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Review List of うーつん 

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     2020/05/06

      Webの音楽ニュースによるとルプーが2019年に引退をしたとか。不勉強で2020年の今さら知った次第だが寂しいかぎりだ。 コンサートでは2012年にシューベルト(D960)などのプログラム取れたものの体調不良でキャンセルされ、2013年にシューマンとシューベルト(D959)を聴けたのが最初で最後の機会。記憶違いか集中力の問題かシューベルトでかなりすごいミスをしたものの、音楽自体の美しさや繊細さは全盛期もかくやと思わせるものがあった。2019年6月、ベルリン・フィルのコンサートでもクレジットされながらキャンセル(その代役が、すでに引退していたピリスだったのにも驚いたが)していた。とにかくCDでルプーの美しい演奏を聴く方が多い立場としては残念だが、ありがとうございましたと言いたい。



      1993年録音のシューマン(フモレスケ、子供の情景、クライスレリアーナ)が最後のリリースのはずだ。  願わくば…だが、たしかシューベルトのソナタ(D840などだった気がする)を録音してリリース予定していたがひっこめた記事を読んだ記憶がある。他にも彼のリリース許可出ていないものがある気がするのでそれが出てくることを祈っている。



      で、そのルプーへの思い出として真っ先にあげたいのがこのディスク。もっとも彼らしさが出ていると思う。 他の即興曲のディスクと比較すると幾分音の線は細いが、蝶の羽のように触れたら壊れてしまいそうな繊細で優しさがこもった即興曲。芸術とはいかに繊細でこわれやすいものかと初めて聴いたときに思ったものだ。 特に好きなのはD899の1曲目、(うちの再生機の表示で)3:55位からのモノローグの辺り、特に4:13前後の音の散らし方はどの演奏とも違う、はかない美しさがある。1982年の録音ながら、今でも聴くと純真な音のうつろいに心がふるえてくる。 シューベルトへのファースト・チョイスとしてもおすすめだし、ルプーの入り口としてもすすめたい。残念ながらこれから「最新録音」の新譜はリリースされないが、かつての古い録音にも「音楽」は詰まっている…。

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     2020/04/30

       旧盤をもう少し聴きこんでから、と思っていた。が、某音楽雑誌に鈴木雅明のインタビュー記事が載り、新オルガンを盛り込んだ新しい音響と音楽作りについての記事を読んですぐに購入した次第。

       聴いてみるとたしかにオルガンの響きがしっかり聴こえているが、オケが聞こえにくくなることもない。 オルガンの響きが豊かになることで進行もはっきりし、オケと声の橋渡しや下支えも安定してくるのだと感じた。旧盤とは骨格も肉体も同じだがその所作や表情に豊かさと静けさが滲み出た、すばらしいマタイと評価したい。

       器楽もソロ歌唱も合唱も全体にゆったりとした落ち着いた雰囲気。旧盤よりさらに穏やかな表現になったと思う。ドラマとそこからほとばしる感情を表に出すというよりは、内にひそめて気持ちに表すイメージだろうか。しかし、コラールや大事な合唱部分では決然と確信力をもってマタイのドラマを伝えてくれる。 美しさ、そして哀しさとは目や耳にそのまま飛び込んでくるものだけでは感じられない、飛び込んできたものを心でそっと受けとめることで美しさや哀しさが湧き出るのだと思っている。このマタイはじっくり聴けば聴くほど心の奥底に小さな灯がともされていくようなあたたかみを感じる。もっと勉強して、そして何度も、さらに何年も聴いていきたい。おすすめです。

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     2020/04/30

       ファウストのソロによるヴァイオリン協奏曲がメインのはずだが数回聴き終えてみると不思議なことに「ファウストのソロ」という印象が少なかった。ソロ対オケの図式はなく、オケの一員であるかのような音楽作りが印象的。もっとも曲目がシンフォニアやトリオ、管弦組曲など取り混ぜてあるので余計にそう感じるのかもしれない。2枚にわたる盛りだくさんの内容だが、聴いてみるとあっという間。曲のスタイルが多彩で飽きることもないし申し分ない構成。

