『花と蛇3』 小向美奈子 インタビュー
Friday, December 3rd 2010

8月28日(土)に公開となる、『花と蛇3』への期待と話題性で、連日週刊誌などを賑わせている小向美奈子さんがHMV ONLINEに登場です!「『花と蛇』、『花と蛇2』とはまた違う、小向美奈子の『花と蛇』がやりたい」とのお話があり、出演に至ったという本作。8月4日(水)に行われた“緊縛ナイト”では1000人近くのお客さんが会場に詰め掛け、大盛況のうちに終了されたそうですが・・・『花と蛇』について、団鬼六先生、緊縛師 有末剛さん、共演の火野正平さんのこと、そして、初めて挑戦した緊縛についてなど、こちらの質問にじっと目を見つめ、ゆっくりと言葉を選びながら笑顔でお話して下さいました。INTERVIEW and TEXT and PHOTO: 長澤玲美
緊縛されるのはもちろん初めてなんですけど、すごく興味というか好奇心旺盛なのですっごい楽しんじゃいましたね(笑)。
- --- 『花と蛇3』を拝見させて頂きました。グラビアアイドルとしてデビューされた後、ストリップデビューし、SODと浅草ロック座とのコラボレーションで実現したオリジナルストリップムービー『デンジャラス ストリッパー』なども話題になり、活動の場を広げてらっしゃいますが、まずは本作の出演に至った経緯をお聞かせ頂けますか?
小向美奈子(以下、小向) それはですね、お話があり、「やらないか?」ということで(笑)。「『花と蛇』、『花と蛇2』とは違って、小向美奈子の『花と蛇』がやりたい」って言って下さったので、「それなら出来るかなあ」と思いまして。
- --- 不安や恐怖はありませんでしたか?
小向 「何をされるんだろう」っていう不安はもちろんありましたし、『花と蛇』は有名で大きな作品なので恐怖はありました。でも、18とか19歳くらいだったと思うんですけど、「『花と蛇』はすごい!」って友達とかと話してて、当時は特に好奇心旺盛なので(笑)、「じゃあ、観てみようか」みたいな感じで作品に興味を持ったし、衝撃を受けましたね。でも、「(杉本)彩さんみたいな色気は自分にはないなあ」って思いながら(笑)。
- --- 出演が決まった後にどのくらいの準備期間を経て、実際に撮影に入られたんですか?
小向 半年くらいですかね。その時はまだ、(ストリップ)劇場の方もあったので、「いつかなあ」って思いながらも半年経って、「じゃあ、撮ろうか」ってことになってから周りがだんだん固まってきて、台本を頂いたのがその2ヶ月くらい前だったと思うんですけど、「直前で変わるから」って言われて、本当にぎりぎりで仕上がってきました(笑)。
- --- 団鬼六先生の原作も読まれましたか?
小向 ちょうど彩さんが演じられた後くらいに読みましたね。
- --- 団先生の世界はいかがでしたか?
小向 素晴らしいですねえ(笑)。女性も男性もたぶんハマると思いますよ、本当に。
- --- どういったところが特に惹かれましたか?
小向 小説だけど入り込めた。自分を置き換えてみたりだとか、「ああ、この人はこういう人生を辿って来て、今に行き着くんだ」っていうように後を追って読めるっていうことと、本当に想像出来るような世界もあるし、いろいろと楽しめる感じがありますね。
- --- 団先生はTwitterもされているみたいなんですが(笑)、HMV ONLINEでも今、『花と蛇3』の公開記念でご提供頂いたフェロモンポストカードプレゼントという施策をしておりまして、それをHMV Twitterに上げたところ、大変恐縮で光栄なんですが、団先生からリツイートを頂きまして(笑)。
小向 わー!(笑)。
- --- 団先生はもちろん、小向さんのことも応援して下さってますよね?
小向 わたしも、団先生がフォローして下さったんですよ。なので、フォロー返しで(笑)。そしたら、「がんばってね。よろしくね」って団先生からいきなりメールが入ってきて!「うわあー、怖いー」って思いながらも(笑)、めちゃくちゃうれしかったですね。団先生は本当にお若い方ですよ。
- --- 本作をご覧になって、小向さんに何かおっしゃっていましたか?
小向 「痛そう」って(笑)。何回かお話させて頂いたんですけど、「俺は痛いのは嫌いだ。俺が撮るんだったらあそこまでガチガチな緊縛はしないぞ。あれは監督達の趣味なんだ!」っておっしゃってましたね(笑)。
- --- 世界的にも有名な緊縛師 有末剛(ありすえ ごう)さんが本作で小向さんを縛っていますが、撮影前から緊縛についてのいろいろなお話をされたんですか?
