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TOP > My page > Review List of 風信子
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2 people agree with this review 2018/08/28
もう20年近く前の演奏 若き日の肖像は甘く面映いもの 壁の一隅で日に灼けて朽葉色に染められていればこそ 平常心で視線を飛ばせようというもの 若さ故の真っ直ぐな弾きっぷりが清々しい 細かな音の一つ一つまで絃を的確に捉えよく鳴らしている 陰影ある妙味は期待すべくもないが ヴァイオリンの美しさは無類だろう ブラームスは歌えてそそとした風情 ブラームスが聞いたら恥ずかしがるような清楚さ バッハは踊り 器楽的には運動 技術がなければ弾けないが全てを音にしたところで”音楽”にはならない 音にはなったがそれがどうしたという無情さが残った パートナーがいるシューベルトで終わってよかった 今のバティアシュヴイリが聴きたくなった
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13 people agree with this review 2018/08/28
先日ピアノで演奏するモーツァルトを聴いた 突然リュビモフの全集を思い出した 久しぶりに聴き直した ピアニスト嫌いはサン=サーンスと同じ ソロは歌唱でも器楽でもすぐ飽きる こんなわたしがモーツァルトの18曲を一気に聞くなんてありえないが 面白かった グールドもピリスもこんなことはできなかった モーツァルト好きやクラヴィーア音楽に造詣のある方からは苦言も聞かれるが わたしは聴いていて愉しかった わたしでも聞き覚えているイ長調K.331やハ長調K.545のような所謂ポピュラー曲以外の凡てから零れる魅力の諸点に触れられたことの歓びはモーツァルトへの視線と視点を新たにさせるものがあった やはりこれがフォルテピアノによる演奏であることの意味が大きいと思う 何より鍵盤のタッチの差は音楽の創意と演奏効果に決定的な意味をもたらした 最後になるがリュビモフの思想と人格が反映していることを付け加えれば 四半世紀を越えて存在意義は明確にある もしまだならあなたも如何
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0 people agree with this review 2018/08/28
バッハは不易 そして融通無礙だ 鍵盤楽器を弾いて書かれたバッハの楽譜を様々な楽器で演奏する試みは珍しいことではない 先例が多々ある中へ新たな挑戦を企てる若い演奏家たちがいる バッハの魅力の波は300年近くを経た現代にも及んでいる クラヴィコードを弾く左右の手指の譜を二台のギターで分担しているのだろう 音楽は透明感を増し立体的な構造を見せ始める 奏者が分かれ音楽がより自由になりアンサンブル性が高まる 如何に合わせても個性の違いは音楽のニュアンスに表れる この差異は音楽により大きな生命力を生む いやこれはもう別物だという向きもあろうが わたしは大いに愉しんだ あなたは如何
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古典奏法からの選曲 ペルゴレージに由来する”プルチネッラ”だけでなく ストラヴィンスキーの所謂「古典」返りの曲たちにはバッハで培われた鈴木雅明のピリオド奏法を当てはめると面白いかもしれないと思った 問題はこれらの曲を面白いとわたしが思っていないことだ 20世紀の音楽学生たちからストラヴィンスキーは神の如く崇められていた その崇拝の弁を幾度となく聞かされた わたしの第一印象は商売上手な作曲家 胡散臭い如何わしいとまで思っていた 激震を起こした彼のバレエ音楽創作も頭でっかち尻窄み 初めのビッグバンから飛び散った破片と余波が無辺の宇宙を飛行し浮遊し終いには漂っていた始末などと言ったら 信者が怖いというように買っていない音楽を何故聴いたか 唯 鈴木雅明+タピオラS-taへの興味に尽きる 果たして面白かった 素晴らしい演奏者たちだ “プルチネッラ”組曲から物語性が感じられた “ミューズを司るアポロ”はアメリカの公的機関からの委嘱とあってジャズのエッセンスが散りばめられていることを初めて意識して聴いた バーゼルCOの創立記念による委嘱はオルゲルにも行き第4交響曲を生んだ この弦楽協奏曲と比較して様々のことを思った このDiscは繰り返し聴くことになるだろう あなたも如何
