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Review List of もくでん 

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  • 1 people agree with this review
     2019/02/10

    現代音楽の旗手クロノス・クァルテットが何と古楽に挑んだ、実にユニークなアルバム。とは言っても全曲が古楽ではなく、ペルト、ケージ、シュニトケらの作品が各所に挿入され、古楽と現代音楽が、不思議にも互いに違和感を生じることなく平和に共存しております。さらに、様々な民族楽器がエキストラとして参加しており、列挙しますと、Bagpipe バグパイプ(スコットランド)、Zhong Ruan 中阮、Da Ruan 大阮(中国)、Nickelharpa ニッケルハルパ(スウェーデン)などが随所で絶妙な効果をアンサンブルに与えています。中阮、大阮は胴体が円形の、琵琶によく似た弾撥楽器ですが、ダウランドの『古風なラクリメ』で何とリュートの代わりに用いられています。ニッケルハルパはBISからCDが出ておりご存じの方も多いでしょうが、弓で演奏する擦弦楽器ながら、左手はフレットを押さえるのではなく鍵盤楽器のようなキーを弾くという、実に興味深い民族楽器です。収録曲の殆どが 2〜4分程度で短い曲が多数並びますが、唯一、ペロタンのオルガヌム『ヴィデルント・オムネス(地上の全ての国々は)』は、夭折したマンロウの遺作となった『ゴシック期の音楽』で広く知られるようになったもので、クロノスは12分近くを要して真面目にオルガヌムを演奏しております。シュニトケの曲が静かに閉じた後、教会の鐘が静かに鳴り響いてアルバムは終わります。ここでのクロノスは、時を超えて永遠の静寂を探し続ける旅人なのでしょう。なお、解説書の末尾に小さく ”In memory of Adam Harrington”(おそらく、第1vn デイヴィッド・ハリントンの御尊父でしょう)と記されております。

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  • 1 people agree with this review
     2014/07/13

    2人の巨匠のデュオによる第2弾。購入時、そのアルバムタイトルに強い違和感を覚えましたが、同じ思いをされた方は多かったのではないでしょうか?昨日(2014/7/12)、Haden氏の突然の訃報に接し、まさか、『Last Dance』の真意はそこにあったのか... と、思わず絶句してしまいました。『Jasmine』とこのアルバムの2枚を毎日通勤中に聴いておりますが、訃報に打ちのめされながらも昨夜、改めて『Last Dance』を聴き直してみました。今にして思えば、これが最期のセッションになると予感しながら演奏していたのでしょうが、音楽はどこまでも静謐で平和な安らぎで満たされており、どこかにセンチメンタルな感傷が紛れ潜んでいないかと探してみても無駄なアラ探しに終わってしまいます。真のプロフェッショナル達による完璧な仕事で、聴いていて思わず頭を垂れずにはいられませんでした。有り難う、Charlie(気安く呼びかけてご免なさい)、この上なく素晴らしい贈り物を。そして、安らかにお休み下さい。合掌。

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  • 2 people agree with this review
     2012/01/25

