―インタビュー続き―
―― ところで、「Tit & Acid」などで聞けるハードエッジなディストーションサウンドやノイズは、あなたたちのロック的なイディオムを表明していると言えるでしょうか?
おっ、それはすごく面白い見方だな。というのも実はこの曲は、『ファブリック』っていうロンドンのナイトクラブでDJをやって帰ってきた晩に、深夜遅くなってから作った曲だからね。あの夜はほんと、もうベロンベロンで、次の日も二日酔いになるほどだったんだけど、実を言うと、これはその夜、「テクノなヤツを一発作ろうぜ!」って思いながら作った曲なんだよ(笑)。でも実際仕上がったら、随分とロック的な出来になっていたってわけさ。うん、確かに君の言う通りだ(笑)。面白いもんだよね、当初僕らはテクノなトラックを作ろうとして取りかかったはずなのに、完璧に失敗して、実際に生まれたのはロック寄りの曲だったんだから。でも、そのどちらかに完全に属してる曲でもないよね。もしロック純粋主義の人がこの曲を聴いたら、きっと嫌うだろうし、逆にテクノ純粋主義の人が聴いたら、「こんなのカスじゃん」って言うかもしれない。実際そういう曲に仕上がったことに、僕は満足しているよ(笑)。
―― 「Hustler」にはフレンチタッチの影響も感じますが、フレンチハウスシーンのアクトからの影響はあったんでしょうか?
うん、君の言う通りで間違いない。ダフト・パンクのアルバム『ホームワーク』が出て、夢中になった頃のことをよく憶えてるけど、あれは今でも歴史的な作品の一つだと思っているよ。時代の流れという試練を経ても生き残った作品だと僕らは考えてるし、ダフト・パンクは新しい作品を出す度に、自分たちのすごさを証明し続けていると思う。ダフト・パンクが僕ら2人にとって、大きな影響を与えてきた存在であることは確かだ。でもその一方で、僕らはできるだけ慎重に、ダフト・パンクっぽくなり過ぎないように注意してもいるんだ。「これってダフト・パンクに似て過ぎやしないか?」って感じた時は、敢えて方向性を変えるようにしてる。模倣にならないように努めているけど、確かに僕らがダフト・パンクから多大な影響を受けてきたことは否定できないね。
―― また「Love」はまるでデビッド・ボウイを思わせるグラマラスなナンバーですが、これはどのような背景から生まれた曲なんですか?
ああ、“Love”ね! あれは、クロー(Clor)ってバンドにいたバリーってやつと作ったんだ。残念ながらクローはもう解散してしまったんだけど。それで彼と曲をやろうって話になり、一緒にスタジオに入ったんだよ。そして一緒に色々とやり始めたんだけど、彼のヴォーカルが醸し出すグルーヴとか彼のアイディアを活かしながら、それを基に曲を作り上げていったんだ。彼の口から色んなメロディーが発せられたり、 コードが展開していく中で、彼の歌うメロディーを拾い上げ、それに合わせて曲を紡いでいったわけ。だからこの曲は本当の意味で、彼とのコラボレーションと言えるね。
―― アルバムでは「I Believe」や「Love」、インストだと「Wooden」が展開力のある素晴らしい楽曲になっていると思いました。これは今後のあなたたちの方向性を示唆していると言えますか? それとも引き出しのひとつ?
そう言ってもらえて嬉しいよ。というのも今、君が挙げたのは、僕が特に気に入っている曲でもあるから! うん! でも今後の方向性って言っても、正直、僕ら自身にもわからないからなあ。でも今回のアルバムとはまた違ったものになっていくと思う。今また面白いサイド・ブロジェクトを計画していて、それは多分もっとかなり“ヘン”なものになることは間違いないんだ。全くコンピュータを使わない、“真性アナログ幻覚パーティーもの”を作ろうかなって。でもSMDの次のアルバムに関しては、どこに向かうかは答えられないなぁ。どういった方向へ行くかとか、ただ単に僕としては考えたくないから。このアルバムを作る時も、「こういう音楽を作ろうぜ」って深く考えたわけじゃなかったしね。
どういう音楽をやるかってことについて、事前にきちんとアイディアを用意し過ぎるのは、逆にすごく危険なことだと思うんだよ。それによって、クリエイティヴなプロセスが非常に限定され、可能性が狭まってしまうから。ただ僕が言えることは、次のアルバムは、今回の作品とは大きく異なるものであってほしいってこと。なぜならそれが僕にとって何よりも一番重要なことだからね。