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Review List of つよしくん 

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  • 2 people agree with this review
     2010/12/26

    ポリーニのショパンは評価が難しい。確かに、初期のエチュードや前奏曲のような機械じかけの演奏はそもそも論外であるが、それ以外のいかなるCDにおいても、その技量は完璧であり、楽曲の内面への掘り下げはイマイチなものの、随所に巧みな表情づけを行っていることもあって、聴き終えた直後は、爽快な気分になり、これは名演ではないのかと思ってしまうのだ。ところが、残念なことであるが、一部のCDを除いては、すぐにどういう演奏であったのか忘れてしまうのが事実なのだ。要するに、確かな個性がないということ。ポリーニは、卓越した技量をベースにして、透明感溢れる切れ味鋭いタッチが持ち味であるが、どうしても技術偏重の蒸留水のような没個性的な演奏に陥ってしまいがちである。さすがに、2000年代に入って、ショパンであれば夜想曲や、バッハの平均律クラーヴィア曲集など、深みのある名演も出てきたが、それ以前の演奏では、そうした欠点が諸に出てしまう演奏が散見された。本盤は、1999年の録音ではあるが、やはり、そうした欠点が出てしまった演奏と言える。ただ、ピアノ曲との相性が良いSHM−CD化によって、ピアノの音質に硬さがなくなったのはプラスに働いているが、それでも、演奏全体の欠陥を補うには至らなかったのは大変残念だ。もちろん、悪い演奏ではない。例えば、バラードという曲は、こういう曲ですというのを、初心者に聴かせるには最適のCDと言えるが、クラシック音楽を聴き込んでいる者が、繰り返して聴くに耐える演奏とは到底言い難い。

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  • 3 people agree with this review
     2010/12/26

    本演奏を評価するか、それとも評価しないのかで、ポリーニに対する見方が大きく変わってくることになると思われる。確かに、本演奏で顕著な超絶的な技量は素晴らしい。おそらくは、古今東西のピアニストの中でも、前奏曲を最高に巧く弾いたピアニストということになるとも言える。しかしながら、本盤のようなSHM−CD盤ではなく、従来CDで聴くと、ピアノの硬質な音と相まって、実に機械的な演奏に聴こえてしまうのだ。まるで、機械仕掛けのオルゴールのようなイメージだ。ところが、ピアノ曲との相性が抜群の本SHM−CD盤で聴くと、印象がかなり異なってくる。音質が、いい意味で柔らかくなったことにより、少なくとも、無機的な音が皆無になったのが素晴らしい。必ずしも、楽曲の内面を追及した深みのある演奏とは言い難いが、それでも、随所に細やかな表情づけを行っていることがよく理解できるところであり、名演との評価は難しいものの、個性があまりないという意味では、同曲への入門用のCDとして最適の演奏には仕上がっていると言えるのではないか。もっとも、このような評価は、プロのピアニストにとって、芳しいものではないことは自明である。本盤は、今から35年以上も前の録音であり、近年、夜想曲集などで名演を成し遂げているポリーニのこと、仮に、前奏曲を再録音すれば、本盤とは次元の異なる名演を成し遂げることができるのではないだろうか。

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  • 5 people agree with this review
     2010/12/26

    本盤のような演奏を歴史的名演と言うのであろう。クライバーンが、旧ソヴィエト連邦の威信をかけて行われた記念すべき第1回チャイコフスキー国際コンクールで優勝した直後に行われたスタジオ録音ではあるが、ここでは、コンクールでの優勝の興奮が支配しているように感じられてならない。当時のクライバーンの超絶的な技巧と、とてつもない生命力が凄まじいまでの迫力を見せ、あたかもライブ録音であるかのような熱気に満ち溢れているからだ。当時、ソヴィエト連邦の気鋭の指揮者であったコンドラシンの指揮も圧倒的であり、数あるチャイコフスキーのピアノ協奏曲第1番の名演の中でも、トップの座を争う名演と高く評価したい。コンクールの審査員には、リヒテルやギレリスなど錚々たる顔ぶれが揃っていたとのことであるが、これらの面々に絶賛されたというのも当然のことのように思われる。残念なことであるが、クライバーンはこの時が一番凄かった。近年では、自らの名前を冠するコンクールの名前のみで知られるピアニストに甘んじているのははなはだ残念なこととは思うが、それでも、このような歴史的名演を遺したことは、後世にもクライバーンの名前は不滅であることの証左と言えよう。XRCD&SHM−CD化による高音質化効果は凄まじいものがあり、金管楽器などに音場の狭さを感じるが、ピアノのリアルな音など、眼前で演奏が行われるかのような鮮明さだ。