    全4巻からなる『オルガンの歴史』シリーズ。オルガンの選定が実に見事な企画で、制作陣の深い見識を讃えたいと思います。音声および字幕は、英・独・仏語のナレーション+西語字幕となっており、日本語字幕は付きませんが、“MAIN MENU”の“LANGUAGES”で“ESPANOL”を選択するとスペイン語字幕+英語ナレーションとなり、理解しやすくなります。各巻の要約を下に掲載いたしますが、興味はあるがDVDの内容がよく分からず購入を迷っておられる方々のご参考になれば嬉しいです。また、何分にも素人の作業ですので、誤りがありましたらご指摘いただけますと幸いです。  第1巻は15世紀イタリアから16世紀スペイン、18世紀フランスへ至る、ラテン系オルガン音楽の源流と発展。15-17世紀にかけて活躍したオルガン職人一家、アンテニャーティ家が代々手を加え続けてきた、ブレーシャ、サン・カルロ・ボローメオ教会のオルガンは当時のイタリアのオルガン製作様式を伝える貴重なもの。この銘器を弾くルネ・サオルジャンによるフレスコバルディの音色が美しい。演奏を挟みながら、ヴェローナにあるバルトロメオ・フォルメンテッリの工房でのオルガン製作光景が紹介されています。スペインではトランペット管が前方に張り出した独特のパイプ配列を持つオルガンが特徴で、フランシス・シャペレが演奏する様々な楽器が実に個性豊かで、興味深い。フランスではジャン・ボイヤーが、パリ郊外ウーダンにあるルイ=アレクサンドル・クリコ製作のオルガンを演奏しています。  第2巻は17-18世紀、北ドイツ・オルガン学派。この巻ではレオンハルト、フォクルール、ハインツェによる演奏を収録。レオンハルトはアムステルダム、新教会の大オルガンでスヴェーリンクとブクステフーデを演奏。フォクルールはノルデン、聖ルドゲリ教会アルプ・シュニットガー・オルガンについての解説と演奏を担当。このオルガンは1688年製造で1985年にユルゲン・アーレントによる大規模な修復が行われており、フォクルールは各ストップの音色を一つ一つ、丁寧に解説しながら聴かせてくれます。彼の演奏によるヴェックマンとブクステフーデが、オルガンの音色と相まって実に素晴らしい。もう1台、1816年にカペルの聖ペトリ・ウント・パウリ教会に移設され、その後、オリジナルに可能な限り近い状態に修復されたアルプ・シュニットガー・オルガンも美しい。ハインツェの演奏によるJ.S.バッハは堅実で、オルガンの音色に聴き惚れてしまいます。  第3巻はフランスとドイツ、18世紀前半のオルガン音楽黄金時代。18世紀フランスのベネディクト会修道士であったドン・フランソワ・ベドス(1709-1779)は、楽器製作のみならず、今日においてもオルガン製作者が参考とする重要な著書『オルガン製作の技法』を世に遺しました。この巻ではオルガンの心臓部となる『風箱(Wind Chest)』の構造について、フランスのオルガン製作者ダニエル・ビルーストによる詳細な解説が興味深い。この巻はイゾワールによる演奏が大半を占め、マルシャン、ダンドリュー、J.S.バッハの作品を収録。特に、圧倒的威容を誇る城塞のようなアルビ、サント・セシル大聖堂にある、ムシュレル=フォルメンテッリ・オルガンを弾くイゾワールが圧倒的に凄い!このオルガンの修復を監修したクサヴィエ・ダラースによる詳細な解説も興味深く、(第1巻に登場した)バルトロメオ・フォルメンテッリが修復を行ったことを述べており、彼の説明からこの巨大なオルガンの呼び名の由来を知ることが出来ます。もう1台、ヴァインガルテン、聖マルティン教会ヨゼフ・ガブラー・オルガンの壮麗なバロック装飾も美しい。ここでもイゾワールは楽器を知り尽くしたストップ選択で、聴き手を唸らせます。第3巻は最初にレオンハルトの演奏もありますが、実質はイゾワールの独演会で、まさに圧巻!  第4巻は19-20世紀、シンフォニック/ロマンティック・オルガンとその作曲家達の時代。天才アリスティッド・カヴァイエ=コル(1811-1899)は三代続くオルガン職人の次男として生まれ、オルガンの巨大化に伴って重くなった機械式アクションを軽減する補助機構バーカー・レバーの採用など、空気圧の増大や全鍵盤の連結でも鍵盤のタッチが重くならない、革新的な機械式アクションを考案し、パリ郊外サン・ドゥニ大聖堂オルガンの製作を始めとして500ものオルガンをフランスおよびその周辺国に製作。彼のオルガンはもはや単一の楽器ではなく多数の楽器の集合体、オーケストラであり、彼の楽器に触発されて “フランス交響楽派”と呼ばれる新しいオルガン音楽が次々と生み出されました。リヨン、サン・フランソワ・ド・サル教会カヴァイエ=コル・オルガンを弾くルイ・ロビヤールによるレーガーとヴィドール、特にレーガー『序奏とパッサカリア』が素晴らしい。後半ではクサヴィエ・ダラースが日本人女学生にフランク『英雄的小品』をレッスンする様子や、マリー=クレールがインタビューに応えながら、ルツェルン、ホーフ教会で修復成ったばかりのネオ・クラシック様式の大オルガンで兄ジョンとメシアンの作品を演奏する様子が収録されています。第4巻の充実ぶりには、大バッハ以降もオルガン音楽は決して衰退していないという、制作陣の強いメッセージが感じられます。

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  • 3 people agree with this review
     2012/01/25

    音源は2日分の演奏会を編集したOrfeo盤CDを基にしており、後から無理矢理、音源に合わせるように映像を編集したものと推測され、すでに多数指摘されている通り、至る所で映像と音楽がずれています。従いまして、演奏にしか関心のない方に、このDVDはお勧めいたしません。このDVDの真髄は、Bonus“Introduction”の中に収められた、わずか2分間のクーベリックのインタビューにあると申し上げて過言でないと思います。クーベリックは独語で話しておりますが、チェコ人にとって宝となる筈の映像記録で、何故、チェコ語の字幕が付かないのか?と制作者に問いたくなります。この5年後、“ビロード革命”でチェコスロバキア共産党支配が崩壊し、悲願の帰国が叶うことになるとは想像すら出来なかったであろう、当時のクーベリック。切々と語られる彼の言葉の端々から、長く離れた祖国を想う心情が次々と溢れ出て来るかのようです。とにかく、語られる全ての言葉が、ずしりと重い。中でも特に、「他国民が自国を愛する権利を尊重しようとしない人々は、人間であることの何たるかを理解していない」の、何と激しく、痛烈なこと!この2年後に一旦引退することになる彼が、どれほどの覚悟を胸に秘めてこの演奏会に臨んだことでしょう。こうして残されたかけがえのない遺産を前に、ただただ涙ながらに感謝し頭を垂れるより他にございません。余談となってしまいますが、小生の敬愛するマンフレート・クレメントが首席オーボエを吹いており、さらに終演後、クーベリックがオケの中に割って入り、真っ先にクレメントに握手を求めています。この光景には正直、戸惑いに近い驚きを覚えながらも嬉しく思いました。今にして思えば、東独から亡命してきた彼とは同じ亡命者同士、心情相通じるものがあったのではないでしょうか?

