「フランス流儀」が新鮮だった時代!
リュリからテレマンへと至る舞踏組曲の躍動を鮮やかに
スペイン出身の古楽器奏者たちを中心に、ヨーロッパで幅広い活躍をみせる名手たちが古楽教育の一大拠点バーゼルで結成した新しい古楽アンサンブル「エル・グラン・テアトロ・デル・ムンド」。そのCDデビューにあたって選ばれたプログラムは、舞踏のステップと強く結びついたフランス組曲様式にドイツ人たちが開眼したばかりの頃、いかにみずみずしい音楽がそこで紡がれたのかを強く実感させる選曲。同い年のイタリア人コレッリとは友人同士であり、若い頃はルイ14世の王室音楽総監督リュリのもとで学び、イタリアとフランスの様式をどちらも自家薬籠中のものとしたムファットの『調和の捧げもの』は、イタリア風の合奏様式を軸にした曲集。この曲集からの作品が冒頭に置かれていることによって、本盤後半を彩るフランス様式の傑作選『音楽の花束』や、同世代でやはりリュリの様式を強く意識しながら活動を続けたJ.C.F.フィッシャーの創意豊かな組曲などにみる「フランス趣味」がきわだって聴こえる構成になっています。最後のテレマン作品ではポーランド民俗音楽からインスパイアされた野趣あふれる音使いも鮮やか。
アンサンブルにはカフェ・ツィマーマンなどでも活躍してきた大ベテランのリコーダー奏者ミヒャエル・フォルムや、リ・インコーニティ、レ・タンブルなどの一員として名盤多き川久保洋子など名だたる俊才たちが参加。古楽器が響きあう空間の気配をよく捉えた録音とあいまって、バッハ前夜のフランス風ドイツ音楽特有の華やぎがひときわ魅力的に伝わります。(輸入元情報)
【収録情報】
● ムファット:『調和の捧げもの』ソナタ第2番ト短調 (1682)
● フィッシャー:『春の便り』組曲第1番ハ長調 (1695)
● ムファット:『音楽の花束 第2集』組曲第1番『貴族の若者』 (1698)
● テレマン:序曲(管弦楽組曲)変ホ長調 TWV.55:Es4
エル・グラン・テアトロ・デル・ムンド(古楽器使用)
コリーヌ・オルモンド、川久保洋子(ヴァイオリン)
ミヒャエル・フォルム(リコーダー)
ミリアム・ホルデ・オンパネラ(オーボエ)
クラウディウス・カンプ(ファゴット、リコーダー)
ヨナス・ノルドベルイ(テオルボ)
ブルーノ・ウルタド・ゴサルベス(バス・ド・ヴィオロン、ヴィオラ・ダ・ガンバ)
フリオ・カバリェロ・ペレス(チェンバロ、指揮)
録音時期:2021年2月7-10日
録音場所:フランス南東部ローヌ地方アン県ジュジュリュー、C.J.ボネ文化会館
録音方式:ステレオ(デジタル/セッション)