【発売】ラファエル・ピション&ピグマリオン/モーツァルト:レクィエム
2024年10月07日 (月) 19:45 - HMV&BOOKS online - Classical
ヨーロッパの最先端をゆくピション&ピグマリオン、モーツァルトのレクィエムを録音!
なんと美しく、なんと生々しく、なんと新しく、なんとモーツァルトへの敬意に満ちたレクィエム。ディスク冒頭から驚きの連続のモツレクの登場。2022年度レコード・アカデミー大賞を受賞(マタイ受難曲)、今や世界中でその人気はうなぎ上り、古楽だけでなく音楽シーンの最先端にいるピション率いるピグマリオンの演奏です。
冒頭、ボーイ・ソプラノの清廉な歌声による聖歌で始まります。通常「イン・パラディスム」は死者の祭儀を締めくくるのが通常ですが、ここでは生を祝うという役割。この美しい歌声を中断するように、独唱四重唱によるカノン「ああ、私たちの人生の歩みは短すぎる!」、そして「ミゼレーレ・メイ」を経て、レクィエム本編に入ります(レクィエム本編は当時もっとも作曲者に近かったジュスマイヤー版に基づいています)。本編の冒頭の管楽器(フリーメーソンの重要な楽器であるバセットホルンやファゴット)のこまかなニュアンス、つづく声楽陣の言葉ひとつひとつの発音、あらゆるものにこの作品にかける思い入れを感じます。独唱陣の歌声も素晴らしく(特にソプラノのイン・ファンの声の透明感は格別なものがあります)、「ラクリモサ」の引きずるような生々しい表情と、そこから続くアーメン(モーツァルトの筆は声楽部のみ16小節で終わっており、ここではモーツァルトの筆による部分のみを未完のまま演奏しています)への持って行き方は壮絶ですらあります。
ピションとピグマリオンは、「舞台詩人」とも称されるロメオ・カステルッチによる、レクィエムを演劇や舞踊の要素が入った舞台作品(2019年のエクサン・プロヴァンス音楽祭で上演)で音楽を担当しました。この経験はピションたちにとってとてつもなく大きなものとなり、まさに彼らの血肉となっていることが感じられる演奏です。楽曲は、組み立ては、モーツァルトが過去の自身の作品と対話・回想しながらレクィエムを書き進めた軌跡をたどるようでもあります。30台半ばにしてすでに30年近く作曲を続けていたモーツァルト。レクィエム作曲に先駆けてオペラで行ってきた、言葉では表現できないもの、人間の心の闇の部分を伝えるために、オーケストラの楽器(ピションの指揮から引き出される弦楽器の美しさ、ティンパニの死の宣告を思わせる迫力は圧倒的な印象です)をも登場人物としています。ニ短調という調性が、ドン・ジョヴァンニや『魔笛』の夜の女王の闇に結びついていることもあらためて思い起こさせてくれます。レクィエム本編の演奏だけでも、あらためて作品の本質を生々しくも美しく響かせ、さらにつけ加えた楽曲により、モーツァルトの気配をより濃厚に感じるような、人間味、救い、様々な要素が放出された演奏です。(輸入元情報)

【収録情報】
● モーツァルト:レクィエム
01. 聖歌:交唱『イン・パラディスム』
モーツァルト:
02. ああ! 私たちの人生はあまりに短く K.228 (515B)
03. ミゼレーレ・メイ(我をあわれみたまえ) K.90(原曲:キリエ)
04. レクィエム ニ短調 K.626〜I. イントロイトゥス
05. レクィエム ニ短調 K.626〜II. キリエ
06. Ne pulvis et cinis K.122(原曲:メヌエット 変ホ長調)
07. レクィエム ニ短調 K.626〜III. セクエンティアI:ディエス・イレ
08. レクィエム ニ短調 K.626〜III. セクエンティアI:トゥーバ・ミールム
09. レクィエム ニ短調 K.626〜III. セクエンティアI:レックス・トレメンダエ
10. ソルフェッジョ ヘ長調 K.393-2(オーケストレーション:ヴァンサン・マナック)
11. レクィエム ニ短調 K.626〜III. セクエンティアII:レコルダーレ
12. レクィエム ニ短調 K.626〜III. セクエンティアII:コンフターティス
13. レクィエム ニ短調 K.626〜III. セクエンティアII:ラクリモサ&アーメン(補遺)
14. レクィエム ニ短調 K.626〜IV. オッフェルトリウムI〜ドミネ・イエズ
15. 誰があなたの偉大さを理解できようか K.Anh.110
16. レクィエム ニ短調 K.626〜IV. オッフェルトリウムII:オスティアス
17. レクィエム ニ短調 K.626〜IV. オッフェルトリウムII:サンクトゥス
18. レクィエム ニ短調 K.626〜IV. オッフェルトリウムII:ベネディクトゥス
19. 教会用歌曲『おお、神の子羊』 K.343-1
20. レクィエム ニ短調 K.626〜アニュス・デイ
21. レクィエム ニ短調 K.626〜聖体拝領唱
22. 聖歌:交唱『イン・パラディスム』
イン・ファン(ソプラノ)
ベス・テイラー(アルト)
ローレンス・キルスビー(テノール)
アレックス・ローゼン(バス)
シャディ・ラズレク(ボーイ・ソプラノ)
ピグマリオン
ラファエル・ピション(指揮)
録音時期:2023年9月
録音場所:ベルギー
録音方式:ステレオ(デジタル)
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