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Review List of 風信子 

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  • 1 people agree with this review
     2018/06/22

    シューベルトの舞踏交響曲としての色彩を放ったノリントンの”ザ・グレート”は20年近くを経ても生命力を失っていない この曲はベートーヴェンで言えば”第7”と”第8”の世界に通じている それは20世紀のロック音楽やミニマム・ミュージックへ続く道でもある 疾走する歌は希望も喜びも哀しみも巻き込んで舞踏の旋風となる 情緒を飛び越えて存在そのものの肯定へ敷衍していく音楽は凛々しく颯爽と駆けていく これでこそノン・ヴィブラートが生きようというもの 強いて言えば もう少し小規模にしてさらに軽みが欲しかった コントラストはもっと緩やかにすればさらに流れがよくなり疾走感が出たのではないかと思う そんなのシューベルトじゃないという人は20世紀趣味に教化されている スコアをご覧になればシューベルトが何を書いたかは自明だと思う 何よりもこの〈走り去る感性〉の煌めきのシャワーを浴びられれば シューベルトの爽快感を感じられるだろう 朋よ一緒に あなたも如何

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  • 7 people agree with this review
     2018/06/22

    第7”夜の歌”シンフォニー演奏の成否は”Finale”に掛かっている コンドラシン&コンセルトヘボウO.は成功している この”Rondo”がマーチになってしまう演奏があまりに多い ここに至る4つの楽章が創り出した世界を無意味な絵空事にしてしまった演奏をいくつ聞いてきたことか これで好いのだ 第9交響曲第三楽章のRondo-Burleskeと同じ世界であり また第10交響曲第三楽章〈プルガトリオ〉と相通ずる音楽である 後世の音楽でいうとアイヴズの第4交響曲第二楽章〈コメディー〉へ繋がっていく精神によって創造されている この第五楽章へ至るための設計がこの速いテンポ設定を導き出している コンドラシンのマーラー解釈は一等地を抜いていた 第9交響曲の読みが目から鱗を落としてくれたことを今も忘れない ロマン派交響曲の系譜からでは理解できないものなのだ それをコンドラシンは知っていた マーラーをロマンチックに歌おうとする人は必ず間違う シェーンベルクやヴェーベルンは未来から来て微笑んでいた さて あなたは如何 

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  • 3 people agree with this review
     2018/06/22

    50年になんなんとする昔 若き日のピリスのモーツァルトを新鮮な風を受けるように聴いた いや今も変わらないピアニズムがもうここにある 特に13番と14番の清々しさに目の前にあった風防のグラスを外して風の中へ駆け出して行く幻視を見た 音楽は語るように奏でろと言われる 音楽で語るのではない 語るが如く歌うのだ だがその前に演奏者は楽譜と対峙しその”言葉”を聴かなくてはならない そこから作曲者と対話ができて初めて”何か”を語り出せるのだ ピリスはその過程が子供の頃から辿れていたのだろう そうでなければ自分の言葉で”モーツァルト”をこんな風に語り歌い出せやしない クラシックを上手に弾いている娘はたくさんいるけれど 今モーツァルトを誕生させている奏者はそうそういはしない 時を越えてモーツァルトが何かを語れるとすれば こうした音楽家の出現を待つしかないのだ もう何度も聞いただろうが もう一度 あなたも如何
     

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  • 0 people agree with this review
     2018/06/22

    Blu-ray Audioでこそ聴きたいグリエール 70分を超える大曲「イリヤ・ムーロメツ」を夏の窓を開け放って聴いていると 第二楽章は窓辺に小鳥たちが集まってきて一緒に歌う 部屋が森の中に吸い込まれたような錯覚がするほどだ グリエールの音楽は劇的であっても明るいソノリティに覆われている ロシア音楽でありながら陰鬱さ悲壮さを纏わないが故に爆発的な人気を獲得できないようだ だが元々ロシアの血が入っていないのだから宜なるかなである それ以上に環境と本人の性質が音楽に向日性をもたらしたのだろう 1911年完成の大交響曲はロマン派末期ということもあり四管編成の大オーケストラを起用している その響きの豊かさ深さはマーラーを凌ぐ この年マーラーは亡くなっている ファレッタ&バッファローpoは豪快に鳴らすも柔らかく繊細に歌うイントネーションを大切にする 非常に美しい演奏になった 管弦楽の醍醐味を味わうならこれだ あなたも如何