小向 縛りの形とかは実際に現場で決めました。撮影に入る前に1回テストみたいな感じで、「どういう縛り方が出来るのか」っていうことで何パターンか縛って頂きました。
- --- 緊縛については、今振り返られてどういったお気持ちがありますか?
小向 楽しかったですね。すごく興味というか好奇心旺盛でこういう経験はもちろん初めてなんですけど、すっごい楽しんじゃいましたね(笑)。でも、最初はよかったんですけど、縛られて吊るされるとなるとやっぱり、時間も結構長いので辛くなってきて痛いし・・・でも、それをやっていくうちにコツというか、縛られていて楽な体勢っていうのが分かって来たりとかして。先日の“緊縛ナイト”(8/4(水)に渋谷にて開催した、小向美奈子が一般客の前で緊縛されまくる、というショー)の日も、縛られててももう痛くないんですよね。わたしが重心を取る場所を有末さんは分かってらっしゃるし、縛られてる間も本当にすごく手際よく縛って下さるので(笑)、安心して体を委ねられるといいますか。みなさんきっと、怖いイメージじゃないですか?でも、本当に優しい方で、「大丈夫?痛くない?大丈夫?」って何回も何回も聞いてきて下さったりして。
- --- 小向さんの方から有末さんに「こういう風に縛って欲しい」というようなご提案もあったんですか?
小向 そういうところはやっぱり、有末さんにお任せしたかったですね。
- --- では逆に、「小向さんだからこそ、こういう縛りがやりたい」という有末さんからのご提案はありましたか?
小向 「体が柔らかいからこういうのが似合うんじゃないかな」とか「肌の質的にも縄と合う」っておっしゃってました。「結構いろんなポージングが出来るからいいね」って。でも、わたしは有末さんの作品になれるので、本当にしあわせなことでしたね。
- --- 本作ではだんだんと飼い慣らされ、調教されていく中で、最後には悦びを見出していく女性として静子が描かれていますが、撮影が進むごとに小向さんの中で静子と同じような心境になっていきましたか?
小向 静子と一緒というか、初めからもう静子でしたね。でも、縛られてる間は本当の小向が出てきてました(笑)。でも、静子も絶対そう言うと思うし、本当にもう何も考えられない状態・・・「もう本当にやめて!お願い!」って劇中でも言ってるんですけど、あれは自分の言葉でしたね(笑)。でも、そのうち慣れてきて、「もういくら言っても無理だ」って思ってくると、撮影ってこともありますしね、言葉ではなかなか言い表せないんですけど、諦めてくるというか、じっとして、ぐでんとした状態になっていて。それがリアルな画になっていてよかったかなって思ってます。
- --- その諦めの心境はどのシーンあたりからでしたか?
小向 本編だと、みなさんに囲まれる辺りですね。もう、「どうにでもして」状態でした(笑)。
- --- 表情も、初めと比べるとどんどん豊かになっていきますよね。緊縛されていくことで開放的になっていく部分もありましたか?
小向 多分、最初は苦だと思うんですけど、諦めがつくと本当にふわっとしてくるんですよ。だから、逆に放置されるよりもちょこちょこいじられてる方がいいですね(笑)。
- --- 火野正平さんとの関係性もいいなあと思いました。現場でご一緒されていかがでしたか?