       もちろん、そうは言ってもファウストのうまさは際立っている。ベルリン古楽アカデミーとバッハの音楽で遊んでいるかのような自由さが際立っている。ヤーコプス指揮のロ短調ミサ曲を聴いた印象か、ベルリン古楽アカデミーには少し重心が下にある落ち着いた古風な古楽器オケと思っていたが軽さときびきびとした技術と歌心を持った楽団であることも認識できた。名手揃いの楽団だからこそファウストも一緒に音楽することに専心できるのだろうか。


       それにしてもファウストのさらさらっとした、しなやかなうまさときたら…。 素人の私が聴いても「うますぎっ!」と思ってしまうのだから、私より耳の肥えた人が聴くとどんな感想が出るのだろう。これから出てくるであろうレビューが楽しみだ。そのレビューを書いてもらうためにもこのディスクをお勧めしたい。

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     2020/04/29

      とても快活で楽しい一枚。ベートーヴェンの「皇帝」というとどうしても重厚で華麗な協奏曲というイメージで演奏されているし、そう聴いてしまうがここでの皇帝は遊び心もあり、新鮮に聴くことができた。聴いたイメージとしては「立派な壮年の皇帝」というより「若くして戴冠した野心と希望にあふれた皇帝」の感じだろうか。どっしりした皇帝を好みの方には少し物足りないかもしれない。私は抵抗なく面白く聴くことができた。  ベートーヴェンは第5番を作った時も「皇帝」を作曲したのでなく、全く新しい境地を創造したに過ぎない。斬新で常に高みを目指している作品ということを思い出させてくれた。そんな演奏だ。「今」の我々の「ベートーヴェンの皇帝協奏曲」というものさしで聴くのではなく、当時のベートーヴェンの心境とそれを聴かされた当時の聴衆の気持ちで聴いていくのがおすすめと思う。


       皇帝もよかったが私の購入目的はこちら第2番。変ロ長調協奏曲はベートーヴェンのピアニスト&作曲家として「名刺代わり」の協奏曲としての性格が表れていると思う。当時の音楽の「一般」を吸収しつつもそれを超えていこうとする、野心的でアグレッシブな曲を作っていたんだ…と思いなおされた。 自らの技術やインスピレーションを余すところなく出していく。そんな状況を再現したようなピアノ、それに応えるようなオケの丁々発止が愉しい。カデンツァはR.レヴィン(アルヒーフ カーディナーとの全集)の即興を使用したのも作曲者の意気込みと才能の発出、時代に合わせた様式を表すために必要だったのだろうか。  今後、このコンビで全集に発展していくと思うがそれを熱望したい気持ちにさせるディスクだ。おすすめです。

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     2020/04/19

       コンセルトヘボウ管弦楽団と演奏したこのディスクの魅力、それは「ギリギリの美」ということだと思う。もう少し熱が入ったり力を込めすぎてしまうとその「美」は壊れてしまう、そんなぎりぎりの状態が当盤の凄さであり、魅力ではないだろうか。もちろん表面的な美しさではない。(死や絶望のような)受け入れ難いものをも呑み込んだ中から浮き出てくる類いの、厳しいまでに屹立した美、である。

       1979年のベルリン・フィル盤でも1985年のイスラエル・フィル盤でも激しさや熱さのエネルギーが突出しているが、このコンセルトヘボウ盤ではそれほどでもない。ゆったりとした歩みで堂々たる演奏をもってバーンスタインの棒に応えるコンセルトヘボウ管弦楽団。突っ込みすぎないところがコンセルトヘボウ管弦楽団の良さでもあるし、ことマラ9について言うと「物足りない」と感じる部分もある。 が、作曲者が人生の苦しみを書き込むと同時に、美なるものに究極の回答として書き込んだメッセージを表したと考えれば…。 この曲には誰もが「人生」「死」「葛藤」など特別な思い入れを期待してしまうが、それらをも超越した美の世界へバーンスタインが辿りつきたい時、もっとも適したオケがこのコンセルトヘボウ管弦楽団だったのではないだろうか…と考えてしまった。