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  • 1 people agree with this review
     2018/06/22

    胸詰まるようなチェロの音だ ドビュッシーが1915年 ブリッジが1916〜17年 フォーレが1917年 ヴェーベルンが1914年 第一次世界大戦1914〜18年中に書かれた曲が並ぶ これをイッサーリスはストラディヴァリウスで弾いている どれも哀愁漂う佳作で コニー・シーの弾くスタンウェイDの鼻にかかったようなピアノ音と相まって情緒綿々と余韻を引く だがジャケット写真にもあるように 実はイッサーリスが弾きたかったのはこの兵隊服の男が弾く奇妙なチェロだ 弾薬箱で作られ移動時には分解して全てを箱に収めて持ち運べるチェロ 1900年W.H.Hillと息子たちが造ったとある こちらで弾かれるのはサン=サーンス パリー ノヴェロなどの小品ばかりだが これがしみじみ好いのだ タイトな響きを愛しむようにイッサーリスがヴィブラートを控えめにして奏でる 遠くへ届く響きを憚るかのように楽の音を噛みしめる なんと哀しくそして美しいことか 朋よ耳傾けよ あなたも如何    

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  • 7 people agree with this review
     2018/06/21

    ブルックナーが完璧な第一楽章から始まる Allegro Moderatoで 2/2 Alla breveを完全に履行しながら その後の表情変化も自然に対応し繊細にデュナーミクを表現していく 見事な第一楽章だ スケルツォもAllegro Moderatoで一拍子を叩き込んでいく 中間部もテンポの緩和が適切な二拍子 そしてFeierlichな後半に入る Adagioが遅すぎる langsamだがdoch nicht schleppendの指示を体現できない 遅過ぎては音楽が死んでしまう ここに心理の罠がある ブルックナーは第8で或いは第9でも交響曲の幕を閉じる気などなかったのだ 況してや人生が終わると考えてもいなかった ただ壮大にして終焉を彩る向きは後世の人の感情移入に他ならない Finaleはnicht schnellで今度は「速くなく」とある Metron速度まで書き込んである ラトルはほぼ指示に忠実に従う 総じて美しい第8交響曲が出現した 何よりもブルックナーの茶目っ気をも醸し出す演奏は豊かで明るい印象が残った メシアンも闊達で生気あふれる好演 朋に奨められる あなたも如何

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  • 1 people agree with this review
     2018/06/21

    ”トゥオネラの白鳥”は”レンミンカイネンと島の娘たち”の後に演奏してこそ曲想が生かされると言うもの ”トゥオネラのレンミンカイネン”と”レンミンカイネンの帰郷”を合わせて「カレワラ」の世界を覗き聴くとき フィンランドの風土とそこに暮らす人々の心情に触れたように感じられる 幻視幻想は無限の想像を喚起する その眼差しは遠い北国の人々の暮らしを越えて己自身の内へ還ってくる 照らしあわせは相違と共鳴を同時に感得させる それはシベリウスが「カレワラ」を音楽で表現しようと発想した心の柔らかな部分に触れたようだ わたしも祖国を思わずにいられなくなる ヘルシンキ・ミュージック・センターの深く透明な響きがシベリウスのスコアから繊細な情感を紡ぎ出す援けをしている リントゥ&フィンランドRSOによるシベリウス演奏をさらに聴きたいという欲求が湧いてくる ”ポヒョラの娘”も充実した演奏に聴き入った あなたも如何  

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  • 2 people agree with this review
     2018/06/21

