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TOP > My page > Review List of つよしくん
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2 people agree with this review 2011/01/14
素晴らしい名演だ。何よりも素晴らしいのは、壮年期のリヒテルの表現力の幅の広さであろう。強靭な打鍵から、シューベルト特有の寂寥感溢れる繊細な抒情に至るまで、思い切った強弱や、テンポ設定の変化を駆使して、見事な演奏を成し遂げていると言える。これだけの様々な技巧を駆使しながらも、音楽がいささかも小さくはならず、スケールの雄大さを損なうことがないのは驚異的ですらある。特に、ピアノソナタ第13番イ長調は、最晩年の傑作ピアノソナタである第20番と比較して、小イ長調と称されているが、リヒテルの第13番は、後年の第20番にも匹敵するようなスケール雄大な名演に仕上げていると言える。第13番には、内田光子や、古くはリリー・クラウスの名演もあるが、リヒテルの名演は、これらの名演にも十分に匹敵する深い内容を兼ね備えていると高く評価したい。本盤の録音は1963年。リヒテルが鉄のカーテンの向こうから登場して間もない頃の録音であるが、当時の西側諸国がリヒテルから受けた衝撃の強さが、本盤を聴いているとよくわかる。録音が古いために、従来盤では、リヒテルの透徹したタッチを鮮明に味わうことがやや困難な面があったが、HQCD化によって、相当程度、音質が鮮明になったのを大いに歓迎したい。
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3 people agree with this review 2011/01/13
晩年のクレンペラーならではの深沈たる味わいに満ち溢れた名演だ。このような小品集の名演を成し遂げてきた指揮者による演奏の場合、その名演に対する評価の際の表現として、「聴かせどころのツボを心得た名演」というものがあり、それが普通の褒め言葉でもあると言える。ところが、クレンペラーの場合は、そのような表現ではとても言い表すことができない。それどころか、クレンペラーは、聴かせどころのツボなどくそ喰らえと思っているのではないかとさえ考えられる。要は、聴き手に対するサービス精神などいささかもなく、自らの楽曲の解釈を聴かせるのみである。俺は、この楽曲をこう解釈する。聴き手は、それを聴いてくれさえすればいいと。。本盤におさめられたどの楽曲も荘重なインテンポ。オーケストラをめいいっぱい鳴らして、実に重厚な演奏を繰り広げている。しかしながら、そこに漂う深みのある内容の濃いニュアンスは、正に大指揮者だけが描出し得る至高・至純の音楽と言える。特に、私が感動したのは、グルックの「オーリードのイフィジェニー」序曲。ワーグナー編曲という面も多分にあるとは思うが、クレンペラーは、とてもバロック音楽とは思えないような、分厚い重量感溢れる凄い音楽を奏でている。そのド迫力とスケールの大きさは、その後のワーグナーのオペラの序曲や前奏曲にも匹敵するものとさえ言える。HQCD化による高音質化も嬉しい。
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3 people agree with this review 2011/01/12
ベートーベンのピアノソナタ第17番「テンペスト」がメインのアルバムではあるが、私としては、むしろ、シューマンの幻想曲の方を高く評価したい。それどころか、本盤のリヒテルの演奏は、シューマンの幻想曲の過去の様々な名演の中でもトップの座を争う超名演と高く評価したい。この演奏の特徴の一つは、壮大なスケール感であろう。とにかく、音楽全体の構えが実に大きい。シューマンの演奏に際しては、ライナー・ノーツの解説にもあるようなファンタジーの飛翔が要求されるが、本盤のリヒテルのような気宇壮大な演奏だと、それだけでファンタジーにも溢れる名演に向けた大きなアドバンテージを得ることになる。壮年期のリヒテルならではの力強い打鍵と生命力も健在であり、各楽章の描き分けも卓抜としたものがある。正に、すべての要素を兼ね備えた至高の超名演と言える。ベートーヴェンのテンペストは、他にも優れた名演が数多くあり、本盤がベストとは言い難いが、それでも演奏内容の水準は高い。ベートーヴェンに相応しい強靭な打鍵と重量感は、この時代のリヒテルならではのものであり、それでいて、第2楽章の抒情の美しさにも出色のものがある。HQCD化によって、音場が拡がるとともに、音質に鮮明さを増した点も評価したい。
