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今こそ世に問う 円楽のプレイボーイ講座 A

Thursday, May 15th 2008


こちらでは、本盤に関わる3人の登場人物についてご紹介します。

まずは、そのエキゾチックな風貌で、世の男性を虜にした、元祖・グラドル、松岡きっこをご紹介。本盤『円楽のプレイボーイ講座』のジャケットを飾る、麗しのピンナップ・ガール。
何と、本復刻CDには、水着姿の折込ポスターもきちんと再現し、封入してあるのです!

ヤバいぜ、きっこ♥そんな目で見るなよォ

30歳以下の方には、夫君・谷隼人とのおしどり夫婦ぶりや、女子プロレスのゲスト解説での顔の方が有名かもしれませんが、この美貌を目にしたら、黒木メイサ・ファンだって即昇天!当時22歳。岩下志麻、大原麗子、前田美波里らと並び、「平凡パンチ」、「Goro」などのグラビア・ページで、ゴックン・プリーズ★な水着姿を披露していた、恐いものなしの頃です。

この頃のきっこは、当然ながら、映画方面でも引っ張りだこ。岡田真澄・主演の怪奇ムービー「吸血髑髏船」('68)、丹波哲郎・主演「お熱い休暇」('68)、森田健作&ピンキーとキラーズ・主演の「恋の季節」('69)、浪人生役の小倉一郎を誘惑して、彼の童貞を奪いとったりなんかするオムニバス「性犯罪法入門」('69)、  野川由美子、奈美悦子、香山美子、小山ルミ揃い踏みの「夜の熱帯魚」('69)、学園ギャグ・マンガの傑作「ハレンチ学園」実写版('70)などで、そのわがままな体をたっぷりと使った活きのいい演技を見せ、思春期の青少年たちをムズ痒くさせていました。TVシリーズにおいても、「ザ・ガードマン」、「キイハンター」、その続編「アイフル大作戦」、さらには、あの「11PM」(ホステス役)などに出演し、艶然としたスマイルを愛らしくふりまいていました。

松岡きっこ 『松岡きっこのラブ・ラブ25時』
松岡きっこ
『松岡きっこのラブ・ラブ25時』

きっこの甘〜いおしゃべりと、田辺信一(後に、「悪魔の手毬唄」、「女王蜂」といった金田一シリーズの音楽を手掛けたことで有名。)のアルフレッド・ザ・グレイト・プラスによる音楽がしっとりと絡みつく、彼女の初アルバムとなる『ラブ・ラブ25時』は、「X+Y=LOVE」、「夢は夜ひらく」、「夜明けのスキャット」といった昭和40年代のヒット歌謡をテーマ・ソングに、男女のアレコレを「昼」、「夜」、「朝」、「別れ」の4章にわたって綴るお色気モンドの決定版なのです。こちらも、完全限定プレスで紙ジャケ化。是非チェックしてみてください。




お次は、こちら。ナレーションを務めた三遊亭円楽・師匠。おなじみ、「笑点」の4代目司会者(1983年〜2006年)を務めたことで、老若男女あらゆるテレビ層から親しまれている、お茶の間の人気者ですね。若い頃は、「星の王子さま」とも呼ばれ、その端整な顔立ちと博識振りで、7代目立川談志、3代目古今亭志ん朝、5代目春風亭柳朝と共に「四天王」として、1960年代の演芸ブームを引っ張った、偉大なる落語家なのです。

三遊亭圓楽

1962年10月に真打昇進を果たし、「5代目・三遊亭圓楽」を襲名しました。入門してから7年での真打というのは、現在、入門してから真打になるまで通常15年はかかるということを考えれば、まさに「超」がつくほどのスピード出世。当時より人気・実力を認められた業界期待の噺家だったことが窺え知れますよね。「笑点」においては、歌丸、こん平ともに第1回放送からのメンバーであり、1977年に落語に専念するため番組を卒業(2度目の降板)したものの、1982年に当時の司会であった三波伸介の急死に伴い、翌年1月9日から司会者として番組に復帰し、新たな黄金期を築くに至るのでありました。歴代司会者としては最長寿記録も更新。2007年2月25日、円楽師匠は、自分の進退をかけ本番の半年前から稽古をして臨んだ落語会「国立名人会」の後、その出来に納得がいかずに記者会見で現役引退を表明しました。