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  • 3 people agree with this review
     2010/12/26

    これは素晴らしい名演だ。インバルは、ブルックナーにおいては初稿の録音を行うなど、相当の拘りを見せているが、ベートーヴェンの交響曲においては、最近流行のピリオド楽器の使用や古楽器奏法には見向きもしない。いわゆる正攻法の旧スタイルによる演奏を終始貫いている。しかしながら、古臭さは皆無であり、ベートーヴェンの交響曲第5番、そして第7番の魅力をゆったりとした気持ちで味わうことができる点を高く評価したい。第5番は、全体として重厚な響きが支配しているが、特に第2楽章など、品のいいレガートが絶妙な効果をあげている。近年のベートーヴェン演奏においては、古楽器奏法などを意識するあまり、このレガートを軽視・蔑視する傾向が強いが、本名演は、現代の軽妙浮薄なベートーヴェンに対する力強いアンチテーゼと言えよう。第7番は、第5番とは異なり、重厚な響きよりは、軽快なリズム感を重視した印象が強いが、それでも、随所に見られる美しいレガートやここぞという時の強靭な迫力は、現代の指揮者による演奏とは一線を画する極めて高いレベルに仕上がっていると言える。SACDによる高音質録音も非常に鮮明であり、本名演の価値を高めるのに大きく貢献している。

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  • 1 people agree with this review
     2010/12/26

    この演奏は、かつて従来CD(輸入盤)で聴いた際には、大した演奏ではないとの感想を持ち、長い間、CD棚の中で休眠状態に入っていたが、今般、SHM−CD盤が発売されるに当たり、あらためてもう一度聴きなおすことにした。SHM−CDとピアノ曲との抜群の相性もあり、従来CDでは、無機的にさえ感じられた、ポリーニの透明感溢れる切れ味鋭いタッチが、いい意味で柔らかい音質に変容した。かつて、フルトヴェングラーは、トスカニーニのベートーヴェンを指して、無慈悲までの透明さと言ったが、ポリーニの演奏するピアノ曲にも、同じような演奏傾向があると言える。しかしながら、本盤の高音質化CDを聴いていると、それは録音のせいもあるのではないかと思えてくる。それくらい、本SHM−CD盤に聴くポリーニのピアノには、血も涙もある情感の豊かさに満ち溢れていると言える。スタジオ録音でありながら、時折、ポリーニの歌声も聴こえるなど、ポリーニのショパンの夜想曲に対する深い理解と愛情をも感じさせられ、実に感動的だ。ここには、かつて前奏曲やエチュードの録音において垣間見せられた機械じかけとも評すべき技術偏重の無機的なアプローチは微塵も感じられない。ポリーニもいよいよ円熟の境地に達したと言えるだろう。

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  • 6 people agree with this review
     2010/12/25

    ポリーニの円熟を感じさせる素晴らしい名演だ。ポリーニにとって、ショパンは特別な作曲家なのだと思う。というのも、ポリーニは、ショパン国際コンクールでの優勝後の一時的な充電期間を経て、楽壇復帰後、一度にではなく、それこそ少しずつショパンの様々なジャンルの作品を録音(演奏)し続けてきているからである。本盤は、その中でも最新の録音であるが、特に、ピアノソナタ第2番とバラード第2番の2曲の再録音を含んでいるのが特徴だ。そして、この2曲の、過去の録音との演奏内容の差は著しい。例えば、バラード第2番など、演奏時間においては特に顕著な差が見られないが、本盤の方が、よりゆったりとしたテンポで実にコクのある情感豊かな演奏を繰り広げている。ピアノソナタ第2番も、壮年期の勢いと言った点では旧盤に一歩譲るが、本盤においては、内容の掘り下げへの追及が一層深まったかのような意味のある音が支配的だ。それ以外のカプリング曲では3つのワルツが名演。例えば、ルイサダのような瀟洒な味わいは薬にもしたくないが、ここでは、ポリーニ特有の研ぎ澄まされた透明感のあるタッチが、ショパンの寂寥感を一層際立たせることに成功していると言える。SHM−CD化によって、ポリーニの透徹したタッチがより鮮明に味わうことができる点も大いに喜びたい。

