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そこで生き残ったっていう自信。ネガティブの吹き溜まりみたいなところで、ポジティブでいられたというのは自信ですね。それがやっぱり強さになってるのかな。
- --- そのネガティブの吹き溜まりという場所でポジティブでいられたというのは、音楽に対する情熱だったのでしょうか?
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いや。それだけではないですね。音楽だけではjailではリスペクトされないんですよ。音楽をやっている。こいつは群れない。どこにも属さない。かと言っていきがってもいない。(中でボクシングをやっていたんですけれど)BOXも出来る。身体も鍛えている。トラックが流れればコイツはラップをしている。というような感じで、僕はjailの中で知られていた。ポジティブになるためには、もちろん音楽は重要ではあったんですけど、身体を動かすという面で、フィジカルの強さも自信に繋がる。と思いますね。
- --- jailの中での出会いはいかがでしたか?
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人種ですね。オーストラリア人ばかりではなくて、アボリジニという原住民の人がいたり、ヨーロッパ各地から移民として来てる。アジア人もいる。もちろん中東の人たちもいる。アフリカ人もいる。そういう人たちとしゃべる事が出来て、僕なりに理解した。Jailにいながらにして、世界を垣間見れた部分があって。
- --- それだけ人種が集まっていると、文化・宗教についても生で触れる感じでしょうね。
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そうですね。ある意味、知らないとおっかないから構える部分ってあるでしょ?だけれども、僕の場合は、嫌が応にも、みんながパックされている状態のところにいたので、話す機会がいっぱいあった。向こうも僕が日本人だということで、僕から得るものがある。メンタリティとかバックグラウンドとか宗教とか、日本人のスピリッツ的なもの。そういうものに興味があるから。歳は関係なく、話をしていく中で、国際人的な視点を持てた。そういう意味では視野が広がった。それはすごく大きいですね、僕にとって。
- --- 6.7.8曲目とイルトロニックな楽曲に脳みそ揺らされる訳ですけれど。トラックはBUNさんですよね。
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BUN君ヤバいよね。この人のトラックは面白いですよ。僕もミックスに立ち会ったんですけれど。大体HIP HOPってのは多くても5〜6トラックをミックスする感じなんですけど、BUN君の場合はトラック数がプロツールス上に30個ぐらいある。ほんのかすかな音でも1トラック使いますから。どういう基準で、そのかすかな音が、そこに入っているのかって程。まるでオーケストラみたいな感じなんですね。ノイズの。細かい音が全て網羅されたものが1曲なんですよ。シンプルであってシンプルではない。僕はノイズのオーケストラと呼んでいる。1個単位ではノイズなんですけど、それが集まると妙なグルーヴで。そのざらついた質感で一個に仕上がる。そこがやっぱりすごいですよね。
- --- 無駄な音はひとつもないんですよね。
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ですね。一個の音のミックスを変えるだけで全然グルーヴが変わりますよ。BUN君に確認して、僕は僕なりにここはこうした方が好きとかやり取りしながら作りましたね。
- --- トラック制作に関しても相当、JOEさんの意思が反映されているんですね?
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そうですね。ミックスは全て立ち会いましたね。
- --- この3曲に関しても、JOEさんの人生を反映したものだと思いますが、「Mind Play」は服役中のイルな感情にスポットを当てたのでしょうか?
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そうですね。よく向こうでは「Your mind plays up」って言うんですけど、「おまえの気持ちは遊んじまってるよ」=「おかしくなってるよ」っていう意味があるんです。要はマインド次第で、今日の気分は変わるもんだっていうね。マインドってすごくおっかないもので、マインドさえストロングであれば、そこは簡単に渡れる。例えば“ここ”に一本のラインを引いてその上を歩けと言われれば、歩けるけれど、それが100メートルの高さだったら?ねぇ。歩けないでしょ。それはマインドなんですよね。だから、楽曲でも言ってるんですけど、俺の中にエゴとか偏見があるうちは、オレには苦悩が付きまとうし、俺たちの目の見えるうちは、俺たちのマインドはプレイズアップしちゃうし。そう言う事を、あえて歌いたかったんですよね。そういう意味ではjailとかは関係ないです。
- --- 8曲目の「Electric Lovers」はラブソングですよね?
