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今こそ世に問う 円楽のプレイボーイ講座

Monday, May 19th 2008

この作品、一体どこから、その素晴らしさを説明していいのか、迷ってしまいます。

松岡きっこの目が眩む美貌、三遊亭円楽のねっとりとしたナレーション、前田憲男グループのヒップな演奏。
どれが欠けてもダメ。三位一体で、ボクたちを悶々とさせるのだから、全く困ったものです♥


横山剣(クレイジーケンバンド)のバイブル!
前田憲男 『円楽のプレイボーイ講座12章』
¥2,415- (税込)紙ジャケWポイント対象品 カートに入れる

女、ジャズ、モーター・スポーツ・・・1969年、高度経済成長期のニッポンに大量発生した深夜族たちのクールなエスプリを詰め込んだ、ジャパニーズ・ラウンジのカルト的名盤が、遂に紙ジャケ化!三遊亭円楽の粋なナレーションに、前田憲男とプレイボーイズによる洒落た演奏。いや、ジャケットの松岡きっこだけでイケるよ、オレ。


             八城一夫とオールスターズ 『大橋巨泉プレイボーイ入門』はこちら




「プレイボーイたる君。プレイボーイたらんことを欲する君に、円楽がしばしの時間をさくことにする。」


今から、約40年前、1969年に発売されたレコード。
円楽師匠も、そうそうかび臭いことはおっしゃっていないはずですが、

12の章からなる、明日のプレイボーイを目指す諸兄への訓示。
まずは、現代社会のニッポンにどう当てはめて、消化していけばよいのか
かんたんに検証してみましょう。


第1章 女
-- 女、この世の中で君の全てを投げうつに価する唯一のもの・・・そして目的は一つ。 --

そう、目的は、今も昔もただ一つなのです。
でも、あまりに露骨なのはNG。あくまで、ソフトに、ソフトに。

女のコは、一般的に「集団性」を尊重する傾向があるので、
ターゲットのコの受けがよくても、
そのコの友達や連れが引いていると、
失敗に終わるケースが多いようです。

ちなみに、ギャル語『エビゾー』は、
身体目当ての男のことを指すのだそうです。


第2章 ギャンブル
-- ギャンブルの鉄則は、勝つこと、そこに涙はない。プレイボーイも涙を必要としない。 --

それは、つまり非情な「かけひき」。
「終電大丈夫?」なんて、
「終電間際」に安易に聞いているようじゃあ、ダメだってこと。
終電が完全に終わったのをしっかり確認して、
「あ!終電大丈夫!?」


第3章 酒
-- よく、「酒にのまれるな」、と言う。あれは間違っている。僕にいわせれば酒に飲まれろ! --

お笑い芸人やアイドルが合コン三昧している昨今、
トーシロの僕たちが、
半分しらふで「コール」なんてしてる場合じゃないでしょ?

最近は、いくら飲んでもケロッとしてる、女のコも増えてきました。
近年の焼酎ブームや、立ち飲み屋ブームに一役買っていたのは、
実は女性なのだそうです。

たまには、女のコに介抱される夜なんてのもアリでしょう。


第4章 ファッション
-- 私がいつも身につけているものを紹介しておこう、スーツ、生地はイギリス最高級品、フインテックス。ワイシャツ、イギリスのビエラ、ネクタイは、スイスのアーツ。下着はフランスのエミナンス、靴はイタリアのマレリー。全部、嘘である。が、これだけのことが言えるということ、私が何を言わんとするか判るであろう。 --

ブランド云々はおいといて、
女のコうけするカラー、
それは「茶色」と「パステルカラー」だそうです。
パステルカラーというのは、明るく快活、とっつきやすい印象を与え、
茶色は、安全性、協調性を表す色なんだそうですよ。

では、石川次郎氏のお言葉を。
「男のファッションには、昔からある種、理屈というか、
ルールみたいなのがあって、それを守るから美しいんだ」


第5章 車
-- プレイボーイにとって車など単なる小道具にしかすぎない。車は人間が作った第三の足だと思え。 --

愛車をすぐに乗り換えるやつは、女もとっかえひっかえ。
この定説って一体?

女のコは、
ポルシェやフェラーリのスタイルを見ても、
エンジン音を聞かされても、
ましてや車のスペックなんか説明されても、
そんなにときめかないってことなんでしょうね。


第6章 セックス
-- セックスについて聞きたかったら、君の肉体に聞け! --

加藤鷹氏に訊いてみたところ、
「心がない人が技持っててもダメ。」
「僕の割合としては「心・技・体」が
それぞれ「8:1:1」。ホントだよ。」

・・・くそっ!この妙な敗北感はなんだ!

