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TOP > My page > Review List of 一人のクラシックオールドファン
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4 people agree with this review 2012/07/31
シフの弾くドヴォルザーク チェロ協奏曲盤は現在三種類確認されており1980年デイヴィス/RCOバックの演奏(タイム@14’44A11’39B12’13)と1987年チェリビダッケ/MPOバックのライブ演奏(タイムは@16’59A13’44B14’42のCD表記ですがチェリビダッケであることとライブ特有のインターバル含むので各楽章長めになっているのでは?)そして本盤1992年シフ41歳の頃プレヴィン(当時63歳頃)/VPOの演奏(タイム@14’25A11’22B11’53)のものです。本盤演奏は所謂ドヴォルザークに係わる民族臭とは少し距離を置いた独奏であり伴奏の印象を受けました。特に「どぎつい」個性を見せびらかすチェロではなくマイルドで丁寧な運びに好感を持ちました。そしてバックのVPO・・・この比較的オーケストラ演奏として出る場面の多い協奏曲の伴奏を担当しているのはある意味「聴きもの」で第1楽章序奏からそのサウンドがプレヴィン指揮の強調パート(特に他の楽章でも言える事ですが管楽器の扱い等です)と共にやや明るめなのが特徴として捉えました。若干タイムがあっさり目なのと、いきり立たないチェロ独奏と慌てず騒がずのバックオーケストラが上手くブレンドされマァスケール感は他の演奏に一歩譲るもののこれはこれで素晴らしい演奏と思います。もう一つの曲は1988年録音したシューマン・チェロ協奏曲(タイム@10’52A4’03B7’12)はハイティンク/BPOのバックを得ての演奏で独奏は大技無しの自然なアプローチなのですが滋味な味わいがその曲想をバックサポートしています。タイムとしてはやや第3楽章が前のめり気味?な感じがしますが、オーケストラとしてのバックは先のプレヴィンと同年生まれのハイティンク(当時59歳)が振るBPOであり結構底力を披露しています。曲や指揮者が異なりますがVPOとBPOのテイストの違いが小生にも分る気がしました。1991年収録のシューマン「アダージョとアレグロ 」(ピアノ・・・オピッツ、タイム4’41+4’56)は未聴であります。(タイムについては盤により多少異なる場合があります。)
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0 people agree with this review 2012/07/30
アバドは1980年代押し詰まった後半にVPOとベートーベン交響曲集を録音しているので今回はDGへはオーケストラをBPOにしての二回目収録ということなのでしょうか。ベーレンライター版を使用していることもあって実に軽やかなキビキビした演奏です。2000年アハド67歳の時の録音演奏である第3番「英雄」(演奏タイム@16’05A14’16B5’42C10’32)はBPOの重厚さとはかけ離れて実に都会的な響きの展開であります。第1楽章の出だしはそれ程強調なく運びはスピード感が快く感じる時もあります。第2楽章も決して重くないし華麗な中に重低音の走りが爽快ですらあります。終楽章は速いテンポの内にその独特の音色とポイントをキチッと押えた演奏は重厚な響きの「英雄」に染み付いた我々オールドファンには頼りなく感じる事も正直ありました。次に第4番(1999年録音、タイム@11’32A9’48B5’55C6’32)の方になりますとこういったアプローチがより鮮やかさを増している様に思えました。第1楽章スタート序奏のBPOの含みある音色に注目を先ず惹かれました。そして比較的早く展開部へ進むのですが当たりがソフト・マイルドでありそれに楽想間の移りが素早いですね。おっとり幸せ感に満ちた第2楽章に続く第3楽章は弾力性がありファッとした〆の後、即最終楽章に進みますがバランス感がきっちりした印象を持ちました。マァ、カラヤン時代での例えば1983年レコーディングBPOサウンドとは明らかにもう変貌を遂げており、本盤収録の二曲に限定すれば私は第4番の方の演奏が好きであります。なお、冒頭触れたVPOとの演奏盤は第3番が1985年録音でタイム@18’22A15’40B6’20C11’47、第4番の方が1988年、タイムが@12’09A10’01B5’51C6’49となっている事から本盤演奏のスピード感が分りますね。なお、BPOとの2001年ライブDVD&CDも別に販売されている様でタイムデータは第3番@16’54A14’47B5’50C11’06そして第4番@11’34A9’47B5’54C6’39と収録時期が近いだけに本盤タイムと似た感じですね。本盤は高音質化されておりその辺りは先のいつもながらの東京都の方やHMVのレビューを参考に・・・。(タイムについては盤により多少異なる場合があります。)
