初期フィルハーモニア管弦楽団を育てた指揮者たち第4弾
アルチェオ・ガリエラ[1910-1996]
【この復刻CDの制作者より】
「フィルハーモニア管弦楽団初期の指揮者達、第4弾はアルチェオ・ガリエラです。ガリエラはLP時代に活躍の中心があり、多くの録音を残しておりますが、CD化されたものは全部と言ってよいくらい協奏曲の伴奏指揮の録音です。ミラノ生まれのオペラ指揮者という経歴からみてソリストに合わせてオーケストラを御してゆくのは得意だったからに違いないでしょうが、LP時代、特にまだモノラル録音の頃には多くの管弦楽曲の録音が残されていいます(オペラ録音では、カラスとの『セビリアの理髪師』が有名です)。ここではガリエラの指揮の多彩さを味わっていただくようにドイツ、チェコ、ロシア、そして本領発揮のロッシーニの管弦楽曲録音を2枚のCDにまとめてみました。いずれも1953年から57年の録音で、モノラルからステレオに移行する頃のものですがいずれもモノラル録音です。特に1955、57年の録音はステレオの普及と共にすぐにお蔵入りになったようで中古盤市場でもなかなか出てこないようです。いずれもイギリスの業者から購入しました。なおいずれの曲もデニス・ブレインがホルンを吹いておりますが、特に『ジークフリート牧歌』は彼の最後の年の演奏と思うと気楽には聴けません。』(OPUS蔵代表 相原 了)
【ブックレットより】
「(略)このほか、ギーゼキング、アンダなど、協奏曲の録音はとても多い。このことは、必要以上に軽視されてしまう危険もはらんでいるわけで、その意味で、こうして交響曲や管弦楽曲の録音が登場することは、ガリエラの名誉のためにも大きな意味をもっている。この2枚に収められた演奏の録音日をあげておくと、『ドン・ファン』とジークフリート牧歌は1957年1月。『新世界より』は1953年10月。イタリア奇想曲は1953年1月。スペイン奇想曲は1955年3月。ロッシーニの序曲集は1953年1月。フィルハーモニアの中心的指揮者がカラヤンからクレンペラーに移っていく時期である。『ドン・ファン』とジークフリート牧歌は時期的にはステレオ録音も残っているはずだが、モノラルでしか発売されたことがないようだ。いずれも、強烈な個性というほどではないけれど、イタリア人らしい明朗な響きとすっきりした快速の進行が、じつに好ましい。自分はガリエラというと、マリア・カラスが歌った『セビリアの理髪師』全曲(1957年2月、カラスの最初のステレオのオペラ全曲となったもの)での、意外な好演(といっては失礼なのだが)が印象に残っている。ここにある演奏も同じスタイルによるもので、共演を重ねてきた楽員と息が合っているのも、よくわかる。」(OPUS蔵)
【収録情報】
Disc1
● R.シュトラウス:交響詩『ドン・ファン』 Op.20(録音:1957年)
● ワーグナー:ジークフリート牧歌(録音:1957年)
● ドヴォルザーク:交響曲第9番ホ短調 Op.95『新世界より』(録音:1953年)
Disc2
● チャイコフスキー:イタリア奇想曲 Op.45(録音:1953年)
● リムスキー=コルサコフ:スペイン奇想曲 Op.34(録音:1955年)
● ロッシーニ:オペラ序曲集(録音:1953年)
(ブルスキーノ氏/セミラーミデ/アルジェのイタリア女/絹のはしご/ウィリアム・テル)
フィルハーモニア管弦楽団
アルチェオ・ガリエラ(指揮)
録音方式:モノラル(セッション)
原盤:UK-Columbia LP
日本では伴奏指揮者と見られがちなアルチェオ・ガリエラ。1910年ミラノ生まれの彼が1950年代に指揮した交響曲・管弦楽曲集だ。活気のあるテンポで突き進む「イタリア奇想曲」の快さ。さすが初期のフィルハーモニア管を鍛え上げた腕利き指揮者。ロッシーニ序曲集の弾けるような勢いも聴きものだ。(長)(CDジャーナル データベースより)