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2011/09/07
私の地元環境は1960年代から比較的バッハ・カンタータ等を聴く機会がありクラシック暦もキリスト教信者でもないのにその辺りから入っていった傾向がありました。それだけバッハの汲めども尽きぬ「音泉」に自分の生涯において少しでもLP,CD含めて浸れたのは儲け物でした。バッハ・カンタータはCD等で聴く一流演奏には及ばないものの私の地元だけでも各団体演奏夫々ローカルカラーがあり楽しめたものであります。リヒター、リリング、レオンハルト、アーノンクール、ガーディナー、コープマン、鈴木などが全集なりそれに及ばなくても抜粋版で有名で各々録音盤でも演奏個性を競っていますね。そして他の演奏では旧東独側での演奏伝統を感じさせるライプチヒ勢力でラミン、トーマス、マウエルスベルガー、ロッチュ、シュライヤー・・・の流れがあり私は結構気には入っております。演奏傾向が何となく一貫しており本盤ロッチュ分もギスギスしないホッと聴く者をさせる丁寧な作り(全集版では先ず全曲録音有りきなのでどうしてもスケジュール闘争に入った演奏になり勝ちなものに感じさせている様です)で私は本盤収録曲中BWV21(11曲39’42),BWV40(8曲16’24),BWV68(5曲16’06),BWV71(7曲19’07),BWV110(7曲23’47),BWV137(5曲15’07),BWV172(7曲21’47)をCD等で聴いており何れもロッチュ51歳頃(彼自身も先輩の指揮下でカンタータを歌っていたのでは?・・・)の1980年から数年経て録音されたものでオーケストラはライプチヒ新バッハ合奏団、合唱はライプチヒ聖トーマス教会合唱団(合唱団では少年合唱隊が日本の朝日系列から1986年受賞しております)そして独唱陣は上の曲共通でA.オーゲル(S,同年当時41歳)、O.ヴェンケル(A,同38歳)、P.シュライヤー(T,同45歳)、T.アダム(B,同54歳)で若干今の感覚では年増なイメージもありますがそれだけじっくりした歌唱ぶりをメンバーは聴かせてくれます。サンプリングで大曲BWV21「わが心に患い多かりき」をあげて見ますと第1曲深く沈み込み底から忍び寄る支配テーマをオーケスラは前奏し第2曲でコーラスが繰り返しされます。第3曲悲しげなオーボエ先導で緊迫感のあるSアリア、第5曲のTアリアが印象的。レチタティーボ(語り)では第7曲のAとBの折り目正しさが特徴、第8,9曲では先述の少年合唱隊が「苦悩」から「希望」へと進め最終第11曲はハレルヤでトランペットが主先導伴奏で明るいコーラスが勝利感を盛り上げティンパニーが加わりとにかく分り易く賑やかに曲は閉じられます・・・名曲であり素晴らしい演奏です。本盤は私の未聴の他の曲も多いのですがきっと聴き飽きのしない演奏かと思います。(タイムについては盤により多少異なる場合があります。)