三遊亭円楽 『NHK新落語名人選』

三遊亭円楽
『NHK新落語名人選』

さて、1969年の円楽師匠といえば、4月に「笑点」のレギュラーを降板(翌年6月に復帰。)するも、追いからの演芸ブームにも乗り、その「星の王子さま」キャラと、雑学王タレントのはしりとも言える博識ぶりで新風を呼んでいた時代。前述の立川談志らと共に「東京落語四天王」として、寄席や落語会だけでなくラジオ・テレビでも引っ張りダコだったのです。となれば、そんな人気者が音楽界に顔を出すのは、今も昔も自然な流れ。ジャズの調べに乗せて、「プレイボーイたる」云々を、独特のキザな語り口で聴かせる本盤は、まだ少年期であったクレイジーケンバンド・横山剣にも大きな影響を与えることとなった、エスプリのきいた(?)実に軽妙洒脱な1枚。ちなみに、中村八大・作曲による、「笑点」おなじみの番組オープニング・テーマが初披露されたのもこの年となります。



そして、最後はこの人、前田憲男。本盤の音楽を担当した、日本が誇るジャズ・ピアニスト(兼・作曲家、編曲家、指揮者)です。「11PM」、「巨泉・前武のゲバゲバ90分」、「世界まるごとHOWマッチ」、「ギミア・ぶれいく」といった、親交の深い大橋巨泉の出演する番組、その大半のテーマ音楽、さらには、「ミュージック・フェア」、「題名のない音楽会」等のテーマ音楽を手がけていることでもおなじみです。

前田憲男

1955年に大阪から上京。沢田駿吾とのダブルビーツを始めとして、57年からは、名門・ウエストライナーズに在籍。この頃からピアニストとしての評価もさることながら、アレンジャーとしての才能にも着目され、国内のジャズ、ポピュラー・シンガーのステージ、レコーディング、TV番組等の幅広い分野で活躍するようになりました。80年には、沢田駿吾、西條孝之介といった日本最高のジャズメンを集めたウインドブレイカーズを結成。このコンボは、結成以来不動のメンバーで、今も精力的な活動を行なっています。81年、東京音楽祭「最優秀編曲賞」受賞。83年、レコード大賞「最優秀編曲賞」、ジャズ界の最高位「南里文雄賞」を受賞と、記憶にも記録にも残る、まさに真の天才と呼ぶにふさわしい人なのです。現在は、先述のウインドブレイカーズに加え、荒川康男(b)、猪俣猛(ds)とのWE3(ウイスリー)・前田憲男ピアノトリオとしても活動中。

前田憲男 / 稲垣次郎 『決定版!これぞジャズロック』

前田憲男 / 稲垣次郎
『決定版!これぞジャズロック』(68年)

さて、この『円楽のプレイボーイ講座』においても、前田憲男率いる、本盤だけのセクステット、プレイボーイズの演奏は、絶好調。メンバーには、旧知の沢田駿吾(ギター)をはじめ、村岡健(テナー・サックス)、伏見哲夫(トランペット)、原田政長(ベース)、日野元彦(ドラム)といった超一流どころが集結。「サニー」、「タブー」、「ダンス天国」、「ジ・イン・クラウド」、「イエスタデイ」、「サウンド・オブ・サイレンス」、「イパネマの娘」など、R&B、ビートルズ、ボサノヴァを交えての全12曲。ときにソリッドなソウル・ジャズ・マナーで、ときにブランデー・グラスを傾けたいカクテル・ラウンジ・ジャズで、ときにあのコを踊り狂わせるリズム・アンド・ブルースで、寸尺ながらも、夜行性の雄しべたちのツボをグイグイと突きまくってきます。そんなこんなで、
                                         際限なき貞操観念という名の花は、泥まみれになりながら開いてゆ
                                         くのでした。