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  • 3 people agree with this review
     2010/12/25

    ポリーニにとってショパンは特別な作曲家と言えるだろう。ショパン国際コンクールでの優勝の後、一時表舞台から離れた後、ショパンの様々なジャンルの楽曲を、今日に至るまで、それこそ少しずつ録音をし続けてきているからである。本盤は、1984年の録音。今から25年以上も前の録音だ。特に、本盤におさめられたピアノソナタ第2番は、本盤から20年以上も経った2008年にも再録音しており、本盤のポリーニのアプローチは、現在の円熟のポリーニとはかなり異なるものであると言える。エチュードや前奏曲などにおいて、技術偏重の無機的なピアノタッチをかなり厳しく批判する声もあったが、本盤でのポリーニにおいては、少なくともそうした無機的な音は皆無であるように思う。楽曲の内面への踏み込みと言った点からすれば、特に、ピアノソナタ第2番の後年の録音に比べると、いささか弱い点もあろうかとも思うが、それでも、ポリーニの、ショパンの両傑作への深い愛着と理解が十分に伝わってくる血も涙もある名演に仕上がっていると言える。SHM−CD化によって、音質は相当に鮮明になっており、壮年期のポリーニの名演を高音質で味わうことができるのを大いに喜びたい。

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  • 10 people agree with this review
     2010/12/25

    SHM−CD仕様のSACDシングルレイヤー盤は、本年の夏頃よりシリーズ化され、既に相当の点数が発売されてきた。長らくSACDから撤退していたユニバーサルが、このようなシリーズを開催したのは、本年のレコード業界の最高の快挙と言ってもいいところであり、発売されたいずれのCDも、従来発売のCDを凌駕する素晴らしい高音質CDに仕上がっていた。その中でも、最も音質向上効果が著しいのは、本盤ではないだろうか。それくらい、従来盤とは次元が異なる素晴らしい音場が展開される。かつて発売されていたSACDハイブリッド盤は、録音の古さが目立ち、とてもSACDの実力を発揮したものには仕上がっていないだけに、その音質の差は歴然としたものがある。これが1960年代の録音とは信じられないほどであり、あたかも最新の録音であるかのように感じられるほどだ。セルは、デッドな録音のCDで聴くと、その解釈も相まって、血も涙もない冷徹な指揮をするかのように考えられてしまうが、本盤のような高音質CDで聴くと、確かに全体的な造型構築への厳しい姿勢は当然のことであるが、その構築された造型の中で、緩急自在のテンポ設定を行うなど、きわめてフレキシブルに曲想を展開し、正に血も涙もある非常に情感豊かな指揮をする指揮者であったことを再認識させられる。指揮者の実力を再認識させるという意味においても、このような高音質CDの企画は大きな意義があると考える。

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  • 6 people agree with this review
     2010/12/25

    素晴らしい高音質CDの登場だ。本演奏は、レコードアカデミー賞を受賞した名演であるだけに、初出のCDからして、ゴールドディスクとして高音質化への取組がなされていた。また、更にほどなくして、SACDハイブリッド盤が発売された。当該盤には、マルチチャンネルが付いており、その臨場感溢れる音場の幅広さは、これこそ究極の高音質CDであると考えていた。ところが、今回のSHM−CD仕様のSACDシングルレイヤー盤は、そもそも従来の諸盤とは次元が異なる高音質と言える。特に、展覧会の絵は、ラヴェルの華麗なオーケストレーションが味わえる作品だけに、今回の高音質盤は、最大限の威力を発揮する。全体としてきわめて鮮明であるのだが、特に、トゥッティの箇所における金管も木管も、そしてそれを支える弦楽も、見事に分離して聴こえるというのは殆ど驚異ですらある。それは、併録のはげ山の一夜にも言えるが、特に、ホヴァンシチナ前奏曲の冒頭の霧のような立ちあがりは、本盤だけが再現し得る至高・至純の繊細さと言えるだろう。ソロチンスクの市におけるオーケストラの自由闊達な動きも、完璧に捉えきっているのが素晴らしい。演奏は、前述のように、平成14年のレコードアカデミー賞を受賞した定評ある超名演。

