ブクステフーデの頃に
〜17世紀ドイツの弦楽ソナタと「スティルス・ファンタスティクス」
ブクステフーデの周辺は、やはりドイツ人の得意芸!
第一線の古楽オケで大活躍中の面々が鮮やかに
「ガンバ入り4声ソナタ」の世界を描きあげてゆく
ムジカ・アンティクヮ・ケルン、ベルリン古楽アカデミー、フライブルク・バロック管、コンチェルト・ケルン、ダス・ノイエ・オルケスター、オランダ・バッハ協会アンサンブル、パルルマン・ド・ムジーク・・・このアルバムに参加している古楽奏者たちは、ざっとこのようなアンサンブルでばりばり多忙に演奏している実力派たちで、ソリストとしてこれほど実力のある面々なのか! と驚かされます。
イタリアから流入した「スティルス・ファンタスティクス(幻想曲様式)」つまり新しい自由な演奏様式が本盤のキイワード。その様式がぴたりと嵌るような、17世紀北ドイツ系の作曲家たち、つまり今年歿後300年を迎えたブクステフーデとその周辺の作曲家たちの「4声のソナタ」が多く集められています。4声のソナタ、といっても弦楽四重奏的な編成ではなく、2挺のヴァイオリンと通奏低音のあいだにヴィオラ・ダ・ガンバがはさまる、この時代のドイツならではの編成をとるもの。これが音色の微妙な違いとあいまって、実に面白い音楽作りにつながっています。つまりガンバは中音域の充填だけにとどまらず、ヴァイオリン2挺とあざやかな対話を繰り広げるソロ楽器として立ち回るのです。ブラウンシュヴァイクやウィーンでも活躍しドイツ南北の様式をどちらも知っていたシュトルンク、ダンツィヒ(今はポーランド領)のフェルスター、さらには長寿で知られ大バッハとさえ交際を持ったラインケンと、聴く機会がなかなか得られない重要作曲家たちの傑作でこのスタイルを堪能できるのは至福! 何しろ演奏が滅法ウマく、ドイツ放送の精鋭陣による秀逸録音でその呼吸感まできれいに収められていますから、作品の面白さも何倍にも増幅されるよう。ガット弦の味わい、ヴァイオリンとガンバの対比をゆっくり堪能したい方にぜひおすすめの逸品。(マーキュリー)
ブクステフーデの頃に
〜17世紀ドイツの弦楽ソナタと「スティルス・ファンタスティクス」
ディートリヒ・ベッカー[1623-79]
ニコラウス・アーダム・シュトルンク[1640-1700]
ヨーハン・アーダム・ラインケン[1643-1722]
ディートリヒ・ブクステフーデ[1637-1707]
カスパール・フェルスター[1616-73]
ヨーハン・タイレ[1646-1724]の作品
・ベッカー:4声のソナタ第3番 イ短調
・シュトルンク:4声のソナタ ニ短調
・ラインケン:4声のソナタ 第4番 イ長調
・ブクステフーデ:チャコーナ ホ短調 BuxWV160
・ベッカー:4声のソナタ 第4番イ短調
・ブクステフーデ:4声のソナタ ヘ長調 BuxWV269
・フェルスター:4声のソナタ ハ短調
・タイレ:4声のソナタ 第2番 ト短調
・フェルスター:4声のソナタ ヘ長調『ラ・シドン』
・フェルスター:4声のソナタ 変ロ長調
・ブクステフーデ:トリオ・ソナタ ハ短調 BuxWV262
・ブクステフーデ:4声のソナタ ト長調 BuxWV271
アンサンブル・コルダルテ(古楽器使用)
ダニエル・ドイター(ヴァイオリン)
マルガレート・バウムガルトル(ヴァイオリン)
ハイケ・ヨハンナ・リントナー(ヴィオラ・ダ・ガンバ)
アンドレアス・アーレント(キタローネ)
マルクス・メルクル(チェンバロ、オルガン)