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2010/11/07
1984年録音のコープマン/ABO(コープマン40歳の頃)によるヘンデルのオルガン協奏曲集で全体として躍動感に満ち溢れ即興的なオルガンが従来の保守的ヘンデルに新鮮な透明感を与えた素晴らしい演奏となっています。ただ、コープマン(に限らないのですが・・・)につきまとうマスプロダクトは全体を聴いていてバロックだからという事もあり「飽き」が過ぎるのも私だけでしょうか。どの作品もアプローチは概ねテンポ速くその躍動感によりコープマンの演奏・指揮ぶりがアクション音とともにリアルに目に浮かんできます。私の聴いているCD盤では作品7-1がトップバッターで比較的規模も大きく楽章間が変奏その他で関連がある芸術性高い本作品でテクニシャンのコープマンが単にマスプロ的テクニックに終始するのではなく仕上げて行く過程には興味が沸きました。続く各作品を聴いて行くうちに「飽き」「マンネリ」に陥らないよう聴く側もちゃんとしなければ・・・。さて、この種の音楽を聴いていますと昔の作曲家も多忙だったのか転用曲・・・勿論楽器不指定にも起因する場合もあります・・・に出くわす事が多いです。例えば有名なのは作品4-6はハープ協奏曲と同じです。作品4-3は第1楽章がヴァイオリンとチェロのデュエットがオルガンを通奏低音として美しいのですが第2楽章となるとオーボエ協奏曲(こんな協奏曲があったのか疑問ですが・・・)の第1楽章とほぼ同じ、第4楽章は作品7-5の第4楽章に酷似・・・いや同じ?作品7-3の第1楽章ではハレルヤコーラスの主題が表れます。作品4-1の第1楽章ではバッハの協奏曲BWV1052第1楽章の印象的な動機が表れます・・・尤もこの動機はブクスフローテのオルガン曲にも使用され多分当時の聖歌か何かの一節なのでしょう。まぁこのように楽しめる盤ではありました。本盤は仕様アップされて音も更に期待されます。演奏タイムデータをメモしておきますね。作品7-1(トータルタイム(以下同)17’22),7-2(12’04),7-3(14’13),7-4(16’13),7-5(12’34),7-6(7’47),作品4-1(15’24),4-2(10’239,4-3(9’59),4-4(13’45),4-5(8’12),4-6(11’32)と夫々なっています。(タイムについては盤により多少異なる場合があります。)