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     2010/12/23

    リストのピアノソナタは、超絶的な技巧と、強靭なトゥッティから繊細な抒情に至るまでの幅広い圧倒的な表現力を必要とする傑作だけに、古今東西のピアニストが数々の名演を遺してきた。それ故に、同曲のあまたの名演の中で、存在感のある名演を成し遂げるのは至難の業とも言えるが、ポリーニの演奏は、いささかもその存在価値を失うことのない名演と高く評価したい。ポリーニの演奏における超絶的な技量は正に圧倒的だ。ただ、近年のポリーニの演奏において、大きな欠点の一つとなっている、技量一辺倒の無機的な演奏には決して陥っていない。それどころか、近年のポリーニには珍しいくらい思い入れたっぷりの熱い表現を垣間見せてくれている。この曲は、テンポも強弱も著しく変化する劇的な楽曲であるが、ポリーニは、思い切った表現で、この激しく変転する楽想を見事に駆け抜けていく。抒情的な箇所の美しさも出色のものであり、まるで近年の技巧派ポリーニとは別人のような芸術的な深みのある表現を成し遂げていると言える。併録の小品も、ピアノソナタに勝るとも劣らない名演であり、ポリーニのリストへの適性を大いに感じさせるアルバムに仕上がっていると言える。SHM−CD化によって、音質が鮮明になったのも、本盤の価値を高めるのに大きく貢献している。

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  • 2 people agree with this review
     2010/12/23

    ドビュッシーの12の練習曲はきわめて出来の良くない凡演だ。ドビュッシーのピアノ曲に聴き手が求めるものは、いろいろな見解もあろうかとも思うが、やはり印象派ならではの詩情が必要と言えるのではなかろうか。ところが、ポリーニのピアノにはこの詩情が全く欠けている。これほどまでに冷徹になれるとは殆ど驚くほどだ。確かに、技量においては卓越したものがある。練習曲とは言っても、そこはドビュッシーであり、弾きこなすためにはスパイスの効いた卓越した技量を必要とする。しかしながら、スコアを完璧に弾くことに果たしてどれくらいの意味があるのだろうか。ポリーニの透明感溢れる研ぎ澄まされたタッチを、ドビュッシーのピアノ曲が含有する前衛的な要素を際立たせるものという見方も一部にはあると思うが、私としては、これほど無機的な演奏は、最後まで聴くのが非常に辛いものがあったと言わざるを得ない。これに対して、ベルクのピアノソナタは名演だ。ポリーニの感情移入をいささかも許さない、研ぎ澄まされた透明感溢れるタッチが、ドビュッシーでは詩情のなさが仇になったが、ベルクでは、作品の内包する前衛性を際立たせることに繋がったとも言えよう。ポリーニの卓越した技量も、ここではすべてプラスに働いていると言える。SHM−CD化によって、ポリーニの透明感溢れるタッチが鮮明になったが、これは、ベルクのピアノソナタのみにプラスに働いていると言えるのかもしれない。

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  • 5 people agree with this review
     2010/12/23

    近年のインバルの充実ぶりを認識させられる素晴らしい名演だ。インバルは、当時の手兵のフランクフルト放送交響楽団とともに、マーラーの交響曲全集を録音している。それは、有り余るパッションをできるだけ封じ込めて、作品から一歩引いた客観的とも言えるアプローチによる演奏であり、全集全体の水準としては満足できる出来と言えるものの、楽曲によっては物足りないものもあった。第7番など超名演であったのだが、他方、第9番や第6番、そして、第3番もどこか物足りなさが残る演奏であったと記憶する。ところが、本盤の演奏ではそのような物足りなさは微塵も感じられない。インバルも、ライブ録音ということもあるのだと思うが、ここでは、有り余るパッションをいささかも抑制していない。それどころか、猛烈なアッチェレランドやダイナミックレンジの幅の広さなど、思い切った表現が際立つ。それでいて、全体としての造型がいささかも弛緩しないというのは、インバルの類まれなる音楽性の勝利と言えるだろう。こうしたインバルの圧巻の指揮に、しっかりとついていった東京都交響楽団も、金管楽器、木管楽器ともに抜群の巧さ、そして弦楽器や打楽器も含めた見事なアンサンブルを誇っており、独唱陣や合唱団も最高のパフォーマンスを示していると言える。SACDによる高音質録音も、本盤の価値を高めるのに大きく貢献している。

