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Review List of フォアグラ 

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  • 2 people agree with this review
     2016/08/21

    マズアの交響曲全集は1987〜89年の収録で、東独崩壊直前ということになる。エンジニアにはクラウス・シュトリューベンという懐かしい名前もある。収録順は、87年3、4番、88年2番、89年1、5番だが、結論からいえば、1、5番が最高で遡るほど出来が落ちる。2番はやや平凡に傾くが、ライプチヒ放送合唱団の清廉な合唱と独唱の好演に救われている。3,4番はルーティン。それは録音のレベルも影響しているようで、これを聴くと、東独は87年頃に士気が最低になっていたのかもしれないと想像される。逆に89年は危機感から演奏も引き締まったのでは。コンチェルト・ケルンによるシンフォニアは、ピリオド楽器演奏にありがちなガチャガチャした響きがうるさく感じる。

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     2016/08/04

    大植/ミネソタ管のアーロン・ジェイ・カーニス作品集をつい最近聴き、とても良かったのでこの「大地の歌」も注文。いやはやこれは皆さんが書いているとおりの名演だ。「大地の歌」としてはたぶん、この30年で最高の演奏だろう。ラトル、サロネン、ナガノらより断然いい。大植というと、そのダイナミックな指揮ぶりにどうしても関心がいってしまうが、ここでは実に精妙で柔らかく、それでいて芯のある表現を聴かせてくれる。東洋的な無常観に繋がる演奏は実は殆どないのだ。ミネソタ管も上質で素晴らしいサウンドで応えており、2人の独唱者も優秀。録音も最上級。自信をもって最高点。マイナーレーベルのためあまり知られていないようだが(私もだが)、お勧めしたい。

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     2016/08/01

    これまでもトスカニーニのステレオ録音は存在したが、この「レクイエム」のステレオ効果は比較にならない。古い録音だし2つのテープを合成したらしいので、正規のモノーラル録音に比べるとどうしても音が汚れる。それでも、そのマイナス面が吹き飛んでしまうほどの圧倒的な成果があり、大事件、奇跡の録音の登場と断言したい。とにかくオケの広がり、合唱の生々しさ、独唱の伸びが凄く、臨場感に震えがくるほどだ。私はトスカニーニが苦手で、直情的でテンションあがりっぱなしの演奏を底が浅く感じてしまうことが多かったのだが、これを聴くと、何かとんでもない勘違いをしていたのかもしれないという気持ちになる。少なくともこの「レクイエム」は空前の名演だ。

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     2016/07/30

    稀代のヴィルトゥオーゾ、ベレゾフスキーをまとめて聴けるお徳用セットだ。デビュー・レコーディングのショパンは「俺はこんな風にも弾けるんだぞ」というツッパリ風。次のラフマニノフのコンチェルトもその気配が残っているが、ここではインバルが同曲最高の指揮でベレゾフスキーを大いに助けている。これ以降は急速に音楽が大人になり、リストもシューマンも見事な出来。ゴドフスキーでは原曲のショパンのエチュードも弾いているのだが、デビュー盤のツッパリがどこにもないのも面白い。しかし、このセットの聴きものはなんといってもロシア音楽。ラフマニノフもメトネルも「イスメライ」もこれほど凄まじく、かつ美しい演奏はめったにあるまい。そして最後にヒンデミットの高峰がくる。ピアノ好きなら持っていて損はないと思う。

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     2016/05/23

    ソ連時代のマーラーというと色眼鏡で見がちであり偏見のある評を読んだこともあるが、実際には極めて真っ当で優秀な演奏揃いである。コンドラシンの指揮は純音楽的アプローチというべきなのだろうが、それだけでは済まない熱さがある。3番はバーンスタインと並んで最古のスタジオ録音だと思うが、細部まで丁寧に描いており歌にも満ち古さを感じさせない。ロシア語バージョンのヴァレンティーナ:レフコの歌唱も見事。この時代にソ連でトップクラスの水準の3番が演奏されたのにも驚くが、他の曲でもロシアの3つのオーケストラ(HMVの紹介に漏れているが5番はソヴィエト国立響)のマーラーへの共感の深さも大変興味深かった。たぶん同時代のドイツのオケより上だろうし、何か根源的なシンパシーを感じる。3番以外では1番、7番、9番がとりわけ名演。6番だけは異常なハイスピードで、レニングラート・フィルの曲芸演奏にあっけにとられているうちに終わってしまう。南西ドイツ放送との猛演は好きだが、これはやりすぎ。録音が万全でない部分もあるが、それでも聴き手に充分な感動を与えるものであり、お勧めしたい。

