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「TAO」 第6回:ゲスト→村上賢司 【3】

Wednesday, April 7th 2010

ラブホテルが好きなのは、扉を開ける瞬間に何かが変わるあの感じなんですよね。



---  ラブホテルシリーズに関しては、西日本と東日本編で分けて制作されましたが「ここのホテルがすごい」というような情報を得て取材されたんですか?


村上:もっと調べればあるはあるんですけど、やっぱりいろいろな制約があるので関西と関東に分けてます。東北の方にも新潟の方にもあるという情報は持ってます。でも結局、首都圏と関西圏で撮れるところだとあれしかもうない。都築さんの「ラブホテル -Satellite Of Love」と被ってるのはたぶんそういうことなんですよ。もう、あれしかないんですよ。結果的にはそうなったんで、都築さんにも「こうなりました」ってお伝えしたら、「やっぱりそうだよね」っておっしゃってましたね。

ただ、奈良の天女山アイネのネオンがピカピカしてるあの部屋、すごいで しょ?(笑)。最初にロケハンで行った時にアイネの社長さんが「うち、もう一軒あるんだけど、監督さんが喜ぶかどうかはわかんないんですけど・・・見ます?」って言われたんですよね。その時に実は自信満々だったと思うんですけど(笑)、「いやいや、ぜひ見せて下さい!」って言って、あのネオンだらけの部屋を見た時の衝撃たるやね・・・本当に未知との遭遇で、UFO見た少年みたいな感じでしたよ。「うわーあ。すっごい、これ」って(笑)。「昔、「11PM」で1回だけ取材受けて以来、20年振りくらいの露出ですね」って言われましたね。あれは亜美井新(あみいしん)さんの傑作ですよ。


---  亜美井新さんのデザインももちろんそうですが、ものすごく広い部屋でびっくりしました。


村上:あれはね・・・本当、バカですよね(笑)。しかも、場所のシチュエーションが最高ですから。周りに何にもない、本当に山の中。奈良と和歌山の間にある五條市っていう、名物が”柿の葉寿司”しかないようなところなんですけど、まあ、ぶっちゃけですね、街の主な産業は公共事業ですからね。税金で山を無駄に崩して食ってるような地域。で、地元の人に「昔、五條市ってどういう街でしたか?」って聞いたら、「ヤクザがとにかく多いんだよ。街歩いててもシャブ臭くてねえ」って(笑)。「シャブ臭い」っていう言葉はなかなかいい言葉だなって、心にメモしましたけどね。「シャブやってる奴はもう、匂いでわかるんだ」って言ってましたよ。そういう街の山の中にあって、となりが養鶏所。


---  養鶏所・・・(笑)。


村上: うん。そんなところにあの部屋があるんですよ。僕ね、ラブホテルが好きなのは、扉を開ける瞬間に何かが変わるあの感じなんですよね。受付のおばちゃんに4千円かいくらか払って中に入ると異空間がある。で、その異空間の中で何をするのかはいいとして・・・まあ、何をするんだけれど(笑)、そこで終わった後にまたふわっと外に出た時のドーパミンがびゅっと出るあの感じが好きなんですよ。


--- あれが今もひっそりと存在してるのがすごいですよね。


村上:本当そうですよ。ホームページがありますから、ぜひ場所を調べて頂いて、みなさん行って下さい!家族連れで入る人はさすがにあんまりいませんけど、友達同士とか女性同士でもたぶん入れるし、4人部屋で割り勘にすればすごく安く泊まれるし、前払いになるかもしれないですけど、話し合えば出入りもきっと出来るから、普通のホテルみたいに使って大丈夫ですよ。お風呂もベッドも大きいし。ただ、落ち着きません。全然、体休まんない(笑)。撮影してる間はずっとラブホに宿泊していたけど、キャメラマンは頭おかしくなりそうでしたね(笑)。


--- 目を閉じてもキラキラしてそうですもんね(笑)。個人的には、PLAY BOYの部屋もすごくかわいいなあって思いました。


村上:あそこもいいよねえ、赤と白のね。置いてある調度品も素晴らしくて、ソファの色だとか本当に完璧ですよね。あれは芸術ですよ。大阪のラブホテルなんかも古くて歴史的な建造物だと思うんだけれど、何でああいうものを残そうと思わないのかなって。「もう少し考えてよ」って思いますよね。ああいうものがなくなっていくのが僕には本当に理解不能ですよ。


--- 最近の人が行かなくなってるっていうこともあると思いますけど・・・。


村上:それはうん、まさしく経済の論理で言うとそうなんだけれど、そうではなくて、例えば、100年後の人間が六本木ヒルズが残っててもうれしくないような気がするんですよね。だけど、もしラブホテルだとか秘宝館が残ってたら、「ああ、すごいなあ」って思う。でもまあ、残らないからこそ必死に撮ってるっていうこともありますけどね。