    コダーイの楽天性とその音楽の持つ牧歌性が心地よい 2つの”オーケストラ・コンチェルト”は対称的だ バルトークのほぼ絶筆となった曲は先鋭性と神秘性を纏っている バルトークの苦境を映しているや否や知らぬが 聴衆に高い緊張感を強いる 20世紀ハンガリーが生んだ大作曲家二人の同名曲を並べるチェコ人フルシャの魂胆や如何に しかもドイツの放送オーケストラとの組み合わせは如何なる意味を含むのか 想像するだに興味深い フルシャは都響との縁も地位も断ち切ってチェコのオーケストラに専念すると風聞に聞いたが違ったのか プラハpoの音楽監督は続いているようで またバンベルクsoの首席ではあるようだ どちらにしても 都響のメンバーが獲得を急いだ逸材だ 実際いくつかのコンサートを聴いたが類い稀な個性とスコアの本質を見抜く慧眼を持っていることは明らかだ 端的にいえば天才現る この選曲と演奏が証明である 情を超えて二人の作曲家が何を知りそこから何を表さんとする”意思”が働いているのかを具現してみせたのがフルシャだ あなたも如何  

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     2018/06/19

    ”弦楽セレナード”にはノリントンのエルガーへの共感が滲み出ている 特に第一楽章は想いが溢れる ギャロップのリズムに載って歌い継ぐ心地よさが伝わってくる さて目玉の”惑星”だが これにエキセントリックなスペクタクルを期待してはいけない それを売りにして購買欲を刺激する向きがあるけれど それは偏に聴衆が欲求不満のはけ口に音楽を欲している事実があるとも言える ノリントン盤がそうならと18年間無視している方も多いのではないか それは勿体無い これは本当に美しい”惑星”だ アンサンブルで聴かせることが如何に多くの啓示をもたらすことか この澄み渡った夜空に星々を眺める時わたしたちは感じるだろう あらゆる存在の清らかさと果敢なさを そして見果てぬ夢は宇宙へ飛び立つ 不満があるとすれば ソロの弦にブリティッシュ情趣が感じられないことか これは蛇足 もしまだなら あなたも如何 

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     2018/06/19

    60年前の録音が今も生き残っているのは何故だろう しかも専門指揮者ではない作曲家ヒンデミットの”第7”だ モノラル録音だが聴きやすい響きに不満はない そして結論から言えば満足できるブルックナーだ それは現代のピリオド奏法(不思議な表現だな)とスコアの指示遵守をしている演奏だからではない 勿論大筋の指示には従っているが至る所でラレンタンドを用いてフレーズを継いで行く だから第一楽章も随所で伸び縮みする 私から見れば必要以上にテンポが落ちてしまう箇所すらある だが現在に至る多くの指揮者と大差はない にも拘らず60分に納まっている これが音楽が沈滞し惑溺してしまうことを防いでいる では何故適正時間内に入ったかと言えば スコアでのテンポや表情を変える指示を的確に実行しているからだ 多くの指揮者は情に溺れてテンポを上げられない 作曲家ヒンデミットは共感しながら客観の目を失わないのだ 多くの人が学ぶべき演奏がここにある あなたも如何  

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     2018/06/18

    ヒンデミットをラテンの楽団が演奏すると その音楽が内包するコスモポリタン性が浮かび上がってくる 選曲も相応しい 中世農民戦争の指導者画家マティーアス アッシジの聖フランチェスコ 両オペラからの交響楽とドイツ・ロマン派音楽の祖ウェーバーの主題による変奏曲 これらはどの時代のどこの国の人たちにとっても興味深くまた身に引き寄せて感じられ想像力を刺激してくれるテーマだ サンパウロ響の管楽器や打楽器の明るいソノリティがヒンデミットから軽みを引き出してみせる ヒンデミット音楽の重層した響きにばかり重きが置かれると 情趣が偏り音楽が固まって聞こえる このネシュリング盤はSACD効果もあり 立体的で風通しがいい構造に音楽を開いてくれている 疲れや眠りとは無縁な安らぎと伸びやかさに包まれる 何度でも聴きたくなる演奏だ もしまだなら あなたも如何