5 people agree with this review 2011/01/11
クリーヴランド管弦楽団をセルの楽器と称されるまでに徹底的に鍛え上げたセル、そして、鋼鉄のピアニストとの評価がなされたギレリスの両者の組み合わせ。この両者が組んだ協奏曲は、何か血も涙もないような冷徹な演奏に陥ってしまうのではないかとの懸念もあったが、本盤を聴いて、それは杞憂に終わった。それどころか、実に懐の深い滋味溢れる名演に仕上がっていると言える。このような名演になった要因は、最晩年のセルの芸風にあると言えるだろう。確かに、1960年代前半までのセル&クリーヴランド管弦楽団の演奏は、精緻なアンサンブルが売りであった。オーケストラのすべての楽器の音が一つになるような鉄壁さは脅威とさえ言えるもので、私も、セル亡き後のクリーヴランド管弦楽団のコンサートにおいて、いまだにその残滓があることに唖然とした記憶がある。そうしたセルも、1960年代後半の最晩年になると、精緻なアンサンブルを維持しつつ、ある種の柔軟性が出てきたように思う。それが、単なる老化によるものか、それとも、芸風の深化によるものかは定かではないが、いずれにせよ、演奏に滋味豊かさが加わったのは事実である。そんな滋味溢れる名演の一つが本盤であると考える。そうしたセルの演奏に、ギレリスも見事に応え、ここでは、鋼鉄のピアニストの看板を投げ捨て、セルとともに、温かみのある演奏を繰り広げているのが素晴らしい。併録の小品は、鋼鉄のピアニストたるギレリスの面目躍如たる、強靭な打鍵をベースとした重戦車の進軍のようなパワフルな演奏で、やや力づくの嫌いはないではなく、こちらの方は名演とは言い難い。HQCD化によって、音質がより鮮明になった点は評価したい。
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4 people agree with this review 2011/01/10
ショパンの超有名曲を中心にカプリングされた好企画CDであるが、いずれもメジューエワの特徴が現れた素晴らしい名演だ。メジューエワは、本盤におさめられた諸曲の大半を、既に録音しているが、本盤は、そうした既録音を抜粋したものではない。いずれも、本CDのために新たに録音したものであるのがミソである。既CDとの違いは、ボーナストラックとしておさめられた3曲を除いて、表面上はさほど感じられないが、ショパンの名だたる楽曲を録音した上での録音だけに、ここには、いつものメジューエワ以上に、自信と風格に満ち溢れた音楽であると言える。それにしても、メジューエワのショパンには、どうして、このように堂々たる風格が備わっているのであろうか。メジューエワの、一音たりとも揺るがせにしない丁寧とも言えるピアニズムがそうさせているとも言えるが、私としては、それだけではなく、ショパンへの深い愛着と理解があるのではないかと考えている。本盤の大半は、いわゆる有名曲であるが、こうした風格があり、なおかつ深みのある音楽は、通俗名曲集などと言った次元をはるかに超えた高みに達していると言える。私が特に感動したのは幻想即興曲。これほど崩して弾いているのに、全体の造型がいささかも崩れることがないのは、殆ど驚異ですらある。ボーナストラックの3曲は、メジューエワのライブ録音を記録した貴重なもので、特に、黒鍵の千変万化のピアニズムには大いに酔いしれた。録音も、鮮明で素晴らしい。
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5 people agree with this review 2011/01/10