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ですね。電車乗ってると、みなさん携帯をいじってたりするじゃないですか。それは、なにか交信しているようにも見えて。いい意味でね。地球の裏側にいる人にさえ気持ちを伝えることが出来るわけですから。遠距離恋愛っていうと、昔だったら手紙、電話。今だったら、メール、Skype。ねぇ。そういうもので、顔を見ながらコミュニケーションをとって愛情を深め合うことが出来る。そういうのを描きたかったんですよ。
- --- 続く9曲目「She Just....」は不遇な女の子のストーリー。
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ある16歳の女の子のストーリーです。僕が実際、中学生ぐらいのときに同級生で、この曲と同じような子がいて、学校にはあまりこない。低所得者が住むゲットーの長屋で暮らしている。学校に来ても寝てるだけ。制服もボロボロ。みんなから嫌われていて、売春をしているような噂も流れてくるような子だった。でも彼女は僕には心を開いてくれていた。そういう人は他にもいるんだろうと考えている事があって、そういう人の物語を、映画的に表現してみたかったっていうのがあって。
- --- すごく物語性が強いですよね。
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悲しい曲ですね。基本的には。
- --- トラック自体はすごく綺麗な感じですよね。それまで3曲続いたBUNさんのイルトロニックな構成から、徐々に覚醒していく感じというか。
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HIP HOPって結構、第三者のことを、淡々と歌う一面もあって。聴き手がそこにいて、僕がここにいて、僕は聴き手に対して、第三者のことを歌う。途中で、その第三者の声がTSUGUMIの声で表現される。そういうような手法も作りたかったし。はじめ僕がギターで作って、ベース、キーボードとミュージシャンに重ねてもらって作った曲です。サビも知ってる人は知ってる曲ですね。ネタを。ばらさない方がいいのかな?こういうのって。こういうのに気が付くっていうのもHIP HOPの楽しみの一つだから。
- --- なるほど。ではそこはリスナーの方に気付いてもらう方向で。続く「Pressure」はMAD KOHをフィーチャーしていますが、彼も北海道の人間ですよね?
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北海道で、ホント昔からやっているレゲエのDeeJayですね。僕が帰ってから札幌のあるクラブに行ったときに、彼も来ていて、僕の顔を見た瞬間、すぐにCDを渡してきたんですよ。「こいつ、まだやってんだ。こいつもしぶてーな」と思って。聴かせてもらってすぐ気に入って、是非、みんなに紹介したくて。僕がやっているTRIUMPH RECORDSでフックアップして次にアルバムを出そうと思ってます。
- --- もう制作は始まってるんですか?
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そうですね。もう制作は終わりました。レゲエもHIP HOP、ラップも、もとは一緒だと思ってるし、マイクを持って表現をするという点においては変わらない。そういう人とコラボするって言うのは必然だったと思いますけど。
- --- そういう若い才能がJOEさんの周りにはたくさん居るでしょうね。
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そうですね。
- --- そういったアーティストたちも今後TRIUMPHからリリースされるんでしょうか?
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そうですね。まぁ、いろんな形で、北海道で育った音楽、アーティストを新しい日本のシーンの息吹として、感じてもらいたい。東京に住んで、東京化されてやるのではなくね。クオリティーに対する自負はあるんで。そういう意味でフックアップしていきますよ。
- --- それはリスナーとしては楽しみですね。
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待っててください。
録音後、hondaさんの親指があがった。
僕はノイズのオーケストラと呼んでいる。
こういうのに気が付くっていうのもHIP HOPの楽しみの一つだから。
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- 『Rize Again』B.I.G. JOE
- 忌まわしき6年間の時を乗り越え、再び日本に降り立った北の不死鳥: B.I.G. JOEによるサードアルバムが遂に完成。
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- 『Come Clean Tour』B.I.G. JOE
- B.I.G. JOE帰国後に日本全国で行われた"COME CLEAN TOUR"のLIVE映像を中心にしたDVDが発売決定。帰国を待ちわびたファンの前で躍動的にプレイするB.I.G. JOE、現地のアーティスト(やばいメンバー多数!)のシャウト、B-BOY PARKのレポート?等々見所満載の内容。B.I.G. JOE IS HERE !
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- 『Lost Dope』B.I.G. JOE
- B.I.G. JOEが獄中から放った傑作1stアルバムにボーナストラック3曲を追加収録したCD、さらにレコーディング風景、インタビュー映像を収録したDVDの2枚組み仕様となって再発。これまで廃盤状態となっていたアイテムにしてクラシック盤です!
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- 『Come Clean』B.I.G. JOE
- 『LOST DOPE』から3年後、2nd album『COME CLEAN』。刑務所内にあるスタジオでデジタル録音された今作は前作にも増して深化したリリック、ライムデリヴァリーが心を揺らし日本中から集合した気鋭のプロデューサー陣が奏でる珠玉のビートが脳を揺らす傑作。
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- 『THE 12JAPS』DJ BAKU
- DJ BAKUが「KAIKOO / 邂逅」してきた、12人のヤバいラッパーをフィーチャーしたRAP ALBUMだ。そのラッパーのラインナップを見ただけで卒倒必至!このアルバムはDJ BAKUでなければ、このタイミングでなければ成立しなかった事は明らか!
