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Review List of 遊悠音詩人 

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  • 3 people agree with this review
     2009/08/13

    さすが自作自演は違う!ラフマニノフのヴィルトゥオーゾぶりが遺憾なく発揮された一枚。勿論80年も前の録音だから、盛大なノイズに阻まれるが、しかしそういう物理的制約を越えてこちらに訴えかけてくるものがある。強烈なテクニックと情に溺れない歌心で、スタイリッシュにまとめあげている。因みに、この曲が情緒的なゆったりとしたテンポで弾かれるようになるのはリヒテルの59年DG盤以降の傾向なのだそうだ。確かに、リヒテル以降の現代の演奏に比べると、自作自演盤はテンポが速過ぎるきらいもある。しかし、特別な仕掛けを作らずとも感銘を与え得る名演を繰り広げたという意味では、作曲者に勝る者はいないはずだ。何より、単なる歴史的資料に留まらぬ価値ある一枚。ラフマニノフ・ファンなら必携だ。

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  • 13 people agree with this review
     2009/08/11

    辻井君は確かに素晴らしい。しかし、これが完成形ではない。まだまだ彼の才能は伸びゆく可能性を秘めている。ヴァン・クライバーンのコンクール優勝は、あくまで通過点にすぎない。だが、その快挙をお祭騒ぎのように過剰報道するマスコミや、「目が見えないのに凄いピアノを弾く」という、珍しいものでも見るような偏見の眼差しで興味本位に聴く無知な人間の多いことには、怒りを通り越してただただ呆れる。そういう野次馬的な風潮が、結局は偉大な才能を枯らす結果になることを、もう少し理解してほしい。後々、彼が大巨匠と呼ばれるその日まで、暫しゆっくりと見守っていきたいと思う。

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  • 4 people agree with this review
     2009/08/10

    濃密なロマン!大らかな足取りで、骨太で、しかも歌に溢れた演奏!稀代のヴァイオリニストとして著名なオイストラフだが、指揮者としても秀でた存在であったことがよく分かる。特にチャイコフスキーは名演!弦楽器を主体に、たっぷりとしたテンポで曲を進めている。オイストラフ自身がヴァイオリンを弾く時の呼吸と同じものが、VPOの一人ひとりに浸透しているような雰囲気だ。勿論管楽器も素晴らしい鳴りっぷりだが、ムラヴィンスキーのようにうるさくなりすぎないのが良い。第2楽章のホルンのソロの鄙びた響きなどVPOならではといえるし、第3楽章のワルツの息遣いもさすがだ。アンサンブルの精妙さ、特に、決然と足並みを揃えるところと逆に僅かなズレを用いてふくよかさを出すところとの対比的な表現が、実にドラマティックに決まっている。併録のアイネ・クライネ・ナハトムジークも、VPOの美質を生かした名演。音質も良好である。

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  • 2 people agree with this review
     2009/08/08

    チャイコフスキーの隠れた名曲を純ロシア勢の演奏で聴けるということで期待して買ったが、正直失敗した。テンポは速すぎだしアンサンブルは乱れるし、余りに大味だ。シチェルバコフのピアノも、細かい音がちゃんと鳴らされていないなど、雑な部分が散見される。まして、第2協奏曲は改訂版を用いているためか、構成感にも乏しい。挙げ句、録音まで雑ときては、もはや聴くに堪えない。同じNAXOSなら、グレムザー(p)&ヴィト/ポーランド国立放送カトヴィツェ響(8.550820)の方が断然によい。適切なテンポ設定によって壮大さと華麗さが引き出されているし、グレムザーのピアノも輝きと優しさを併せ持つ素晴らしいものとなっている。録音も、こちらのほうが適度な透明感を伴った臨場感あるサウンドを楽しめる。まずはグレムザー盤から聴こう。

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  • 2 people agree with this review
     2009/08/06

    ラフマニノフやプロコフィエフ、ショスタコーヴィチやストラヴィンスキーの自作自演は著名だが、メトネルのそれが余り顧みられていないのは残念である。ラフマニノフの大親友であったメトネルは、ピアノ協奏曲を3つ作っているが、その内2つを作曲者自身のピアノで聴けるとは贅沢だ。特に第2番はラフマニノフに献呈され、鬼才ソラブジからも大絶賛された傑作で、最高度の技巧と抒情の両方を兼ね備えた、演奏至難な曲である。メトネルは、それを易々と開陳してくれるのだ。勿論晩年の録音ということもあり、弾き飛ばすようなことはないが、その分リリカルな魅力を押し出すようなタメが見事である。この歌心はラフマニノフ以上であろう。バックを務めるドブローウェン(この人も作曲家!)の指揮もよい。音質も、1947年の録音ながら明瞭で優秀だ。

