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3 people agree with this review 2014/03/30
シューマンの協奏曲が飛び切りの名演だ。ドラティ渾身の出だしからシューマンの仄暗い情念の炎が燃え上がり、シェリングの太く柔らかいのに、冷たい刃のように煌めくヴァイオリンがオケを切り裂いて入ってくるとゾクゾクしてくる。私にすれば何でこんなに人気がないのか理解できない名曲の不滅の名盤なのだ。初めて聴いたときから何度聴いても決して飽きない。メンコンもシェリングのクールなリリシズムが冴え渡る。折り目正しく貞淑な女性のごときヴァイオリンとでも言おうか、決して妖艶ではないが、気高く美しいヴァイオリンの響きを心ゆくまで堪能できる。
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4 people agree with this review 2014/03/30
私の持っているのは、消滅した板起こしレーベルの伊 Arlecchino 盤です。板起こしとしてはかなり真っ当な音のするレーベルでした。Membran は版権切れのCDをコピーし音を加工して出すレーベルですので、コピー元は Arlecchino かもしれません。data は全く同じです。録音に恵まれなかったイッセルシュテットが手兵を指揮した放送録音を音源としたアナログ盤から起こされた貴重な全集です。第四番は実に気宇壮大で雄渾、骨太でオケが鳴りきっています。分厚い響きに苦み走った寂寥感が漂う硬派のブラームスです。ゆったりと大河のように流れる豊かな響きに包まれていると音が悪いのも忘れて聴き入ってしまいます。聴き終えた後も大きな充足感が余韻として残ります。第二番は牧歌的というより、哀感寂寥感が色濃く立ちこめた雄渾な表現に胸を打たれます。これぞ苦み走ったブラームスの哀愁です。コーダの盛り上がりも凄いです。第三番は前2曲の特徴に加え、曲想からか、若干明るめのロマンが香ります。第一番は音のクオリティ自体は大して変わらないのだが、モノラルな分広がりに欠けるのが残念。どこからか、放送局のオリジナルマスターをマスタリングした正規盤が出てこないかなぁ。マスターテープが失われた可能性もあるが、有るなら生きている中に捜し出してくれよ〜、頼むから。
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0 people agree with this review 2014/03/29
第九はやはり特別な曲だ。熱気とか気合いとか、何か尋常ではない迫力がないと物足りないのだ。それなりに盛り上がりもあり、ウイーンフィルも美しく秀演ではあるのだが、もう一つ突き抜けたものが欲しい。だからと言ってはなんだが、第3楽章の叙情的な美しさには格別なものがある。他の楽章で、もうちょい燃えてくれたら、名演になったのに残念だなぁ。というのも、イッセルシュテットの凄さを知ってしまったからこそあえて言うのだ。彼なら、当然出来たはずだから。
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1 people agree with this review 2014/03/29
第八は名演の誉れ高いもの。素晴らしく気宇壮大で、この曲の持ち味である爽やかさも兼ね備えた希有の名演だ。イッセルシュテットの剛毅さとウイーンフィルの優美さの絶妙のバランスが、この流麗で気力の横溢したスケールの大きな第八を生んだと思う。第七は美しい演奏だ。私のような第七が今一苦手な者には、この流麗で爽やかな第七には何故かほっとする魅力がある。あまりリズムでゴリゴリ攻めない優美な第七だ。
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私見では、この全集で1番の出来はこの第五である。大方は偶数番曲を挙げると思うが。イッセルシュテットは実演と録音の乖離が大きい指揮者であるが、この第五には彼本来のごつさが出ているのだ。気力が充実し、骨太で推進力がある立派な演奏だ。田園は速めのテンポであっさりと進めていく。もちろんウイーンフィルは美しいのだが、もう少しこのオケの美感に寄り掛かっても良かったのではないか、と残念な気持ちもする。
0 people agree with this review 2014/03/27
LP 時代イッセルシュテットは堅実で手堅い指揮者というイメージでしかなかった。バックハウスの伴奏とこの全集が最も著名なものだが、どちらもバックハウスとウイーンフィルに目が行き彼自体には中々光りが当たらなかった。で、CD 時代に突入して海賊版でLIVE演奏を聴いてみると、剛毅で骨太の演奏にビックリしたものだ。LIVEは巨匠の風格十分だから、己の不明に恥じ入り改めて正規盤を慎重に聴き直すことになった。実演での剛胆な指揮振りは影を潜め、冷静に細部まで丁寧に仕上げているためか、やはりあの威厳と風格には遠く及ばないのは確かだ。時折思い出したように音楽が盛り上がるのだが、直ぐに冷静な目が光ってしまうのだ。う〜ん、残念。美しいウイーンフィルの響きが一番の売りの堅実で中々良い演奏なのだが、あと一鞭くれれば突き抜けたものを・・・という思いが捨てきれない。
1 people agree with this review 2014/03/27
