18世紀ドレスデン宮廷楽団の華やぎの向こうに感じる、本場ヴェネツィアからの「西風」
かの大バッハが、ライプツィヒ聖トーマス教会の楽団よりはるかに確かな楽員たちの腕前を羨んだドレスデン宮廷楽団。その音楽活動の素晴しさは、ピゼンデルやゼレンカ、ハイニヒェンといった当時の宮廷作曲家たちの名作群からも推察されるところ。彼らは楽団に欧州随一の名声をもたらした稀代の演奏家でもありましたが、同時にヨーロッパ最先端の流行をふまえた作曲センスでも比類ない技量を誇っていました。そのセンスが大きく伸びたのは1710年代半ば、後のザクセン王フリードリヒ・アウグスト2世のグランド・ツアー(主に学業や見分を広めるために、数年に渡って国外を旅行するもの)で音楽の本場ヴェネツィアを訪れた際、中心メンバーの何人かが同地で名匠ヴィヴァルディの教えを受けるなど意義ある刺激を受けてきたことと無縁ではありませんでした。
経験豊かなイタリアの古楽器奏者たちが集うゼフィーロは、そんなヴェネツィアからの「西風」をふまえ、ドレスデン宮廷を訪れたヴェラチーニやロッティらの作品も含め、この宮廷楽団が18世紀当時どれほどイタリア音楽に多くを負っていたかを解き明かす充実プログラムを届けてくれました。主宰者アルフレード・ベルナルディーニをはじめ管楽器奏者たちを中心に、今回も味わい深く伸びやかな音作りが圧巻。バッハの同時代を知る上でひとりとして欠かせない実力派作曲家たちの妙技をご堪能ください。(輸入元情報)
【収録情報】
● ヴェラチーニ:序曲 第6番ト短調〜オーボエ2、ファゴット、弦楽、通奏低音
● ピゼンデル:ヴァイオリン協奏曲ニ長調 JunP.I.7〜独奏ヴァイオリン、オーボエ2、ファゴット、弦楽、通奏低音
● ロッティ:歌劇『アスカニオ』序曲(1718)〜オーボエ2、ファゴット、弦楽、通奏低音
● ハイニヒェン:2つのオーボエのための協奏曲ホ短調 Seibel.222〜オーボエ2、弦楽、ファゴット、通奏低音
● ゼレンカ:7声部のための序曲(組曲)ヘ長調 ZWV.188〜オーボエ2、ファゴット、弦楽、通奏低音
● ヴィヴァルディ:ドレスデンの楽団のための協奏曲ト短調 RV.577〜リコーダー2、オーボエ2、ファゴット、ヴァイオリン独奏2、弦楽、通奏低音
ゼフィーロ(古楽器使用)
アルフレード・ベルナルディーニ(オーボエ、指揮)
録音時期:2021年5月19-22日
録音場所:イタリア、マントヴァ、ビビエーナ劇場
録音方式:ステレオ(デジタル/セッション)