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1 people agree with this review 2012/07/29
クイケンQは1986年にそれまで「ラ・プティット・バンド」としてバロック音楽を中心に古楽器演奏活動していたクイケン兄弟等をメンバーに立ち上げたベルギーの四重奏団でハイドン、モーツァルトの作品から多くを取り上げております。本盤もその範囲に含まれていると思われ1999年録音の第21番(タイム@8’12A4’45B5’33C6’19)、第23番(同@12’55A13’03B3’49C10’38)そして2000年録音の第20番(同@13’12A3’02B8’10C9’46)、第22番(同@9’33A6’39B6’34C4’03)のモーツァルト晩年の「プロシャ王」と銘される最後の弦楽四重奏曲群であり、当然ピリオド楽器で演奏されたものであります。四重奏曲をピリオド楽器で聴くという物珍しさの次元をその独特のくすんだ音色・・・多分献呈先のフリードリヒ・ヴィルヘルム2世がチェロを弾く事から比較的普通の弦楽四重奏曲よりチェロがシャシャリ出る場面が多いのもその要素の一つ??・・・と共に暫くは私自身引き摺ってはいましたがとにかくこのQが一石を投じた一連の演奏でもあります。確かにややもすれば淡々さで現代楽器四重奏団の奏するものと比べれば鋭角的な響きや迫力感は一歩譲らざるを得ないけれども逆にその辺りが雅の「深い味わい」のポイントにもなるのでしょう。例えば私は演奏時間的には反復もある為でしょうか結構長くなっている第23番も「苦」ではなく第2楽章においてはピリオド楽器の静謐マイルドな音色からモーツァルトの繊細な感情の揺らめきをも感じました。本盤繰り返し聴くと癖になりそうな可能性を秘めた演奏だと思いました。(タイムについては盤により多少異なる場合があります。)
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0 people agree with this review 2012/07/28
戦後結成され1980年代まで約四十年間演奏活動をした弦楽四重奏団は幾つかありますがイタリアQもその一つで彼らは1967〜1975年にベートーヴェン弦楽四重奏曲集収録を完成させています。本盤はその内所謂中期グループ作品集で第7番(1974年録音、タイム@11’33A8’55B13’13C6’38)、第8番(1973年、同@10’21A14’20B8’05C5’37)、第9番(1973年、同@10’35A9’57B5’03C6’20)、第10番(1971年、同@10’17A10’07B5’26C6’49)、第11番(1971年、同@4’19A6’57B4’05C4’52)であります。その内前三曲はラズモフスキー曲であり周知の通りこれらラズモフスキー名称はベートーヴェンがウィーン駐在のロシア大使ラズモフスキー(自らヴァイオリンも弾く人だったらしいですよ)に献呈した事からのネーミングであり第7番(ラズモフスキー第1番)と第8番(ラズモフスキー第2番)の一部の楽章に夫々ロシア民謡的テーマを導入している処から厳粛さを求め勝ちなベートーヴェン弦楽四重奏曲に意外と親近感を帯びたものとなっており更にイタリアQの明るい響きが正直私などにはホッとさせてくれます。その特徴点を真逆のイメージ曲第11番「セリオーソ」(セリオーソとは真面目な・厳粛なという意)に敢えて求めて聴き入りました。第1楽章から豊かな響きが強弱起伏をつけつつ巧みな「見得きり」は分かり易いですし第2楽章ではその分かり易さにプラスする事の「艶っぽさ」が魅力です。そうこうしてやや鬱陶しく始まる最終楽章では次第に明転するわけですがそこに「深み」を読み取る「しんどさ」が無いのが演奏の面白さなのでしょう。だからと言って決して浅薄な演奏ではなく独墺系、東欧系、米系Qにはないサウンドが私の能力程度でも聴き取れた次第であります。(タイムについては盤により多少異なる場合があります。)
0 people agree with this review 2012/07/27