メジューエワが満を持して臨んだショパンのピアノソナタである。メジューエワは、数年前からショパンに集中的に取り組んできたが、これまでの録音はいずれも小品。そのいずれもが驚くべき名演であったが、それ故に、ピアノソナタの録音への期待が大いに高まっていた。本盤は、そうした期待を裏切ることがない素晴らしい名演である。この後に録音されたピアノソナタ第2番ともども、メジューエワが、ショパンの大作にも見事な名演を成し遂げることを立派に証明することになった。それにしても、何と言う風格のある音楽であろうか。ショパンのピアノソナタ第3番は、もともとスケールの大きい音楽であるが、メジューエワも、そうした楽曲の特色を十分に踏まえた実に気宇壮大な名演を成し遂げたと言える。一音たりとも揺るがせにしないアプローチはいつもながらであり、その強靭な打鍵と、繊細な詩情のマッチングも見事である。同じロシアのピアニスト、エデルマンの名演が最近発売され、私も、当該演奏を最高の名演と評価したが、メジューエワの演奏も、エデルマンの名演に肉薄する至高の名演と評価してもいいと考える。併録の小品もいずれも名演であるが、特に、幻想曲が、いかにもメジューエワならではのスケール雄大な超名演。録音も鮮明で素晴らしい。
3 people agree with this review 2011/01/10
ストコフスキーほど、楽曲を面白く楽しく聴かせてくれる指揮者は他にはいないのではないか。どの曲も、スコアに忠実ということはなく、大胆なカットや、ねばったテンポ設定、思い切った強弱の変化など、ありとあらゆる演出を施す。恣意的と言ってもいい解釈とも言えるが、ストコフスキーの場合、嫌みが全く感じられないのだ。これは、ストコフスキーの、楽曲への深い理解と、聴き手に演奏を心から楽しんでもらおうという旺盛なサービス精神の賜物であると考える。要は、根っからの舞台人ということなのであろう。例えば、有名なハンガリー狂詩曲第2番など、ミュラー=ベルクハウス版を使用しているが、大胆な表現や大幅なカットなどによって、正にストコフスキー編曲のような演奏に仕上がっている。それでいて、これだけ堪能させてくれるというのは、ストコフスキーの指揮芸術の素晴らしさと言えるだろう。ラプソディーというカテゴリーのCDの中に、エネスコや、リストと親交のあったスメタナの楽曲をカプリングしたセンスの良さも抜群のものがある。録音も1960年代初頭のものであるが、これまた実に鮮明で素晴らしい。XRCD&SHM−CD盤の超高音質を十分に体現できる一枚だ。
オーケストラの巧さが名演奏の決め手となる楽曲どうしの組み合わせであるが、全盛期のライナー&シカゴ交響楽団の手にかかれば、何らの問題もない。金管楽器も木管楽器も実に巧く、しかも実にカラフルないい音色を出している。打楽器の強靭な迫力も凄まじいの一言であり、弦楽器の精緻なアンサンブルと、重量感溢れる肉厚の響きは、圧巻の素晴らしさだ。ライナーも、よくぞ、ここまでシカゴ交響楽団を鍛え抜いたことだと思う。ハンガリー出身の指揮者は、オーケストラを鍛えることに関しては、図抜けた才能を有しているようで、オーマンディやセル、そして後年のショルティなど、枚挙にいとまがない。このような綺羅星の如き指揮者の中でも、やはり先輩格はライナーであり、あらためてライナーの偉大さを感じざるを得ない。演奏も素晴らしい。ライナーは、聴かせどころのツボを心得た実に心憎い指揮を行っており、親しみやすい両曲の数々の名演の中でも、最右翼に掲げられるものと言える。録音が、これまた素晴らしい。1950年代半ばの録音のマスターテープに、これだけの高音質が刻み込まれていること自体が驚異ではあるが、そうした高音質の録音を完璧に再現してくれるXRCD&SHM−CD盤の凄さも併せて高く評価したい。
とにかく凄い音質である。スピーカーから飛び出てくる迫力満点の大音響に体ごと吹っ飛ばされるような気がした。1950年代半ばのステレオ録音黎明期に、これほどの高音質がマスターテープに記録されていたとは、にわかには信じがたい。あらためて、XRCD&SHM−CD盤の底力を感じ入った次第だ。有名なチャイコフスキーの序曲「1812年」など、近年では、スコアにない合唱を加えたり、大砲の音色を付加する演奏が増えてきているが、本盤のライナー盤は、そのような特別な手は一切加えていない。にもかかわらず、迫力においては、おそらく過去のどの演奏にも負けていないのではないか。演奏も、全盛期のライナー&シカゴ交響楽団の実力を十分に認識させてくれる素晴らしい名演だ。カラヤン&ベルリン・フィルも、このような小曲を集めた名演を数多く生み出したが、本盤は、カラヤン盤に十分に匹敵する。どの楽曲も、生き生きとした躍動感に満ち溢れており、金管楽器も木管楽器も実に巧く、雷鳴のようにとどろく打楽器は圧巻の迫力だ。弦楽器も、これ以上は求め得ないような精緻なアンサンブルと肉厚の重量感を誇っており、オーケストラ演奏としても、最高峰のレベルにあると言える。ライナーも、各曲の聴かせどころのツボを心得た見事な指揮を披露しており、最高のパフォーマンスを示している。