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     2016/05/15

    ショスタコーヴィチは交響曲と弦楽四重奏曲を15曲書き、その中間点である8番がともに最高傑作であるのは、彼がまるで自分の創作活動をデザインしていたようで不思議だ。ただ、弦楽四重奏曲に比べ交響曲の8番は正当な評価を得ていない気がする。その要因としては、1 曲がまだ理解されていない(ロシア人指揮者以外は殆ど取り上げない)、2 ムラヴィンスキーの超絶演奏があり、おいそれと手をだせない、といったところじゃないだろうか。ヒット作5番をひな形にして隠れ蓑としたのはショスタコーヴィチの最も深刻な心象を吐露した作品だからであり、その2重構造を理解した上でムラヴィンスキーの残酷なまでに非情な演奏とは別の答えを引き出すのは大変難儀なことであろう。このラザレフ盤はそれに成功した稀有な演奏だ。ムラヴィンスキーと比べ、こちらには温かい血が感じられ、しかもそれが余計に曲の痛切さを聴き手に体感させる。第1楽章最後のトランペットは涙なしには聴けないほどだ。日本フィルも絶賛に値する。これを聴くと、東京のオケ水準は既にロンドンのそれを超えていると実感する。

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     2016/05/14

    Eテレでパーヴォ・ヤルヴィ/N響とのブラームスをやっていたが、とても良かった。ところが、このCDでは悪くはないが琴線に触れるものがない。基本同じスタイルなのに。ヤンセンは生を聴いたことがあり、極めて繊細な表情からエスプレッシーヴォな表現まで幅の広い優れた演奏家だと思った。CDではその魅力がなかなか出てこないのは残念なことだ。このブラームスでは、ローマのオケの下手ではないがコクのない響きが足を引っ張っているのも一因だが、ヤンセンの表現も軽いというか真実性が薄く感じられるのはもしかしてデッカの音にも原因があるのかな。

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     2016/05/13

    ザラ・ネルソヴァを初めて聴いたが、素晴らしい演奏だった。私がこれまでに聴いたブロッホではベスト。これほどの人の録音が少ないのはどういうことだろう。アンセルメの指揮はバーンスタインの強烈な演奏を聴いた耳にはいかにも淡泊に感じられる。むしろ無名のスイス作曲家オブシェとガイザーの方にアンセルメの良さが出ている。オブシェはなんとなくマルタンを思い出させるし、ガイザーはヒンデミットそっくり。この辺が無名で終わった原因だろうが、曲自体は決して悪くない。スイス・ロマンドもいつになく頑張っている。

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     2016/04/22

    OVPPによる演奏で声楽は総勢5人のためマス的な迫力は望むべくもない。にもかかわらず聴後の不足感はない。むしろ各パートがいかなる時も明晰に聴き取れる良さのほうが上回っている。声楽陣も素晴らしい出来であり、バットの早めの快適テンポもあって、あっという間に聴き終えてしまった。そしてまたすぐに聴きたくなる。アルトが男声ではなく女声なのもよい。OVPPの是非に関係なくもっと知られるべき名盤だ。

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     2016/04/09

    カルロス・クライバーの伝記を読むとミレッカーが出てくる。偽名でのオペラデビューはミレッカーの「ガスパローネ」であり、この「乞食学生」も指揮している。クライバーというと「こうもり」の印象が強烈なため、オペレッタを得意としていたと思われるかもしれないが、そんなことはなく、どうしてミレッカーか、と興味が沸く。さて聴いてみると、実に楽しく面白くてびっくりだ。演奏も素晴らしい。嫌われ役オーレンドルフのナンバーが最高で、これをプライが楽しそうに歌っている。67年の録音なので(台詞だけ70年代に採ったらしい)シュトライヒもゲッダも十分に魅力的だ。これをクライバーが振ったらどうだったかとつい考えてしまうが、アラースの老練な指揮も見事なもので何の不満もない。