ガーシュインとグロフェの作品演奏となればどうしてもアメリカ出身或いは活躍の指揮者にお任せするより仕方がなく「グランド・キャニオン」などは昔からオーマンディ、ドラティ等シンフォニー指揮者のみならず所謂クラシック・ポップス系指揮者としてフィードラー、スラトキン親子、ストロンバーグそして本盤のカンゼル等が各々優れた演奏盤を残しております。本盤収録分では先ず私も聴きはじめのガーシュインの歌劇「ポギーとベス」からの交響組曲「キャットフィッシュ・ロウ」という曲に注目しました。ガーシュイン自身の編曲らしく曲構成としては@「キャットフィッシュ・ロウ」、A「ポギー・シングス」、B「フーガ」、C「ハリケーン」、D「おはよう」といった副題のついた五曲から成っており本盤カンゼルが50歳の頃手兵シンシナティ・ポップスOを振った1983,1985年収録の演奏タイムはタイトル順に@7’46A5’13B2’04C3’35D7’17とタイムの手頃さと曲内容の気楽さとで充分楽しめました。第1楽章「キャットフィッシュ・ロウ」というのは「なまず横丁」という意味という事はさておき活気あるスタートで管楽器主体の単純なテーマが流れ次に切れ味の良いピアノ(担当はW.トリット・・・「ラプソディ・イン・ブルー」の名演もあるそうですが私は未聴)が後に続けます。そしてヴァイオリンの「サマー・タイム」メロディも挟まり静かに閉じられます。第2楽章は軽やかなバンジョー(担当T.ベレンス)が聞けその後親しみ易いメロディ弦がゆっくりと雰囲気作りをします。バンジョーと言えば個人的にはバンジョーに凝っていた学生時代の友人をすぐ思い出しました。それはさておき第3楽章は弦打楽器が忙しくフーガ的な動きを見せ最後はドンドンで〆ます。第4楽章は暫く穏やかに推移するもののやがて「グランド・キャニオン」に負けない位の迫力ある大音響で特に嵐の中で鳴り渡る鐘が何か風雲急を告げる印象を持ちました、最後の〆はちょっとシベリウス交響曲第1番を連想しつつ最終楽章は良きアメリカ的な大きい構えの音楽で途中民謡風なパッセージを噛ましつつ全体シャキッとさわやかにこの曲を閉じます。少し曲案内に終わったかもしれませんが取っ付き易い色彩感豊かな曲として(対抗馬の演奏も私は知りませんが)一聴をお勧めします。本盤のメイン曲である「グランド・キャニオン」(1983年?録音)は先のガーシュインの「ラプソディ・イン・ブルー」をオーケストレーションしたグロフェ作曲のもう曲としてはポピュラーなもので@「日の出」A「赤い砂漠」B「山道を行く」C「日没」D「雷雨」から成る大スペクタル曲でカンゼルの演奏は録音の立体感の良さも寄与した実におおらかなどちらかと言えばポップス寄りの感じでタイムは@5’09A5’19B8’00C4’41D7’37とペースとしてはやや後半がテンポアップしている感じもありますが顕著ではありません。第1楽章のホルン等管楽器強奏の割には若干重みが伴って来ずこれも特徴的な処?第3楽章のスタート時の少し深刻なヴァイオリンソロから一転ロバのいななきに模されたクラリネットその他管打楽器がコミカル的で面白かったです。管ファンファーレでスタートする第4楽章はスケール大きくテーマをロマンチックに展開するのにアメリカ映画サウンドの様に引きずり込まれました。最終楽章は遠雷から始まりますが次第に迫力を増して聴き応え充分です・・・ただ実録雷鳴分が別に抄録されているだけに少し「立場」が微妙に・・・。正式な以上の演奏に続いて本盤ではプラスアルファとして虫の鳴声・遠雷(1’02)と正式演奏と同タイム(7’37)で実録のユタ雷鳴それもドライサンダーを加えた第5楽章が追加されておりここが本盤のセールス・ポイント・・・とにかく凄い迫力・・・流石本物の雷鳴・・・梅雨明けの関西でも異常気象なのか空にわかにかき曇りすさまじい雷が鳴る事しばしば・・・で実にリアルでもうこうなったら音を楽しむ別の「音楽」を味わえるのが特徴なのでしょう。(タイムについては盤により多少異なる場合があります。)
0 people agree with this review 2012/07/26
