1 people agree with this review




2011/06/04
本盤ホルスト「惑星」はラトルガ26年ぶりに今回2006年にBPOと再録した演奏盤で演奏タイムは火星7’20,金星8’53,水星3’59,木星7’58,土星9’37,天王星6’05,海王星7’05と前回1980年PHOの火星7’06,金星8’50,水星3’55,木星8’06,土星9’32,天王星6’01,海王星7’16とタイム上では大差はありません。ただ演奏はラトルも51歳になったためか全体を眺め渡したスケール感は伊達に年を重ねたものではなく更に磨かれたインターナショナル的BPOサウンドが客観的な演奏に仕立てております。従ってラトルならでは・・・といった処は期待は少し控えめにしたいですね。火星では余裕の底力を見せ前回の様な鋭敏さのひっかかりはありません。金星での静かなヴァィオリンは流石BPOの機能美を見せ付けられた思いがし又確かにこの静かな楽章ではオーケストラの勝負し処ではあります。平原綾香の「ジュピター」で俄然脚光を浴びた木星は分り易い運びで決してボリューム感で圧倒一辺倒ではありません、割と素直に聴けました。人生終盤の象徴である土星での低音弦から管楽器へのパスは見事だし更に不気味な「溜め」を経て盛り上がってやがて静まりつつゆったり動く弦にもある「明るみ」を加えていく経路も素晴らしいです。海王星ではホルンが神秘のスタートをしやがて舞台裏での女声コーラスが広大な宇宙を彷徨い反復する内に消え入って行きます。さて本盤は続くトラックで2000 年にケント・ナガノがイギリスの作曲者でホルスト協会の会長でもあるコリン・マシューズに作曲を依頼した作品「冥王星」(タイム6’11)が付け加わっているのが特徴です。更に(私は聴いてはおりませんが)二枚目エンハンスドCDで今回のこのベルリンのプロジェクト(宇宙へ) のもう一つの目玉である、4人の作曲者による「宇宙」を題材にした委嘱作やラトルのインタビューやBPOリハーサル点景が納められています。マァ飛びつくほどのものではありませんが・・・。(タイムについては盤により多少異なる場合があります。)