2 people agree with this review 2018/08/26
ザンクト・フローリアンで全曲録音するとばかり思っていたが ガスタイクでのライヴだ 演奏姿勢はスコアに先ず忠実であると言っておこう 音響設計もpppからfffまでブルックナーの指示に従っている 思いの外演奏時間を要しているのはテンポ・ルバートが頻繁に行われるからだ ここは評価の分かれるところだろう しかしこれがゲルギエフのスタイルでもあり美質の一つであることを忘れまい わたしの趣味を言えば内声部をもっと聞きたかったが 総体として優れたブルックナー演奏だと思う 続くであろう六曲が今から愉しみだ ミュンヘンpoと言えば クナッパーツブッシュと残した”第8番”の名演が念頭に浮かぶ 果たしてこれに迫り或いは凌駕する演奏を為し得るかと期待すら浮かぶこれまで初期三曲の演奏だった クナッパーツブッショとて生涯の最後にようやく辿り着いた境地だったのだから ゲルギエフにはという決め付けはしたくないものだ 兎にも角にも お楽しみはこれからだ あなたは如何
1 people agree with this review 2018/08/25
歌は苦手だ オペラもリートも退屈する 詞が分からないことに最大の因があると思うが 日本語の歌でも好き嫌いが先に立つ どんなに美形が上手に歌ってもそれがどうしたという始末だ 自ら進んで聞きに出ようとは思えない そのへそ曲がりが”歌”に手を出すことがたまにある ”ブラームスに憑かれて”と題するこのDisc しかも弾き語りのようなのだ ブラームスの歌曲をピアノを弾きながら歌うとは何事か ブラームス自身はそうしたかもしれないけれど 意表を突かれた 案の定 わたしが知っていたのは”子守唄”だけだった 聞き始めてジャズかと思うが違う シャンソンに近いかな 否 英語で歌っているぞ 何じゃこれはと訝しんでいるうちに妙な気持ちになってきた 何か気分がいい 折から月の出となり 猛暑も遠慮がちとなり 夜風にかすかな涼を感じると その力の抜けた呟きのような歌唱に引き込まれていた 不思議な演奏だ 唯心地いい あなたも如何
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1 people agree with this review 2018/08/24
ブラームスのヴァイオリン・ソナタは交響曲創作の余韻である ト長調Op.78は第2交響曲作曲の翌年に イ長調Op.100は第4交響曲作曲の翌年に ニ短調Op.108はその翌年から三年かけて書かれた ブラームスは交響曲を二曲ずつ続けて作曲している 長い間に渡る大仕事の後を癒すかのようだ 場所こそ違え三曲共夏の避暑地で書かれているのも共通している 湖畔で暮らす夏休みの間に頭が錆びつかないようにと最小のアンサンブル曲に手を染めていただろう こうした環境が音楽に反映している 長閑で伸びやかな曲想は均整のとれた美しさを持つ 自分が弾くピアノは控えめにヴァイオリンを浮き立たせる曲作りも徹底している 全曲ヴァイオリンが冴えた奏でを繰り広げる カプソンのVnに不足のあろうはずもなく 一気に聴き通してしまった 甘すぎず枯れてしまわず人間の豊かな味わいが心地よい あなたも如何
0 people agree with this review 2018/08/24