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     2018/06/17

    もう10年以上も前にこの5番を入れた後 ついこの間2番&3番を出して忘れていないと示したが このペースでは全曲完成はいつになるのだろう ユロフスキのプロコフィエフは色彩的ではない 煌びやかな意匠や装飾で人を惹きつける交響絵巻にはならない その音楽は言葉であり詞である 1944年世界大戦の終結の年 プロコフィエフは久しぶりに交響曲の筆を執った 標題を持たない純器楽曲だが これが戦争と無縁で生まれたはずはなく 音楽に秘められた声や叫びを聴き取るのは奏者にそして聴き手に託された 戦時の混乱と煩悶を受け取ったと見えるユロフスキは弱音部を克明にしかし過度に縁をなぞらず 音楽が流れゆく彼方へ視線を飛ばすことを忘れない そこから浮かび上がるプロコフィエフの心中の風景は傷つきながらも片方に捕らわれず広汎に視界を得んとするものだ これから生きて行く彼方を見据えて低い姿勢で歩き始める音楽がここにある 掉尾に”戦争終結に寄せる頌歌”を置いた意味は明確だ もしまだなら あなたもお聴きになっては如何

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     2018/06/16

    奏法がどうの表現がどうのと問う前に エルガーはノリントンの血肉なのだと思い知らされる 特別な空気感が「南国にて」の冒頭から漂う 夢見心地とはこのことだ いつ始まっていつ閉じたか気づかないフレーズ感と言ったらいい加減に聞こえるが まるで聞かせよう分からせようという気がないと言っても誤解されるか 演奏が上首尾に終わることを目指していない筈はないけれど 今演奏していることが愉しくて嬉しくて仕方がないと言った風情なのだ 可愛い愛しいという感情が一番近いのかも知れない だから音楽が伸び伸びして屈託がないので 聴いているこちらもつべこべ言う気が無くなる 一緒になって微笑んでいる ふと これは”エニグマ・ヴァリエーション”のテーマそのものではないかと気づく 朋に会いたくなった もしまだなら あなたも如何     

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     2018/06/16

    これは素晴らしい そして美しい ライオネル・ターティスのために書かれたヴィオラ作品だという ヴィオラを称揚するとは如何にもイギリス人らしい 地味な性向の中にも美を見出し愛でる気質をわたしも愛する 20世紀イギリスには優れたヴィオラ奏者が多々現れた 実はわたしたち同胞からも多くの名ヴィオラ奏者が出ている 今井信子だけではない オーケストラを聴く時ヴィオラ・パートに耳傾ける クァルテットもヴィオラが鍵を握っている カルスのヴィオラはよく鳴りよく歌う タディ指揮ニュージーランドSOも好い 4つの作品が聴けるが 何と言ってもRVWとウォルトンが味わい深い RVWの情緒と抒情に心とらわれない人はいない ヒンデミットが初演したウォルトンの協奏曲は音楽の見事さに圧倒されそうだ ヴィオラ独奏付き交響曲といっていい 日本の多くのオーケストラに一言 ベルリンpoのように全員がターティス型ヴィオラを使うべきだ 朋よ聴いてみて あなたも如何 

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     2018/06/15

    ショスタコーヴィチはロマンスと題する歌曲集をいくつも書いている 日本の詩による”6つのロマンスOp.21”もあるが これはイギリスの詩に作曲したOp.62だ このピアノ伴奏版を晩年小オーケストラ版にしたOp.140が一般に知られていた トーマス・ザンデルリンクが取り上げたのは オリジナル版が書かれた翌年に創られていた大オーケストラ版なのだ 長く公表されていなかったのでOp.62aとなった 初録音となるが続く”ミケランジェロ組曲Op.145a”も初めてだ ロシア語に翻訳された詩にショスタコーヴィチは作曲したのだが ここでは原詩なのだろうかイタリア語で歌われている どのような経緯でイタリア語版があるのか分からないが 聴いてみて ことさら印象が変わった印象はない ショスタコーヴィチの特徴であるバスの歌唱を大胆なオーケストレーションで聴くと やはり交響曲へつながる途次であるように感じられてしまう マーラーと発想を同じくする作曲家だったと思う 色気はないが虚心に耳傾けるのも一興だろう あなたも如何  

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