       指揮者とオケがどのような対話をしつつ演奏したのか判らないが、結果として残されたディスクからそのようなことを考えさせられた。 マーラーの交響曲に興味ある方なら必ず持つべきディスクと思いおすすめしたい。

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     2020/04/18

      いくつか「幻想ソナタ」を聴いているが「幻想・ファンタジー」を儚いほど美しい形で表現しつくしているディスクと思う。フォルテピアノを使っている分ノスタルジックな気持ちにさせるのかもしれない。 同じレーベルから出ているブラームス「クラリネット・ソナタ集」のディスクに収められているピアノ小品集 Op.118と双璧の美しさを持っている。

      「幻想」自体がもともと実体を持たない「何か」であるわけだが、だからこそ表現にも様々なアプローチがあり、その違いに興味をひかれていく。

      アファナシエフの恐怖と紙一重の幻想もあるし、リヒテルの巨大な畏怖すべき幻想もある。シフの端正な響きによる滋味あふれる幻想もあり、メジューエワの慈しむ趣きの幻想や、内田光子の心の暗い淵をのぞき込むような幻想にも惹かれる。その中にあって美しいものへのたゆまぬ憧れ、ひとつ間違えると壊れてしまいそうな繊細な細工のような幻想ソナタを希望するならシュタイアーの当盤をお勧めしたい。即興曲D935も同様の出来ばえでこちらもすすめていきたい。

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     2020/04/18

       彼のシューベルトはとても自由で情感がこもっている。このディスクの後、2008年録音の第18番 D894(Harmonia Mundiよりリリース)もロマンティックで幻想ソナタの名称どおりの美しい演奏と思っているが、こちらも遜色ない。

       チェンバロ・フォルテピアノ・モダンピアノを縦横無尽に弾きこなす彼だが、チェンバロの時よりフォルテピアノやモダンピアノを弾くときの方が自由さが増すような気がする。曲ごとの時代や様式にも左右されるだろうが、このディスクでのシュタイアーは楽器を十二分に鳴らしきりつつ、そこに自らのファンタジーやイマジネーションをアクセントにしてシューベルトの心情に迫ろうとしているように感じた。

       モダンピアノでのシューベルトから少し目線を離してみたい方に聴きやすい音質だと思う。1825年製作と云われるフォルテピアノの音は古さを感じさせず、ひなびた音の感覚は少ないが、現役として十分に豊かな音響には驚いた。

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     2020/04/18

      チェンバロでのゴルトベルク、私が聴いているのはG.レオンハルト、鈴木雅明、武久源造とこのA.シュタイアー。この4種でもっとも「ゴージャス」と感じているのがシュタイアー盤。楽器の特性や構造によるのか弾いたときの鳴り方が他盤と全く違う。濃密で発言力を感じる独特の音。 私が聴くディスクを簡単に俯瞰すると、レオンハルトが謹厳実直、武久源造は侘び寂び、鈴木雅明は軽妙典雅と勝手に考えている。ではシュタイアーは? 甚だ安直に表すと「豪華特盛」。

       そのためか、凄い演奏で一点もおろそかになっていないが聴き終わるとえらく疲れる。時々無性にシュタイアー盤を聴きたくなり聴いているものの、その「聴きたくなる間隔」は他盤ほど頻繁ではないことを告白しておく。とにかく情報量とメッセージが非常に豊富なのだ。そこが良いところであり、もしかすると大変なところなのかもしれない。この辺りについてはmimi氏が前レビューで述べられている優れた論述を参照されたい。

       かと言ってこのディスクが悪いということではない。実に凄い演奏だからだ。ある意味「ゴルトベルクの究極」とも感じる。ぜひ他の方にも聴いていただきたい。

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     2020/04/17

       ページを開くと縦書き2段組でページ余白もかなり狭く、小さい活字でびっしりと書かれてあるヘビー級の内容。戦後から武満徹が、そして日本の音楽芸術がどのように育っていったのかが生き生きと書かれている。