バルトークのヴァイオリン協奏曲の聴き初めは私の場合は1953年収録のメニューイン/フルトヴェングラー/PHOの演奏盤・・・勿論LP・・・で、正直その演奏の大変荒々しいというか攻撃的に次々展開される不協和音の嵐に翻弄されたのが実情で今日の様な第一線のV協奏曲に出世するとはとても思われなかったです。ただバルトークの諸作品を特にハンガリー系演奏家で聴く事により次第に軌道に乗りバルトークの「世界」の一端が分った様な気になり出した頃、ブーレーズが近代作曲家の演奏収録に集中開始し当然バルトークへの乗り入れは仏系演奏家として興味がひかれました。オーケストラCSOのバルークはライナー指揮「弦楽器、打楽器、チェレスタの為の音楽」「管楽器の為の協奏曲」でもその実力は実証済みだし、作曲家でもあるブーレーズである事からそれなりの切り口が期待もされ本盤1998年(ブーレーズ73歳)収録のヴァイオリン協奏曲第2番も色濃く持ってる民俗音楽的要素において過剰な情感を避け結構全体紆余曲折的複雑な変奏模様の曲を実に見通しの効いた風に進めております。演奏タイムとしては@16’39A10’50B13’06と約40分の若干長めの時間を肝心の独奏者弱冠27歳のギル・シャハムは超絶技巧を軽々とこなして上手くバックサポートに乗って決して対決姿勢はしていない様な印象を持ちました。第1楽章出だしは望郷的雰囲気から即入るVは緩急、濃淡、強弱等多彩な変化の中で音を何音階か重ね後段カデンツァ的な箇所でその見事さが象徴されます。そして最後、切々とした側面を掠めつつ〆へ導かれます。中間楽章は穏やかで抒情的な民俗音楽テーマが変奏風に展開され時折ちょっとしたチェレスタが丁寧な音楽作りを語っている様です。最終楽章は全奏で勢い良く民俗舞曲風にスタートし参加するVも管楽器共々攻め上げて行きますがちゃんと双方コントロールされ最後フィナーレは勝どきを上げるオーケストラバックにメリハリつけたVがきちっと〆ます。深くは分らないですが丸くなったとは言え既に出来上がったブーレーズのバルトーク観にシャハムは持ち前の融通性を発揮した・・・得てしてよくある若い演奏家の器用な面があるのではとも思われる演奏なのでしょうか。しかしとにかく凄いテクニシャン!!併録1998年録音のラプソディ第1番(@5’15A5’56)、第2番(@5’15A6’22)は未聴であります(ブーレーズは冒頭のメニューインのヴァイオリン、オーケストラBBCSOでこのラプソディを1968年録音(第1番トータルタイム11’30、第2番同12’29)していますね)。(タイムについては盤により多少異なる場合があります。)
0 people agree with this review 2012/07/25
1960年代中頃ステレオLPでベートーベン交響曲全集で安価なものと言えばこのコンビチュニー盤位でしたが私も全集収集のトップがこれでした。音質は盤質にもよるのか楽器編成配置によるものかLGO独特の古風蒼然な音色は幾分浅い印象はあるものの演奏は良く言えば正統派と捉えておりました。まぁ当時は値段のこともありましたがLGOの記録としても貴重なものとなっております。本盤は1959〜1961年収録全集から別に第2番(タイム@13’22A10’50B3’45C6’07)と第4番(同@12’00A9’45B5’48C7’11)をカップリングしたもので(別演奏ではないという前提)コンビチュニーが丁度還暦の頃の演奏であります。念押しの様ですがこの全集の演奏は奇を衒ったところがなくガッチリしたいわゆる「ドイツ的」という運びの中でちゃんと反復部分も実施され更にちょっとしたチェックも入れて指揮者とオーケストラの当時の演奏姿勢が偲ばれます。しっかり聴いた後の充実感に浸れる事は保証もの!?この全集録音完了の1961年にはコンビチュニー/LGOは来日しやはりベートーヴェン交響曲全曲を演奏した記録もありますが翌年まだ指揮者としては惜しまれる年齢で亡くなってしまいました。そしてコンビチュニーと言えば今や私と同年の息子ペーター・コンビチュニーの方が著名なオペラ演出家として有名ですね。(タイムについては盤により多少異なる場合があります。)
0 people agree with this review 2012/07/24
東京SQは1969年桐朋学園メンバー中心にジュリアード音楽院において結成され以降数度のメンバー交替を経つつその拠点をアメリカに置いて演奏活動をしていましたが現メンバーの内二名の日本人の意向により来年2013年に解散する方向が決められている様でそうなるとその活動期間は今から丁度あと僅か一年ということになってしまい国際的ポジションを維持している唯一日系の弦楽四重奏団が無くなるのは少し残念であります。さて、本盤はベートーヴェン弦楽四重奏曲第7〜9番・・・ラズモフスキー第1〜3番と呼ばれるベートーヴェン中期の傑作であり本盤は2005年に再録したものからの選抜であります。演奏タイムは珍しくHMVレビューにメモされている様に第7番(@11’05A9’13B12’19C7’59)、第8番(@10’15A12’28B7’46C5’45)、第9番(@10’43A9’20B5’23C5’51)であり一回目の1989〜1990年収録での第7番(@11’00A9’23B12’07C8’01)、第8番(@9’30A13’11B7’45C5’33)、第9番(@10’41A9’45B5’24C5’55)と単純タイムでは双方比較してマァ曲の性格上ブレは少ない方ですが他のQ演奏とくらべると独断ですがちょっとゆったり目かな・・・という感じです。