第1Pfコンチェルトを書いた後にブラームスが取り組んだのが Pfクァルテットだった 20代を締めくくったのがト短調Op.25とイ長調Op.26の2曲だった ロマンチック・ブラームスの全てがあると言っていい 歌と踊りを基調とする彼の音楽の本体が既に完成していたことを示している 非常に魅力ある音楽は人を喜ばせ無防備にする このフェミニズムが現実にあると勘違いする人もあるだろう ブラームスが独身で生涯を終えたことを思ってしまう ある意味非現実的な美しさである この甘やかさを実生活で実現するのは困難を極める この無垢なる美は何処からブラームスの中に入り込んだのだろう 楽しく遊んでくれてその合間に蕩けるような優しい囁きを聞かせ続けられたら それは誰でもおかしくなろうと言うものだ アンゲリッシュ&カブソン・トリオは完璧な演奏を展開する 憧れはいつも危うさを連れている だからわたしはブラームスを聞くと胸苦しさを覚える あなたは如何
ブラームスは7年前に書いた”カプリッチョ”に新たな7曲を書き加えて 4曲のカプリッチョと4曲のインテルメッツォを合わせた”8つの小品 Op.76”をまとめる 相前後して”ピアノ協奏曲 変ロ長調”を書き始め 3年後Op.83として書き上げる ブラームス40代後半のことだ すでに2つの交響曲を完成し確たる地歩を築いていたブラームスが提示した四楽章から成る第2コンチェルトはピアノ独奏付き交響曲といった体をなす威風だった ピアニストのみならずオーケストラにも実力が求められる大曲だ アンゲリッシュとP.ヤルヴィ=FSO共に持てる力を発揮した力演で いやいや十分余力を残して弾き切った見事さに爽快さまで味わった次第だ このDiscにOp.76と83を併録した見識にも嬉しくなる この小品集をアンゲリッシュは間を置かず演奏している なるほどと感心する 無造作に並べられているのではないのだと気付かされた 豊かな味わいがある演奏だ あなたも如何
1 people agree with this review 2018/08/23
ヤンソンス=RCOによるマーラーは絶美だ 第6交響曲も例外ではない ただ聴取環境の整わない所では その美質を感得することは難しい 楽曲そのものが大編成オーケストラを要し デュナーミクは極めて広いレンジを求めている 録音再生の困難は目に見えている だからSACDである これは厖大な音量を再現するためというよりもより微細な音に命を通わすためだ 全体の音響設計をニュートラルにバランスをとると弱音のソロやマストーンの中に埋没してしまうモチーフがある マーラー自身も作曲当時この問題と格闘していたとアルマが伝えている このDiscの演奏から識れたことは”悲劇的”交響曲が存外弱音部の多い曲だということ ヤンソンス盤の製作方針は的を射たものかも知れない 兎も角スペクタキュラードラマにしなかったヤンソンスはマーラーの声の真実に触れたことは間違いない この指揮者とオーケストラの仕事が続くことを今は願う あなたも如何
5 people agree with this review 2018/08/23
触れなば折れんばかりに儚いラフマニノフ 北の国の人の音楽なんだなあ としみじみ思う 音楽がどんなに高らかに鳴っても さびしい影を曳いていく後ろ姿が映る エトランゼの哀しみなのか 望郷の想い溢れてなのか 全曲に流れる甘やかでメランコリックな風に吹かれていると 懐かしい人たちを想い出す わたしは帰れない故郷に想いを馳せる経験はないが わたしの”孤独”とは長く連れ合っている 孤独は憧れを生み理想を育てる 幻想は無限の荒野を駆け巡る マリナーは不思議な指揮者だ それはジ・アカデミーを振っていた時にも感じていたことだ 作り出すサウンドは十分に色彩に富み官能的ですらあるのに 枠というか矩を超えない佇まいに稀な個性を感じる 故に余白を埋めた”ヴォカリーゼ”は稀有な魅力の光を放っている このラフマニノフ集は聴きものだ あなたも如何
5 people agree with this review
2 people agree with this review 2018/08/23
