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Tchaikovsky (1840-1893)

SACD Sym.6: P.jarvi / Cincinnati So +romeo & Juliet

Sym.6: P.jarvi / Cincinnati So +romeo & Juliet

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  • ★★★★☆ 

    つよしくん  |  東京都  |  不明  |  10/April/2011

    パーヴォ・ヤルヴィが手兵シンシナティ交響楽団とともに行った演奏は、これまで数多くのSACDやCD(テラーク)が発売されており、私は、その殆どを名演と高く評価しているが、一つだけやや踏み込み不足の物足りない演奏があると考えている。その一つが、本盤におさめられたチャイコフスキーの悲愴だ。チャイコフスキーの悲愴は、後期3大交響曲集の中でも最もドラマティックな作品であり、古今東西の交響曲の中でもトップの座を争う傑作である。それ故に、数多くの指揮者によって多種多様な個性的名演が成し遂げられてきたが、チャイコフスキーの激情的で起伏の激しい音楽をどれくらいうまく表現できるのかに、演奏の成否がかかっていると言えるだろう。ここでのパーヴォ・ヤルヴィのアプローチは、例によって曲想を精緻に丁寧に描いて行くというものであり、どこをとっても情感の豊かさを失わない点については評価に値すると言える。したがって、第1楽章の第2主題や第2楽章などは、チャイコフスキー一流のロシア風のメランコリックな抒情をたくみに歌い上げており、ここは、他の名演と比較しても遜色のない出来であると言える。しかしながら、第1楽章及び第3楽章においては、劇的な表現をやや避けた面も散見され、チャイコフスキーの音楽の神髄に切り込んでいくという鋭さがいささか欠けていると言わざるを得ない。終楽章がなかなかの上出来で極上の美しさを誇っているだけに大変惜しい気がする。チャイコフスキーの演奏には、ムラヴィンスキーのような一部の天才は別として、洗練された純音楽的な表現だけで勝負するのはいささか無理があると考えられるところであり、ある程度の踏み外しとか表情過多になる寸前になるほどの思い切った劇的な表現をしないと、その本質に迫ることははなはだ困難と言えるのではないだろうか。もっとも、パーヴォ・ヤルヴィは、最近、フランフルト放送交響楽団とマーラーの交響曲第2番の名演を成し遂げており、近年の進境著しさを考慮すれば、今後、悲愴のより素晴らしい名演を成し遂げる可能性も十分にあると考える。他方、併録の幻想序曲「ロメオとジュリエット」は、パーヴォ・ヤルヴィの音楽性の豊かさが存分に発揮されるとともに、ドラマティックな要素も兼ね備えた素晴らしい名演と高く評価したい。本盤のメリットは、マルチチャンネル付きのSACDによる極上の高音質録音であり、これらを総合的に勘案して、★4つの評価とするのが至当であると考える。

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