僕もね、80年代から90年代にかけてはバカみたいに音楽聴いてたんですよ。バンドブームを通り過ぎたっていうのもありますけど、本当にいろんな音楽・・・ワールドミュージックも好きでよく聴いてたんですけど、最近本当に「こんなに音楽を聴かなくなっちゃったのは自分でもどうしてなんだろう」って思うんですよね。たぶんね、今売れてる音楽がみんな同じような超前向き応援ソングだから?(笑)。ああいうものって昔はあんまりなかったと思うんですよ。あんなにストレートな物言いのものが受け入れられるって・・・まあ、僕の時代もね、「HOUND DOGの「Ff(フォルティシモ) 」とかが売れてたなあ」みたいなこともありますけど、もうね、(強調して)ストレート過ぎる!「映画秘宝」に「ゼロ年代になって、何でもかんでもぶっちゃける時代が来た」って書いてあって、本当にまさしくその通りだと思いますよ。それってもう、思考が足りない、考えてないってことですからね。あんな音楽聴くと本当に「ああ、日本沈没していいや」って思いますよ、はっきり言って(笑)。で、そんな前向き応援ソングのPVを観ると、そういう歌をヘッドフォンで聴きながら可愛い女の子が泣いてる、みたいな。異常事態ですよ、アレは。


--- 確かにそうですね(笑)。


村上:まあ、そんなものをわざわざ観てる僕も僕なんですけど(笑)。希望があるなって思うのは、ラブホテルとか秘宝館のイベントをやるとね、若い子がいっぱい来るんですよ。だから、求めてる人は求めてて、何かおかしい・・・おかしいっていう言い方はすごいですけど(笑)、そういうものが楽しめるメ ディアがもっとあっていいんじゃないかなって思う。で、僕らの時代はそれがテレビだったんですよ。テレビの深夜枠だとかがもう完全に無法地帯と化してて、もうめちゃめちゃだったわけですよ。

今はもうラジオしかないですよ、自由区は。限定で言うと、TBSラジオ。TBSラジオは今、Quick Japanとかで特集もされてますけど、小島慶子さんの「キラ☆キラ」とRHYMESTER宇多丸さんの「ウィークエンドシャッフル」と月1回やってる佐々木敦(HEADZ代表・批評家)さんとか津田大介(メディア・ジャーナリスト)さんとかが集まって、いろんなテーマでしゃべってる番組「文化系トークラジオ Life」と荒川強啓さんの「デイ・キャッチ!」だとかがあってね・・・僕ね、1日11時間くらいラジオをつけっ放しで聴いてるんですけど、今はラジオがメディアとして一番自由度が高いし、ビビットだし、将来性を感じますね。この前なんてね、オープニング30分くらいずっと小島慶子さんと宇多丸さんのケンカですからね(笑)。


--- ケンカ(笑)。


村上:そう(笑)。Podcastで聴けますけど、天気予報とか全部すっ飛ばしてケンカしてましたからね(笑)。僕、あれを生で聴いてて、本当どきどきしちゃった。「ああ、すごいことが!すごいことが今起きてる!ケンカしてる!」って。


--- 流しちゃって大丈夫だったんですか?


村上:だって、生放送だもん、止められないよ。で、それがTwitterと連動してて。やっぱりね、ネットと・・・特にTwitterとラジオの相性ってめちゃめちゃいいんですよね。ハッシュタグ(#)でみんな交流してる。今は隅に追いやられてるラジオが来年からはもう、広告的にもターゲットが絞れるとかいろんなことを含めてすっごくいいと思いますよ。で、最近おもしろいなって思ったのは、その「Life」は今までずっとスポンサーがない中でやってたんですけど、最近ね、スポンサーにカトキチが付いたの。


--- 冷凍うどんの(笑)。


村上:そう(笑)。で、これはね、僕だけしか盛り上がってない話なんですけど(笑)・・・いや、でもわかってくれる人はいると思うんですけど、宇多丸さんの「ウィークエンドシャッフル」は赤坂にある、いわもとQっていう立ち食い蕎麦屋を盛り上げてるんですよ。だからね、「今、ラジオ業界と麺業界が結託しようとしてる!」って。


--- 結託!(笑)。


村上:いや、でもね、カトキチはわかる。やっぱり、深夜の夜食を狙ってると思うんですよね。ライフスタイルを考えると大学生とかが「お腹空いたから、カトキチのうどん食ーべよ」っていうことを考えてて、ターゲットを絞れる。で、広告料も安いでしょ?本当ね、下手したら個人商店で出せるくらいの広告料らしいんですよ。あれはすごくネットとの連動性がある。いろんな話題をいろんな人がブログに書く、Twitterでつぶやくっていうことでどんどん広がるっていうのが上手いなって思いますね。だから、秘宝館とかラブホテルもそういうところにいって欲しいなあって思うんですけどね(笑)。






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