       私が購入し聴いてきたCDの中で武満徹は「弦楽のためのレクイエムはストラヴィンスキーに激賞された。ノヴェンバー・ステップスで世界におどりでた」という「過去形」で書かれていた部分が現在進行形で話が進んでいく。  もちろん編集の妙もあるだろうが、立花隆との対談も相当馬が合ったのだろう。話のテンポは快適、内容は実に興味深く、本人だからこそ語れる話と、それを裏付ける立花隆の綿密な取材と資料収集がうまく混在して武満徹の半生や作品、時代の流れを読むことができる。音楽一辺倒にならずバランスよく話が盛り込まれている点は、立花隆が音楽の専門家でないのが功を奏しているように思える。立場も仕事の拠点も異なるが、その時代の空気を一緒に吸っているからこそ語り合える… そんな、ちょうどよい距離に両者がいるおかげでこれだけの大作が著されることになったのだろう。

       戦後日本の音楽界、作曲などの芸術、文化・思想の変遷、社会の動向がリンクして書かれているのでどれかに興味を持つ方であれば誰でも本書に入り込み、さらに違う分野にも視野が広がることは間違いない。

       ざっくり要約するなら、武満徹の音楽作品に焦点をあてるというより、戦後日本の歴史の様々な諸行の中で「武満徹」にスポットライトを当ててその旅路を追うということになると考える。残念ながら武満徹の逝去でインタビューは完結しなかったがそれでもこの著作の価値が下がることはないだろう。

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     2020/04/16

       ジャケットの写真に見られるメジューエワの真剣なまなざし。控えめな微笑みをたたえたジャケットではない。ベートーヴェンに真っ向勝負を挑むピアニストの顔。そしてその内容はジャケットに写る眼光にふさわしいものとなっている。


       ふくよかな響きを駆使しつつも、甘ったるい部分は全くない。初期から中期、後期から最後の3つのソナタに至るまでどれもぬかりなくベートーヴェンの旅路を追ってくれている。有名なOp.27-2などもムードでなく、響きの発見を追及し作曲者が考える幻想を表していこうとする姿勢が見られ、佇まいを直しつつ傾聴してみた。そんな瞬間がどの曲にもあり、ベートーヴェンの全集を複数持っている方にも買う価値は十分にあり、初めて揃えたい方にも判りやすさと説得力の高さからおすすめできる。


       生誕250年の今年、新たなチクルス演奏会を予定(新型コロナウイルス禍の余波で完結できるか心配だが)しているメジューエワを聴きに行く前にこの全集を再度聴きなおし、やはりこの人の演奏はすばらしいと推薦しておきたい。 全集版(ライヴ収録のボーナスディスクも付いている!)が限定であるため、単発をそろえるしかない現状だが、もし店の棚にこれがあるならすぐ買い物かごに入れるべきだろう。

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     2020/04/15

      男声の緻密な絡みはさながら綾織りの如し。合唱団規模の団体になるとこの精緻な織物の編み目を愉しむことはできなくなる気がする。 


      ディスク紹介にもあるとおり作曲者の人生の歩みはかなりすごいものがあるが、心なしか曲の中に哀切というか諦観の影を感じる。だからこそと言うべきか、言葉そして旋律が切々と訴えかけてくる。その訴えがポリフォニーの綾織りという衣をまとい、懇願や祈り、哀しみや迷い、喪失感など様々な感情が交差しているかのような印象を受けてしまう。SNSに代表されるような良い・悪いの通俗的な二元論では表現しきれない複雑な感情をポリフォニー音楽に託したように感じる。


      最近の新型コロナウイルス禍(2020年)で自宅に籠る方も多いと思う。かく言う私もその一人だが、声高に空虚なおしゃべりをするだけのニュース的ワイドショーあるいはワイドショー的ニュースで時間を無駄遣いするより、このような真摯で密やかな声に耳を傾けた方がこの時期の問題を考えるためにはいいものだ、と思ったりもする。  横道にそれてしまったが、声の力が心に届くためにはしっかりと対峙して聴くしかない。それに値するディスクだと思いお勧めしたい。  私もそうだがキリスト教的な音楽と敬遠せず、そこに込められたメッセージ −−突きつめれば「平和」あるいは「平穏」でしかない−− に心を寄せてみてほしい。人類がいまだに手に入れていないこれらの「目標」に想いを馳せつつ、こんな時期だからこそ聴かれてみては・・・。