これはガーシュィンが憧れたフランス音楽だ ウーセのピアノが物を言う 英独仏の奏者が演奏するガーシュインはジャズから出てジャズそのものであり続けられはしない それはグローフェがクラシック・オーケストラ用に編曲した時から決まっていた運命でもある と言うわけで ”ラプソディ・イン・ブルー”と”ピアノ協奏曲”の印象がとりわけ強くいつまでも残る 何と言っても粋なのだ 洒落ている 情緒は馥郁と香ってもアクがない ノーブルなのだ 知が勝り情が出過ぎない演奏とでも言おうか ”パリのアメリカ人””ポーギーとベス”も管弦楽曲として楽しめる演奏だ ガーシュインがアメリカ人以外の演奏で眠っている新鮮な魅力を今更のように見出される例は意外に多い それでこそ音楽に命が宿ろうと言うもの これでいいのだ 豊かな時間が生まれたように感ずる演奏 あなたも如何
音楽監督の席にラトルが着いたLSOが首席常任指揮者の賄いきれないものを補完する首席客演指揮者に誰を選ぶかと興味津々だった それがあのレ・シエクルのF.X.ロトと知って膝を打った これは面白くなったと待っているとこれが出た 室内楽の雄ルノー・カプソンとのバルトークだ 第1番Vnコンチェルトが鮮明な印象を残した バルトークらしからぬ曲想でありながら 天に地にそして花咲く野辺にヴァイオリンの歌が透明な軌跡を描いていく様は清々しい一日の思い出にも似て心を甘い香りに包み軽くしていく そして第2番Vnコンチェルト さぞかし変転流転波乱万丈のドラマが始まるぞと身構えていると肩透かしを食う 詩情綿綿と語りかけ微笑み 透明感を失わないヴァイオリンに驚く オーケストラにも一切の力みは見られず 明晰な響きを尽くす 難しい顔をしたバルトークなど何処を見てもいやしない 何かしみじみした感慨のようなものが身内に湧き起こる風情に改めて驚かされる こんなバルトークなら毎日聞いていられる あなたも如何
3 people agree with this review 2018/08/20
マリナーの趣味が色濃く反映している 音の色彩への嗜好を如実に語ったとも言える それは堅牢な構成を持たないチャイコフスキーの”組曲”によく似合った 数あるチャイコフスキー作品から組曲全曲が選ばれ録音される不思議を初版発売当時感じたものだ 子どもの頃から親しんできた作曲家だが この組曲はピンと来なかった 当然このマリナー盤も遠ざけてきた それこそ今頃になって聴き深く共感した メロディーに溢れた佳作ではあるが 後々まで強い印象を残すような 例えば”白鳥の湖”や”セレナード”のように一度聞いたら忘れられない逸品なるメロディーはない だがこの平凡感・日常感こそマリナーの愛して止まない美意識なのだろうと思い至った 何気ない生活のエピソードにある幸福感こそ音楽の基壇なのだと自覚している それはチャイコフスキーも同じだったのではないか 大言壮語しなくとも夢や幻想は見られると言っているように聞こえる あなたも如何
3 people agree with this review
3 people agree with this review 2018/08/19
音楽は人だと思う ジ・アカデミーで弾きそして振っていたマリナーの演奏は舐めるように聞いていた 彼の姿をメジャー・オーケストラの指揮台に見るようになって次第に興味を失った だからこのシュトゥットガルトRSOとの演奏をほとんど聞いた記憶がない 30年も前の録音を今聴いた 驚いた 演奏スタイルが如何の斯うのではない その演奏に宿る命の輝きに目が眩むほどだ あのジ・アカデミーで貫かれた精神の光がここにも通っている 溌剌と歌い 無味無臭に陥らず 常に新鮮な香りと味わいを醸し出している 激情に囚われず多弁を弄さずノーブルな佇まいを失わない シューマンは後半人生脳の病に苦しんだ シンフォニーで言えば第2番にはその兆候がもう表れているという研究者もいる マリナーの演奏はそうしたシューマンの懊悩を隠してしまっているかもしれない でも それはマリナーのシューマンとその音楽への慈愛なのだとわたしは聴いた あなたも如何
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