6 people agree with this review 2011/01/10
素晴らしい名演だ。2006年のスケルツォ全集を皮切りとして、ショパンの様々な楽曲の録音に取り組んできたメジューエワが、ピアノソナタ第3番に引き続いて、ピアノソナタ第2番を録音することになった。これは、正に気宇壮大と言った表現が相応しいスケール雄大な名演だ。何と言う堂々たる風格溢れるピアニズムであろうか。メジューエワのピアニズムの特徴として、ショパンがスコアに記した音符を一音たりとも蔑ろにしない丁寧さがあるが、このピアノソナタでも、決して音楽の流れが停滞することはない。実に優美に、なおかつ自然に流れるのだが、その仰ぎ見るような威容は、威風堂々と言った表現が符合する。第3楽章のショパンの精神の深淵を覗き込むような深みのある表現も凄いの一言であるし、終楽章の、他のピアニストならば、曖昧模糊な表現になってしまいがちの音楽も、メジューエワならではのアプローチで、旋律線を極力くっきりと描き出しているのが素晴らしい。併録の小品もいずれ劣らぬ名演であるが、とりわけ、冒頭の華麗なる大円舞曲が超名演。ここには、ピアノソナタと同様の壮大なスケール感とともに、女流ピアニストならではの繊細な詩情、そして、大輪のひまわりのような華麗さが備わっている。録音も、鮮明であり、素晴らしいの一言。
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4 people agree with this review 2011/01/09
メジューエワのショパンは、いずれも素晴らしい名演揃いであるが、この前奏曲集も素晴らしい。何よりも、この前奏曲集では、その表現力の幅広さを思い知らされた。メジューエワのアプローチは、ゆったりとしたテンポにより、旋律線を明晰に描き出していくという、ある意味ではオーソドックスなもの。ただ、メジューエワの場合は、抒情にかまけた曖昧さはいささかもなく、ショパンがスコアに記した音符の一つ一つをいささかも蔑ろにすることがない。それ故に、メジューエワのショパンには、威風堂々たる立派な風格が備わることになる。それでいて、音楽は実に優美に流れ、ショパン演奏に不可欠の繊細な詩情にもいささかの不足もない。これは、ショパン演奏に必要な要素をすべて兼ね備えているということであるが、そうした上で、曲想がめまぐるしく変化する前奏曲集を、巧みに弾き分けているのだ。演奏が悪かろうはすがないではないか。卓越した技量も素晴らしいが、メジューエワの場合は、あくまでもショパンの楽曲の魅力を表現することが大事であるという基本姿勢であり、卓越した技量だけが目立つなどということがないのはさすがである。有名な第15番などにおいて、とても若手のピアニストとは思えないような深みのある表現を行うなど、メジューエワのスコアリーディングの鋭さ、ショパンへの深い理解も大いに感じさせられるのも素晴らしい。録音も鮮明で文句なし。
メジューエワのショパンは実に素晴らしい。2006年のスケルツォ以降、ショパンを集中的に録音しているが、いずれ劣らぬ名演と高く評価したい。メジューエワのタッチは実に堂々としてしかも宝石にように輝いている。ショパンが記したスコアのすべての音符を一音たりとも蔑にしないアプローチは、メジューエワのショパンに威風堂々たる風格を与えているが、それでいて、音楽の流れはごく自然に流れ、女流ピアニストならではの繊細な詩情にいささかの不足もない。要は、我々聴き手がショパン演奏に望むすべての要素を兼ね備えているということであり、彼女の年齢を考える時、これは正に驚異的と言えるだろう。本盤のエチュード、冒頭の第1曲からして、大輪のひまわりのような華のある珠玉の音楽が展開される。第3曲の別れの曲の、後ろ髪を引かれるような絶妙な弾き方も見事であるし、第5曲の黒鍵の、一音一音が生き物のように息づいている生命力溢れる演奏は圧巻の迫力。第12曲の革命の超絶的な技巧には完全にノックアウトされるし、作品25の第10番以降の諸曲の幾分陰影の濃い、それでいて詩情溢れる美演は、筆舌には尽くしがたい素晴らしさだ。メジューエワは、まだまだ若いが、今後の前途洋々たる豊かな将来性を感じさせる一枚と言える。録音も鮮明で実に素晴らしい。
