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Review List of HESS 

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  • 3 people agree with this review
     2022/09/15

    ブロムシュテットは常に前進し新たな解釈によって過去を更新している稀有な指揮者。実演を何度も聴いたが、80歳代前半まではあっさりとしていて味わいを感じることがなかった。しかし、80歳代半ばを超えてからまさに遅咲きというか、真の円熟味が感じられるようになった。とはいえ、80歳代後半の演奏がベストで、90歳を過ぎてからはテンポも表情もいまいち理解しづらい(なぜそうなのか納得できない)こともある。大家となった高齢の指揮者は往々にして悠然とした演奏(というか、実は弛緩しているだけ)のものも多いが、ブロムシュテットはきびきびしており、9番は時にものすごいスピードである。テンポというよりスピードと言いたくなるのは、この演奏を通して聴いていてもそのテンポや奏法に必然性が感じられないためである。
    私はブロムシュテットの熱心な聴き手であるが、数年前の来日公演も含めて、このオケとの音楽的な相性が本当によいかどうかわからない。また、この演奏を聴いても、ブロムシュテットの数多いディスクの上位に位置づけられるものとは言えない。第9番の演奏についてはちょっと肩透かしを食らった感じである。94歳での活動にはどんなに敬意を払っても払い過ぎではないが、演奏の質という点でいえばイマイチである。指揮者ブロムシュテットの記念の一枚として保有する価値は十分にあるが、過大な評価はしないでおく。

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     2022/08/21

    超名演! サヴァリッシュのエリアはN響1000回記念のほか、2001年にもN響で聴き、その素晴らしさは十分に分かっていた。が、このライプツィヒ・ゲヴァントハウスとの共演は予想を上回るもの。テオ・アダム以下、歌手は文句なし。サヴァリッシュの棒とゲヴァントハウスが見事にマッチ。数ある声楽曲、特にオラトリオのなかでもこの曲は圧倒的な名曲であるが、この演奏は素晴らしい。わざわざ古いものを聴くことはないと思っていたが、録音も鮮明であるし音質に不満はない。これは一押しのCDといえる。もしこの演奏を別のCDで持っていても、これは「買い」です。そして国内版が良いです。解説、歌詞対訳などが充実している。販売されているうちにぜひ。

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     2022/02/25

    よほどマニアックなコレクターか変態性キモオタでなければ、この舞台は耐えられないだろう。演出家は無能の極み。倒錯したキワモノというべき最低の演出で、舞台をぶち壊している。具体的に指摘することが憚られるレベル。プロローグだけでもこの映像を捨てたくなる人は多いだろう。評者自身、これまで何百ものオペラの実演に接し、映像ではそれ以上の舞台を見てきたが、これは間違いなく最低レベル。音楽は一定の水準に達しているのだが、演出だけでは点がつけられない。こんな演出家に付き合っている歌手や役者には芸術家としてのプライドがあるのだろうか。共演者の罪も考慮して総合点は1点かな。夏のフェスティバルだからと割り切ったのだろうが、まともな劇場での上演ならば、まっとうな歌手ならばステージに上がるのを拒否するだろう。ヘアハイムという名前を見たら逃げるべきという教訓。ヘアハイム演出には決して近づいてはならないと痛感。それにしても気色悪いだけでなく、音楽と全く関係のない舞台づくり。才能が枯渇した先の哀れな演出家の必死の悪あがき。解釈の多様性、表現の自由については否定するつもりはないが、才気のかけらも感じられない。この上演を「聴く」のはよいとしても、「観る」にはそれなりの覚悟が必要。もっとも人生に飽きた枯れた老人にはいいかもしれないが。