生前、岡田真澄氏も「愛はバイアグラを超えた」と。


第7章 ダンス
-- ダンスはスポーツではない。ダンスは、セックスの前戯だと思え。 --

社交ダンスから、ブレイク・ダンス、レゲエ・ダンスまで、
現在、日本のダンス人口は、
1000万とも1500万とも言われています。
中でも、団塊の世代以降のダンス人口が、
急激に伸びているとのこと。

それは主治医からのアドバイス。
「社交ダンスは、アルツハイマーにならない確率が一番高い」



第8章 音楽
-- 君は、女がいなくても一晩中耐えられる音楽を好むべきだ。但し、女のいる場合は女の好む音楽を聞きなさい・・・ --

ジェームス三木・大先生が、
歌手時代の若き日を振り返って、

「人間は、歌でもって女性をトロけさせてさ、
要するに求愛で呼んでる動物の鳴き声と同じわけだよ。
そんな歌を歌うのが職業なんだから、
モテないわけないじゃない。」



第9章 スポーツ
-- 君はスポーツをやるかな?やる・・・よろしい。やらない・・・なおよろしい。何故、プレイボーイには
スポーツを必要としないから --

とはいっても、
もえくんも、
サエコくんも、
心くんも、
亜希くんも・・・。

師匠!けっこう、持ち帰られてるじゃないすかっ!


第10章 ビジネス
-- ビジネス、女、両方に熱中できない奴など、くそくらえだ、ビジネス、女、いっぺんに熱中しよう。 --

「プレイボーイとビリオネア」。
これは、男にとって永遠のテーマであるといえましょう。

昨今の芸能界セレブ婚ラッシュを見るかぎり、
やはり最も強いのはIT系。
2位に、医者、
3位に、弁護士、
以下、その他実業家、外資系証券マン、銀行員、読売巨人軍・・・。
CD屋なんて、いつまでたっても出てきません・・・


第11章 話術
-- 女を口説く時は「何を言うか」より、「何処で黙るか」の方がむずかしい。 --

愛田観光社長・愛田武氏もこう語っております。
「会話上手への入り口は、まず聞き上手になることから」。

歌舞伎町でNo.1ホストだった夕聖氏は、
一橋大学の「男女共同参画時代のキャリアデザイン」
という共通講義でゲスト講師を務めたこともあるそうですよ。
さすが、トークのスペシャリストだけありますよね。

ただ、石田純一氏にいわせると、
「うそー?ほんとー?信じらんない。これだけで三時間はいける。」


第12章 エチケット
-- プレイボーイたるもの、如何にうまく別れるかが肝心。「別れなければ君、又逢えないじゃないか」--

「昭和のプレイボーイ」火野正平氏をさして、悪友・山城新伍氏は、
「あいつは女と別れる時も後腐れなくきっちりやる」との事。

先だっての離婚記者会見において、
春風亭小朝師匠も
「離婚届がラブレター」とニッコリ。




とまぁ、こんなかんじで。


-- で、1969年って?--

本盤がリリースされたのは、1969年。想像力逞しい学徒諸兄は、この数字の並びだけで大興奮。
ジミヘン氏も「もしも6が9だったら」などと大胆発言。そんな昭和44年。

私にとっては小さな一歩だが、人類にとっては大きな飛躍だ

「私にとっては小さな一歩だが、人類にとっては大きな飛躍だ」。アポロ11号が、人類初の月面有人着陸を果たしたのがこの年。それはつまり、月面からのテレビ中継を見るために、カラーテレビを買う人が急増した年でもあり、この年、初めてカラーテレビと白黒テレビのシェアが逆転したのです。
カラーテレビ時代の本格化とともに、放送開始となったのは、「水戸黄門」、「サザエさん」といった長寿番組であり、また、「サインはV」、「柔道一直線」といったアニメを原作とするスポ根ドラマの金字塔もこの年スタートしました。バラエティ・お笑い界では、コント55号が、まさに飛ぶ鳥を落とす勢い。「コント55号の世界が笑う」は、毎回驚異的な視聴率を叩き出していました。ドリフターズの「8時だョ!全員集合」もこの年の10月にスタート。2年後には、最高視聴率50.4%を記録するモンスター・プログラムになったことは、言うまでもないでしょう。また、教養系エログロナンセンス族(?)に人気を博したのが、「巨泉・前武のゲバゲバ90分」。惜しげもないパンチラ・シーンで、PTAをヒヤヒヤさせたお色気アクション・ドラマ「プレイガール」もこの年放映開始。