周知の様にこれらラズモフスキー名称の三曲はベートーヴェンがウィーン駐在のロシア大使ラズモフスキー(自らヴァイオリンも弾く人だったらしいですよ)に献呈した事からのネーミングであり第7番(ラズモフスキー第1番)と第8番(ラズモフスキー第2番)の一部の楽章に夫々ロシア民謡的テーマを導入している処から厳粛さを求め勝ちなベートーヴェン弦楽四重奏曲に意外と親近感を帯びたものとなっており東京Qは自然なさりげなさでゆったりと聴かせてくれています。本盤録音で使用している楽器は名器「パガニーニ・クヮルテット」と言われるもので以前弾いている「アマティ・セット」と呼ばれるセットとの音色違いまで私などには明記出来ません。ただこの様に楽器が変わりメンバーも替わっても彼らの演奏アイデンティティは軸を失ってはいないわけです。サンプリングで第7番について触れましょう・・・第1楽章大らかなスタートで続くテーマはベートーヴェンの他の作品に心当たりないわけでもありませんがそのテーマの後段での締め切り方、ちょっと突飛なイメージではホルスト「惑星」出だしを連想させる第2楽章では切れ切れにメロディを噛ましつつ様相が移ろい〆でのきっちりした集中力は聴き処。第2楽章と第4楽章の中にあってやや引き立て役の第3楽章は沈みがち思考的な処へメロディが挿入されロマン性を帯びそして最終楽章では先述のロシア民謡を主題にしつつ次第にテンポアップして明転し盛り上がって行きワンクッション置いて堂々と終わるのはまるでこの時期作曲の交響曲の様で刻々と変化する陰影をさりげなく表現する柔軟な対応は音楽そのもの自体の美しさを聴き手に伝え様とする流石東京SQならではです。(タイムについては盤により多少異なる場合があります。)
1 people agree with this review 2012/07/23
LP時代から気にはなっていた存在感のある演奏でクレンペラー78歳の時の収録「新世界」交響曲(オーケストラはPHO、タイム@12’29A11’59B8’30C12’13)であります。マァ一言で言えば天の邪鬼的で頑固な性格だった?クレンベラーの個性的な演奏であり一般受けはしないのではと思っている演奏です・・・しかしマニアなら一度は冷やかしでも聴いておいたらといった辺りなのでしょう。第1楽章等繰り返し演奏もされておりたっぷり時間をかけている事もあって全体として例の如くテンポはゆっくりしたものとなっています。個性的な面はこの曲へのアプローチで所謂民族性、土俗性或いは大陸からの望郷・郷愁の念と言った切り口とはやや異なったテイストを持っていることでそれは響きの上でクレンベラーの特徴である管楽器の扱い(録音技術的なものもあるとは思いますが・・・)にも左右されている事かと思います。第1楽章の出だしはそれこそそっけなく展開部での躍動感も爆発的ではありません・・・それだけに先の管楽器扱いも手伝ってあくまで客観的な感じです。続く第2楽章も本来?なら感傷的に進められる処を到ってサラッと通しています。遅いテンポというよりやや鈍重な感じの第3楽章を経ていよいよ最終楽章なのですがこの楽章においてもそのスタンスは維持され勢いは無い代わり実に安定的で後段の〆はマッシブな塊りが強調されます。結局結果として仕上がった演奏は先にも触れたクレンペラーの質実剛健的な側面に終始したものとなっており、一般的に受けている他の「新世界交響曲」演奏と大いに差別化を図った演奏と申せましょう。普通のCDは現在無い様ですが音質向上フォーマット盤が出ており大いにそのこだわり演奏が楽しめましょう。(タイムについては盤により多少異なる場合があります。)
1 people agree with this review 2012/07/22