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     2021/04/25

    タイトルは勇ましいし、ある種の使命感も感じられるが、あまりにも財界のエゴ丸出しの論調には辟易とした。
    敗戦後100年を迎える2045年からバックキャスティングで実現を目指すJapan2.0というアプローチは興味深いし、X軸(経済の豊かさの実現)、Y軸(イノベーションによる未来の開拓)、Z軸(社会の持続可能性の実現)という3次元解析によって国家価値の最大化を目指すという着眼も魅力的である。このように、ラベルはすこぶる魅力的であるが、肝心はその中身である。新しさを期待したくなるが、中身は旧パラダイムから抜け出せていない。
    以下、細かいことであるが、本書のからくりというか、巧妙な仕掛けに関わることであるので、気になることを2点だけ述べたい。1つは消費増税の提言についてであり、2つ目は原発の扱いである。
    1.財界人であっても、税体系を論じる以上、国民経済全体という観点は欠かせない。しかし、他国の付加価値税≒消費税(の高い国)の例はすべてEUの、どちらかと言えば新自由主義をとらない国であり、税率25%のデンマーク、スウェーデンには特別に言及されており、米国の例はない。しかし、著者たちの主張は徹底的に新自由主義である。このあたりのデータの扱いはかなり恣意的である。日本においても、90年代、あるいは2000年ごろまでであれば、将来の消費税10%でも足りない(文意からは20%以上必要)という主張も、税体系の見直しの中で妥当性をもったものであったかもしれない。しかし、財界の動きとともに非正規労働者が2100万人を超え、労働者全体の4割近く(38%以上)を占め、年収200万円以下の人の割合が3割になろうとする現在、消費増税を主張するのであれば社会保障施策(良し悪しは別としてベーシックインカム等など)がセットにならなければ、バランスを欠いているといわざるを得ない。プラットフォーム企業や一部の寡占型企業が果実を総取りしていることへの言及もない。未来志向の提言のように見えても、実はそうではない。30年前に提言された内容であれば評価できるのだが。
    2.地球温暖化対策の中で、温室効果ガス削減が求められているのは周知のとおりであるが、著者たちの主張は、原発を緩やかな形での削減(というか、実は温存)というものである。監修者は、日頃、人類何万年で最大の変革期として資本主義や地球環境を論じていながら、化石燃料でないためであろうか原発を擁護している。温室効果ガス削減の目標の先には当然環境の保護がある。原発を経済性と(稼働時に排出する)二酸化炭素の関連からのみ論じるのは時代遅れである。分散型・再生可能エネルギーが求められる中、中央集中型の原発は、様々なリスクに脆い旧時代の遺物、座礁資産である。原発は、平時でも海水や河川などに大量の排水(熱湯)を注ぐとともに、多量の水資源を消費していることを著者たちが知らないはずがない。不都合の真実には目を閉じるスタンスをここでも見てとることができる。
    監修者は東電の会長に就任するらしいので、今後、どのような舵取りをするのかを注視してみたい。監修者は財界を代表する哲人経済者ともいわれ、方々でさまざまな変革論を述べている。本書のサブタイトルは「過去の延長線上に未来はない」というもので、つい期待してしまう。しかし、単にバックキャスティングすればよいというものではないだろう。本書をよく読むと、その基本的発想と根本にある価値観は昭和〜平成の延長線上にあるとしか思えない。第二次産業革命に立脚した未来論という性格を帯びているため、昨今のだらしのない政治家、経済人やサラリーマンに向けた檄としては良いかもしれないが、賞味期限は長くはないであろう。読む人は早めにどうぞ!

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     2021/04/11

    本書は、「マンガでわかる」というタイトルであるが、マンガそのものではなく、マンガも活用しつつ、充実した解説(史実、物語、地理等)によって、三国志と三国志演戯にまつわる様々な情報をわかりやすく示している。その意味でかなり魅力的な本であるといえる。登場人物についても一面的な評価にとどまらず、歴史的背景を踏まえ、その評価の重点がどのように変化したのかについて触れているのもありがたい。こうしたことから、評者としては、本書はタイトルで損をしていると思う(あるいはタイトルからマンガそのものだと思う人はガッカリするかもしれない)。いずれにしても、三国志に関する書としてお薦めできる。