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- 『Hell Me NATION』RUMI
- B.I.G. JOE、漢、SHINGO★西成、MACSSY、CHIYORI、THE HEAVY MANNERS、e-mura、SKYFISH、TUCKER、EVIS BEATS……多彩なゲストとの共演に心と身体が踊り出す。今、これを聴かずして、何を聴く?!
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- 『Exit』NORIKIYO
- B.I.G. JOE『Rize Again』のタイトル曲にて競演したNORIKIYOの1stアルバム。札幌/川崎と場所は違えど、そこのまとめ役同士。共通項も多いようだ。
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- 『Psychedelic Toy Box』
INI / Common Cycle - 札幌を代表するサイケデリックMC: INI。B.I.G. JOEの盟友と言える。2010年来るべきソロアルバムに先駆け、INI自身が見出した新鋭プロデューサー:COMMON CYCLEとコラボレーションアルバム第一弾を完成!
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- 『Rhythm Of Genesis The Album』VARIOUS
- B.I.G. JOE『Rize Again』の中で、イルトロニックなビートを作り出し、重要な役割を果たしているのがBUN。そんなBUNの音源収録のコンピ。これは見逃せない。
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- 『One』Michita
- B.I.G. JOE『Rize Again』のM-14「War is Over...」ピアノが印象的な流麗なトラックが、このCDにも収録!

北の都は札幌出身のラッパー / プロデューサーにしてMIC JACK PRODUCTIONのリーダー: B.I.G.(Believe-In-God)JOE。“STRIVER'S RAW”、“RAPPAZ ROCK”という北海道HIP HOPシーンにとって重要なグループの中心人物として精力的かつ圧倒的なライヴ攻勢でその名を知らしめてゆく。'99年からは自主制作によるシングルカット、同時期より、超自然音楽中毒集団:MIC JACK PRODUCTIONを結成。以後もそのリーダーとして、自ら制作・運営するレーベル:ILL DANCE MUSIC.を母体とし、フルアルバム『SPIRITUAL BULLET』を発表。しかし、その直後に起きた事件によって6年という長い単身渡豪を服役の為に余儀なくされる…が、'05年には刑務所からの電話を使用して録音された問題作、1stソロアルバム『THE LOST DOPE』でシーンに復帰。続く翌年の'06年には、MIC JACK PRODUCTION名義の2ndアルバム『UNIVERSAL TRUTH』を発表。HIP HOPを地でゆく、メッセージ性のあるウィットに富んだ詩と、カリスマ性のあるライムデリバリーは官能的で、時に危うすぎるその歌声は、聴く者の心の芯をとらえ、キャリアスタート時から現在も尚、熱心な信者・フォロアーが後を絶たない。'07年、海を離れた遠い流刑の地で運命的な邂逅を果たした、N.Yブロンクス出身のラッパーEL-SADIQとのコンビネーションEP 『2WAY STREET』をリリース。そして'08年…多くの謎のベールに包まれているB.I.G. JOE事件の核心に迫る、セカンドソロアルバム『COME CLEAN』を、全て刑務所内にあるスタジオでデジタル録音、日本を代表する気鋭プロデューサー達の強力なバックアップを受けて発表。そして2009年、6年振りに遂に帰国。帰国直後に自身のプライヴェート・レーベル:TRIUMPHを立ち上げ廃盤状態だった傑作ファーストアルバム『THE LOST DOPE』を再録曲、DVDを加えて再リリース。また、自身の音源を盟友DJ KENが紡いだMIX CD"NO ORDINARY JOE"、INIとDJ KEIとの共作MIX"PASS THE BACKWOODS"、サードアルバムの先行シングルとして"ALMOST DAWN/ONE LOVE PT.2"を発表。客演としてはDJ BAKUが日本中から選りすぐりのMCを招いて制作された衝撃作『THE 12JAPS』、またRUMIのサードアルバム"Hell Me NATION" や同郷札幌のムーヴメントCHOCOLATE FACTORYに参加するなど帰国後も精力的に動き邂逅を続けている。そして来るべき2010年3月3日、鎖を解いた本物のMCが遂にサードアルバム"RIZE AGAIN"、そして帰国後の活動をまとめたDVD"COME CLEAN TOUR"を発表する。聴覚は勿論、視覚もこの男に捧がれるのだ。
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