以前書き込みした者ですがテータ的なものを追加させていただきます。本盤演奏曲の内1963年収録・・・リステンパルト63歳の時の演奏のミサ曲 「戴冠式ミサ」(6曲トータルタイム26’58)及びモテット「エクスルターテ・ユビラーテ」(3曲トータルタイム17’10)は私の世代では廉価盤LPで懐かしいものです。モーツアルトのこの宗教曲2曲、穏やかな正統的な演奏で声楽陣の中で特にソプラノT.S.ランダル(当時36歳)の端正な好演も光っております。地味な存在で若干音質もこもっている感じもした演奏盤ですが、モーツアルト宗教曲の良さを様式ポイントを踏まえた上でもしっかりチェックされおり聴き終えて実に爽やかな気分に浸れるました。オーケストラはザールCOという地理的にはフランス語文化圏に近いオーケストラだった為か少しローカル色を帯びている音色が今となっては懐かしいものと思います。リステンパルトは1950年前後バロック室内管弦楽団を設立した演奏家では比較的年配でバロック音楽復興運動の草創期の指揮者の一人だったと思います。彼のバッハ管弦楽組曲やアルビノーニのアダージョその他協奏曲集も名演だけに何回聴いたことでしょう! なお、本盤併録の「証聖者の荘厳な晩課」(6曲トータルタイム27’05)は聴いておりません。現在廃盤でもありもうこうした演奏は遠い昔時代になってしまったのでしょうか、寂しいですね。(タイムについては盤により多少異なる場合があります。)
0 people agree with this review 2012/07/21
もう解散して四年経ったアルバン・ベルクQは1970年VPOのCMを務めていたギュンター・ピヒラーが中心となって結成されたオーストリアの弦楽四重奏団であり室内楽の中でも特に凝縮されたエッセンス編成で各メンバーの完璧な技術とアンサンブルの緻密さに支えられ豊かな音色、表現力を駆使した演奏は三十年弱の活動において高い評価を得ておりました。ベートーヴェンの弦楽四重奏曲は本盤収録曲を含む1978〜1983年のスタジオ録音と1989年のライヴ録音がこのQ演奏として残されております。中でも本盤曲目であります後期G分はその表現の彫りの深さ、研ぎ澄まされた緊張感、その気迫溢れる演奏ににおいて素晴らしいものがあります。ここでは最後に至って伝統的な4楽章構成に戻った第16番(1981年収録、タイム@6’19A3’22B7’45C6’52)についてメモしてみます。第1楽章印象的なしゃくり的テーマにとにかく先ずエッセンスが詰まっており比較的明るく分り易く進む楽章でふとモーツァルトの世界も連想しました。やはりウィーンの伝統雰囲気を持ちつつ現代的で鋭敏な感覚がこのQの真骨頂を象徴する演奏として結晶した様な感じです。テンポ速い第2楽章は曲としてはややゴタゴタ的に受け取りましたが演奏は決してベタ打ちではなく濃淡メリハリが鮮やかですね。やや狂騒的な後を受けた第3楽章はゆったり取り組まれて運ばれ奥深い情感を味わう事が出来る演奏になっております。いよいよ最終楽章は何かベートーヴェンの人生において如何に「苦しい人生に立ち向かい、解決したか」という道程を追体験できる締めくくりの「白鳥の歌」めいたこの作品に相応しい楽章として位置づけられるのでしょうか・・・楽章冒頭に「ようやくついた決心」という言葉が書かれ、「そうでなければならないか?」、「そうでなければならない」、「そうでなければならない」と歌詞がつけられ低音弦と高音弦間で語り合われつつ進められます。後段は明るさを呈し始めピチカートに乗りつつ最後は爽やかさと言ってもよい程美しく終止するのですがこの辺りの精神遍歴?をこのQは特に透明感を持って表現しているのが特筆されましょう、本番併録の第15番(1983年録音、@9’17A8’24B15’06C2’03D6’28)は未聴でありますが短調基調の第1楽章やベートーヴェン自身の病いの為に中断されていたこの曲へマァ後付で挿入された様なリディア旋法による長い第3楽章等聴き処満載で第16番と同じく気宇壮大で刺激的な演奏に仕上げられている事と思います。なお、先述の1989年ライブ録音はトータルタイムしか確認していませんが第15番・・・42’14、第16番・・・25’10となっています。本盤は未聴曲があるので当面OKランク以上とさせて下さい。(タイムについては盤により多少異なる場合があります。)
0 people agree with this review 2012/07/20
もう解散して四年経ったアルバン・ベルクQは1970年VPOのCMを務めていたギュンター・ピヒラーが中心となって結成されたオーストリアの弦楽四重奏団であり室内楽の中でも特に凝縮されたエッセンス編成で各メンバーの完璧な技術とアンサンブルの緻密さに支えられ豊かな音色、表現力を駆使した演奏は三十年弱の活動において高い評価を得ておりました。近代、現代物により適した実力を発揮するQであっても古典物にもウィーンの伝統雰囲気を持ちつつ現代的で鋭敏な感覚がこのQの真骨頂を象徴する演奏として結晶した様な感じを提示します。本盤は1986年に第2ヴィオラにM.ヴォルフ(ウィーン生まれの当時24歳)を迎えてのモーツァルト弦楽五重奏曲第3番ハ長調(タイム@13’05A8’24B5’04C7’20)と第4番ト短調(同@10’15A4’45B8’24C10’28)を演奏収録したものです。