小向 本当に素晴らしい方ですねえ。とってもお茶目だし・・・すごい大好きになっちゃったんですけど(笑)、火野さんにお会いするまではわたしの中では「昭和のプレイボーイ」、そして、めちゃくちゃ怖い人っていうイメージで、実際にお会いしてもやっぱり、「怖いなあ」って思って近寄り難かったんですけど、実は実際の撮影が地下で閉じ込められて利尿剤を飲まされて、おしっこを我慢するあのシーンからだったんですよ(笑)。
- --- あのシーンから・・・ハードですね(笑)。
小向 本当にハードでしたよ(笑)。「どうしよう、どうしよう」って感じで。全くコミュニケーションがない状態であそこに入っちゃったので。でも、「怖い!」っていうのもリアルに出てましたよね?(笑)。
- --- 出てましたね(笑)。わたしは渋くて色っぽい俳優さんが好きなので、火野さんには痺れました(笑)。昔の映画やピンク映画に出てくる俳優さんって、火野さんのような方って多いですよね?きっと、お会いしてお話したら、ああいう一見めちゃくちゃ怖そうな方の方が実は優しいんじゃないかなっていうのが自論としてあります(笑)。
小向 本当にそうですよ!優しい。「こうやっていっぱいお姉さんを口説いてきたんだなあ。しかも、あの声で」って(笑)。笑う時は火野さん、無邪気に少年になるんですよ。「はあー。素敵な人だなあ」って(笑)。チョコレートが大好きな方なんですけど、それでやっと会話が出来たんです。火野さんが大きい袋のガーナミルクチョコレートを持参しててぱくぱく食べてたんですけど、でも、顔は怖いんです(笑)。
- --- 顔は怖いけど、食べてるのはチョコレート・・・堪らないギャップですね(笑)。
小向 「チョコレートお好きなんですか?」って聞いたら、「俺、大好きなんだよ、これ。でも、ガーナのこの赤い袋の何十個も入ってるやつじゃないとダメなんだ」っていう会話から始まって、挨拶ももちろんありましたけど、した会話はそこからでしたね(笑)。でも、本当にすっごい魅力的な方だし、怖いイメージが全くなくなりましたね。あとは、カットがかかるまでの現場での表情とかもがらっと変わるし、立ってるだけでもすごい存在感がある方ですね。
- --- 演技を火野さんから学んだという部分もありますか?
小向 ありますね。火野さんの役もわたしの役もほとんどセリフがないじゃないですか?その中で、目のちょっとした動きだったり・・・「首をかしげるだけでも違うんだ。立ってても仁王立ちなのか、片足なのかっていうところでも違うんだよ」って教えてくれたり、映画を作り上げるスタッフ、キャストとも、連日ハードな現場に通っていると疲れてきますよね?そういう時に火野さんはいきなり変な顔をしたりして盛り上げてくれたりして、現場の空気も全部変えられる、本当にすごい人だなって思いましたね。
- --- 先ほどのお話にも少し出ましたが、8月4日の“緊縛ナイト”にはお客さんは1000人近く集まったそうですね。女性の方もたくさんいらしていたようなので、女性に対してのメッセージというのはありますか?
小向 女性の方も来て下さってすごくうれしかったですね。今回の作品は内面からの調教から始まるので、静子を自分と置き換えてこの作品を観てもらったらすごく楽しめると思うんですよね。あとは、このリアル感を楽しんでもらいたいですし、緊縛という芸術にも浸って頂きたいですね。
- --- 今後の具体的なご予定もお聞かせ下さい。
小向 今後はまだ確定はしてないんですけど、わたしは基本は踊り子なので劇場で踊ってると思います。
- --- 『花と蛇3』に出演される前と後では、ご自身の中に変化は感じられますか?
小向 やっぱり少し・・・大人になったかな。いや、なってない(笑)。でも、「こういうことが出来るんだ、わたしも」っていうところでは少し自信は付きましたね。
- --- 演じるということにおいては、女優も踊り子も同じですよね?
小向 そうですね。でも、ストリップとは違う、映画は映画の現場の楽しさがありましたね。ストリップをやってたからこそ、縛られた後、何も考えられないような状態でも足だけはピンってきれいに伸びていたので、いい癖が付いているというか(笑)、「おお!」って思いましたね。
- --- それでは最後に、8/28(土)から公開となりますので一言お願い出来ますでしょうか?