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  • 3 people agree with this review
     2009/08/05

    とにかく楽しいアルバム!カバレフスキーはショスタコーヴィチと同世代の作曲家だが、難解極まる作風のショスタコーヴィチとは対照的に、とても親しみやすい。ショスタコーヴィチは社会主義との軋轢と迎合を繰り返したが、カバレフスキーは基本的に巧く政策に便乗した世渡り上手である。それはともかく、明るく色彩的でリズミカルな作風は聴いていて楽しい。運動会でお馴染みの《道化師》は勿論だが、とりわけ第3協奏曲における軽快さは非常に小気味よい。喜ばしく、生気に満ち、明朗だ。録音も超優秀で、レンジが広く、立体的で、瑞々しい。

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  • 3 people agree with this review
     2009/08/03

    録音年代や起用オケなど、Hyperionのシリーズものとライバル関係といえるであろう当盤だが、トーザーの演奏は、Hyperion盤のアレクセーエフやデミジェンコのアプローチとは全く異なるものだ。特に第2および第3番における両者の違いは顕著である。第2番の第1楽章を例に挙げよう。デミジェンコの場合、スタッカートの効いた主題のリズムを強調するように、速めのテンポで歯切れよく技巧的な演奏をしている。一方トーザーはこの曲の持つ情緒を前面に押し出すようなゆったりとした足取りで、時折テンポを緩めながらねっとりと重厚に演奏しているのだ。どちらも曲の魅力を別方向から引き出しているので比較は難しいが、個人的には胸のすくような感じを抱かせるデミジェンコ盤の方が好きだ。あとは好みの問題で選べばよろしい。因みにNAXMSのシチェルバコフ盤は、ピアノはよいがオケが今一歩という印象だ。

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  • 2 people agree with this review
     2009/07/29

    以前「旧ソ連の音源=音が悪い」ともとれるような発言をしたが、撤回したい。というのも、スヴェトラーノフ私家版(SVCO001〜004)を聴いて、その余りの音質の違いに驚愕したからである。私家版の音は、まるで別音源かと思えるほど立体的で明晰、かつアグレッシヴな音響であり、Warnerの音割ればかりの貧弱な録音とは訳が違うのだ。第2楽章の、ショスタコーヴィチばりのアレグロなど、打楽器の強烈な響きに圧倒される。音割れや歪みも最小限に押さえられている。ともかく、Warnerの復刻に関しては完全に“だめ!”である。

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  • 5 people agree with this review
     2009/07/29

    伸びやかで軽やかで繊細なピアノ!ラローチャのピアノがこんなに素晴らしいとは!ややもすると重いだけになりがちなブラームスで、温かな生命感に満ちた演奏を作り上げている。ヨッフムとしてはギレリス&BPOやベロフ&SKDなどと組んだ録音もよく知られている。四つ相撲を思わせるギレリス盤、硬派のピアノと柔らかなオケの音色が化学反応を起こしたベロフ盤と比べると、このラローチャ盤は、まさに室内楽的な緊密さと愉悦に溢れた演奏といえよう。特に弱音部での繊細な語り口はラローチャならではで、それを渋い音色で有機的に支えるオケも素晴らしい。ライヴゆえミスタッチなども無きにしも非ずだが、それを補って余りある程の深みやコクがある。昨今の演奏からは求め得ない、ドイツ本流の味わいある名演といえよう。

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  • 7 people agree with this review
     2009/07/29

    冒頭のティンパニ一つでノックアウト!第1楽章など、ブラームスならではの重厚な音の塊が、何か巨大な生命体のように怪しく激しく蠢くようだ。決然とした第1楽章から一転、第2楽章ではこってりとしたロマンを奏でる辺り、晩年のヨッフムの面目躍如たるものだ。オケのノーブルな響きが何とも素敵で、奥深い。ヴァイオリンのソロも歌に溢れている。チャーミングな第3楽章からアタッカで入る第4楽章は、ティンパニの轟音からしてエネルギーに満ちている。フルートのソロにミスが見られるが、そんな些事などどうでもよい位の熱気だ。主題に入る前テンポを落とし、Gの開放弦を深々と鳴らす神々しさ!主題にもさり気なく強弱のメリハリをつけることで、躍動感あるものにしている。そして、コーダの捲りとタメの呼吸も実に圧巻!ブラヴォーの嵐にも納得!そもそもオケの響き自体、ライバルであるカラヤン時代のBPOには絶対出せない渋くくすんだもので、燻し銀と呼んでも差し支えない程だ。オケのポテンシャルが、ロマン主義者ヨッフムによって十全に引き出され、しかもそれが完全に曲と合致している稀有な演奏。まさに歴史的名演と呼ぶに相応しい。