愛しあうそのときにこの世は止まるの〜♪

この年の日本レコード大賞は、いずみたく先生が作・編曲を手掛けた、佐良直美『いいじゃないの幸せならば』。同じく、昭和の名コンポーザー/アレンジャー、筒美京平先生の『ブルー・ライト・ヨコハマ』(いしだあゆみ)が世に出たのもこの年でした。ほか、内山田洋とクール・ファイブ『長崎は今日も雨だった』、水前寺清子『三百六十五歩のマーチ』、皆川おさむ『黒ネコのタンゴ』など、後世に歌い継がれる昭和の大名曲が、次々と産声をあげた、まさに歌謡曲全盛時代。
また、昨今の「掘り起こし」文脈でしばしば紹介される曲もこの年花ざかり。日本レコード大賞最優秀新人賞受賞曲となった、ピーター『夜と朝のあいだに』を筆頭に、由紀さおり『夜明けのスキャット』、青江三奈『池袋の夜』、千賀かほる『真夜中のギター』、弘田三枝子『人形の家』・・・などなど。「わるい時はどうぞぶってね」と甘える奥村チヨの『あなた好みの女になりたい』からは、「あなた好み」という流行語が生まれました。

Oh!モーレツ

流行語と言えば、石油会社のテレビCMで、小川ローザのスカートがめくれあがる「Oh!モーレツ!」。これに尽きるでしょうか。また、ドリフターズ・加藤茶の「やったぜ、ベイビー」が、チビッ子から絶大なるプロップスを得れば、ハナ肇の「あっと驚くタメゴロー」は、サラリーマン層を中心に大浸透。「あっと驚く」は、たちまち週刊誌のキャッチ・コピーなどに多用されるようになりました。
大橋巨泉が万年筆のCMで言い放ったハナモゲラの始祖「みじかびの きゃぷりてとれば かぎちょびれ すぎかきすらの はっぱふみふみ」、ネスカフェCMの「違いがわかる男」などもこの年の流行語に。学生達の間では、赤塚不二夫先生の「もーれつア太郎」から生まれた「ニャロメ」が大流行。そう、もちろん「この野郎め」という意味ですよ。

東大安田講堂事件

前年から吹き荒れていた一連の学園紛争、その嵐の収束の象徴ともなった、1月の東大安田講堂落城は、全共闘運動の衰退だけではなく、団塊の世代がやがて迎える「シラケの時代」突入への大きなターニングポイントともなりました。殺伐とした「現実」の中でもがき続ける、そんな1969年、ニッポンの若者たち。同年、ニクソン政権が始動したアメリカでも、8月にウッドストック音楽祭の開催、ピーター・フォンダ、デニス・ホッパー主演による映画『イージー・ライダー』の公開と、音楽(+@)で世界を変えようという若者主導のカウンター・カルチャー〜フラワー・ム−ヴメントがピークを迎えようとしていました。イギリスでは、ローリング・ストーンズのブライアン・ジョーンズが自宅プールで謎の死を遂げ、翌日ハイド・パークで30万人という大規模なフリー・コンサートが行なわれたりと、文字通り「69=ロック」な年を象徴するような出来事が次々に起こった年となりました。

日比谷野外音楽堂10円コンサート

それに呼応するカタチで、日本でも大規模なロック・フェスティバルが各地で開催され、岐阜・中津川フォーク・ジャンボリーでは、 岡林信康、五つの赤い風船、遠藤賢司、高田渡、ジャックスらが出演し、3、000人の聴衆を沸かせました。日比谷野外音楽堂では、伝説の「10円コンサート」(正式名「ニューロック・ジャム・コンサート」)が開催され話題を呼びました。出演は、発起人・成毛滋、内田裕也のフラワーズ、モップス、ハプニングス・フォー、柳田ヒロ等。ちなみに、1969年に「結成」された日本のロック・グループには、はっぴいえんど、頭脳警察、村八分、フラワー・トラベリン・バンド、ブルース・クリエイションなど、錚々たる名前が挙がります。

あっ、日本初の大型ショッピング・センターとして、二子玉川に玉川高島屋がオープンしたのもこの年だったんですね。