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     2010/12/21

    まずは、カプリングのセンスの良さを評価したい。非独墺圏のヴァイオリンソナタを集約しているわけであるが、それぞれの作品の作風は著しく対照的だ。情熱的で劇的とも言えるヤナーチェク、民俗色豊かで抒情的なグリーグ、そして、スケールの雄大さではベートーヴェンのクロイツェルソナタにも匹敵する壮大なフランク。これらは、特にヴァイオリンパートに顕著にあらわれており、ここからは推測になるが、レーピンも、ドイツ・グラモフォンへのリサイタルアルバムへのデビューとして、敢えて自らの表現力の幅の広さを披露したいと思ったのかもしれない。確かに、本盤におけるレーピンの卓越した技量と表現力の幅の広さは出色のものである。特に、ヤナーチェクにおける劇的な表現は圧巻の迫力であり、グリーグの幾分楽しげな民俗舞踊的な表現や、随所に垣間見られる抒情的な美しさは、実に感動的だ。そして、フランクにおける威風堂々たる表現は、レーピンの豊かな音楽性と、その前途洋洋たる将来性を確約するものと言える。このレーピンのヴァイオリンの豊かな表現力をしっかりと下支えするルガンスキーのピアノも素晴らしい。レーピンのヴァイオリンの影に隠れがちではあるが、ルガンスキーのレーピンへの深い共感と豊かな音楽性があるが故に、本盤のような名演を成し遂げることができたものと考える。録音も鮮明であり、音場も幅広く、本盤の価値を高めるのに大きく貢献している。

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     2010/12/20

    素晴らしい名演だ。ポリーニの多くのアルバムの中でも最上位にランクされるCDとして高く評価したい。それにしても、真の理由は定かではないが、ポリーニとシューマンの相性は抜群のものがあると言える。本盤の前に録音されたピアノソナタ第1番も、交響的練習曲&アラベスク、そして、ピアノ協奏曲もいずれも名演であった。ポリーニの透徹した切れ味鋭いタッチと、詩情溢れるシューマンのピアノ曲とは、基本的には水と油のような関係のように思うが、何故か、本盤を含め、録音されたいずれの楽曲も名演であり、聴いていて深い感動を覚える。要は、ポリーニの(本人が意識しているかどうかは別として)感情移入をできるだけ避けようとするかのような客観的なアプローチが、大仰で理屈っぽい表現を避けることに繋がり、結果として、シューマンの楽曲の魅力をなにものにも邪魔されることなく、ダイレクトに満喫することができるのが功を奏していると言えるのかもしれない。加えて、ポリーニのシューマンへの深い愛着と拘りもあると考えられ、それは、本盤において、ダヴィッド同盟舞曲集、ピアノソナタ第3番、そしてクライスレリアーナの3曲で、初版を使用している点にもあらわれているのではないかと思われる。SHM−CD化によって、ポリーニの透徹したピアノを鮮明に味わうことができるのも、本盤の大きな魅力である。

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     2010/12/19

    アリスによるアルバム第4弾であるが、とてもデビューして間もないピアニストの演奏とは信じられないような成熟した演奏を聴かせてくれている。初のベートーヴェンのピアノソナタの録音であるが、初期の第3番はともかくとして、いきなり第21番「ワルトシュタイン」の録音に臨むとは、大変恐れ入った次第である。アリスとしてもよほど自信があるのだろう。ライナーノーツの解説によれば、10年来の研究・練習の成果とのことであるが、確かに、ここでは若きピアニスト特有の青臭さなど微塵も感じられない。それにしても、何と言う堂々たるピアニズムであろうか。卓越した技量も当然のことながら、男性顔向けの力強い打鍵には圧倒されるし、それでいて、抒情的な箇所での情感豊かさは、さすがは女流ピアニストならではの繊細な美しさに満ち溢れている。要は、表現の幅が広いということであり、この年齢にして、これだけの表現ができるというのは、アリスの類まれなる才能と、今後の前途洋洋たる将来性を感じずにはいられない。併録の小品もいずれも名演であり、特に、ボーナストラックのエリーゼのためにの高踏的な美しさは、実に格調が高く、アリスの芸術性の高さをあらためて思い知らされた。録音も実に鮮明であり、アリスのピアノを完璧に捉えられているのが素晴らしい。

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