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     2020/03/07

    入手可能なマリリン・モンローの出演作品(脇役、クレジット無し)も含めての大半を見てきた。モンローの作品はミュージカル、サスペンス、ウエスタン、コメディなどのジャンルを問わず適度に楽しめて、ほとんど外れがない。しかし、この作品は最低の評価をせざるを得ない。観ていて終始不快感がぬぐえなかった。その理由は2つ。まず、モンローの相手役のカウボーイ青年ボー(ドン・マレー)の演技の酷さ。傍若無人を演じるなら、もっとまともにやってもらいたい。出来の悪い小学生以下の振る舞いで、とにかく気に障るし、こんな下手な役者はとても観ていられない。そして、ストーリーの不味さ。通常この手の作品にストーリー性を期待することはないものの、あまりにも唐突かつ不自然さに強烈な違和感を覚えた。コメディでもパロディでもおふざけでも、こんな主役の2人が結ばれる結末には驚きというよりもあきれるばかり。脚本に起因するのではなく、明らかに監督の力量不足である。直近1年間で100を超える映画を観てきたが、この作品は文句なしにワースト1の失敗作。モンローの魅力もこの映画ではどこにも感じられない。

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  • 4 people agree with this review
     2019/10/22

    芸術的な名演奏である。ストコフスキーの編曲によるものを数多く聞いてきたが、その多くは残念ながらキワモノ的存在である。ケレン味が効いて面白く聞かせるものものや過剰なデフォルメで聴き手を驚かせるものもあるが、再び聞きたいとは思わない。しかし、このCDは、選曲、曲順もよく練られているし、サヴァリッシュ指揮フィラデルフィア管弦楽団のふくよかな響きで、この素晴らしい作品(編曲)自体が備えている魅力を存分に味わうことができる。何度聴いても味わい深い。ストコフスキー編曲によるオーケストレーションを純音楽として味わいたい人にはこのCDはうってつけといえよう。

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  • 5 people agree with this review
     2018/08/16

    ワグナーを熟知したサヴァリッシュによる最高の演奏。キャストが素晴らしい。恋愛禁制といえばヘルマン・プライ。リエンツィといえばルネ・コロ。妖精では、特にクルト・モルと若き日のスチューダーが素晴らしい。その他の歌手陣も好演、オケ(バイエルン国立歌劇場管弦楽団、バイエルン放送響)にも全く不満がない。ワグナーの若書きの作品であるが、のちのワグナーを彷彿させるメロディーもあれば、ロッシーニかモーツァルトを思わせる軽やかな音の運びも興味深い。これらの序曲(とくに恋愛禁制とリエンツィ)はもっとポピュラーに演奏されるべきだと改めて感じた。各曲3枚のCDであるが、いずれの曲も一気に聞くことができた。1983年、サヴァリッシュがシーズン中にワグナーの全13作品を一人で振った時の記念碑的演奏がライブ録音という形で残されたのはまことにありがたい。

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     2017/10/26

    音楽の敗北である。魔笛や指環ならまだしも、チャイコフスキーの抒情的場面を、こんなにも歌詞や曲想を無視した演出が許されて良いのだろうか。白装束の禿男(黙役)は最運命の使者のように最後まで付きまとい、音楽の進行を妨げること甚だしい。タチヤーナはゼンタの妄想の二番煎じのような存在で、オネーギン、公爵もともに一切の存在の魅力を削ぎ落され、破壊、絶望、虚無に覆われた舞台となった。指揮者のみならず、プロ精神の塊のようなオポライスも演出と軌を一にしているため、却って音楽としての不気味さだけが際立つことになった。オネーギン作品をBlu-rayで視聴するのであれば、2つのメトロポリタン版をお薦めしたい。オポライスのタチヤーナ役はまっとうな演出で聴いてみたい。
    オポライスは4(上述の理由で-1)、他の歌手陣はコルチャク、シュナーダーマン、ベルキナは健闘しているが、実力派グロイスベックは損な役回り。演出は最低であるため、総合点はせいぜい2。

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