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  • 5 people agree with this review
     2011/04/25

    率直に申し上げて、ムラヴィンスキー&レニングラードによるDG音源のチャイコフスキー後期交響曲は、その評価については衆目が一致するものの、DGから出ていたCDは2種とも音質面での不満があり、この音源の真髄を伝えているとは言い難い不出来に終わっておりました。その結果、この歴史的録音への信頼感すら揺らぎかねない不幸な状態が続いておりました。この閉塞感を見事に打破しましたのが、ESOTERICから昨年出ましたDSDリマスターによるハイブリッドSACDでした。管や弦の各セクションがあたかも名画の修復作業のごとく鮮明に蘇り、これまでとは異次元のサウンドがクリアに拡がり、オリジナルマスターからの復刻として、これ以上はもう望めないだろうと思える程の成果を示しておりました。このSACDの出現で、この音源についてはもうこれ以上何も付け加える必要がない、とすら思えた程でした。ところが、盤鬼はこのSACDをおそらく承知の上で、あえてLP復刻盤を出してくるではありませんか。そのことに、まず驚かされました。まさか、盤鬼はESOTERIC盤を超える積もりでLP復刻盤を出すのか?いくら何でも結果は玉砕だろう?と。そんなことを思いつつ、試聴に臨みましたが、聴き始めて再度驚愕、思わず唸らざるを得ませんでした... 何と、盤鬼はその積もりで出しておられるのだ、と。聴いていて最も驚かされましたのが弦合奏で、ESOTERIC盤では(CD層での試聴ですが)音は綺麗になったのですが弦合奏の表情は過去のCDと同様のっぺりとしたままで、ヴァイオリンがホールの空気を切り裂き、低弦がうなりを上げて地を這い回る、あの猛烈な抉りまでは再現出来ていないことがLP復刻盤との比較試聴で判明してしまいました。また、これほど克明な音情報がLP初期盤に残されていたことも、想像すら出来ておりませんでした。こうなりますと俄然、残る第5と悲愴の2点が楽しみとなって参りましたが、今回の第4のようにサーフェスノイズ極小でコンディション最高の初期盤を、果たして盤鬼はすでに収集済みなのでしょうか?であれば、まさに、盤鬼恐るべし、です。

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  • 3 people agree with this review
     2010/03/21

    この演奏はヴァント先生とMPOの最後の共演となったもので、平明な曲調に相応しく、時空間はすべてを悟ったかのような、静謐な清らかさで満たされています。そして、ブル4の第1楽章展開部を、ヴァント先生以上に意味深く聴かせてくれた人は他になかったように思います... 平和に満ちた田舎の草原の上を優しく金管が響き渡り、やがて夕暮れを告げる教会の鐘が響いて、それに続く密やかな弦合奏は農民達による素朴な夕べの祈り... この部分、何度聴いても涙が溢れてきて止まりません... ブルックナーを聴き続けて30年以上、まさか、ブル4で号泣出来るとは思いも寄りませんでした。さらに、ブル4を演奏する時のミュンヘン・フィルは本当に素晴らしい... チェリだけでなく、名匠ケンペ最晩年の名演をも懐かしく思い出させてくれます。この演奏は小生の余生の宝となりました、ヴァント先生、本当に素晴らしいものを、有り難うございました。

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  • 6 people agree with this review
     2010/03/21

    発売前のフライングとなってしまいますが、下のレビューにも出ましたので一筆をお許し下さい。小生は1990年のブル8を大阪・東京(10月20日)で聴きましたが、10月4日、大阪フェスティバルホールでのブル8を、決して忘れることが出来ません。大阪在住で仕事を休めないため東京公演は2つしか予約出来ず、さらに大阪は「何でシンフォニーホールじゃないの!?」と、本当に歯痒い思いで一杯のまま来日公演に臨みましたが、大阪公演は小生の渇きを逆に何倍も満たしてくれました。その前日の10月3日、ヨーロッパから「ベルリンの壁解放」の速報が伝えられ、楽団員たちは遠く離れた異国の地で、涙と歓喜の抱擁を現地からの映像で見たことでしょう... この日、公演開始前からオケ全体が明らかに興奮で高ぶっている様子が看て取れました。10月20日、サントリーホールでのブル8も勿論素晴らしかったのですが、形容の言葉も見つからない10月4日のあの特別な高揚感は大きく減退し、来日最終公演ということもあってか、終始安定した、精神的にも一息落ち着いたような演奏と感じられました。確か、10月4日も天井からマイクが1本吊り下がっていたように覚えているのですが... いつの日か、この特別な演奏会が「フェスのブル8」として世に出ることを、心から願って止みません。

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