5 people agree with this review 2011/01/09
オルガンの録音は容易ではない。というのも、オルガンの音色はともかくとして、オルガンが設置されている教会の残響を録音に巧く取り入れるのはきわめて困難であるからである。残響の収録の仕方によっては、お風呂のような音の輪郭がはっきりしない曖昧な音質にもなりかねない。仮に、巧く収録することが出来ても、今度は、媒体の問題がある。SACDという素晴らしい媒体があるが、特に、マルチチャンネル付きの場合は、教会の残響を活かすという意味において、正に理想的な媒体と言えるだろう。ところが、通常CDの場合は、困難を極める。実際に発売されている通常CDの音色には、その臨場感を欠くいわゆる拡がらない音場でがっかりとさせられることが多いが、本盤は凄い。あらためて、XRCD&SHM−CD盤の底力を思い知らされた次第だ。サットマリーの堂々たるタッチを完璧に捉えた録音も見事であるが、さらに素晴らしいのは、由緒あるシュニットガーオルガンが設置されたミヒャエル教会の豊かな残響を見事に音化した点であろう。しかも、残響が、サットマリーのタッチを曖昧模糊なものにすることがないのは驚異的ですらある。正に、オルガン録音の理想像の具現化と言えるだろう。演奏は、堂々たるドイツ正統派のオルガン演奏であり、いずれも楽曲も素晴らしい名演。
先ずは、XRCD&SHM−CD化による超高音質録音を高く評価したい。正直言って、1970年代の録音がこれほどまでに新鮮味溢れる高音質に生まれ変わるとは思ってもみなかった。あたかも最新録音かのようであり、眼前でコンサートが行われているかのような錯覚さえ思い起こさせる。弦楽器の細かい動きといい、弦楽器と見事に分離して聴こえるチェンバロの精緻な響きといい、実に素晴らしいの一言。四季の高音質録音と言えば、SACD化されたアーヨとのイ・ムジチ盤や、マルチチャンネル付きのヤンセン盤があり、演奏の素晴らしさも相まって極上の名演に仕上がっているが、本盤も、後述のような演奏の水準の高さも相まって、これらの名盤に匹敵する至高の名盤として高く評価したい。演奏も素晴らしい。ヴィヴァルディはイタリアの作曲家ではあるが、本盤は、いかにもフランスの音楽家たちが成し遂げた瀟洒な味わいによる四季と言える。同じくラテン系ではあるが、ここには、そうしたラテン系の明るさとともに、フランス風のエスプリ漂う極上の優美さが備わっている。このようなセンス満点の四季は、他にもあまり類例は見ないところであり、聴いていて、あたかもヴィンテージものの高級ワインを味わっているかのような、最高の気分を味わうことができる極上の名演と言えよう。
4 people agree with this review 2011/01/08
凄い名演だ。そもそも本CDに収録された楽曲の組み合わせが素晴らしい。ポロネーズ、マズルカ、ワルツ、前奏曲、エチュードと言った、ショパンの主要な作品からの抜粋を中心としたカプリングであるが、必ずしも有名曲だけを組み合わせているわけではない。単なる人気取りの有名曲集に陥っていない点は、メジューエワのショパンへの深い拘りと理解の賜物であると考える。ライナーノーツの解説には、メジューエワを「思考するピアニスト」と評していたが、これはなかなかの至言である。メジューエワは、ショパンがスコアに記した音符の一つ一つを丁寧に、そして風格豊かに弾き抜いて行く。この一音たりとも蔑にしないアプローチは、ショパンの各曲の旋律線を実にくっきりと明瞭に描き出すことに大きく貢献する。こうした堂々たるピアニズムについては、ある意味では、「思考するピアニスト」との見方もあり得るのではないかと思うからである。ただ、重要なのは、メジューエワは、理屈が先に立つピアニストではないという点だ。音楽は実に優美に流れるし、女流ピアニストならではの繊細な詩情においてもいささかの不足もない。要は、非常に幅の広い表現力を身につけているということである。このような素晴らしい大芸術家が、我が国を拠点に活動しているというのは何と言う幸せであろうか。録音も鮮明で文句なし。
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