小向 『花と蛇3』は、『花と蛇』や『花と蛇2』とは違い、小向美奈子なりに体当たりで挑戦した作品なので、いろんな方に観て頂きたいですね。初日は舞台挨拶もさせて頂きますので、ぜひ劇場に足を運んで頂けますとうれしいです。
- --- ありがとうございました。
小向 ありがとうございました。
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※団鬼六 1931年生まれ。デビュー作「親子丼」(57)が文藝春秋のオール讀物新人杯に入選し、本格的な執筆活動に入る。1961年に花巻京太郎のペンネームで「花と蛇」をSM系雑誌「奇譚クラブ」に投稿。当初は3回で連載が終了するが、翌々年ペンネームを“団鬼六”に変えて執筆を再開後、人気が爆発。足掛け11年に亘って連載。日本を代表する官能小説家として不動の地位を築く。作家活動の他にも、1969年に製作プロダクション「鬼プロ」を立ち上げ、ピンク映画の製作やSM写真集の出版等も手掛ける。その後、1989年に断筆、「将棋ジャーナル」の社主となるが、1995年「真剣師 小池重明」で作家として復活。大きな反響を得る。その後も話題作を次々に生み出し、代表作に「外道の群れ〜責め絵師・伊藤晴雨伝」、「鬼ゆり峠」(幻冬舎)、「美少年」(新潮社)、「夕顔夫人」(無双舎)など多数。近著に「往きて還らず」(新潮社)、「悦楽王」(講談社)などがある。
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※有末剛 緊縛絵師、演劇評論家であった伊藤晴雨と「奇譚クラブ」で活躍した、画家で編集者だった美濃村晃の観念的遺伝子を継ぐ緊縛師。幼少より緊縛のエロティシズムに目覚め、緊縛師となることにより縛才が開花する。70年代後半から80年代黄金期のSM雑誌全般の緊縛師を務め、日活ロマンポルノやVシネマの緊縛指導家としても活躍。また写真集「AMBIENT M」(とよた真帆)、新潮社「月刊・秋吉久美子」「月刊・荻野目慶子」、「EVE緊縛写真集」などの緊縛指導。03年6月には女子プロレスラー井上貴子の緊縛写真集が沢渡朔撮影で実現。海外アーチストとのコラボレーションも経験する。数年の沈黙を破り、緊縛界に完全復帰。「麻布映画社」のオリジナルブランドを立ち上げ、緊縛映像の新たなる旗手と注目される。石井隆監督作品『花と蛇』(団鬼六原作)で調教師・鬼村源一郎役で出演。05年公開『花と蛇2 パリ/静子』にも再出演を果たした。また、オランダで開催された第36回ロッテルダム国際映画祭で上映されたドキュメンタリー映画『縛師』では、日本を代表する緊縛家の一人として、その姿を世界に知らしめた。また、作家としての活動も開始。08年に始めて書き上げた小説「緊縛師A 恍惚と憂鬱の日々」は従来のSM小説として評価されている。常に新しい緊縛の表現世界を構築すべく精力的に活動。緊縛数10000縛。緊縛とは女体と縄の刹那、一期一縛の芸術。
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※火野正平 1949年生まれ。大河ドラマ「国盗り物語」(73/NHK)の豊臣秀吉役で注目を集めたのち、翌年『俺の血は他人の血』(74/舛田利雄監督)で映画主演デビュー。以後、癖のある役を独特の持ち味で演じる個性派俳優として、『新・必殺仕置人』(81/ABC系)や『長七郎江戸日記』(83/NTV系)など主に時代劇のシリーズドラマで活躍。その後も『混浴露天風呂連続殺人』(95〜06/EX系)・『大奥 華の乱』(04/CX系)など数多くのTVドラマにレギュラー出演。映画においては『復讐するは我にあり』(79/今村昌平監督)・『ええじゃないか』(81/今村昌平監督)・『瀬戸内ムーンライトセレナーデ』(97/篠田正浩監督)・『梟の城』(99/篠田正浩監督)・『極道恐怖大劇場 牛頭 GOZU』(03/三池崇史監督)などに出演。また2009年には音楽活動を再開して、18年振りの新曲「今年の薔薇」とアルバム「ウーマン達への子守唄」をリリース。
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- 小向美奈子 緊縛 -映画「花と蛇3」より-
- 2010年07月21日
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- 小向美奈子写真集 『花と蛇3』
- 2010年06月
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- 小向美奈子:デンジャラス ストリッパー
- 2010年01月07日
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- 小向美奈子: いっぱい、ごめんネ。(CD付き)
- 2009年11月
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- 花と蛇
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- 映画「花と蛇2 パリ / 静子」 緊縛遊戯
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- 花と蛇
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小向美奈子 (こむかいみなこ)
1985年生まれ。15歳の時、清純派グラビアアイドルとしてデビュー。可愛い顔立ちに豊かな胸で人気を博し、多くのグラビア雑誌を席捲する。2000年にはアイドルユニット「プチエンジェル」の第1期生、2001年にはフジテレビビジュアルクイーンの一員に選出。その後もバラエティ番組の他、映画『劇場版 爆竜戦隊アバレンジャー DELUXE アバレサマーはキンキン中!』(03)や『RANBU〜艶舞剣士〜』(04/雑賀俊郎監督)などにも出演するが、2009年にアイドルからストリッパーへと転身する。同年6月に東京・浅草のストリップ劇場、浅草ロック座の25周年特別興行のステージにゲスト出演し、一躍世間の注目を集める。その後は自叙伝『いっぱいごめんね』(09/徳間書店)の上梓や浅草ロック座のステージを収録したDVD『小向美奈子 DANGERROUS STRIPPER』(10/SODクリエイト)の発売、更にストリッパーとして地方公演を行うなど精力的に活動している。