私の持っているのは DENON のオイロディスク盤だ。後のグラモフォン盤より一生懸命歌っているのが微笑ましい。余裕が無く歌うのが精一杯のようにも聞こえG盤に及ばないように思えたが、何回か聴いている中にこの必死さが逆に好ましくなってくるから不思議なものだ。青春の生硬な情熱をより感じるのだ。若いってことはそれだけで美しい。歳をとってくると未完成の美しさにより寛容になる、とでも言おうか。買う時は迷ったが、あの時買っておいて本当に良かった。モノラルだが DENON 24bit盤は目も覚めるような音質だ。中古で見つけたら是非買うことをお勧めする。
2 people agree with this review 2014/03/27
詩人の恋と並ぶ、ヴンダーリヒの不滅の名盤。青春の夢と情熱と純粋さをこの上ない美声で歌い抜く。理屈は要らない美しさだ。柔らかで透き通る声の美しさが曲想にマッチしていて、もはや何も言うことはない。
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3 people agree with this review 2014/03/27
初めて聴いたときから30有余年これを越える詩人の恋に出会ったことはないし、今後もあるとは思えない。それくらい不滅の名演だ。曲想と声のマッチングの奇跡は、シューマンが彼のために作曲したかのようだ。こんなに純粋で透明な青春の哀しみを何の作為もなく自然体で歌うだけで完璧に表現してしまう。最初の一声で魔法にかけられ、夢のような陶酔が最後まで続いていく・・・リートが嫌いな人でも、これだけは途中で止めることは出来ないだろう。
録音は古いが音は鮮明で各楽器の分離も良く十分に楽しめる。このカルテットはブラームスとの相性が抜群である。濃密で粘っこく旋律を歌わせるスタイルが、ブラームスのロマンティックな音楽性にピッタリなのだ。モーツァルトやベートーベンには表情が濃すぎて居心地が悪いところがあるが、ブラームスにはこのねっとりしたセンチメンタリズムが実に心地よいのだ。アメリカも濃密にねっとりと旋律を歌わせ、これがかえって個性的で新鮮に響く。むせかえるほどのロマンティシズムを味わえる個性的な名演だと思う。
7 people agree with this review 2014/03/24
全て持っているが、音質向上を期待しての買い直し。一抹の不安はあったが、結果はまずまず。このレーベル音が硬い印象があったが、しばらく休眠している間に装置を入れ替えたか、マスタリングポリシーを変えたか、硬いとまでは言えないまずまずの音で、手持ちの古い盤より音質は向上している。欲を言えば、もう少し深々とした響きが出れば・・・と思うが、安価なので十分我慢できる範囲。演奏は、もうこれ以上ない古武士のごとき風格にあふれ、ドイツ魂の権化を聴くことができる。最近のペラペラした軽薄で軟弱なあくびの出る演奏を撫で斬りにしてくれる貴重な名演集だ。
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7 people agree with this review 2014/03/23
私の持っているのは、昔の PHILIPS 盤です。それでも、この手の放送録音としては上々の音質で、オケに厚みもあり、何よりヌヴーのヴァイオリンが良く録れています。朗々と太く深い響きで、高域の煌めきにも欠けていません。イッセルシュテットのドイツ魂あふれる十全なバックを得て、「短くも美しく燃え」を地でいく 演奏を繰り広げてくれます。文字通り、魂の炎を燃やしているかのような演奏です。これを聴いて感動しない人はいないでしょう。ヌヴーのブラームスはこれがベストです。
3 people agree with this review 2014/03/23
ナバラのチェロが朗々と逞しく歌い聴かせる。アンチェルの指揮も雄渾でブラームスの渋い響きを満喫できる。ドイツのオケよりどことなく艶やかさもあり、チェコフィルいい味出してます。スークは例の滴るような美音で情緒連綿と歌う。これは名演に入れるべき一枚だ。雄渾かつ歌にあふれロマンティックな味わいもある、いいとこ取りのブラームスだ。最初は4つ☆にしようと思っていたが、やはりこれは5つ☆にして広く訴えるべきだ、と思い改めた。聞けば思いの外の名演ですぜ〜。音もいいです。
4 people agree with this review 2014/03/23
ミルシテインは若い頃、完璧な技巧ですいすいと水上のアメンボよろしく自在に弾き飛ばしていくスタイルだったので、その真価が理解されているとは言い難い巨匠の一人だ。味付けがあっさりしているうえに、稀代のテクニシャンなので冷たい演奏と感じる人が多かったのだ、と思う。ところが、その怜悧な妖刀のごとき煌めきの下には、熱い情念の炎が揺らめいているのだ。これに気づくと表面上のつれなさの下の深情けが良くて堪らなくなるのだ。若い頃から年季の入ったミルシテインのファンは、私同様このメカニズムによるものと思う。いくらミルシテインでも歳をとってくると、豊穣なとろみが出てきて丁度良い塩梅になり、ようやく一般受けするようになった訳である。両曲ともにゾクゾクする煌めく音色で弾かれるスタイリッシュな名演をお試しあれ。
0 people agree with this review 2014/03/23
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