モーツァルトの弦楽五重奏曲はこのヴィオラの面白さを追及した面白い分野であり弦楽四重奏曲よりやはり詰まった響きが聴きポイントでもあり特にこの二曲は調性が同じの為、交響曲第40番ト短調、第41番ハ長調或いは交響曲第25番ト短調、第29番ハ長調の各関係を引用される事が多い様です。先ず第3番第1楽章はシューベルトの様なテーマからスタートし明るく簡潔な感じでこのQの透きとおったアンサンブルが活きています。時折短調シーンが過ぎりはしますがやや調子良い展開部を経て後段は比較的がっちりした様相を呈して〆に結び付けます・・・タイムとしては反復もある為か長めに感じはしました。第2楽章はヴァイオリンとヴィオラ間の絡みがこの五重奏曲の極めを表しています。個人的には曲として少しぐずつき気味の印象のある第3楽章を終わって最終楽章は中々軽快で活き活きした楽章で複雑な対位法を含む掛け合いも流石このQの整理整頓処理のセンスは素晴らしいです。次に第4番は評論家の小林秀雄氏によって、「モォツアルトの悲しさは疾走する」と評された曲です・・・第1楽章のファーストテーマはその悲愴感を帯びたもので演奏がシャープにスタートします。セカンドテーマがその逼迫感を救う感じのもので交代交代形を替えこの二つのテーマがこの楽章を占有します。第2楽章のメヌエット/トリオは強弱メリハリをつけます。穏やかなファーストテーマと短調帯びのセカンドテーマの第3楽章は正直な処少し退屈だったです、最終楽章はヴァイオリンとチェロの対話の序奏から主要部で進められるテンポ速めの活気は果たして短調曲の面影が皆無となり曲として先の交響曲とは通しで聴いた後での印象としては異なる処なのでしょう。(タイムについては盤により多少異なる場合があります。)
0 people agree with this review 2012/07/19
もう解散して四年経ったアルバン・ベルクQは1970年VPOのCMを務めていたギュンター・ピヒラーが中心となって結成されたオーストリアの弦楽四重奏団であり室内楽の中でも特に凝縮されたエッセンス編成で各メンバーの完璧な技術とアンサンブルの緻密さに支えられ豊かな音色、表現力を駆使した演奏は三十年弱の活動において高い評価を得ておりました。ベートーヴェンの弦楽四重奏曲は本盤収録曲を含む1978〜1983年のスタジオ録音と1989年のライヴ録音がこのQ演奏として残されております。中でも本盤曲目であります後期G分はその表現の彫りの深さ、研ぎ澄まされた緊張感、その気迫溢れる演奏ににおいて素晴らしいものがあります。ここでは最後に至って伝統的な4楽章構成に戻った第16番(1981年収録、タイム@6’19A3’22B7’45C6’52)についてメモしてみます。第1楽章印象的なしゃくり的テーマにとにかく先ずエッセンスが詰まっており比較的明るく分り易く進む楽章でふとモーツァルトの世界も連想しました。やはりウィーンの伝統雰囲気を持ちつつ現代的で鋭敏な感覚がこのQの真骨頂を象徴する演奏として結晶した様な感じです。テンポ速い第2楽章は曲としてはややゴタゴタ的に受け取りましたが演奏は決してベタ打ちではなく濃淡メリハリが鮮やかですね。やや狂騒的な後を受けた第3楽章はゆったり取り組まれて運ばれ奥深い情感を味わう事が出来る演奏になっております。いよいよ最終楽章は何かベートーヴェンの人生において如何に「苦しい人生に立ち向かい、解決したか」という道程を追体験できる締めくくりの「白鳥の歌」めいたこの作品に相応しい楽章として位置づけられるのでしょうか・・・楽章冒頭に「ようやくついた決心」という言葉が書かれ、「そうでなければならないか?」、「そうでなければならない」、「そうでなければならない」と歌詞がつけられ低音弦と高音弦間で語り合われつつ進められます。後段は明るさを呈し始めピチカートに乗りつつ最後は爽やかさと言ってもよい程美しく終止するのですがこの辺りの精神遍歴?をこのQは特に透明感を持って表現しているのが特筆されましょう、本番併録の第12番(1981年録音、タイム@6’40A16’38B6’53C6’54)も気宇壮大で刺激的な演奏に仕上げられた印象を持ちました。なお、先述の1989年ライブ録音はトータルタイムしか確認していませんが第12番・・・36’59、第16番・・・25’10となっています。(タイムについては盤により多少異なる場合があります。)
0 people agree with this review 2012/07/18
