クラシック音楽のトリセツ「今年こそ第九」

4.さあ本番!

僕が皆さんにお伝えしたいポイントは3つ!

(1) 難しい事なんて何も分からなくていい!

(2) せっかく生なんだから隅々まで見よう!

(3) 聴くんじゃない!感じるんだ!!

 

〜演奏の前に〜

まず心掛けなければならないのが「音を発しない」ということです。

行くと分かると思うのですが、ものすごい緊張感で息もできないんじゃないかってくらい(笑)。

初めて行った時は「やっぱ堅苦しいなぁ」って思っていたのですが、慣れてくると演奏に集中しているからか、些細な音にも敏感になるんですよね。

何回か行くと、どこで音量が大きくなるか分かるので、そのタイミングで咳したり体勢変えたりしていますよ。自分すごい成長しています(笑)。

 

年末の風物詩 ベートーヴェンの第九

 

ここからは、あくまでの僕の主観で、第九をどう聴いているかお伝えしますね。

 

〜第1楽章〜

最初はまだこれからの事を考えると、適当にボーっと聴いていることが多いですね。いや、本当に先が長いですから!

だんだん場慣れしてきて、プログラムをそーっと見だしますね。

プログラムに「曲目解説」っていうページが必ずあって、そこに「第九」が作曲された歴史的背景や楽章ごとの音楽的な詳細が記載されています。

読み物として読んでおいた方が深まりますよ、特に作曲された年を知るといつも感慨深くなります。

 

〜第2楽章〜

この楽章ではティンパニ奏者の反射神経の凄さを見ます!

そして同時に思うのは、指揮者のこの合図でどうやってみんな音を出しているんだろう・・・っていう疑問です。

いつも自分がティンパニ奏者の気分になって見ているのですが、指揮者の合図で全然入れない(笑)。

そんなことを思いながら、この楽章はオーケストラの動きをよく見ていますね。

 

〜第3楽章〜

勝手ながら「ザ・寝落ち楽章」と名付けています(笑)。

いや、本当に素晴らしい楽章なんですけど、いまだに僕はここで寝落ちしてしまうんですよ・・・

目の前に大きな草原が広がっていて、そこでゴロゴロしている妄想が膨らんでしまい、ついウトウトと・・・

でもこの楽章中には、世界一難しい楽器と言われているホルンのソロ(1フレーズでなんと3オクターブ以上にまたがるソロ)があり、

そのフレーズは本当に吹くのが大変らしいので、ちゃんと起きて聴いてあげましょう!

 

年末の風物詩 ベートーヴェンの第九

 

〜第4楽章〜

第4楽章に入った瞬間にシャキッとなりますね。何か会場の空気も変わって、お客さんもみんな確実に姿勢を正していますよ。

やはりどうやってもこの作品のメインはここなんです(力説)!

 

ここ好きポイント(1)

破滅的な不協和音が第4楽章の始まりを告げ、ここで誰もが完全に目を覚ますことになります(笑)。

そしてここからがベートーヴェンってすごい!ってとこなのですが、

第1楽章〜第3楽章までのフレーズをもう一度おさらいしてくれるんです。なんて優しい!

そう、もうすでに演奏が始まって40分くらい経っているから(寝てしまって)忘れてしまったあのフレーズを、もう一度思い出させてくれます。

低弦楽器のお告げみたいなメロディとの対話が終わると、ものすっごい小さい音でチェロが「歓喜の歌」のフレーズを弾き始めるんですが、

僕は本当にこの瞬間が大好きで、いつもここで今年1年を振り返っていますよ。

 

ここ好きポイント(2)

その後バリトン歌手がスッと立ち上がっていよいよ歌が入ってくるのですが、僕はこのシーンをいつも「出陣」だなって思っています(笑)

そして急にジェットコースターみたいにテンポアップした後、あの「歓喜の歌」と言われるメロディが出てくるんです。最初はやはり圧倒されますよ。これかぁぁ!て。

でも僕が生だからこそここで注目して欲しいポイントは、弦楽器の人たちなんです!

初めての時は合唱に圧倒されて余裕がないかもしれませんが、面白いくらいすごい勢いで弾いているので、ぜひ見てあげて欲しい!

それにしても、有名な「歓喜の歌」のフレーズって、残念ながらあっという間に終わってしまうんですよね・・・本当に一瞬です。

 

ここ好きポイント(3)

その後は宇宙空間みたいな音楽が続き、僕が勝手に「合唱の雨あられ」と名付けている合唱の大洪水が始まります。

この曲っていつも新鮮だなぁって思うのは、突拍子もない感じにいろんなフレーズがつぎはぎされているところなんです。

いまだに結構違和感があるのですが、その「えっえっ!?」っていう感じが、この楽章の最大の魅力なのかもしれませんね。

終盤にソリスト4人がしっとり歌った後、分かり易い感じに終盤を迎えますが、

ここがちょっと照れてしまうくらいの和風などんちゃん騒ぎなんですよ(笑)。

凄い勢いでクライマックスへ・・・と思いきや、またゆる〜くなったりして、本当にベートーヴェンは焦らし上手。

本当に最後の最後合唱が歌い切った後、オーケストラだけで猛進するのですが、ここのスピード感も聴きどころです。

気持ちが盛り上がっちゃっているから、どんどんテンポが速くなって「誰もちゃんと演奏できていないんじゃないか?(笑)」っていうクラッシュ事故っぽい時ありますから。

 

年末の風物詩 ベートーヴェンの第九

 

〜演奏後〜

もう自分も演奏者の人たちと同じくらい息切れしています。これは初めて聴いた時から変わらず、いつも体験することですね。

1時間以上ずーっと音も立てずに座っていますからね、フラストレーションがMAX状態なんです。

だから曲が終わった時のあの開放感っていうのは、もうすっごい気持ちいいんですよ!

これは「第九」を体験すればするほど、より深く味わえるご褒美みたいなものですね。

 

Q. …ものすごく熱く語っていただきましたが、最後に、まだ行った事ない人に何かメッセージはありますか?

そうですね、今回はあくまでも僕がいつもどんな事を考えて聴いているか、すごく主観的・感覚的に語ってしまいましたが、

何も難しい知識とか全然いらないと思います。むしろ知らないって事に価値があるんじゃないかなと。

全然無理強いなんてするつもりもなく、ちょっと気になった方がいればフラッと行ってみて欲しいなぁと思っています。

あっ、その時は、僕がここで言ってた「出陣」とか「どんちゃん騒ぎ」とか、そういう余計な情報は忘れてくださいね(笑)。

インタビューはなんと2時間超!ジローさんの熱い第九愛は果てしないものでした。


 

 

 

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