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     2020/04/11

      この曲をブラインド・テストしたら、何人が2009年作曲でバリバリの現代作曲家W.リームの作品と答えるだろうか。私は面白い編成でどんな響きと表現をかましてくるのか、と思い入手したがよい意味で裏切られた。紹介分にもあるが現代音楽というより数百年昔に書かれた宗教曲をリメイクした作品を聴いている気にさせられる。  何が何でもゲンダイオンガクを創らなくてはいけない…と考えず、テキストに導かれ、古の音楽に敬意を抱いて研究を行い、響きについての思慮の結果としてこの作品ができたのではなかろうか。  プリミティブで彩度が低く少しザラっとした手触りが感じられる。ECMらしいカバージャケットの秀逸なデザインがこの曲の雰囲気を表しているような気もする。現代作曲家の作品だが余計な色眼鏡を外して聴いてもらいたい。

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     2020/04/09

      特別なことをしているわけではないし、特別にすごい演奏ということでもない。もちろんこれは悪い意味ではないです。ごく普通にシューベルトを弾いているだけ。それがどれほど素晴らしいことなのかは、シューベルトを好きな方ならご理解いただけるのではないでしょうか。自然な語り口の中からシューベルトの人生が淡々と滲み出てきます。

      ピアニストとして名を残す以上、他にない際立った演奏で芸術の高みを目指すものでしょう。そこに「個性」が生まれるのも道理ですが、シフはそこから距離を置いて我が道を行く。そんな彼の代表作が自然体な、このシューベルトではないでしょうか。  もっと彫りの深い演奏もあるし、もっと劇的に表現する演奏もあります。それはそれで好きですが、普段着のような自然体なシューベルトを全曲通して聴けるのはシフの全集くらいではないでしょうか。あるがままに音符をピアノにのせて歌う、これを体験したい方におすすめです。

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     2020/04/08

      モダン系の堂々とした、うねりと歌がある3番ではない。 古楽器オケの演奏ゆえか怒涛の迫力やコクの深さを求めることは難しい気がする。 それでも私は評価してみたい。

      一番嬉しいのはプログラム。このチクルス、ほかの盤のレビューにも書いた気がするがガーディナーの(オケと合唱団両方の)手兵を総動員してブラームスを多角的に表してくれているのが新鮮で愉しいのだ。それがどれもうまくまとまり、特に当盤は選曲が秀逸で一つのプログラムとしてピタッとはまっている気がする。静かに終える第3交響曲でプログラムを終わらせず、さらに最後に悲歌Op.82をおいて幕を閉じるやり方がたまらなく気に入っている。

       ブラームスというと交響曲(時々アルト・ラプソディや運命の歌がカップリングされるのが関の山)のディスクが多数占めるのが現状だろう。 その中にあって声の力、声楽の美しさ…そこに光を当て、加えて交響曲を並べることでブラームス(他作曲家の作品も混ぜることもあるが)のすばらしさを紹介するのが当チクルスの狙いだろうし、その目論見は成功していると思う。

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     2020/04/07

      ヴィヴァルディと細川俊夫、バロックと現代音楽がこうも相性が良いとは思わなかった。絶妙なマリアージュ!

      ヴィヴァルディの本拠地であるヴェネツィアを触媒として両者の音楽が交差する面白さ。ヴェネツィアの入り組んだ水路や曲がりくねった小径を彷徨い歩く私たち。ふと振りむいたり、はたまた水路の向こうから、それとも道の曲がり角からヴィヴァルディが現れてくるような錯覚を楽しませてくれる細川俊夫の曲づくり。

      ヴィヴァルディの活気を感じさせる音楽は往年の、活況を呈したヴェネツィアの人々の往来を想像させてくれる。時代と町と人間とがクロスした面白い企画で愉しめる。バロック好きな方、現代音楽に興味ある方の両方におすすめし、その交差を楽しんでもらいたい。

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