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     2016/03/18

    遅いというよりのろいといったほうが合っている演奏。「キリエ」を聴きとおすのは苦行に近い。クレンペラーやジュリーニ、リヒターだって結構遅いテンポなのだが、シェルヘンの場合はそれでスケールの大きな世界を構築するわけでなし、必然性が希薄なため辛くなってくる。独唱陣も心に残る歌唱をしているのはメリマンだけであり、ナイトリンガーなんて笑ってしまうレベルだ。シェルヘンならなんでも聴きたいという人向け。

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     2016/03/17

    レハールの後年の作品はアンハッピーエンドが多いそうだが、この「フリーデリケ」も悲恋もの。「メリー・ウィドウ」に比べ、はしゃいだところはなく、しっとりとしたロマンティックな音楽だが、メロディーの豊富なところはさすがにレハールだ。演奏も優れている。ヘレン・ドナートはモンテヴェルディからヒンデミットまでこなす万能ソプラノだが、出てきた瞬間にぱっと明るくなるような美声と初々しさはいつもながらに魅力的。ワルベルクの指揮は、もっと濃厚にやってもいいかなとも思うが、それはミュンヘン放送管の限界なのかもしれない。

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     2016/03/05

    6つのパルティータはバッハの最高峰の曲集のひとつだが、驚くほど録音が少ない。平均律クラヴィーアやゴルトベルクとは比べものにならないばかりかイギリス組曲やフランス組曲よりも全然少ない。チェンバロではレオンハルトの旧盤くらいしか優れたものがなく(新盤はリピートを全て省略した淡泊なものになってしまった)、コープマンの録音は待望のもの。楽器や装飾に完全に満足したわけではないが、それでも現段階ではこの曲集の最高のものといってよさそうだ。コープマンも録音を熱望していたとライナーノーツに自身書いており、万全を期して挑んだのだろう。3番、4番と曲が深みを増すにつれ、幽玄といっていい味わいを醸し出しており、繰り返し鑑賞したい逸品である。

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     2016/02/25

    「エロイカ」と3つの序曲が壮絶な演奏。これだけで購入する価値がある。定評ある9番とワルシャワ・フィルとの7番も素晴らしい。戦後間もない時期であり、オケのコンディションも万全ではないが、指揮者、オケとも苦難な状況を音楽で乗り越えようとする鬼気迫るものがあり、技術を超えて胸を打つ。44年の8番が磁気テープ録音のおかげで良好な音質なのも嬉しい。

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     2016/02/06

    コヴァセヴィチのスティーヴン・ビショップ時代の集成。オリジナル・ジャケットの復刻は嬉しいが、裏ジャケとディスク面の復刻はなし。このあたりがソニーのこだわりとの差だが、音質はフィリップスの暖色系の音が再現され極めて良好であり、良しとしよう。ベートーヴェンとブラームスが中心で、デビューが「ディアベリ変奏曲」というのはまさに超本格派だが、フィリップスにはアラウとブレンデルというこれまた超本格派がおり、レパートリーが完全に被っていたためコヴァセヴィチは常に3番手扱いであった。アメリカ人で「スティーヴン・ビショップ」という名前なのも特に日本ではベートーヴェン弾きとして不利だっただろう。私もEMI時代以降に聴きこんでおり、フィリップス時代はアルゲリッチとのデュオとバルトークくらいしか聴いたことがなかった。このセットで驚いたのは、ピアノの音の美しさ。実に芯があって輝かしく、EMI時代よりはるかに良い。フィリップス録音のほうがEMIより優秀なのも一因なのだが、そのおかげでどれも大変な聴きごたえだ。ベートーヴェンはコンチェルトと初期、中期ソナタが素晴らしい。後期3大ソナタは作品110の第2楽章のようにテンポが速すぎるところもあり、もう一息。一方で、バガテルやバルトークのミクロコスモスがとてもいい出来で、こうした小品を味わい深く聴かせる腕はたいしたものだ。コリン・デイヴィスもベスト・パートナーであり、ベートーヴェンが特に優れた演奏。ブラームスの2番はオケともども一味欠けるか。ともあれ、コヴァセヴィチの実力を再認識させる出色のセットであり、お勧めしたい。

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