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     2009/07/28

    抒情的で素晴らしい協奏曲!特にグラズノフの第1番に関しては、かの名匠リヒテルもその名曲ぶりを評価していた程。2楽章形式で後半は壮大な変奏曲になっていて、ショパン的だったりエルガー風だったりラフマニノフの香りがしたりと、聴いていて楽しい。第2番は、他の数多の協奏曲のセオリーを破って、緩やかに曲を始める。この出だしだけでも素晴らしい。対するゲディケ(ゴーディック)も、ロシア五人組から連なる作風を持っており、バラキレフやリャプノフ辺りを愛する向きには直ぐに受け入れられるだろう。録音はややヒスノイズが認められるが、概して良好であり、曲が持つノーブルな雰囲気をよく捉えている。クームズのピアノも癖がなくまろやかだ。

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     2009/07/26

    ピアノ・ロール原盤でラフマニノフの自作自演を聴くのならば、断然TELARCの復刻盤(品番:CD-80489)を薦める。DECCA盤はそもそも復刻から30年が経過しているし、録音方式もアナログだ。しかも単純にロールを再生しただけなので、ロールを巻くシュルシュルというノイズが耳障りだし、タッチの微妙な違いなども再現されているとは言い難い。そこへいくと、私の薦めるTELARC盤は、ロールに刻まれたデータを極限までデジタル化したもので、ロール巻き取りノイズも皆無。何より繊細なタッチやテンポ・ルバートの妙が克明に再現されており、ラフマニノフが、まごうことなき不世出のヴィルトゥオーゾだったことがよく分かる。しかもBoesendorferで再生しているため、音に何ともいえない温もりがある。《幻想小品集》の最初の一音で違いが分かるはずだ。とにかく、DECCA盤よりTELARC盤を聴こう。

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     2009/07/19

    「ゲルギエフとVPOによるチャイコフスキーの後期交響曲ライヴ録音は、平均して期待に添うものではない」とする意見に全く同感だ。特に第4番など、ご意見にもあるように余りに事務的で聴ける代物ではない。第5番はまあまあ良いとは思うが、熱演の代償として至る所に綻びが見られる。第2楽章などもっと歌い込めると思うし、終楽章などアンサンブルが破綻寸前でありヒヤヒヤする。やはり、この曲のライヴにおいて、怒濤の感情表現と一糸乱れぬアンサンブルの両立という難しい課題を難なくクリアした者は、ムラヴィンスキー/レニングラード・フィル以外いないのかも知れない。

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  • 9 people agree with this review
     2009/07/19

    どこが「緊迫感の漲った希有な熱演」だ?!私に言わせれば「緊張感の抜け切った希有な駄演」だ。余り毒舌は吐きたくないが、これはひどい。話題のゲルギエフ、オケは世界最高のウィーン・フィル、しかもライヴとなれば誰もが期待するだろう。それを悉く裏切るような、余りに事務的、非人間的、無感動的な演奏だ。加えてデッカらしからぬ貧弱で平面的で無機質な録音。本当に嫌になった。愚痴ばかりではいけないのでお薦めをあげよう。ヤンソンス&バイエルン放送響、あるいはベーム/チェコ・フィル、いずれもライヴである。これを聴けば、緊迫感とはどういうものか、希有な熱演とは何を差すのか、ライヴ録音の良さとは何かがよく分かる。是非、ご自身の耳で確かめてほしい。

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  • 3 people agree with this review
     2009/07/16

    変幻自在の第4番!強弱や緩急のメリハリが、もはや名人芸の域に達している。鮮やかなギアチェンジで、溢れ出る情感を描写しきっている。ねちっこい程に粘ったかと思えば、思い切り感情を爆発させてアッチェレランドで突っ走るなど、ヤンソンスの大胆な表現に圧倒されっぱなしである。それでいて少しも荒削りだとか大味だとか思わせるところがなく、細部にまで神経が行き届いているのはさすが。ムラヴィンスキーに代わる、21世紀の新たなマストアイテムと呼んでも差し支えない程の完成度だ。対する協奏曲も素晴らしい。ブロンフマンのピアノは相変わらずクールだが、それを有機的に支えるヤンソンスのお陰で、情熱を内に秘めた大人の演奏になっている。個人的にはオケ、ソリスト共に情熱とロマンを持ったデミジェンコ&ラザレフ盤をより好むが、当盤も捨て難い魅力があるので、セカンドチョイスとして推薦したい。

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