ベートーヴェン、ブラームス、ブルックナー指揮者として大器晩成型とは言え特に晩年若干スターに祭り上げられた感のあったヴァントが何と82歳の1994年に手兵NDRSOを振ってのライブ録音盤でプログラムはモーツァルト交響曲第40番(タイム@8’18A8’30B3’32C4’58)とチャイコフスキー交響曲第5番(同@16’20A13’06B5’50C11’55)とマァ珍しい?ものであります。いつもながら的を得た東京都の方のレビューで語り尽くされておりますのでやや蛇足ではありますがスペースをいただきました。モーツァルト交響曲第40番第1楽章出だし例の印象的なテーマを濃淡つけて且つ弦をヤヤ引き摺りつつ進めますが結局得てして感傷的に演奏されるところをストレート気味に終始しました。第2楽章はそういうわけで?ダレません。第3楽章のメヌエットは颯爽を通り越してとにかくテンポとしては速くトリオも切れ目なく突入しますがある説得感はあります。テンポを戻しての最終楽章での途中の変節変調は到って淡々としたものです。こういうわけでマァ、全体としてこの曲に我々レベルで求める「遊び」辺りに不足感はあろうかと思います。詳細は未確認ですがヴァント指揮のこの第40番CD盤としては1959年ケルン・ギュルツェニヒOを振った演奏物(@8’23A8’51B3’40C5’31)やベルリン・ドイツSOを振った1988年ライブ盤(@8’18A8’17B3’33C5’33)もあり本盤含めて「偶発的・思いつき的なものではなく、意味のあるもの・後の時代にも落ち着いて鑑賞できるるものにしたい」と常々考えていた彼の演奏なのでしょう。譜面を見ないものの音楽そのものに語らせるスタンスにおいてHMVレビューにもメモされている様に彼ならば充分想定されるロシア風のセンチメンタリズムを廃したストレートな演奏のチャイコフスキー(本盤演奏以外に1987年ベルリン・ドイツSOを振ったライブ盤(@15’41A12’03B5’41C12’22)もあるそうです)は先ず本盤が未聴でありますので当面OKランクからとさせていただきますね。(タイムについては盤により多少異なる場合があります。)
0 people agree with this review 2012/07/17
ハーゲンQは1981年頃ハーゲン四兄弟(彼らの父親がモーツァルテゥムOの首席ヴィオラ奏者ハーゲンだったらしいです)によって結成された四重奏団で途中一人メンバーチェンジがあったものの息の合ったアンサンブルでアルバン・ベルクQが既に解散してしまった現在高い評価を得ているオーストリアのSQで当然ベートーヴェンの弦楽四重奏曲にもボチボチ着実にレコーディングを進めて来ております。本盤(現在販売されておりません)は第12番(2004年収録、タイム@6’12A13’53B7’43C5’51)と第15番(2003年収録、@9’26A7’34B15’35C1’51D6’44)の後期グループ二曲を収めたものでまだ若いメンバーだけにややテンポも軽やか早く後期作品を必要以上に聴く者に意識させないムードを醸し出してはいる様に思いました。第12番、第1楽章での堂々としたスタートからアンサンブルの「覇気」が感ぜられ探り出したテーマの「ころがし」は少し「英雄」交響曲を連想しましたし長い内省的な第2楽章での変奏では結構沈着に運びつつ精神の最深部を覗き込むような幽玄な境地を感じさせてくれます。第3楽章は位置的には長い前楽章をはねのける様な楽章ですが前のめりにはならず最終楽章のリバウンドに対して辻褄をちゃんととっていた様に聴きました。第15番の方に移りますと第1楽章での会話的なやりとりの内にもあの「大フーガ」動機が優しく垣間見れます、短調が基調なので重厚さもあり〆はベートーヴェンらしいしっかりしたステップを踏んでいる処をこのQは訴えている様でした。第2楽章はトリオ形式なのですが中々面白い楽章でハーゲンQも比較的フリーで表現の多様性を見せているのではないでしょうか。続く第3楽章はベートーヴェン自身の病いの為に中段されていたこの曲へマァ後付で挿入された様なリディア旋法による長い楽章で「病いより癒えたる者の神への聖なる感謝の歌」と題され全体のクライマックスに位置しております。途中楽想が何回か変化し戻りつつ取り留めなさを感じますが後段での強奏でニュアンス深さは印象深いです。第4楽章〜第5楽章は何時移ったのかウカウカ出来ない箇所ですがヴァイオリンのジプシー・レチタティーヴ的な聴かせ処はやや雄弁で違和感も・・・とも思いました。全体として前述した様に決して後期グループ作品だと言うピンポイント的把握では無い処がベートーヴェン弦楽四重奏曲後期グループ作品に私たちが抱く深遠さとどう聴くかは夫々の好みに架かって来るのでしょう。(タイムについては盤により多少異なる場合があります。)
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